NEOGEO
ねおじお
SNKとADK(旧:アルファ電子)が共同開発し1990年にSNKから発売された16ビット家庭用ゲーム機「AES」と、業務用ゲーム基板「MVS」の総称。
但し、単に「ネオジオ」と言った場合、基本的には「AES」の方を指す。
据え置きゲーム機「Advanced Entertainment System」の略称。
但し、ほとんどの場合は「ネオジオ」と呼ばれることの方が多く、「AES」という呼称は浸透していない(海外では非公式ライセンスで作られたソフトに「AES ROM」「AES CD」という呼称が使われているため、一部で浸透している)。
1990年代、アーケードゲームは飛躍的に進化を遂げた一方で、家庭用ゲーム機の性能はそれに完全には追い付けておらず、主流の家庭用ゲーム機に移植された作品はスプライトの縮小・削減やサウンド・演出のカット等で容量やスペック不足な面を調整される事が多く、「ゲームセンターそのまま」のゲームが遊べる移植版は稀であった。
ネオジオシリーズはそうした時代に、アーケードゲームを100%再現した物を家で遊べるという売り文句で登場した。
キャッチコピーは「凄いゲームを連れて帰ろう」。
現在の家庭用ゲーム機の一般的な販売ルートと違い、1990年から先行してネオジオ本体とゲームソフトのレンタル事業で試験的に運用された(ちなみにこれが日本初のメーカー公認ゲームレンタルサービスでもある)。
このレンタルにおいてかなりの好評を博したことから、レンタルのみでなく販売も行われる事となったが、ネオジオの中身はアーケードで動いているネオジオとほぼ同じものであったため、本体価格58,000円とかなりお高い価格設定であった(それでもアーケード基板と比べると十分安いが)。
当然、当時のゲーム機史上トップの価格だったが、同年12月に更に高いPCエンジンLTが発売された事でナンバーワンでは無くなっている。
ソフト価格もアーケード基板のROMボードとほぼ同じもののため、1本3万円以上。
アーケードゲームを何百クレジットも遊ぶ事を考えれば元が取れる上、業務用基板を集めているようなマニアからすればお得にも見える価格であるが(後述のMVS)、ハード・ソフト両方が平均的なゲーム機の3倍近い価格するという事で、いわゆる高嶺の花的なポジションのゲーム機だった。
同年代のゲーム機と比べると大容量のカセットを扱えた(というかアーケード版のものをそのまま使えた)点が強みで、1992年には『龍虎の拳』を筆頭とする「100メガショック」級のタイトルを次々と販売。このフレーズはネオジオの代名詞となった。
(ここで言う「100メガ」はメガバイトではなくメガビットの事。100メガビット=約12.5メガバイト)
同年代のスーパーファミコンのソフト容量は最大でも48メガビット(6メガバイト)、移植版『ストリートファイターII』が16メガビット(2メガバイト)程の容量である事を考えると価格相応の容量があった事が窺える。
その分ROMカセットは容量に比例して大きく重く、各所で「鈍器」或いは「凶器」と評された(保管用パッケージもプラスチックであり大きい)。なお、カートリッジコネクタは一体型であるがスロットが二つあり、基板も内部では二つになっている。
後期タイトルになると家庭用ROMカセットは受注生産販売に変わっている。
なお、ほぼアーケード(MVS)版と同じ内容となっているが、家庭用として発売されたロムではゲーム開始前に難易度を変更できたり、一部要素の修正や、家庭版独自のおまけ要素などが追加されている事があった。
そのため、長年家庭版はMVS版とは違うプログラムを組み込んだものであると思われていたが、後述するコンバーター等の登場により、MVS版も家庭版も同じデータが入っており、家庭版にセットすると家庭版専用の項目が表示されるという仕組みであった事が明らかになっている。
コアなアーケードゲーマー向けのゲーム機であるため、コントローラーも所謂アケコンを強く意識した形状になっており、左手側には方向キーの代わりにジョイスティックが付いている。
PCカードタイプのメモリーカードを使ってセーブデータを記録できるが、元がアーケードゲームの為にこの機能を活用するタイトルは多くなく、ハイスコア等の記録用として使われる事が多かった。
