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解説編集

真船一雄による日本の漫画作品。雑誌『イブニング』にて2004年より連載開始。2023年より漫画アプリ『コミックDAYS』に連載移籍し、同誌にて連載中。


医療漫画『スーパードクターK』の続編であり、前作の主人公・KAZUYAに代わって、もう一人のKの一族の末裔である神代一人(かみしろ・かずと)と、KAZUYAのクローンである黒須一也(くろす・かずなり)が主人公となった。

KAZUYAたち表のKの一族を支える裏の一族でありながら、表の一族がKAZUYAの死によって途絶えたためにKの称号を受け継いだ一人を中心とした医療ドラマと、生まれながらにKAZUYAの資質を持つ一也の成長物語の2つの軸を持つ。


前作に登場したキャラクターも多数登場し、KAZUYAに関わったキャラクターが一人や一也にKAZUYAの面影を見出すことも多い。

作中の時間の流れは現実世界のそれとほぼ同じであり、連載を経るごとに少年だった一也がやがて医大に進学・卒業する。2020年からは新型コロナウイルスの流行により、人々がマスクを着用するなど、コロナとの戦いを踏まえた描写がなされている。


医療技術も現実の発展を反映しており、KAZUYAの時代では存在しなかった知見や技術によって、かつてKAZUYAでは救いきれなかった患者が完全に治療できるといったエピソードもある。

医学の無力さを描いたり死と向き合う回もあるが、救いようのない重苦しい展開は控えめ。

総じて前作までの前向きさやコミカルな要素を引き継ぎながら、破天荒さや凶悪な犯罪者・医療関係者のエピソードを抑え、物語性と医療面の話を強化した作風と言える(でも相変わらず銃を持った相手を徒手空拳で制圧したりすることはある)。


元々前作を越えて20年近い連載をしている人気作ではあったものの、2021年に20巻分が無料公開されるとこれに際して未見だった層が本作に触れて話題となった。

特に独特の使い方をされている擬音「ギュッ」や、主人公・一人たちのセリフがネットミーム化(K2構文も参照)。

更に元の掲載誌であるイブニングの休刊に伴ってコミックDAYSへ移籍したことにより、2023年3月からは他の移籍作品と共に期間限定で全話無料で読めるキャンペーンが行われたことでさらに読者層が増加。また、20巻以降は一也がメインを務めることも増え、医大への進学や譲介や宮坂の出番の増加など前回の無料公開分の層に対しても目新しさがあったのも大きいと思われる。

この中で前述のネットミームのバリエーションも増えていった。

2024年1月には『スーパードクターK』シリーズ通算100巻達成を記念し、雑誌『モーニング』に出張掲載された。


ストーリー編集

無医村と言われるN県T村に派遣された医師・富永研太は、そこで卓越した医療技術を持つマント姿の無免許医神代一人と出会う。彼の姿はかつて世界を股にかけて活躍した伝説の名医・スーパードクターKこと西城KAZUYAに酷似していたが、KAZUYAの妹・西城KEIは「KAZUYAは5年前に病死した」と否定する。


一人の正体は『Kの一族』の有事に備え、闇医者として活動し続けてきた分家の末裔だった。KAZUYAの死によってKの系譜が途絶えていることを憂慮するKEIは、KAZUYAの旧知である高品と朝倉の協力の下で一人にある手術を担当させる。その卓越した知識と技術を目の当たりにした厚生労働大臣は特例で一人に医師免許を発行。晴れて表舞台に立つことになった一人は、Kの後継者、新たなるスーパードクターKとしてその腕を振るうようになる。


一方、KAZUYAにはその遺伝子を基に生み出されたクローンがいた。彼の名は黒須一也。代理母でありKAZUYAの婚約者でもあった黒須真純の下で何も知らずに育った一也だったが、一人との出会いや自身の出生にまつわる事件を経て、己の意志でドクターになることを誓い半ば一人の弟子となる。


