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概要編集

スーパードクターKとは、真船一雄による漫画作品。

野獣のような強靭な肉体に天才的な頭脳と神技のメス捌きを合わせ持つ流浪の医師「K」を中心としたハードボイルド医学伝説。


少年漫画らしい荒唐無稽な展開もあったりするが、ちゃんと医学監修も入っており、医師の中原とほるが原案協力を務めている。

1988年〜1998年まで週刊少年マガジン連載、単行本は全44巻。

1996年〜1998年はタイトルが『Doctor K』に変更。単行本全10巻。

本作の後代設定の作品として『K2』が、2004年からイブニングで連載、2023年にはイブニングの休刊に伴い、コミックDAYSに移籍。


作者の真船氏がヘルニアの手術を受け、治って感銘を受け医者の漫画を描きたいと思い、作品が生まれた。


登場人物編集

超人的なメスさばきと観察眼、異様に体格隆々とした体格を持つ流しの医師

常に着ているマントの裏に医療道具を格納している。

「このオペは俺がやる!」などと言って、勝手に病院の手術室に乗り込んで、強引に手術しちゃったりするのが毎度のパターン。

西條姓は母方のもので、父方は不明。

裏の世界で生きる凄腕医師を代々輩出する家系出身で、臓器密売組織の刺客、悪党共は鉄拳で叩き潰す。

歯に衣着せぬものいいで権力者にも媚びないが、一流の帝都大学医学部を首席卒業して正式な医師免許を持っており、大学の先輩後輩との親交もあり、恩師の教授にも礼を尽くす。

専門は外科系らしいが、あらゆる分野を専門家並みにこなし、鍼(医師は追加の資格なしで鍼灸を扱うことが可能)ももしもの時は針麻酔で手術を行えるよう習得している。ボクシングのセコンドの資格(日本ボクシングコミッションより。Q9参照。)まで持ち、語学も堪能。


  • 高品龍一(たかしな りゅういち)

Kと出会い親友となる。特に超人的な所は無い普通の医師だが、熱血漢で患者に寄り添う姿勢はKAZUYAから信頼され、時に狂言回し的な役割を持つ。ドルヲタ。敬語を使っているために誤解されがちだが、実はKAZUYAより年上。

KAZUYAと関わる内に実力を上げていったが、勤務していた寺沢病院で手術室長に昇進した最初の患者が間が悪く院内感染となり、それを機に独立して高品診療所を開業する。

作者自身がモデルらしい。


  • 朝倉雄吾(あさくら ゆうご)

高品の同期で友人。医学会の風雲児と呼ばれる秀才だったが、自分を支援していた者が臓器密売組織であった事に気付き、西海大附属病院を内部告発して渡米。医療財団「クエイド財団」の教授に招かれ、後には社長となる。


  • 大垣蓮次(おおがき れんじ)

あだ名は「軍曹」。KAZUYAの医学生時代の先輩。患者を第一とする典型的な現場型だったが、そのために権力者に媚びを売るタイプの同僚から疎まれ、末期の特診患者の手術を任されてその責任を負わされ、日本医学会の汚さに幻滅して酒とギャンブルに溺れていたが、帝都大学の後輩であるKに叱咤されて立ち直る。酒はやめたがギャンブルの方はやめれなかったらしく身を持ち崩さない程度に競馬を続けている。

後の妻となる佐知子とは、立ち直ってタキムラ医療機器から機械を購入した縁で会社主催のゴルフコンペに慣れない身で参加した事が発端で、彼女に惚れられ押されに押されて結婚する。


  • 大垣佐知子(おおがき さちこ)

旧姓滝村で、大垣蓮次と結婚する。関東最大手の医療機器メーカータキムラ医療機器(作中で倒産)の社長(こちらも作中で死亡)の一人娘。

社長令嬢や箱入り娘の肩書きに似合わず、見栄や体面よりも医療に携わる者として救命第一の姿勢を持ち、家事や医師のサポートとしての心得も持っている。

会社主催のゴルフコンペで大垣に惹かれて、押しかけ女房同然に彼の病院で病院の清掃や道具の管理と手入れに訪れていた。そのことを父に咎められたが、タキムラ医療機器の製品の不備でミスが生じた手術に助っ人で参加していた大垣が手術チームを立て直してリカバリーを成し遂げて事無きを得た事で大垣が父に気に入られ、3か月後に電撃の年の差婚を果たす(ちなみに佐知子は当時18歳)。

結婚時に看護学校に通っており、家業から医師の仕事には理解があるため、大垣の仕事に不満を零すことはなく、むしろ後押しするほどの良妻ぶりを果たしている。後に一児を授かる。


