曖昧回避
概要
夢工房の前身であるエイコムが1995年に発表した『パルスター』の続編として制作が開始されており、初期のタイトルは『パルスター・ブラスト』であったが、最終的にはパルスターの外伝という形に落ち着いた。
また、前作とは違い今作の舞台は地球ではなくレムリアという惑星が舞台になっている。ゲームシステムや隠しキャラなど一部『パルスター』との繋がりが存在するが、基本的には別のゲームとなっている。
本作が稼動を開始した1998年は『怒首領蜂』を筆頭とした縦スクロール方式の弾幕STGが主流となっており、本作のように地形や敵の攻撃パターンを覚えながら攻略していく横スクロール方式のSTGは減少の一途を辿っていた。
一方で『レイディアントシルバーガン』や『エスプレイド』などの多くの名作が発表されており、それらに押されてゲームセンターから早々と消えてしまう事もあったが、STGとしての完成度はもとより、プリレンダリング※1を駆使した美麗なゲーム画面と、音楽の評価は高い。
ストーリーや特徴の強い自機とパイロット等の設定もあり、稼働後10年以上経った現在でも根強いファンを持つゲームである。
また、NEOGEOというSTGにあまり適していないプラットフォーム※2でありながら、多重スクロールや大量の弾幕の表現などプログラムの側からも評価する意見がある。
しかし、後半ではスプライトオーバーにより消える弾が最大の敵と言われる難所も存在する。
アーケード版ではエンディングなどが開発期間の都合上収録されていなかったため、後日NEOGEO CD版でこれらを補完した完全版が発売される予定であったが、諸事情により未発売。ドリームキャストへの移植も検討されたが、こちらも残念ながら実現していない。PlayStation 3やXBOX360等の次世代機にて過去のゲームのカップリングや配信等でNEOGEOのゲームがラインナップされるようになると、ファンの間でも本作の移植への期待の声が高まっていったが、結局実現しないまま現在に至っている。
こうして家庭用ゲーム機への移植の話題が出るたびにぬか喜びさせられていたファンも諦めの境地に達しかけていた頃、SNKプレイモアが2012年7月26日にiPhone/Android向けアプリとして本作の配信を開始。通常のアーケードモードに加え、任意のステージのみを選んでプレイ可能なミッションモードが加わり、Bluetoothを利用した2人同時プレイも可能となっている。
2017年5月2日からNintendo Switch版のアーケードアーカイブスにてダウンロード配信が開始された(約半年後の12月21日には前作の『パルスター』も配信開始されている)。その後、PlayStation 4版/Xbox One版も配信が開始されている。
※1:プリレンダリング
3Dデータで造っておいたパーツをあらかじめ2Dデータレンダリングしておいて
ゲーム中ではその2Dデータを使用してあたかも3Dで表示しているかのように見せる技法。
リアルタイムに3D表示できない性能のゲーム機で使用される事の多かった技法でもある。
※2
「STGに適していない」とは言うが、過去に出た作品には良作STGとして評価されているものも多々あるので思込みは禁物である。
ストーリー
惑星レムリアと惑星ムトラスは、何時、終わるとも知れぬ長い刻を戦い続けていた。元はレムリアの衛星であったムトラス(※)が、母星レムリアに対して反旗を翻したのだ。
エスカレートする兵器開発の波は、2つの惑星に刻を同じくして、知能を持つ、それ自体が兵器の『有機型自動兵器生産工場』を開発させた。
これにより両惑星は、また1つ大きな戦乱の渦に飲み込まれて行く事となった。
人を始め全ての動物達は、その『邪悪なる兵器』によって捕らえられ、次々に『悪魔』へと姿を変えられて行った。
地上から『人』という存在が消えるのに、7日と掛からなかった。
──誰の為に戦うのか?
──何の為に戦うのか?
