概要
「プラネテス」の作者・幸村誠が連載している作品。2005年に講談社の週刊少年マガジンで連載を開始したが、週刊のペースに追いつけなくなり、同じ講談社の月刊誌アフタヌーンに移籍、現在もアフタヌーンにて連載中。
北欧の船乗りに伝えられた伝説「グリーンランド人のサガ」と「赤毛のエイリークのサガ」(英語圏ではこの2編を総称して「ヴィンランド・サガ」と呼ぶ)に取材した作品。
中世ヨーロッパの世に言う”暗黒時代”を舞台に、欧州で暴れまわったヴァイキングと呼ばれる者達にスポットを当てている。
なお、時代考証は緻密ながらもこの作品はあくまで「史実と伝説を織り交ぜたフィクション」である。幸村による創作キャラクターも多く登場するほか、ストーリーの流れは史実ではなく伝説(前述のヴィンランド・サガ)を踏襲した部分も多い。
このため、元ネタと同名のキャラクターも何名か登場している。
ストーリー
11世紀初めの中世ヨーロッパ。略奪と侵略を繰り返す”ヴァイキング”と呼ばれる者達が各地を荒らし回り、ヨーロッパを恐怖に陥れていた。
そんなヴァイキングの兵団の一つ、アシェラッド兵団に一人の若者がいた。彼の名はトルフィン。彼は父親の仇であるアシェラッドを決闘にて殺す機会を虎視眈々と狙っていた。
やがてイングランド侵攻と、それにまつわる王位継承の争いに巻き込まれていく彼らには予想だにしない事態が待ち受けていた・・・・。
これは、一人のヴァイキングが『真の戦士』へと至る物語である。
登場キャラクター
主要人物
物語の主人公。
ヴァイキング傭兵集団・『アシェラッド兵団』の首領。
デーン人(ヴァイキングのこと)の王国・デンマーク国の王子。
トルフィンの旅の仲間
幸運者レイフ
CV:上田燿司
北海を股にかける船乗り。
トールズの親友であり、彼亡き後は行方不明になったトルフィンをずっと探し続けていた。責任感のある大人だがどこか子供っぽさがあり、年を気にせず冒険にひた走る所がある。奴隷となって働いていたトルフィンと紆余曲折を経て再会し、彼の夢に協力することとなった。
モチーフは「赤毛のエイリーク」の息子で、最初にアメリカ大陸に到達したヨーロッパ人レイフ・エリクソン。漫画では老齢だが、史実ではソルフィンと同年代の人物と言われる。
CV:武内駿輔
トルフィンが奴隷に身を落としてからできた初めての親友。
トルフィンが働いている農場にやってきた奴隷の一人で、自由身分を買い戻すことに心血を注いでいる。生きる目標を失い茫然自失の状態で生きていたトルフィンに人生の目標を見いだすきっかけを与えた人物である。
アニメオリジナルでは、奴隷以前の彼の過去が明かされている。
レイフの弟の未亡人。レイフにとっては義妹にあたり、ハーフダンによってシグルドと政略結婚することになった。性格は自由奔放で冒険に憧れており、たびたび家を飛び出そうとする問題児であった。女子力が皆無に等しい残念な美人である。
旅の道中、トルフィンの言動等に赤くなるなど、好意を持つ描写が描かれ、後にトルフィンと結婚する。
ギョロ目
CV:橘龍丸
名前と年齢が似ていたためにトルフィンと間違われてレイフに買われた元奴隷。勘違いとはいえ自分を自由身分にしてくれたレイフに感謝し、彼の養子となった。良くも悪くも普通の人であり、俗物根性丸出しのコメディリリーフである。
トルフィン一行がノルウェーで出会った女猟師。
かつてアシェラッド軍団に村を襲撃され、父をトルフィンに殺された過去を持ち、偶然再会したトルフィンを仇と狙う。
カルリ
フェロー諸島の焼き討ちされた村で唯一の生き残りである赤ん坊。
親戚が報復を恐れ引き取りを拒否したため、里親を探すためトルフィンの旅に同行する。後に夫婦となったトルフィンとグズリーズの養子となる。
カルリのママ
カルリの村の犬。火傷により所々の毛がはげている。
自分をカルリの保護者と考えており、カルリを立派な犬に育てることを目指す。
トルフィンたちは群れの下っ端だと考えている。
アイスランド
CV:松田健一郎
ユルヴァとトルフィンの父親。
「戦鬼(トロル)」と恐れられたヨーム戦士団の戦士。
CV:生天目仁美
トルフィンの姉。
父親譲りの体格と母親譲りの美貌の持ち主で、とかくパワフルに生活している女傑である。トールズ死後に結婚し4人の子持ちとなり、トルフィンが帰ってくるまで家を守り抜いた。