こうして、Kの称号を受け継いだ男と、Kの遺伝子を受け継いだ少年の物語が始まった。


用語編集

ドクターK

どんな困難な患者でも治療することのできるスーパードクター。Kの一族と呼ばれる者たちの中でも選ばれしたった一人がその称号を受け継ぐ。

かつては西城カズヤが、現在は神代一人がドクターKである。


Kの一族

日本の古来から脈々と受け継がれる医師の家系。ドクターKの称号を受け継ぎ、あらゆる患者を助けていく。

表のKの一族とも言える西城家の人間が基本的にドクターKの称号を受け継いでいくが、全国各地にバックアップとして幾つかのKの一族が存在しており、社会の裏に隠れながら医療技術を研鑽している。

なお、Kの一族の男性は概ね漢数字の一を通字としており、女性の方はか行で始まる名前となっている。

現在確認されているKの一族は、西城家、神代家、神津(こうづ)家の三家である。また、海外に出て養子に入ったり、居を構えた一族もおり、シリーズを通して中国とロシアでKの系譜が確認されている。

現在生き残っている表の一族は、KAZUYAの妹・磯永KEIと息子の一巳、KAZUYAのクローン・黒須一也の3名。

一族としての正装なのか、外出の際は首から膝下までを覆うマント、両手首にベルト付きバンドの装いをする者が多い。マントの裏側にはメスなどの医療器具が仕込まれている。


N県T村

神代一人を始めとする神代家が本拠地とする村。

一見すれば過疎化した片田舎の村だが、裏では最先端の医療知識と技術、医療用設備まで整っている。

法整備もされていない時代から密かに臓器移植を行っており、さらに村民全体に月一度の献血ノルマを課すことで輸血のストックも豊富と、Kの一族を抱える集落として「命を救い、名医を育てる」ためのしきたりが村ぐるみで伝えられている。

しかし近年は高齢化が激しく、医療以外の機械(主に農耕機械)は半端に使い古しなのこともあって、村民の傷病率は高い。


10本のメス

生前のKAZUYAが自身の患者に渡していたメスの総称。いずれもKの文字が刻印がされていると共に、1から10のシリアルナンバーも刻まれている。

このメスを持つ患者は、当時の医療技術では困難であったために疾病が完治していないことが共通している。

しかし、KAZUYAは近い将来に治療が可能となる医療技術が生まれること、そして自分の遺志を継ぐ新たなKが現れることを予見していた。

この患者たちを一人が現代の技術で治療し、メスを回収、KAZUYAの後継者としての役割を全うすることが本作序盤の軸であった。

なお、2023年現在でも10本すべては回収されていない。


帝都大学

一也と詩織が進学した大学。大学編の主な舞台。

かつてKAZUYAも在籍しており、大垣を始めとする教授たちの何人かは彼の同期である。

一也が6年の時に新型コロナウイルスによるパンデミックが発生、一也たちの卒業式も各学部の代表が数人ずつ出席するという措置が取られた。

医学部が理Ⅲと表現されていることから、モデルは東京大学と思われる。


ストーロジ・ジーズニ(命の番人)

ソ連崩壊と共に思想の自由を得たことで暴走したカルト教団。

「神の意志によって決められている」という教義が急進化、文明こそ誤った発展として、最先端医療を否定し武装しての実力行使も辞さない過激な組織となっていった。


破留島

旅をしていた頃の一也が立ち寄った、日本のどこかにある離島。

終戦までは炭鉱のおかげで活気があったものの、閉山によって今では寂れて過疎化している。長寿の者が多く医者要らずの島と称されているが、実際には第3のKの一族・神津家が密かに島民の治療に当たってきた。

炭鉱労働者の健康被害対策にも神津家が大きく関わっている。


高品総合病院

帝都大学を卒業した一也と詩織が、T村の次に研修先として赴任した病院。研修編の2つ目の舞台。

国内でも最大級の総合病院であり、KAZUYAと旧交のある高品龍一が院長を務め、地域医療に尽力している。高品院長の人柄もあり、派閥争いはほとんどない。


キャラクター編集

主人公編集

無医村と言われるN県の山奥にあるT村で診療所を営む男。

その正体は、先代KことKAZUYAの一族の危機に備え、村の中だけで医療技術の研鑽に励んできたもう一つのKの一族の末裔。

風貌は生前のKAZUYAと似ており、KAZUYAを知る者のほとんどがその面影を見出す(一人の方がやや細身で眉毛の形状がシャープ、もみあげが長いなどパーツ単位では微妙に異なる)。