北米では高価格が災いし失敗してしまうが、日本ではコアゲーマーの支持を集めて約100万台を売り上げ、ソフト供給も2004年まで続けられた。旧SNK倒産後もネオジオCDと異なり修理を請け負う業者があった為にサポートはしばらくあったが、部品調達の関係等で公式では終了している。
家庭用専用のタイトルが発売されることはなく、最後まで「アーケードゲームが家庭でも遊べる」のスタンスを貫いた。
ネオジオミニ収録タイトルはAES仕様になっている。
1990年より発売されたアーケードゲーム基板「Multi Video System」の略称。こちらもれっきとした「ネオジオ」なのだが、ほとんどの場合家庭用と区別するためにネオジオとは呼ばず、「MVS」と呼称される。
それまではゲームセンター等でアーケード筐体のゲーム内容を差し替えるには筐体の内部基板を交換する必要があったのだが、基板は大きいため気軽に交換することができず、基板自体非常に高価だったため小規模なゲームセンターにとっては経済的な負担も大きかった。
これらの問題を解決するためにSNKが発売したのがMVSである。MVS基板(筐体)を一台購入すれば、後は家庭用ゲーム機のようにROMカートリッジを交換することで手軽にゲーム内容を差し替えることができた。
MVSカートリッジはAES(家庭用)用カートリッジよりもやや小さいが内部はほとんど同一であり、OP価格もAES用と同じく3万円程度に設定されていた(※)。家庭用ゲームソフトとしては高価だがアーケードゲームとしては格段に安価であり、小規模ゲーセンにとってはこれだけでも助けになった。筐体価格もバカにならない為リース形式も行われていた。
※だが、後年はOP価格が高騰化していき、『餓狼 ~MARK OF THE WOLVES~』に至っては約15万円と他社のシステム基板並にまでなっていた。
それだけでなく、MVS筐体には複数のカートリッジスロットが付いており、一台の筐体で複数のゲームをプレイすることが可能だった(例えばスロット全てを餓狼伝説シリーズだけにする事も可能である。実際に餓狼伝説と餓狼伝説2が一台に入っている事はよくあった)。スペースに限りのある場所でも充分な数のゲームを提供できるため、駄菓子屋のちょっとしたスペースにMVS筐体が置かれていることも多かった。特に小型筐体はキャスター付きであった為に小規模スペースに特に向いていた。
加えてタイトル毎のインカム(売上)を別々に集計する機能が搭載されており、不人気なタイトルをすぐに特定してカートリッジを差し替えることができた。
こうしたMVSの筐体が大小問わずゲームセンター以外の場所でも置かれるようになった背景には「設置を希望する店舗には無償で筐体を貸し出し、その収益を徴収する」という独自のリース手法を取っていたことがプラットフォームの隆盛に繋がったと見ている。
一部のMVS筐体には家庭用ネオジオのメモリーカードを差し込めるPCカードスロットが付いており、セーブデータを共有することができた。
簡単に言ってしまえば家庭用ネオジオでラスボスまで進めてメモリーカードにセーブした場合、アーケード筐体にメモリーカードを持って行けば同じ所から開始が可能となる。
しかし一つのゲームにつき一つのセーブデータしか作成できない為、違うキャラクターや構成を変えたものを用意することはできなかった。このメモリーカードは大抵のMVS設置店で購入できた(特に設置店がゲームショップだとほぼ確実)。
なお、ヘッドホン端子が付いていた珍しい筐体でもある。
家庭用ネオジオとは違い、MVSは海外でも大成功を収めた。
アケアカNEOGEOは全てこのMVS仕様となっている。その為にクレジットボタンの存在やAESでのプレイ前の難易度設定が出てこない(アケアカのオプション項目で難易度等の設定変更は可能)。
まず家庭用ネオジオとMVSはソフトのカートリッジ形状が異なる為、物理的な相互互換性がない。しかし、H/W内部はほとんど同じである為、ゲタ(変換カートリッジ)をかますと家庭用ROMをMVS版として動作させることが可能となり、逆にMVSカートリッジをネオジオ本体で起動させるとAES(家庭用)モードに変化する。