ヘルガ
CV:高梁碧
トルフィンとユルヴァの母。ヨーム戦士団首領シグヴァルディの娘で、当時活躍目覚ましかったトールズと結婚した。のちにユルヴァの出産とヘルガの意志が冷酷な戦士に過ぎなかったトールズを変貌させることになった。華奢で病弱ながら気丈な女性であり、因業を抱えたトールズを支え続けた。
ハーフダン
CV:下山吉光
トルフィンたちが暮らしているグリーンランドの隣村の長。
冷酷な性格で戒律を何よりも重んじる姿勢と鎖を武器にしている様から”鉄鎖のハーフダン”と恐れられている。
狡猾なやり方で自営農民から土地を取り上げる一方で、ちゃんと取り込んだ農民は食わせているなど、領主の性格も持っている。男というものを軽蔑しており、男のプライドを踏みにじることを楽しみとしているサディスティックな偏屈者。
シグルド
ハーフダンの息子。親父と同じく鎖を使った武芸に長けている強者。
次期後継者であることから必要以上にはりきる所があり、若干短慮なところがある。強面だが性格は父親と違って律儀で優しく誠実な男であり、友達からは「シグやん」と呼ばれ親しまれている。
アーレ
CV:市来光弘
トルフィンの村の若者。ヨーム戦士団の要請を受けたトールズと一緒に遠征に出るも、アシェラッドの襲撃を受けてトールズを失った。後にユルヴァと結婚し家庭を築いた。
ハルヴァル/コーデリア
ハーフダンの奴隷。
とある高名な戦士の血を引く筋骨隆々とした巨漢。しかし戦から遠ざけるため母から女性として育てられたため心は女。
体が育った上に父が婿を連れてきた事でこれ以上性別を偽るのは不可能と考え逃亡するも、船が嵐に遭い沈没。紆余曲折の末ハーフダンに買われた。
男性の使用人と同じ部屋で寝ることに耐えられず、自分が「コーデリア」として生きられる場所を求めてヴィンランドへの移民を決意する。
アシェラッド兵団
CV:安元洋貴
アシェラッドの副官。
トルグリム
CV:後藤ヒロキ
兵団の幹部。弟アトリとのコンビプレイを得意とする。
アシェラッドのツキが無くなったと思って反乱を扇動、クヌートを手土産に寝返ろうと画策する。
しかし、戦いを好むトルケルには受け入れられず仲間諸共殲滅されかけてしまい、彼と対峙した恐怖から精神が崩壊し幼児退行を起こす。
アトリ
CV:高橋伸也
トルグリムの弟。
反乱を起こした事やビョルンに致命傷を与えた事を気に病むなど「ヴァイキングらしからぬ真人間」。
兄を連れて故郷に帰るも、堅気暮らしに馴染めず身を持ち崩して盗人に成り果ててしまった。
「耳」
CV:古川慎
索敵や警戒を担当。
数マイル先の狼の遠吠えを聴くなど通り名に相応しい聴力を持つ。
トルケル軍との戦いで死亡。斬り落とされた首は、的に使われる。
デンマーク王国
スヴェン王
CV:菅生隆之
クヌートの父親。人生に疲れ切ったかのようなくたびれた風貌をしている。
王位継承問題を避けるため、二人の息子の内、貧弱なクヌートをイングランドに送り戦死させようと企む。
クヌートの腹心となったアシェラッドのウェールズへの執着を見抜き、宴の席でウェールズ再興と引き換えにクヌートを見捨てさせようと試みるが、不用意な発言が彼の逆鱗に触れ首を刎ねられた。
死後もクヌートの前にたびたび現れる。
CV:大塚明夫
クヌートの部下にして本作中最上位の将軍。「のっぽのトルケル」の異名を持つ。
アスゲート
CV:竹内良太
トルケル軍の副官。
戦バカで暴走しがちなトルケルの歯止め役。
ラグナル
cv:浦山迅
クヌートの幼少からの忠臣。
クヌートの「王としての成長を促す」ためにアシェラッドに謀殺される。
瓜二つの弟グンナル(CV:最上嗣生)がいる。
ヴィリバルド
cv:日野聡
クヌートの教育係。キリスト教における「愛」とは何かを追求している修道士。
顔のほとんどがヒゲに覆われた風貌から老けて見えるが、年齢は23歳(ブリテン編当時)でありヒゲを剃ると年相応の外見となる。
アルコール依存症で常に酒を飲んでいるがほとんど酔わない酒豪。エギル神(北欧神話の海と酒の神)の生まれ変わりと称された。
ハラルド
CV:佐藤拓也
クヌートの兄でデンマーク第一王子。
スヴェンの死後王位を継いだが、デンマーク王位を狙うクヌートに毒を盛られ死亡。