  • 斉藤淳子(さいとう じゅんこ)

高品の勤める病院にやってきた看護師。当初は遊び人だったが、KAZUYAや高品との出会いで考えを改め、看護師として成長していく。高品診療所にも看護師として関わり、後に高品と結婚。

続編のK2ではほとんど登場しないが、日本ナース界のドンとも言うべき立場で、看護師の地位向上に努めており、更に一也の同期生の斉藤とは遠い親戚で、彼女を高品総合病院にマッチングさせた。


  • 西城頼輔(さいじょう らいすけ)

KAZUYAの伯父で、母の兄。内科医で、代々凄腕の内科の家系で十二代目当主。

医師としての使命感や患者への責任感は強いが、独り善がりな面も強く、最終的に美大の道を認めたが次男隆介に医大への進路を過剰に強要したり、妹の遺体から受精卵に気付いて人工授精でKEIを産まれさせている。

西城の血液は特殊な因子を持つため、KAZUYAがもしもの時に唯一輸血可能な相手。


  • 西城KEI(さいじょう けい)

Kの妹。ただし、KAZUYAの両親の受精卵から、KAZUYAの母方の伯父である西城頼介の妻から代理母出産で産まれたため、西城家で育った女医。そのため、戸籍の上では、KAZUYAにとっては伯父の子にあたる複雑な関係にあった。

その出生と、母を救えなかった医学に絶望して、当初は悪女キャラでテロリストだったが、自分が起こそうとしたテロに立ち向かった医師のペレイラと兄の姿と野望の失敗で、寄る辺を失いながら辿り着いた藤岡病院で、医師として手伝いながら心の傷を癒やして更正、兄や両親と和解する。

後に開業し、KAZUYAから紹介された医師の礒永を雇い、最初は馬が合わなかったが紆余曲折の果てに結婚する。


  • TETSU(テツ)/真田徹郎(さなだ てつろう)

Kのライバルの凄腕医師でリーゼントから前髪を垂らした特徴的な髪型。 テコンドーの使い手でホワイトハウス襲撃をやらかすという無茶キャラ。当初は悪役だったが、南米の麻薬組織壊滅作戦を期に生い立ちを明かしたあたりから光堕ちを始め、兄の死後は半ばKAZUYAの理解者となる。(但し、後に上記の事を起こしているが…)


TETSUの兄で、医学を悪用するテロリスト。様々な悪の権力者に取り入っていっては利用していくと同時に自分も利用されては切り捨てられていき、最後に身を寄せた(作中で架空の国家)ニューセルゲイ共和国で皮肉な結末を辿ったが、最期にTETSUから母親の最期の願いを聞かされたことで、KとTETSUを逃しケジメをつけるべく国を道連れに自爆した。

デザインがどう見ても花京院典明だっため後に口ひげを付け足された。


  • 柳川慎一郎(やながわ しんいちろう)

Kの恩師で彼の父一堡とも親友。驕らない人格者。


  • 七瀬恵美(ななせ めぐみ)

斎楓会総合病院外科部長を務める女医。

城南大の復讐により、素性の知れないKAZUYAに患者を任される事態に反発し、更に縫合用の糸が体内で溶ける物にすり替えられた罠が発生して、手術のリカバリーとミスの原因調査でKAZUYAの実力と嵌められた事に気付く。その後はKAZUYAを救うために負傷しながらも奔走。

事件以降は、互いの実力を信頼し、親友としてKAZUYAにとって最も距離の近い女性となり、KEIからもKAZUYAがガンにならなければ2人は結ばれていただろうと見ている。


  • 岩動瀧造(いしるが たきぞう)

僧でありながら法医学者の異色の経歴を持つ。坊主頭に僧らしく数珠を首に下げ、KAZUYAに比肩する屈強な肉体の持ち主。

監察医とあって、警察や裁判が関わる話での登場が多い。

KAZUYAに末期ガン患者の治療を依頼。無謀な延命治療をしない主義のため依頼を断ろうとするKAZUYAに「命を救えずとも人間は救うことができる」と言い、その言葉に興味を抱いたKAZUYAは依頼を引き受ける。その患者は冤罪の可能性が高く、再審で患者が安らかに逝った姿に、KAZUYAは岩動の言葉の意味を理解する。

以降は自分とは違う道で医学の正しさを貫く彼と友人となり、高品や七瀬とは違ってKAZUYAに過度の敬意を抱かず対等に接することもあって、患者の話を肴に酒を飲み交わす砕けた関係を築いている。