この「ゲタ」はMVSでしかリリースされなかったタイトルを動かす事ができる為にネオジオファン御用達でもあった。
なお、この「ゲタ」は非ライセンス品である(ただし、旧SNKには開発者用の「ゲタ」が存在した)。故にバージョンによっては正常動作しないこともある。
上記の「ゲタ」を作るだけでもかなりの大がかりな同人サークルが必要とされたため、ネオジオにはマジコンは作られないと考えられていたが、スペインのハッカー(解析者)によって『NEOSD』が開発された。これにて、海外で販売されている同人ゲームのロムイメージをエミュレータを介さず直接ネオジオ実機で楽しめるようになった。
1990年から2004年まで実に10年以上運用され続けたネオジオであるが、現役期間が長かったことやコピープロテクトの強度などはあまり高くなかった事もあり、90年代後半からは不正コピー・海賊版に悩まされる事となった。
また、インターネットの普及・高速化に伴い、吸い出されたロムのデータがインターネット経由で共有され、違法ダウンロードされてしまう事態も増加した。
特に目玉タイトルであったザ・キング・オブ・ファイターズシリーズは多数の海賊版が存在し、中国産のボスキャラクターを使用可能にした海賊版やロシア産の海賊版などが出回っている。
これらのタイトルは国内にもそこそこの数が持ち込まれていたり、100in1系の基板にしれっとデータが入っていたりするため、国内のレトロゲーム系のゲーセンで見かける事はそこそこにあったりする。
当初は上述のように改変を施した海賊版は、無理矢理ボスキャラをキャラクター選択画面に並べただけで、ゲーム自体の動作が不安定になっていたり等やっつけ改変感が溢れていたが、後発の物になると改造のノウハウが蓄積されたのか、例えば「2002」のMAX発動が正規版と違い複数回重ねて発動可能になり、重ねた回数に応じて攻撃力アップ&攻撃を当てた時にエフェクトが付くなど、不正コピー・海賊版製作を行う業者にも仕様が知り尽くされていた事が窺える。
SNKの公式ホームページのURLは「neogeo.co.jp」だった。元々は「snk.co.jp」にする予定だったが、既に別の会社にこのURLが使われていたことが理由である。
しかしSNKがこの「ネオジオ」ブランドを主軸に据えるつもりだったことには変わりなく、格ゲーブームと共に急成長を遂げた同社はその後事業拡大し続け、それらの事業には必ずと言って良い程「ネオジオ」の名前を使っていた。
初代ネオジオの派生機種としてネオジオCDを、そして携帯ゲーム機のネオジオポケットを発売し、MVSの後継機としてより高性能なアーケード基板「ハイパーネオジオ64」を発売。
直営ゲームセンター「ネオジオランド」も展開し、テーマパーク「ネオジオワールド」の経営にも着手した。
しかし、これらの事業はいずれも成功したとは言い難く、中でもネオジオワールドは数十億円単位の大赤字を出し、SNK倒産の一因となってしまった。
1997年までの起動画面に出てくる「MAX 330 MEGA」という表記。これを「ROMカートリッジの容量が最大330Mbitまで扱える」という間違った説明が時折見られる。正しくは「本体のROMアクセス速度が最大330Mbpsであることを示したもの」である(ちなみにネオジオ本体の外箱にもこのことが記載されている)。
『リアルバウト餓狼伝説2』(1998年)以降の起動画面は「GIGA POWER」の表記に変わっているが、こちらは「この先(表現力強化のため)ROMの容量が更に巨大化していくことを表す」という意味合いに変わっている。
余談だがネオジオ/MVSで公式の最大容量となったのは『KOF2003』の716Mbit(非公式を含めた場合は『FAST STRIKER(NG Dev.)』の1560Mbitが最大容量であることが判明している)。
NESiCAxLive:ユーザー側で複数ゲームを切り替えられる為、タイトー版MVSとも。過去のNEOGEO作品も配信
exA-Arcadia:WindowsPCベースのアーケード基板。ソフトウェア供給方式が棒状のROMカートリッジで基板上に4本分のカートリッジスロットがある。仕組みがMVSとよく似ていることから「MVSの精神的後継の1つ」とする見方もある。