医療技術もKAZUYAに負けず劣らずであり、最新の技術にも精通している。

性格は一人の方がよりクールだが、他人、特に目上の人間や各分野のスペシャリストに対して敬意を払う事が多い。

KAZUYAの後継者として活動する一方、表のKの一族をサポートするという使命の下、一也やその友人など後継者の教育にも力を入れており、新人故に見落としがちなケアレスミスや最新技術への興味と誤解にも理解を示した上で指導し、一見向上心が控えめで腕がおぼつかない龍太郎にも慎重でお人好しな性分を見抜き、ペースを落として陰ながらフォローしている。

医者でありながら異様にフィジカルも強く、施錠された鉄扉を蹴破る、崖から滑落しそうな車を結び付けたロープにより腕力のみで引き上げるなど、人並外れた芸当を見せる事もしばしば。悪党を相手にした場合パンチやキック一発でのしてしまう事も多い。


先代K・KAZUYAのクローン人間。KAZUYAの婚約者であった黒須真純の息子として何も知らずに育ったが、とある事件を通じて己の出生のすべてを知る。

容姿はKAZUYAと瓜二つだが性格は全く異なり、温厚かつ謙虚で人当たりが良い。また、異性に対するデリカシーが足りず、周囲の女性陣にからかわれることも多い。一方、その出生ゆえに生命倫理に関しては厳しい理念を持っている。

世界で唯一、健常に成長した「完全なクローン人間」かつ、彼を作り出した一昭が完璧なクローン技術の技術と知識を誰にも伝えず遺さないまま亡くなったことで、クローン技術に肯定的な勢力からも否定的な勢力からも注目を集めており、何度も命を狙われている。

小6の頃に医師になる決意をしてから独自に医学を勉強し続け、高校入学以降は一人の弟子となってN県T村の習わしに従い一人から医療技術と最新技術を叩き込まれた。時には一人を始めとする現役医師に直接指南されることもあり、同年代の学生はもちろん医師顔負けの技術すら有する。詩織や譲介という一也の事情を知る同世代の仲間を作りながら、帝都大学医学部に現役合格し無事卒業。現在は研修医となり、詩織と共に一人の助手を務めていたが、T村という特殊な環境での成長を危惧した一人により、詩織と共に龍太郎との交換という形で高品病院に勤める。

詩織とは強い絆で結ばれており、一也自身も彼女に恋心を抱いているようだが、二人の関係は未だに「友達」のままである。


主要キャラクター編集


一也の高校時代の同級生。刺繍が趣味で、手先が器用。時に小学生に間違われるほどの低身長、おかっぱ頭、メガネと、決して美人とは言えない風貌の持ち主。

重度の卵アレルギーに悩んでいたが、一人の指導によって改善。一也との交流を経て医師を志すようになり、彼とともに帝都大学に現役合格・卒業する。

特に縫合の技術と才能に優れており、高校時代に咄嗟にありものの裁縫道具で一也の出血を止血した際には、一人ですらその技術に驚愕した。

研修医となってからは譲介、一也と共にT村で一人の弟子として医学の研鑽に努め、高い医療技術を持つようになる。

しかしそれ故に、特殊な環境でしか医療技術を磨いていない現状が成長の足枷になると一人に危惧され、高品龍太郎と交換という形で高品病院の研修医となる。

今では人生の半分ほどを一也と一緒に過ごしており、周囲には登場当初から「一也の恋人」と認識されているが、当人同士の関係性は未だ「友達」のままであり、特に詩織側は恋心よりも医師としての対抗心に燃えている。一也の恋路は前途多難である。


  • 村井逸士(むらい・いつじ)