CV:間宮康弘
クヌートの従士長。名うての勇士だが戦略や政治にも通じており、クヌートの北海統一事業を支えている。クヌートの妹エストリズに気がある模様。
エストリズ
CV:赤﨑千夏
クヌートの妹。性格は穏和で心優しく、王道を歩むために無理をしているクヌートを心配している。
ケティルの農場
ケティル
CV:手塚秀彰
トルフィンとエイナルを買って働かせている農場主。
性格はやさしく懐が広いが、同時に臆病で自分を偽る癖(後述)があり、愛人のアルネイズに執着するなど俗物の域を抜けられない人物でもある。
クヌートによる富農接収のターゲットに選ばれてしまい、人生の岐路に立たされると…。
アニメオリジナルでは、20年以上前の彼の過去も一部明かされる。
アルネイズ
CV:佐古真弓
ケティルの愛人である女奴隷。美貌と優しさを兼ね備えた女性。
逃亡奴隷となった夫ガルザル(CV:増元拓也)と再会し逃走を図るが失敗しガルザルは死亡。
その事が農地接収で精神を病んでいたケティルの怒りを買い暴行を受ける。
農場とデンマーク軍との戦闘のどさくさに紛れトルフィンらに連れ出されるが、その途中トルフィンとエイナルに感謝しながら息を引き取った。
ガルザルとの間にはヒャルティという息子がいた。
スヴェルケル
CV:麦人
ケティルの父で、「大旦那」と呼ばれる先代の農場主。
頑固で偏屈だが真面目な人物で、農場主を引退した後も農場の隅の小屋に住んで畑を耕しながら暮らしている。農場の拡大経営を続ける息子とは意見が合わず、喧嘩になるからと一人暮らしを決め込んでいる。
奴隷であるトルフィンたちにも働きに応じて馬や道具を貸し与えるなど、厳しいが真心のある大人である。
「客人」
農場の用心棒たち。
事情により本名を名乗れず、「狐」(CV:高橋伸也)、「アナグマ」(CV:後藤ヒロキ)、「トカゲ」など動物の名を名乗っている。
CV:小松史法
「客人」のリーダー格。普段はスヴェルケルの小屋に入り浸っている事が多い。
奴隷にも気さくに接し、行き過ぎた行動をとる客人に制裁を加えるなど公平な人物。
CV:楠大典
ケティルの長男でクヌートの従士。
好戦的なヴァイキング気質の持ち主だが知略にも優れており、クヌートの企みを知りながらあえてそれに乗って戦争を起こさせた。
剣の腕だけでなく戦術にも優れ、ウルフや蛇からも評価されている。クヌートに至っては命を奪われかけたにもかかわらず部下に欲するほどであった。
オルマル
CV:林勇
ケティルの次男。
短慮で自己主張ばかりが前に出るダメな若者であり、戦士として名を上げる事を夢見るが実力も度胸も無い。その事でクヌートに謁見した際に恥をかき、それを農地接収の口実として利用される。
その後、自身の過ちを自覚し、クヌートの交渉へ赴いたトルフィンの行動に感銘を受けて精神的に大きく成長する。
パテール
CV:家中宏
農場の奉公人。
自らも元奴隷でありトルフィンやエイナルに目をかける。ケティルの右腕として働いている。
ヨーム戦士団
シグヴァルディ
ヨーム戦士団2代目首領。直接の登場は無し。
トルケルの兄でヘルガの父。トルフィンやユルヴァの母方の祖父にあたる。
フローキ
CV:斧アツシ
ヨーム戦士団の小隊長。
かつてトールズをアシェラッドに命じて殺害させた黒幕であり、その背景は謎に包まれている。
現在はクヌートの元でイングランド統一事業に荷担してるが、あくまでヨーム戦士団は同盟者であるという立場を固持している。
現在は軍団の長に孫を座らせるべく策動しており、結果として内外に敵を作ってしまっている。
バルドル
フローキの孫。
ヴァイキングらしからぬ気弱で純朴な少年。
ガルム
フローキの懐刀であり、凄まじい槍の使い手。
若いがトルケルとまともにやり合えるほどの実力者。戦闘狂の異常者であり、忠誠心や共感能力が欠落しているため、フローキからも煙たがられている。
トルフィンの殺害を命じられるも、途中から命令そっちのけでトルフィンとの戦いに執心するようになった。
ユミル
フローキの部下。
雪男のごとき容姿とトルケルをも超える巨体を誇る怪人であり、トルケルを倒すための切り札としてフローキに飼われていた。本作では珍しい、ジャバザ将軍と同じ出オチキャラである。
ヴァグン
