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マジコン

まじこん

本来のゲームソフト供給媒体(ROMカートリッジなど)の動作を模倣し、流通対象外のソフトウェアをゲーム機上で動作させるための機材。
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マジコンとは、ゲーム機用の機材の一つである。マジックコンピューターの省略形であり、独自ソフトウェアを動作させるためのプラットフォームとして使用されることが建前とされるが、その特性から不法コピーしたゲームソフトの起動を目的として使用されており、社会問題化している。


概要編集

ROMカートリッジなどのゲーム機専用媒体によってゲームソフトを提供しているゲームハードに対し、正規のROMカートリッジ等の内容をコピーし、他の機材に適応できる形にしたり、他の機材により改変されたり自作したデータをゲーム機に読み込ませることができる機械である。

その上で、正規のROMカートリッジ等のソフトウェア本体BIOS(本体内に存在するハードウェアとの最も低レベルの入出力を行うためのプログラム)の内容を、フロッピーディスクフラッシュメモリカード等の汎用的メディアに複製したり、逆にこれらに記録されているROMカートリッジイメージデータを起動させるものである。


これらは同人ゲーム開発用やソフトウェアセーブデータバックアップおよび改造等を建前として販売されるが、他者がコピーを行ったソフトウェアを起動させるという違法行為のために用いられることが非常に多い。

なお、マジコンという名前は「マジックコンピューター」の略称であるとされ、名前はスーパーファミコン用のソフトウェアコピーツールの製品名「スーパーマジックコンピューター」にちなむとされる。


現状編集

現状においては特に携帯ゲームにおいてこの種のツールが利用されており、ニンテンドーDSにおける被害は、本体の普及率の高さや、同時期に不法コピーソフトウェアの流通基盤としてのP2Pファイル交換問題が浮上したことも相まって、社会問題になる程莫大なものとなっており、また問題の拡大に従って「本来押しとどめるべきである親が、むしろ費用削減策として積極的に子供にマジコンを与える(※1)」「学校等で周囲が皆使用しているため、子供達が違法性を全く認識できない」というモラルハザード問題も同時に浮上している。


そもそもこのマジコンは少なくとも90年代後半に出現したとされており(※2)、ディープなマニア間もしくはマニアックな雑誌の情報にある程度ぐらいでしか知られていない代物であった。しかも本体価格がゲーム機よりも高い事もあり素人には手が出しにくい背景があったのである。ところが、2000年代に入り日本でのインターネット普及に伴いアングラな情報が簡単に入手できる事や先述のP2Pファイル交換ソフトの悪用が拍車をかけていった。笑えない話として本来は書店の隅でひっそりと置かれているアングラ情報誌に類する書籍がコンビニにまで置かれた事で余計知名度が上がったとも。


2020年代からはダウンロード専売になる作品が増えたことで物理的に割れないためにマジコンの不正使用は減ってきている。

一方でレトロPCレトロゲーム界隈では同人ソフトウェアの開発環境を安価に提供するツールとして用いられることが多くなった。市場全体は健全化したとみてよい。


※1…いわゆる現在では衰退気味であるCDレンタルにおけるダビング感覚と混同している可能性がある。


※2…スーパーファミコン以前にも実はマジコンに類ずるものは存在した。


不正利用に対する問題点編集

マジコンに限った話ではなく、不法コピーなどの著作権侵害が行われれば当然その分本来ソフトハウスなど、ゲーム業界に渡るべき利益は目減りし、関係する企業経営困難となり、市場縮小する。


さらに不法コピーされたソフトウェアが動作しないようプロテクト機構を盛り込む必要性も発生し、それによってさらに開発原価が膨れ上がることになってしまい、これも企業経営を圧迫する要素足りえる。(※3)

このため、マジコン問題を始めとするカジュアルコピー問題は、ゲーム業界に限らず、ソフトウェアおよびハードウェア業界では重大な問題と捉えられている。


※3…現在のゲーム機における本体更新において不正機器対策として行われているのが現状である。しかし、イタチごっことして負の鍔迫り合いが水面下で起きているのもまた事実である。


法規制編集

なお、当然ながら各国で流通・所持に対して法的規制を行う動きが出ており、日本でもマジコンは改正不正競争防止法に抵触する機材であるとする東京地裁判決が下っている

同法は、コピー防止機構を迂回することを目的とした機材を有償無償を問わず流通・譲渡することを禁じており(たとえ無償譲渡であっても「他人に渡す」こと自体が抵触する)、これにより各種機材の流通は違法とされている。

しかしながら同法の同項目には罰則規定がないためこの種のツールの流通を止めることはできず、罰則を盛り込むための法整備が急ピッチで進められている。


警告編集

権利者の許諾なく、ゲームソフトをインターネットを通じて配信・配布することは著作権を侵害する違法行為であり、民事上、刑事上の法的責任を問われる虞があります。

また、違法なインターネット配信と知りながらダウンロードする行為も私的利用目的の複製とは見做されず、違法行為とされています。

みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。


余談編集

  • しばしば、ゲーム改造ツール(所謂チートエンジン)と混同されるが、改造ツールに関しては本体あるいはソフトのRAM部分をチェックし、あるいは改造しているだけである。
  • KONAMIの『パワプロクンポケット11』の公開質問コーナーに、マジコン対策についての質問が行われ、回答者が激昂するという騒動が起きたことがある。
  • コンパイルハートの『超次元ゲイムネプテューヌ』シリーズでは、マジコン問題をメインに取り上げており、作中にはマジコンを擬人化した悪役キャラクターや、上記のカジュアルコピー問題、モラルハザード問題などが登場する。
  • 不法コピー対策としては、不法コピーされたソフトウェアは全く動作しない、というものも多いが、中には正規の動作を行わず、ゲームが事実上進行できなくなる、というものも存在する。有名なものはニンテンドーDSの『ドラゴンクエストⅤ』などが存在する。
    • これはPCゲームでよく見られた対策であり、敵があり得ない程強くなる、本来入るべき場所に入れなくなる、などのケースが見られた。中にはゲームでの攻略手順ミスであると錯覚し、ゲーム誌の攻略情報質問コーナーに質問を行なってしまうユーザーも居た。
    • また、カートリッジの接触不良によりプロテクト機構が誤爆し、正規のゲームを使用していてもコピー認定され、立ち上がらなくなる、ということが発生することがある。

関連項目編集

ゲーム機 ツール コンピューター

コピープロテクト 割れ


外部リンク編集

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