神代家に仕える執事の男性。一人の医師として師にあたる。

ある事件を切っ掛けにクローン臓器の密造・密売を行う裏組織に所属し、一人や一也と敵対関係にあったが和解して村に戻った。現在は一人の仕事を全力でサポートしている。

最新技術や設備に精通しており、村の施設で再生治療の研究や施設の管理を任されている。

ミスリードを兼ねてなのか一郎とそっくりなのだが、作中ではマントを羽織った後ろ姿以外で間違われたことはない(ただし、村井と一郎2人を知っている人物が稀と言うのもあるが)。実は、神代の執事は影武者としての役割を持っており、一郎と似た容姿の理由が海の前で明かされ、更に、条件が揃えば2人一役の錯乱を起こせるほどの連携も可能。


本名は真田 徹郎(さなだ・てつろう)。

圧倒的な執刀技術を持ちながら表舞台に出ることも病院にも属することもなく闇の世界に生きる医者。金さえ払ってもらえれば相手が誰であろうと、依頼内容が非倫理的であろうと引き受けるのがポリシーで、彼の主な患者はヤクザや闇世界の人間、もしくは何らかの後ろめたい事情の持ち主が多い。

本編ではガンを患い、一也に医師として「患者の死」に向き合わせるために自らを安楽死させようとした。しかし一也の前向きな姿勢と一人の協力により、根治は出来なかったものの治療と延命に成功し生き永らえる。

その後は行方を眩ませていたが、身辺整理の中途で出会った少年・譲介を引き取り、保護者として再登場。譲介に医療技術を叩き込みながら一也と引き合わせることで対抗心を煽り、一也に何らかの変化をもたらすことを目論んだ。

一也や譲介に対し医の道の暗黒面と向き合わせたりするなど、TETSUなりに一人にはできない方法で教育を施している。が、一人とは価値観が合わないために警戒されている。


一也の同級生。ドクターTETSUの内弟子であり、一人の弟子となった一也への当て馬にする目的で引き取られた。医療技術を教えられながらも人の命を軽視する危険な人物。その原因は、幼少期に両親に捨てられたトラウマであり、それが後々まで尾を引いて精神に不安定なところがあった。後にある事件を通じて医師としての倫理意識が芽生え、一也の良きライバルとなる。

一也や詩織と共に帝都大学医学部を受験したがある事情で失敗、浪人生となった自分を変えるためにTETSUの下を離れて一人の診療所で修業を積むことになる。しかし、彼が闇医者になる事を望まない一人の根回しによってアメリカのクエイド財団にスカウトされ、一也の大学卒業と同時期に渡米した。

TETSUに対してはその横暴ぶりに手を焼いているものの、自分の人生を変えてくれた恩人として慕ってもおり、渡米の際には彼に手紙を残している。


一人の診療所に勤務する女性看護師。

他院でエリートコースを歩み、その病院の跡取りと婚約関係にあったが、親しくなった患者の医療ミスの責任を押し付けられ、失意のまま自殺しようとしていたところを一人に救われた。

その後は一人の病院の看護師として働いており、堅物な一人のツッコミ役も兼ねる。


一人の診療所で働く老婆。

主に診療所の炊事などの家事を担っているが、いざとなれば手術の助手を務める、話を聞いただけで指定難病の疑いを見抜くなど、T村の医療従事者として申し分ない知識を有している。

感情的で毒舌な面もあるものの、村に来た頃の尖っていた譲介も動じることなく受け入れる包容力を持ち、龍太郎からも懐かれている。

炊事の腕に関してはプロ級で、焼き魚定食のような和食はもとよりトルコライスプルコギバターチキンカレービリヤニなど、一般家庭では珍しい献立も度々作っている。特にカレーに関しては、譲介が在院していた当時からカレーしか受け付けない彼を想ってか試行錯誤していたようで、今ではスパイスから極めているらしい(その上で渡米した譲介に今でも送っている)。

料理の材料を買いに単身で東京に向かうなど行動力もあり、麻上には単独行動を心配されるも、実際には現地に馴染みの食料品店がいくつもあるようでかなり来慣れていることが分かる。