『悪魔』に変貌した者達は、そんな疑問すら感じる事無く、互いの存在を掛けて、ただひたすら戦いの歴史を紡ぎ続けた。
しかし、それは数年後、『4人』の自我の目覚めにより、綻びる事になった。『悪魔』達は歓喜した。 自分とは異なる者の復活に…… 自分達の未来に……
しかし、『悪魔』に姿を変えた者達は、心の奥底に沸いたその喜びとは裏腹に、与えられた使命を遂行するべく、活動を、──『人』と云う存在の排除を開始した。
今ここに、最後の戦いが始まる。
※:ムトラスは、衛星をテラフォーミング化されて出来た惑星。
(『ブレイジングスター』説明書より引用)
ゲームシステム
地形の存在する横スクロール方式、分岐の無い全7面構成、周回プレイは無く1周でゲームオーバー。一部斜めにスクロールする部分や、演出として画面奥へスクロールする場面も存在する。8方向レバーで自機の移動、攻撃はショットボタンとブレイクボタンの2ボタンでショットを撃ち分ける。
攻撃方法
ノーマル・ラピッドショット
ショットボタンを押すと通常ショットが発射され、連射速度がある一定の速度を超えた場合にラピッドショットと呼ばれる特殊ショットに移行する。ラピッドショットは基本的に範囲や攻撃力が高くなるが、例外的に攻撃力の下がる機体も存在し、稼ぐ場合に範囲が広すぎる事などがあるため、撃ち分けを必要とする場面が存在する。ラピッドショットに移行する連射速度は機体ごとに異なる。
チャージショット
ショットボタンを一定時間押し続けてから離すと、強力な溜撃ち、チャージショットを発射する。溜には段階があり、チャージ時間に応じて攻撃回数が増えるのはもちろんの事、機体のパワーアップ状態によりチャージの上限が変化する。
また、チャージショットにより敵を連続撃破すると敵の得点に倍率がかかるため、稼ぐためには必須の攻撃となる。撃破数と倍率の上がり方、チャージ速度は機体ごとに異なる。
チャージショットブレイク
チャージショット発射時にブレイクボタンを押す事により、威力や特性の異なるチャージショットブレイクに移行する。チャージショットと違い、ブレイクで撃破した敵は何体であろうと機体ごとの一定の倍率が得点にかかる。こちらも敵機撃破で稼ぐために必須のテクニックとなる。
ブレイクから一定時間の間はチャージショットが使用不可能な硬直と呼ばれる時間が存在し、機体ごとに硬直時間は異なる。ただし、アイテムを取得する事でその時間をキャンセルする事が可能。
ステージ構成
- STAGE1:THE DESERT OF GRAND SHELL
- STAGE2:THE ROUTE OF NEMESIS
- STAGE3:THE DEMON'S RING
- STAGE4:THE HOLLOW STREET
- STAGE5:THE GUARDIAN'S CRIFF
- STAGE6:THE WICKED MAZE
- STAGE7:THE CROOKED EMBRYO
キャラクター&機体
一部ゲーム本編に未収録のストーリーや設定の情報を含む。
- キャスター・ブラッドウッド:ヘルハウンド
地下24階層に掘り下げられたスラム街に住む青年。
本名はキャスター・マイルドだが、そう呼ばれる事を嫌う。他人の記憶や能力を接触する事により取り込む異能力を持ち、力を求め生体兵器へと自ら進んで改造されるが、支配される事を嫌い反旗を翻す。
機体はある程度広角なショットとホーミング弾のノーマルショットと高威力版のラピッドショット。チャージショットも癖が無く威力が高いため、敵の撃破に向いた機体と言える。
反面、ホーミング弾が撃ちたくない敵に当たってしまう事もあり、稼ぐには難しい場面のある機体である。
- チャオ・リーファ:ウインディナ
生体兵器を生み出す工場を造り出してしまった、レムリアで最大の複合企業チャオコーポレーション会長の一人娘。改造された後の姿は人魚であり、機体のコクピットも水槽になっている。
性格に関しては、好奇心旺盛、楽天家のようだが、実は現実主義者かつ完璧主義者とされている。生体兵器として改造されるため、囚われた時に精神年齢が低いと暗に言われるが、逃げるために取引を持ちかけるなど、したたかな面もある。改造される時点での怒りの感情が強すぎたためか、ゲーム開始時点では自我を取り戻したと言うよりも破壊衝動のままに見える敵を殲滅している。
