概要
Personal advocate:
我々はもう一度考え直すべきです。皆さんにも分かっている筈だ──
トレジャーより1998年に発表された縦スクロールシューティングゲーム。
同色の敵を続けて倒すことでボーナス得点が得られる「チェインボーナス」と点数による武装成長要素により、緻密な研究と計算による「パターン化」を徹底させられる戦略性の高いゲーム性から「シューティングパズル」とすら揶揄される。そのゲーム性すら巻き込んだメッセージ性の強い作風と美麗なグラフィックから傑作と名高く、根強いファンが多い。
OPのストーリーデモは(キャラデザとかいろいろチープだが)非常に凝ったアニメーション風になっている他、そのストーリーモードにおける各キャラクターのcvも渡部猛、堀内賢雄、神奈延年、川上とも子、秋元羊介らとこれまた豪華だったりする。
BGMは『伝説のオウガバトル』、『ファイナルファンタジー12』、『戦場のヴァルキュリア』を担当した崎元仁。
ストーリー
西暦2520年の地球。
紀元前の地層から黄金の正八面体型の石状物体が発掘された。しかも同じ地層からは現代製であるはずのロボノイドの残骸も発見され、地球連邦の研究機関はそれらの解析を試みるが、「物体」の方は構成する材質も有する性質も何一つ解き明かすことはできなかった。
もう一方のロボノイドは難なく内部に残っていた記憶データの復元に成功したものの、その直後に「物体」が活性化。それと同時に正体不明の敵性勢力が出現し、さらに「物体」から放たれた凄まじいエネルギーを伴う閃光が地球全体に覆い尽くして人類は一人残らず消滅、地球の文明は完全に滅亡してしまう。
その中で連邦軍の新型機動兵器「シルバーガン」の運用試験を行っていた宇宙艦「TETRA」の乗組員数名は辛うじて生き延びていたが、1年後には艦の物資もエネルギーも尽きかけ、彼らはやむなくいまだ危険な地球への降下を決断するのだった。
システム
Personal advocate:
──この世に生まれし第十一の息子よ。銀の銃をもって人々の魂を撃ち抜くのだ──
プレイヤーは、3つのボタンによる3種類の基本武装、そしてそれらボタンの押し分けで発動する5種類、合計8種類の武装を状況に応じて使い分け、ステージを進攻して行く。アイテムによるパワーアップは無いが、スコアを稼ぐことで武装は徐々にパワーアップして行く。
本作では敵機はボス以外のすべてが赤、青、黄色のいずれかの色に分けられている。これを撃破する際、同じ色の敵機を続けて撃破することでチェインボーナスとなり、3機毎に撃破した敵の素点とチェインボーナスを得た回数に応じてボーナス点が得られる(最高100000点)。途中で違う色の敵機を撃破してしまうと、チェインボーナスはその時点で途切れ、新たにその色についてカウントが始まる(後述するXbox360版のIKARUGAスタイルでは若干変更されている)。
純粋な敵機撃破によって得られるスコアは僅かであるため、このチェインボーナスを如何に取得し続けるか、が本作のスコアリングの基本となる。場合によっては敵機を敢えて撃破せず、やり過ごすための手腕も必要とされる。チェインボーナスに加え、武器使用によるパワーアップでのボーナスやカスリによる加点、ボス部位破壊によるボーナス、隠しキャラである犬のメリーを弾を当てることで出現させるボーナス(5000万点のメリーは360版では存在しない)も存在している。
スコアリングのみならず、特に後半のステージでは武装がパワーアップしていることが前提となった構成になっているため、チェインボーナスの仕様も合わせ、ゲーム攻略のためにはステージを緻密に研究・計算し、完璧に「パターン化」したプレイを行うことが強く要求される。これは一見するとゲームのプレイアビリティを著しく落とす要素であるように見えるが、かつてのシューティングゲームはプレイを重ねてステージを研究し、攻略のためのパターンを構築することが要求されていた。本作はこの「古き良き時代のゲーム性」を追及することを徹底している。事実、続編である「斑鳩」にも言えることであるが、本作のすべての挙動からランダム性が排除されている(ホーミング等も、同じ状況で発射すれば必ず同じ相手に着弾する)。パターン化を行わずアドリブでプレイすると極端なほど難易度が上昇するようになっているが、「ここでこの敵を撃破し、この敵をこっちに動いていなし…」と自分なりの解決法を見つけていくことで確実に前進することが出来る。この独特の「学習感と達成感」は、本作の大きな特徴と言える。