  • シリウス

KAZUYAが山で拾った犬。とても賢く、ピクニックに来た若者一行が持ってきた弁当が既に傷んでいることを見抜いたり、KAZUYAが谷底へ落としてしまった救急セットの箱を匂いを頼りに探し出したり、救急隊員ですら面体確認出来ていなかった糖尿病患者を体臭から当てたりと活躍している。

七瀬が貰い受け、普段の世話は彼女がしている。


  • ウィルヘルム・カイザー

ハイデルベルグ大学第二外科教授。サングラス、服装、メイクで誤魔化しているものの、重度の肝不全を患っており、その治療も兼ねて完璧な人工肝臓を開発。自らを実験台にするためKAZUYAを西ドイツへと呼ぶ。

しかし開発した人工肝臓は完璧すぎたために、人体に埋め込んで稼働を始めた当初は何も問題がないものの、日数が経つに連れて血の塊が少しずつ巨大化。ついには血管を塞いでしまうという欠点を抱えていた。その欠点を知らないまま、KAZUYAの生体肝移植手術を受けて回復。以降KAZUYAの協力者の一人となった。

母国ドイツを誇りに思い、ドイツ製品を愛する。それは趣味の鉄道模型の収集にも現れており、収集対象はメルクリン製品だけという筋金入り。

デザインがシュトロハイム博士


  • 黒須麻純(くろす ますみ)

KAZUYAの元婚約者で、触れた相手の未来(死期)を見る超能力を持つ看護師の家系に生まれた。看護師の概念がない時代には死期を看取る役割だったとのこと。

KAZUYAからは許嫁を時代錯誤の否定し、妹のようにしか思われていなかったため、最終的に婚約は解消。しかし、麻純自身はKAZUYAを愛しており、諦めきれなかった。その心の隙を一昭に利用され、KAZUYAのクローンの代理母となり、一也を出産。だが、出産を経て母性に芽生えて、一昭に一也を利用されることを拒み、息子を連れて一昭の元から逃亡する。


  • 藤岡(ふじおか)

『Doctor.K』にて、KEIが放浪していた時に身を寄せた医師。後述の経緯から懐が深く、診療所の傍ら、寄る辺のない青少年たちを寝泊まりさせており、KEIも彼を手伝いながら、医師の有り様を再認識する機会となった。

藤岡は若い頃、喧嘩三昧の果てに、殺人未遂にまで至った時には、今まで自分を庇ってきてくれた母に愛想を尽かされ、罪悪感から自殺を図るも止めようとした医師を傷付けてしまい、無我夢中で手当てをした事で医師となり人を救っていく決意を固めて、入所中も勉強に励み、医師となった。


城南大学編集

帝都大を猛追するほどに私立大医学部としては最大級の規模を誇る。

ストーリー序盤で、何度もKと対立してはスキャンダルが明るみに出て、没落の一途を辿った。

なお、悪役が多く学長の姿勢を知っているものの、城南大関連の医師には目の前の患者を救おうとする医師もおり、全てが腐っているわけではない。


  • 大河内秀正

城南大学初代学長。政治的暗躍で城南大学を急成長させた『学会の妖怪』。

老齢の果てに心臓を患い、生き長らえるべく、心臓移植をKに依頼。しかしその心臓は罪のない桑田青年を殺して奪おうとしたものだったため、Kは桑田を救うべく高品と共に移植することなく心臓にバイパスを通す事に成功させ、青年を引き取り蘇生させた。

その後の術後の経過観察に訪れたKの横に顔を隠した助手がいたために、好奇心から顔を見て仰天。心臓を奪ったはずの桑田だったことで、髪が抜け落ちるほどの恐怖でショック死し、Kからも治療されずに見殺しとなった。また、心臓移植手術の報酬3000万円は、Kが命を奪われかけた桑田の人生のやり直しに全額渡された。

このKとの因縁で、城南大学は斜陽を迎える事になった。


  • 橋爪雄仁

城南大学の学長のボディガードを勤める黒服サングラスの男。実態は、学長の暗躍の実行部隊の側近。拳銃を携帯している。

大河内秀正の移植に適した桑田青年を轢き逃げし、Kに多額の報酬と脅迫で手術を強行させたが、Kに出し抜かれ、桑田青年は生き延び、それを知った秀正はショック死し、自身もKから傷が残るほどの鉄拳制裁を受けた。以降は、顔の傷と秀正の恨みを抱えて何度もKに復讐を目論むが、度重なる敗北と、念願のK抹殺寸前の手術がまさかの息子のものだったことで、一時休戦する事で落ち着く。その手術中に負傷させたKを救うべく、Kをおびき出すために付近の病院の通信不可の状況を作ってしまったため、城南大学の系列病院で治療させるべく奔走。流石に和解には至らなくとも今まで卑劣だったのに対して、Kは正々堂々戦い抜いてきたので、こっちも正々堂々戦うべきだと、Kへの襲撃に来た隼人に主張。彼から手術室とKを守り抜き、命を落とす。