ヨーム戦士団大隊長。
フローキと対立しており、シグヴァルディの孫でトールズの子であるトルフィンを首領に据えようと目論む。
老齢ながら巨大な金槌を操る武闘派だったがガルムに殺害される。
その他
ジャバザ将軍
CV:山口勝平
フランク族の将軍。どこかの宇宙人のような肥満体が特徴。
砦攻めに苦戦していた所でアシェラッド兵団を雇う。約束の報酬は反故にするつもりだったがアシェラッドに見抜かれ、逆に砦にあった財宝を全て持ち逃げされる憂き目に遭った。
ゴルム
CV:宮澤正
アシェラッドの叔父でとある村の領主。
「金の奴隷」と揶揄されるほどの守銭奴。
グラティアヌス
CV:斎藤志郎
ウェールズの小国モルガンクーグ王国の軍団長(レガートゥス)。アシェラッドの旧知。
ブリタニアの子孫でアルトリウスの帰還を信じている。
鉄拳のケティル
農場主のケティルとは同名の別人。
腕力が強すぎて武器がすぐに壊れてしまうため、終いには決まって素手で戦う豪傑。
農場主ケティルは同名をいい事に彼の名を騙っており、追われる身になった蛇はその噂を訪ねて農場にたどり着いた。
コーデリアの父親
アイルランド人貴族の女性との間にハルヴァル(コーデリア)を設けた人物。たまにしか訪れなかった事と「将軍様」としか呼ばれなかった事から名前を憶えられていなかった。
回想では山のような巨体で嵐や雷雲を従えて現れる大魔神のごとき人物として描かれている。
正体はおそらくトルケル。
エイヴォル
特別編に登場。『アサシンクリードヴァルハラ』の主人公。
アシェラッド軍団の軍船3隻を焼き討ち、トルフィンの追撃を振り切って逃走した。
朗読劇
トルフィン CV:松岡禎丞※
アシェラッド CV:山路和弘
トルケル CV:堀内賢雄
トールズ CV:日野聡
ビョルン CV:濱野大輝
クヌート CV:天﨑滉平
ラグナル CV:津田英三
ヴィリバルド CV:高橋広樹
※ロードオブヴァーミリオンⅣコラボでも担当
テレビアニメ
2018年3月、テレビアニメ化が発表された。制作はWIT STUDIO。テレビでの放送のほか、Amazonプライム・ビデオにて日本、海外独占の配信。
2019年4月に放送時期が2019年7月から、NHK総合での深夜枠放送である事が発表された。
初回放送は3話までの一挙放送となるが、おそらくは参議院議員選挙特番を考慮した特別対応と思われる。その為、その他の緊急特番等で休止になることに留意されたし。
実際、9月の台風15号関連のニュースの際には休止となった。
なお、同年12月まで放送されている。
2021年7月には、SEASON2の制作決定が発表された。
2023年1月からTOKYOMX、BS11、岐阜放送、AT-Xにて放送。そのほかにも、Netflixほかにて配信中。これに先立って、2022年7月からTOKYOMX、BS11、岐阜放送(岐阜放送では8月から)ではSEASON1の再放送が行われた。
アニメーション製作はMAPPAに変更される。
アニメでは原作では語られていない部分を映像化する事で物語に深みを与えている。
※SEASON1のトールズの死後のトルフィンの生活や、SEASON2のエイナルの過去等。
関連イラスト
関連動画
SEASON1 PV
SEASON2 PV
関連タグ
ヴィンランド・サガ100users入り ヴィンランド・サガ500users入り
ヴィンランドサガ:表記ゆれ
関連していないようで関連している事柄
ポンコツクエスト:全く違うジャンルの作品だが作者が本作のファンで、本作のキャラがヴィンランド・サガのキャラに扮したコラボアニメ『PONKOTSULAND SAGAーポンコツランド・サガー』が制作されている。
ゾンビランドサガ:タイトルがやや似ているだけの作品。しかし、幸村誠がヴィンランドの放送に先駆けて放送された本作を絶賛したことから、ゾンビランド公式でヴィンランドとのコラボイラストが制作された。また、ポンコツクエストとのコラボの際にもネタにされた。
佐賀県:本作とは特に関係のない県...なのだが、タイトルつながりでコラボイベント『ヴィンランド佐賀』を開催する事になった。まさかの展開...のようにも思われるが、佐賀県はタイトル繋がりで『Sa・Ga』とコラボをした前歴があり、その発想はあった。