余談だが、コイツを筆頭とする一部のボスのデザインには他のSTGやTV番組のパロディおよびオマージュが組み込まれていたりする。
背景
Wishful thinking:
…世の中は移り変わって行く。しかし、変わらない物が一つだけあるのだ──
AC版稼働から約2ヶ月後にセガサターンへ移植(プレイステーション版はSCEAに却下され、開発は頓挫)。80年代アニメを思わせるアニメーションムービーシーンが挿入され、ストーリーモードが新設された(アニメーションパートの制作はGONZOによるもの)。発売そのものがセガサターンの末期であるため出荷数がきわめて少なく、本作はほとんどの場合極端なほどのプレミア価格で取引されている。にもかかわらず、多くのシューターが一度は手にすることを夢見ていた。
このセガサターン版における最大の特徴は、ラストバトルで追加された音声による演出である。アーケード版にもあった「一切の攻撃を封じられ、相手が自爆するまで攻撃に耐え続ける」というシーンにおいて、セガサターン版ではその背景に多くの人々の台詞(ボイス)が挿入されている。一見すると世界の有り様と人の業についての破滅的な物語を紡いでいるように聞こえるこの台詞群は、実は当時のゲーム業界に対する痛烈なメッセージを秘めていたことが後に明かされている。
「ゲームがゲームらしかった頃のクローンを作る。」
それは、本作に籠められた切なる想い。
ゲームらしさに背を向けようとしていた、当時のゲーム業界に上げられた悲鳴であった。
Placebo:
──希望を持ちましょう。そして、いつの日か必ず…
このように、本作は多分に思想的、かつ複雑な背景を持つため、リメイクや移植については「現代にそのまま出しても受け入れられるとは思えない」と、トレジャーとしては否定的な立場が取られ続けていた。特殊な構成であるセガサターンから現代の機種への移植は困難を極めるため、純粋に移植ではなく完全につくり直す必要すら発生する、という事情がそれに追い打ちをかけていた。結果、本作についてはプレミア化したセガサターン版(とサターン互換基板であるST-V用カートリッジ)のみが市場に出回り続け、半ば伝説化した状態が長く続いていた。実際、セガサターン版は数万円で取引された時代もあり、同じサターンプレミアソフトである『心霊呪殺師太郎丸』と並んで、サターンソフトコンプリートの壁となった時期もある。
そんな中、2010年上半期、マイクロソフトがトレジャーに移植の打診を行っていたことが明らかにされる。上記のような事情があるためすぐにOKとはならなかったが、ついにはTGS2010のマイクロソフト基調講演にて移植が実現したことが発表された。
そこから約1年後の2011年9月14日。シルバーガンは再び飛び立つこととなる。
さらに時は流れ2017年6月28日、XBOXoneにてシルバーガンともう一つの名作と共に下位互換がされることになった。
…そしてさらに時は流れ、2022年9月13日に配信されたニンテンドーダイレクトで唐突にSwitch版のDL配信を開始することを発表(実際の配信はニンテンドーダイレクト終了直後の9月14日から開始)。ニンテンドースイッチにてさらなる伝説の復活を遂げる事となる。
なお、斑鳩のルールでプレイできるモードもXbox版同様に追加されている。これにより、ソフト以外の媒体でプレイできる環境は増えつつあるようだ。
更に2023年11月3日にはWindows版がSteamで配信開始。Windows版の特徴はAC版やSS版のアスペクト比でプレイできる「CLASSICモード」が追加実装されている(Switch/XBLA版仕様は「MODERNモード」として実装されている)。
その後、パッケージ版としての通常版と限定版に当たるコレクターズボックスも2024年6月にリリースされた。ある意味でもセガサターン屈指のプレミアソフトは、予想外の形で様々なプレイヤーに触れられる機会を得ることができたのだ。限定版が転売ヤーの手に渡らないことを、祈りたい。
Presence of the ”GAME”:
──わたしのこと、愛してる?
関連動画
Xbox360版ストーリーモードプレイ動画
外部リンク
「レイディアントシルバーガン」の検索結果 - Yahoo!検索(動画)
関連タグ
心霊呪殺師太郎丸:上述でも言及したセガサターンのソフトコンプリートの双璧となっている作品。こちらはいまだにゲームアーカイブスなどでもリリースされていないため、現物のソフトで遊ぶしか手段がないのだが、その額は2023年現在で数百万のソフトが目撃されている位にプレミア化してしまった。