神人豪鬼とは、『CAPCOM vs SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』に登場した豪鬼の派生系の一つである。読み方が同じで別の形態もある。読み方は同じだがこれは全く関係ない。
概説
初出は先の『CVS2』。
ゴッド・ルガールと双璧を成す、当作の隠しボスの一人として登場する。
豪鬼「……ヌッ!? ……ヌ……グ……ゥ……」
ルガール「フッ……流石は殺意の波動……私が求めていた……力だけの事はある。当初の計画とはズレたが……、貴様に……この………暗……こ……ロ……チ……」
プレイヤーがトーナメントを勝ち進んでいく間、豪鬼が大阪城の天守閣上ででルガール・バーンシュタインとの「死合い」を制したものの、敗北を悟ったルガールが今際の際にせめて『暗黒パワー(オロチの力)と殺意の波動の融合』という計画だけは自分の身でではなくとも達成してやろうと逆に暗黒パワーを豪鬼の方に注入、「殺意の波動」と「暗黒パワー」のせめぎ合いによって変貌した姿。
自らの意思で二つの力を取り込み融合させたゴッド・ルガールとは異なり、更には人類の破滅を願うオロチの力に引っ張られるせいか、普段以上に加減が効いておらず、暴走気味で荒々しく昂ぶっている。勝利メッセージでしゃべる言葉も四字熟語めいた造語であり、本来の豪鬼の意識すらあるのかも怪しい状態である。
「神人」は正しくは、「神」の下に「人」を無理矢理ねじ込んだような外字(創作漢字)であり、Unicodeでは「⿱神人」と表記することで説明できる。便宜上として「神人豪鬼」もしく「神豪鬼」と表記される。
真豪鬼のように、肌は赤銅のように赤み掛かり、さらに髪は白髪化している。
登場時には、CPU専用の演出で背中に向かって暗黒パワーが宿るパターンがある。
また「瞬獄殺」でトドメを刺すと、背景に「天」ではなく先の「神人」の外字が金色で表記される。道着の背面に浮かぶ文字も、同様に「天」から「神人」になっている。
基本は豪鬼と同様だが、「百鬼襲」並びに派生技は丸々使えなくなっている。
主な強化点は「豪波動拳」や「斬空波動拳」を始めとする飛び道具類の弾が巨大化。斬空波動拳が2発発射される点など。
特に斬空波動拳の隙のなさ・有利フレームが凄まじい事になっており空間制圧能力は圧巻。当たり判定の大きいキャラクターは、空中から波動拳を連射する「斬空波動拳」を連発されるだけで封殺される危険に見舞われるほど。
また「天魔朱裂刀」という当て身の必殺技が追加されているものの、性能が地味であまり話題にはならない。
専用スーパーコンボ「禊」は、一瞬で相手の頭上から垂直に降って手刀を浴びせる。ガードは可能で隙も大きいが発生は早く、決まれば瞬獄殺よりも威力が高い。
CPUが使用した場合には攻撃が非常に重く、スーパーコンボ一発で体力ゲージの大半を持っていかれるほどの高火力を有する。どれだけ追い詰めようと、油断した隙に「瞬獄殺」や「禊」をぶち込まれようものなら、その瞬間に敗北を喫してしまう危険さえある。
プレイヤーキャラとしても使用できるが、その際には火力は並程度に収まる。そして体力をほぼ半分に減らされて神ならぬ紙っぺらとなってしまうため、ちょっと威力の高いコンボを貰うだけであっという間に敗北の危機に瀕してしまう。
ただ、技の性能自体はそのままなので、上手く立ち回って攻め続けることを要求されるハイリスクハイリターンな仕上がりとなっている。
尚、斬空波動拳も威力以外の性能はそのままなので昇り前ジャンプ中Pキャンセル斬空波動拳で通常サイズのキャラへも永久コンボが成立する(CVS2)。
「禊」を初披露した形態であり、そのインパクトからクロスオーバー作品では神人豪鬼でなくとも、禊を繰り出す作品が散見されるようになった。
後に『カプコンファイティングジャム』でも、隠しボスとして登場。
自身の専用エンディングでは、地球が容易に壊滅する超巨大隕石を「大赤焉」という技で粉砕するというとんでもないポテンシャルを見せつけた。
しかも地上から宇宙へ一直線に跳び上がり、一瞬にして大気圏を突破して破壊しているのだから、本気で人外の領域に突入している。
ちなみに――
何を隠そう、この神人豪鬼のミッドナイトブリスされた姿がメイド豪鬼だったりする。
余談
同じように「殺意の波動」と「暗黒パワー(オロチの力)」の双方を併せ持つキャラとしては「ゴッド・ルガール」がいるのだが、彼はその天才的な格闘センスもあって瞬獄殺や阿修羅閃空といった豪鬼が使っていた技も使用しているものの、神人豪鬼は正直「殺意の波動」しか持っていない筈の真豪鬼が使っていた技と大して変わっていない(※)。
さらには『カプコンファイティングジャム』においては名義こそ神人豪鬼であるが、こちらはSNKのキャラクターが一切登場しない作品なので、設定上この神人豪鬼はSNKとは一切関係しない筈である。
神人豪鬼が使用してそれまで真豪鬼が使用していなかった技には「禊」があるのだが、これも登場時演出として『CVS』の豪鬼が使用していたり、後の作品でも真豪鬼や豪鬼が普通に使用しているため、「禊」は別に神人豪鬼専用の技というわけではない。
故に豪鬼にとっての暗黒パワーはただ「殺意の波動を暴走させるためだけ」しか作用していないことになっており、そういう意味ではルガールの目論んでいた『暗黒パワーと殺意の波動の融合』は失敗に終わっていると言えるだろう。
※:一応「天魔朱裂刀」という神人豪鬼だけの当身技が存在するのだが、やはり同じ神人豪鬼名義で登場した『カプコンファイティングジャム』でも使用するし、この技が関係すると思われる通常投げ技として『ストリートファイターIV』シリーズの豪鬼が使う「朱裂刀」があるなど、暗黒パワーが関係する技とは言い難い。
そして、ナンバリングタイトルである『ストリートファイターⅤ』にて、豪鬼の瞬獄殺の表記がこれまでの"天"ではなく、"神人"になっていたことから暗黒パワーを得ずともその域には自ら達することが出来たことを証明した。
完全な余談になるが、神人豪鬼の出身作である通称「カプエス」シリーズでは、各キャラの立ち絵がカプコンサイドの西村キヌ氏、SNKサイドでは森気楼氏による二種類があり、「C・A・ P」グルーブ選択時は西村キヌ氏、「S・N・K」グルーブ選択時は森気楼氏の立ち絵イラストが表示される。で、本作の神人豪鬼の「S・N・K」グルーブ選択時の立ち絵は……
満面の笑みである。(※上記の画像はイメージです)
この普段の豪鬼はまず見せないであろう笑顔に、一部のプレイヤーの腹筋に「禊」を叩き込まれたとかなんとか。
関連タグ
ゴッド・ルガール …… ルガール・バーンシュタインが豪鬼との「死合い」を制した場合の形態。
狂オシキ鬼 …… 後年に登場した豪鬼の暴走形態。ネタ元として参照されたのか、類似点が多い。