概要
テングタケ(Amanita pantherina)とは、猛毒のものが多いテングタケ科のきのこの一種。
よく知られた毒キノコであり、有名な同種のベニテングタケより毒性が強いが、灰褐色系の地味な色である。
白いイボが斑点のように見えるためヒョウタケ(豹茸)、蝿を殺すのに使用できるのでハエトリタケ(蠅取茸)の異名を持つ。
なおこの種の特徴である白いイボが出来ない、もしくは少ない形質のものは単なる茶色っぽいキノコにしか見えないため、毒キノコとしての知名度のわりに中毒事例が多く知られている。
毒成分はベニテングタケと同じくうまみ成分でもあるイボテン酸と、汗や唾液などの分泌異常を起こすムスカリンである。
食べた場合は同様の症状が現われるが、上記のように含有量が多いために、少量でもさらに重篤な状態に陥るので、興味本位で手を出してはいけない。
余談
リスがこの種の毒キノコを食べるという報告が海外の文献にあったが、日本のアマチュア写真家五味孝一氏が写真撮影に成功し、2021年に神戸大学大学院理学研究科の末次健司准教授によって「有毒なキノコを消費するリス」という考察論文が発表された。
五味氏によるとニホンリスには中毒症状は起きず、何度も食べに訪れる様子が見られたのだという。
そのことからリスはこの種の毒に耐性を持っており、食べることで付着した胞子を散布するという共生関係が考察されている。
創作での扱い
※ベニテングタケ含む。
続編である子世代の『K2』において、キャンプに訪れた医大生たちが、亀を飼っている他のキャンパーからもらった食事で食中毒をおこし、当初は亀由来のサルモネラ菌であるとおもわれていたが、実はこの茸が原因だった。
なお離れた場所にいたキャンパー達が興奮状態になり、泥酔したように馬鹿騒ぎをしているという伏線はあった。
作者である桜玉吉のアシスタント「ちょりそのぶ」は、作中戯画化され頭頂部にベニテングタケが生えている。これは高い技能を持つが素っ頓狂な言動が多いことからのキャラ付けである。ある回ではオリマが誤って食べてしまいサイケデリックにトリップしてしまった。
表記は「テングダケ」。
アニメで有名な押井守監修の、倒した敵を食材や防具の素材として旅をするRPGで、序盤の草原地帯から出現する、名前の通りの天狗の面のようなキノコモンスターとして登場。
上記の漫画家・桜玉吉がデザインした。
雑魚であるのだが群れで出現し、倒しても食用に適さず売値が安い(食べると毒設定はシステム的にストレスになると採用されなかった)所謂ハズレ枠である。
ベニテングタケを混入させた赤い菓子を食べさせられ催眠状態になったものを、呪術のような共感能力で操り支配する犯罪者「レッドパラソル」が登場。
史実でもヴァイキングが戦闘前に食べて戦意高揚したと伝わるため、「狂戦士のキノコ」として登場した。
原因不明の感染症が広がりライフラインが崩壊した世界で、野食に詳しく実践している木野耕一に確認してもらったタマゴタケの近くにベニテングタケが生えていた。最初は毒抜きしたものを試食していたが、うま味成分に興味を持った都田エリと井藤のぞみが...
上記のようにこの種のキノコをリスが食べるという報告を元に、周囲からの制止を振り切った主人公バナーが薬物中毒になってしまうというエピソードがあった。