機体性能は、広範囲のショットと他の機体に比べて連射速度が低めなラピッドショットにより、地形に遮られなければ雑魚敵は画面の左側に居ればほぼ出現と同時に撃破できるとさえ言われる。反面、移動速度が低く、地形や破壊不可能な敵を避ける必要の高い後半のステージではパターンを覚える事が必要となる。
また、敵に当たると炸裂し一定時間攻撃判定を発生させるチャージショットと、ホーミングするブレイクのおかげでショットが上手く当たらない敵への対処も可能である。
初心者向け機体とされているが、永久パターンを除けば一番得点の稼げる機体とされている。
漢字での名前表記は周麗花。趣味にネオプリという記載がある。
- J・B:アリュスティルム
フルネームは「ジャン・ビスマルク」。レムリア宇宙軍に所属し、階級は極東支部大尉。詳しい経緯は不明だが軍人であった事から、生体兵器へ改造されてしまった様子。妻と子供が居る。
保守的な性格でありながら意外と気が利く所があり、わざとおどけて周囲を和ませるような一面もある。
自機選択画面では稼ぎ向けと紹介されているが、癖が強くクリアーが最も難しいと言われる。ショットは前面へ直進するショットで攻撃範囲は狭く、ラピッドショットとなっても攻撃範囲はあまり変わらず、せいぜい敵を貫通できるようになる程度。しかも攻撃力が低下するため、他の機体以上に撃ち分けを意識する必要がある。チャージショットは機体前方にエネルギーの塊を発生させるソード、チャージショットでの得点倍率は厳密には1つの攻撃判定で何機敵を倒したかという事なので、雑魚敵に倍率をかけやすいが、接近しなければならないため扱いは難しい。
ブレイクでは機体前方に発生させたエネルギーを機体全体に包み込むように変化させる。通常弾のみ相殺できるようになるが、固い敵やレーザー等は貫通してしまうため万能では無く、チャージショットのソードよりも射程が更に短くなるので、有効に扱うのは非常に難しい。
- 創世御名麻雪:ペプロス
名前の読みは「きずよみな・あさゆき」名字は創世、御名は尊称。
武力の一切の放棄と自然との共存を謳う天美原御所守の階位第2位の家に生まれる。
地球で言う神道のようなものであり、また発言力もあるため、疎ましく思った軍部が発言できないよう人質とするために誘拐し、最終的に生体兵器へ改造される。性格はおっとりとしていて、また自覚のない悲観主義者という設定である。
ゲーム本編中の機械の羽を持つ姿はもとより、巫女服で描かれる事も多いキャラクターである。
機体の特性は一切のパワーアップ無し、ショット・チャージショット共に攻撃力が少ない、という非常にクセの強い上級者向けの機体となっている。しかし、逆に言えばミス時のパワーダウンも無いため、ミスによる難易度やパターンの変化に左右されない機体とも言える。
また、他の機体よりも高速な連射を必要とするがラピッドショットのみ、ボスですら簡単に撃破する高威力を持っており、的確に連射をする事が出来るようになれば機動力と相まって扱いやすい機体となる。
余談だが、処理落ちが発生する場面ではゲーム機に備え付けられている連射機能では入力を取りこぼし、ラピッドショットに移行しない事が多々ある。そのため、一部のゲームセンターでは2種類の速度の違う連射ボタンを備え付けている場合がある。
また、機体の移動速度が最も速いため、これによる永久パターンが発覚している。
- 山崎直美:DINO135
地球連合宇宙軍 対地球外知的生命体防衛隊 第一次攻撃隊所属中尉。
前作『パルスター』では設定でのみ存在していた、プレイヤーキャラクター・山崎薫の姉。エクスターミネートクイーン、根絶の女王とあだ名されるパイロットである。楽観的で面倒見が良いがその一方で小言が多く、自分に自信の無い性格。一度自己嫌悪に陥ると一週間は落ち込むような面もある。ゲーム本編以前の宇宙怪獣との戦闘で行方不明となるが、今作では『ブレイジングスター』の世界へ飛ばされていたという設定になっている。隠しキャラであり、使用条件はタイムリリースである。
