概要
元は「Softwares」から派生した違法コピーされたソフトウェアを指す海外のネットスラング「Warez」が、日本でローマ字読みされ漢字を当てる形で変化した単語である。
元の「Warez」はソフトウェアを指すスラングだが、日本の「割れ」の場合不正な形でコピーし配布や販売を行う行為そのものを指す。コピーされたモノを指す場合は「割れもの」などが用いられる。
かつてはゲームを含むソフトウェアが中心だったが、現在の「割れ」対象は音楽や漫画などの画像データ、アニメや映画などの動画データなども含むケースも多い。
「割れ」のリスク
当該ソフトはどんな小さなものであっても開発者が多大な手間と費用をかけて造り上げたものであり、多大な経済的損失を与える不正行為であると同時に民法709条や著作権法等に違反する犯罪行為であり、開発/販売会社から提訴され多額の賠償金を請求される事もあり得る。また、開発資金を売上によって回収できなくなるため開発環境の悪化にも繋がり、開発元ならず全ユーザーへの迷惑行為といって過言ではない。実際に「割れ」のせいで中国と韓国のゲーム産業はパッケージゲームの市場規模が小さくなり、ソーシャルゲームやブラウザゲーム中心にせざるを得なくなっている。
副次的なリスクとして、こうした「割れ」を流通させる者のモラルは低いために、悪意をもってコンピューターウイルスなどを混入させていることもある。
こうした「割れ」を探し求める過程で暴露ウイルスに感染し、パソコンに保存されていた恥ずかしい写真や業務上の重要書類が流出し、身の破滅を招いた者は数知れない。
こうしたリスクを押してまで違法コピーソフトを堂々と使う人間は「割れ厨」と呼ばれ、悪質な割れ厨には代金を払い正当な手段で入手したユーザーを「購入厨」と馬鹿にする他、「クソな作品を出す方が悪いのだから割れるのは当然」と意味不明な開き直りをする者や、「金がなくて買えない人たちの需要に応えている」という謎の理論を主張するなど問題しかない発言を繰り返す様な者も多い。
割れの衰退
2010年代以降、以下の理由によって割れはリスクに見合ったリターンの無い行為となった。そのため、一部のモラルが無い上にマヌケな層を除いて割れはほぼ行われなくなった。
- 近年の家庭用ゲームハードは高度な仕様とプロテクトが掛けられたことによりゲームソフトの海賊版がゲームハードを通りにくくなった。
- 近年のゲームはソフト、ハード、オンラインアカウントが紐付けされる形が一般的で、海賊版ソフトを使用するとソフトに紐づけされたハードやアカウントがBANされる恐れが生じるようになった。
- 容量の肥大化により割れソフトとしての配布自体が高負荷となった。
- そもそも海賊版ではオンラインプレイやアップデートなどに支障が出るようになった。
- レトロゲームがダウンロードコンテンツとして復刻するケースが一般化して入手しやすくなった。
- SNSや動画配信の普及により、割れが発覚した時の炎上の規模と拡散スピードが高まった。また、情報交換の活発化により一般層レベルで海賊版と正規版の見分け方が周知されていった。
- PCゲームも割るよりSteam等のDL配信を利用する方が便利でリスクもなく、経済的負担も比較的軽微。
- オンラインショッピング網の発達もあって、取り分け流通過多の中古ソフトならパッケージ版の本体価格がタダ同然となるケースも目立つようになった。
- 無料のソシャゲが普及し、割れを行うぐらいならソシャゲを行う層が一般的に。
AVにしても昨今割れは非合理な手となっている。
- 正規配信サイトで旧作の無料試し観部分を巡れば取り敢えず日々のオカズには困らない。何なら昨今のAV業界の人材不足によるレベル低下を考えれば、新作を違法視聴するより旧作の試し観の方が満足できるまである。
- 目ぼしい名作はわざわざ割らなくともデジタル配信の形で大体流通している。
- 中古DVD取扱店舗の普及とAVの流通過多によって、比較的安価にパッケージ版を購入できるようになった。
その一方で、エロゲー業界に関してはその後も割れが常態化している。
- オフラインプレイがメインなのでオンライン関連において支障が出る要素が割れユーザーの不利とならない。
- グラフィックは2D、ストーリーを進める作品が多いためボイスやシステムなど含めても全容量は10G未満が目立ち、一般の3Dゲーほどにはならない。
- メジャーなソフト配信手段でエロゲー自体がまともに配信されない(基本的には非エロ版としてしか配信されない)。
- 資金力に欠ける業界なのでそもそもまともな対策を打つ予算がない(それ故企業同士の連携も希薄)。
- 倒産リスクが高い上に引退と隣り合わせの業界であり、割れが問題になるころにはそもそも会社が存続していないか、あるいは関係者が引退しており、そうしたことから告訴を諦めるケースも珍しくない。
とはいえ後年ではR-18対応のダウンロード販売サイトでアダルトゲームを格安で販売することも少なくなく、割れの合理性や優位性も多少薄れている。
違法コピーへの対策
開発側
各ソフトメーカーともコピープロテクトに様々な工夫をこらしており、正規に購入したものでないと動作不良を起こす様に細工を施してあるものも多いが、割れ厨側も仕様をかいくぐって割れを起こす為いたちごっこになっている面もある。
また、プログラムに対策を施す都合上ソフトやデータがどうしても重くなってしまう他、ごく稀に正規品を使っている場合でも動作不良を起こすバグが発生するなどの弊害も起こり得る。こちらも割れによる被害の一つとも言える。
ユーザー側
無料でソフトや音楽や漫画。アニメなどのデータを入手できる事に釣られる人々も多いが、前述の通り割れは犯罪行為であり、割れもののダウンロードも例外ではない。
故に、経済的悪影響も含め、こうしたあらゆる面で弊害しかない割れからは徹底的に背を向けることが何よりも最重要である。
また、万が一割れと知らずに誤って割れものを入手してしまわない様に、ソフトなどを入手する際は販売や配布が正規の手段で行われたかどうか、ある程度注意を払うことも重要である。
その他の違法アップロード問題
近年では、商業誌および同人誌などの漫画作品やアニメや映画などの映像作品が、原作者や版権元の許諾を得ずにウェブ上へアップロード公開されてしまうケースが頻発し、社会問題となっている。
ネット上への無断転載はそのほとんどが海外のサーバーからのものである為、日本から完全に規制する事は不可能に近く、サイトが一つ閉鎖させることができてもすぐに類似の別サイトが新設されるいたちごっこに陥っている。
関連タグ
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ネオジオバトルコロシアム:複合企業体WAREZ(ウェアーズ)という組織が登場。