なお、息子は手術後も楽ではない治療を受け続ける事になるが、一方で雄仁自身の所業や悪評が原因で病院に断られることもあるほど追い詰められながら、闘病している。

余談だが、Kシリーズお馴染みの擬音『ギュッ』を最初に使われたキャラ。


  • 大河内隼人

先代学長の秀正の孫で、彼の亡き後の城南大学の学長の座に着く。

祖父のスキャンダルで失墜した大学の経営を立て直しと、Kへの復讐を目論むも返り討ちに遭い、Kに怯えて復讐を一度は諦める。

しかし、橋爪が個人で復讐に走った結果、Kが城南大学の系列病院で無防備な状態だと知るや、人を集めて復讐に向かうも、悔い改めた橋爪の妨害で失敗し、Kから橋爪を死なせた怒りの前に怯えて、Kと城南大学の戦いに終止符を打たれた。



Kの一族編集

遥か昔より医術を極め、研鑽し続けてきた一族。登場する直系は男性のみで、全員が野獣のような頑健な肉体を誇る。手術室でのオペのとき以外は、裏に医療器具を仕込んだマントを着用する。

その圧倒的な医療技術は時の権力者からも付け狙われる事もあったため、長く留まれずに流れ者となり、結果として悲恋に終わる事も少なくない一方で、医師としての務めに励めば一族の掟に拘束される事がないため、後継作のK2で登場する神代家を除いて、分家が国を超えていたり血族や親類の把握が出来ていない状態にある。

姓は登場しておらず、もっぱら「Kの一族」と呼ばれる。学校に通うなど一般社会で名前が必要な場面では、一族ではない親(KAZUYAの場合、母・西條杏子)の姓を使うようである。


  • 一堡(かずおき)

KAZUYAの父。故人。

柳川とKAZUYAと共に建設途中の原子力医療開発研究所の見学に訪れた際に、地震で施設が崩壊し、避難した放射能対策の部屋が瓦礫で室内から閉められず、瓦礫の撤去のために部屋を出たが、施設の二次爆発で扉が閉まり、室内の人達に放射能の被害をもたらさないよう、扉を開けることなく死亡する。

登場したKの一族でも一際ストイックでスパルタであり、KAZUYAも一族の宿命や医師としての道に自信を失いかけるほどだったが、その宿命に殉じた最期は、KAZUYAに医師としての道を指し示した。


  • 西條杏子(さいじょうきょうこ):KAZUYAとKEIの母で、KEIの養父・西條頼介の妹。故人。

優れた内科医で、一堡と出会うキッカケとなったガンは、彼から見つけられるのは日本に5人もいないと呼ばれるほどのものだった。

その後、父同士の決めた許嫁と明かし、彼の腕を認めて結婚する。

西城の血液には特殊な因子を持つために、落盤事故で負傷した際にKAZUYAは血液ストックから輸血できない事態となり、息子を救うため限界以上に輸血して、死亡した。

  • 一昭(かずあき):一堡の弟(KAZUYAの叔父)。
  • 黒須一也(くろすかずなり):一昭によるクローン技術によって生まれた、KAZUYAのクローン。次回作『K2』の主人公の一人。

  • 劉亢虎(りゅうかんふー)

KAZUYAと容姿が似ているが、髪型は長髪で一部が白髪。

中国マフィアに所属しているが、実は中国の機密公安官で、KAZUYAを傷付けることなく取り押さえる程の武術の達人で、刃物の扱いにも秀でている。

潜入捜査中、マフィアのボス陳がKを組織に迎え入れることを目論んだのを機に、組織の帳簿を入手したが、Kに扮して主治医として治療と称して陳の抹殺を目論んだ。

そこにKAZUYAが現れ、陳こそ父の仇であることを告げ、復讐を語るが、組織の人員のデータから、劉の家系も海を渡ったKの一族だったことが判明し、彼の説得で殺人ではなく逮捕を選択する。


  • 劉可明(りゅうけみん)

劉亢虎の父で、苦しむ人を見過ごせなかった医師。

治療した青年が文明大革命で紅衛兵となり、恩を仇で返して逮捕され、釈放後は衰弱して、そのまま命を喪った。

息子には、ルーツは知らないが遠い地から世界に散らばっていった医の一族であることを伝えていた。



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