機体は前作パルスターの自機・DINO246と同系列の旧世代機体という設定で、機体前面を防御するボイジャーが存在しない。しかし、パワーアップにより機体の上下に付くイオというオプションが通常弾を相殺可能で、自機の移動方向とは逆側にショットを打つ事も可能。
チャージショットもブレイクすると拡散弾が貫通するようになり、ブレイクの距離とタイミングで一点集中、全体攻撃と使い分ける事が可能。テクニックを要求される技巧派の機体だが、使いこなせればどんな場面でもオールラウンドに対応できる機体でもある。
- 山崎薫:DINO246
地球連合宇宙軍 対地球外知的生命体防衛隊 第二次攻撃隊所属少尉。
前作『パルスター』のオープニングやエンディングに登場するプレイヤーキャラクター。
今作では姉の直美と同じく、タイムリリースで使用可能になる。『パルスター』での戦闘後、別の作戦中に『ブレイジングスター』の世界へ飛ばされ、今回の戦いへ巻き込まれる事となる。姉との関係は良く、尊敬して慕っているが、優秀な姉に少なからず劣等感も抱いている様子。
前作ではアイテムを取得する事で武装やオプションの形状が変化したが、今作はパワーアップのみで、武装の切り替えとボムは存在しない。機体は直美のDINO135と同じく上下にイオが装備され、更に前面には通常弾を消せる無敵のオプション・ボイジャーが装備されるため、前面からの通常弾をほぼ無効化できる特性を持つ防御型の機体。レーザー等の消せない攻撃を覚え、機体速度の遅さをパターンを覚える事で補えばクリアーが最も簡単な機体であると思われる。
前作では溜撃ちの威力が高く、溜撃ちをいかに連射できるかで難易度が変わるほどだったが、
今作ではそこまでの威力ではなくなっている。
その他キャラクター
- 創世亜麻雪
名前の読みは「きずよ・あまゆき」
麻雪の妹で11才。麻雪のエンディングに登場する予定であったが、キャラクター個別のストーリーが収録されなかったためゲーム本編では姿を居る事が出来ない。公式にて性格に関する記述は無いが、エンディングで麻雪に会えて泣きじゃくる姿から、年相応の女の子らしい性格と思われる。
二次設定でも元気な方向かおとなしい方向か等の多少の違いはあれど、概ね同じように描かれる。ただし、ゲームに出られなかった事をネタにする時は黒い性格に描かれる場合もある。
画像1枚の静止画のみの登場予定だったが、外見や服装についての詳細な設定が存在しており、ミニスカートにアレンジした巫女服のような衣装を着用している。また、二次設定にて腋巫女のタイプのものも存在する。
- リリアス
J・Bの娘。
リリアスとJ・Bに呼ばれているが、フルネームは不明。エンディング用に描かれた小さいイラストでバストアップしか確認出来ないため、基本的に服装は描き手の想像に任せられる。
緑を基調にしたハーフパンツ姿で描かれる事が比較的多い。母親の髪は黒髪だが、父と同じく銀髪でショートカットである。
- フラン
J・Bの妻。
こちらもリリアスと同じくフルネームは不明。バストアップのため大まかな顔の雰囲気のみしか公式設定では存在しない。
- ブラウシュラ
兵器工場のコアである自立思考する兵器。
各プレイヤー達が最終的に倒すべき敵である。チャオコーポレーションが造り、軍が利用しようとしていた事は窺えるが、人間を兵器に改造しようとした事が元からそのように造られていたのか、暴走によるものなのかは不明。
外見は機械と胎児が融合したような形で、リーファのストーリーではグロテスクと形容されている。普段はマザー・エラメフル・ラ・オーフニスという不気味な培養槽のような物の中に浮いている。
また、ストーリーの項でレムリアとムトラスに同時期に悪魔の兵器が誕生したと記載されているため、ブラウシュラ以外にもムトラスに同じような兵器が存在すると読める。
非公式の発言だが、『ブレイジングスター』の続編案としてムトラスを舞台にしたアクションゲームの案があったという。
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