高齢の身でありながらハイテク機器への造詣も深く、最近ではスマホも購入済み。2023年時点でどう若く見積もっても90代半ばだが、倒れるどころか衰える気配も見せない高性能ばあちゃん


  • T村の人々

一人たち神代家が代々暮らしてきた村の村人たち。

その多くが神代家の使命に協力しており、非常時に備えて定期的に献血する、不慮の事故で亡くなった者は「授け手(いわゆる臓器ドナー)」になるといった風習がある。

診療所を度々手伝っているイシさんをはじめ、驚くような医療知識を持っている村人も少なくない。



先代Kの関係者編集

旧姓は西城。先代K・KAZUYAの実妹。叔父(母・杏子の兄)の西城頼介の養子であり、夫はKAZUYAの後輩である磯永幸司、息子は一巳。

現在は西城医院という診療所の院長として働いており、一也の母・麻純もKEIの診療所で看護師として勤務していた。

一人に医師免許を与える切っ掛けを作り、その後も折に触れて一人や一也と関わっている。実父の元で暮らしていた頃は定期的にT村の神代家へ訪れており、毒や細菌への耐性をつける特殊な訓練を受けていた(その際に一人とも会っており、事故で頭部を負傷した際は彼に治療されている)。

過去の所業がアレなので、有事の際は強い殺気と威圧感を放つ。


  • 磯永幸司(いそなが・こうじ)

KEIの夫で外科医。『Doctor.K』から登場。

KAZUYAの後輩で、KEIの開業に伴い紹介された外科医。

熱血漢で涙脆くフランクな一方、がさつな面からKEIとは当初はソリが合わなかったものの、患者への真摯さは認められている。

体にメスを入れないために元は内科医だったが、KAZUYAと共にガン患者を救い、その際に内視鏡の存在を知ってからは外科医に転向し、日本指折りの内視鏡の専門家となった。

本作ではその内視鏡の腕を活かして世界中を回りつつ、リモート技術を使っての後進の指導も手掛けている。


高品総合病院の院長を務める医師。かつてKAZUYAと交流があった。

前作ではドイツに渡る形でフェードアウトしたが、K2では日本に戻って最先端の総合病院を作り、現役でメスを振るっている。

熱血漢だった前作と違って年齢を重ねて落ち着きと温厚さに溢れ院内でも慕われているが、仕事に忙殺されてしまい息子とはコミュニケーションが取れていない。龍太郎に医師としての自覚が目覚めなかったことなどを理由に一人に龍太郎を預け、代わりに一人の診療所で研修していた一也と詩織を自身の病院で受け入れた。


  • 黒須麻純(くろす・ますみ)

一也の母であり、KAZUYAの婚約者であった女性。代々看護師に類する職に当たってきた黒須家の末裔であり、同時に触れた相手の寿命を見通す異能を持つ。

KAZUYAに想いを寄せていたが、彼からは恋愛対象として見てもらえなかった。やがてKAZUYAの才覚を潰えさせたくなかった一昭からKAZUYAのクローンを作るための母体となることを依頼され、これを承諾。一也を出産後、母性が芽生えこのまま彼を一昭に渡せば普通の親子として共に過ごすことができないことを悟り、生まれたばかりの一也を伴って一昭の元から逃亡した過去を持つ。

看護師の仕事からは引退していたが、一人がKとして一也を引き取ったのち西條医院で再び看護師として働き始める。一也の命を狙うストロージ・ジーズニの事件において、一也たちを庇い命を落とす。


  • 大垣蓮次(おおがき・れんじ)

一也や詩織が進学した帝都大学医学部の第一外科教授。後に医学部長に昇進。

KAZUYAの先輩であり、かつては帝都大学で共に医学を学んでいた。新たなKである一人に不信感を抱くも、彼の腕を見て考えを改める。

一也にKAZUYAの面影を見出しながら、大学教授らしからぬ破天荒な振る舞いで学生たちを導いていった。

後に舌ガンを患うも治療に成功。しかし抗ガン剤の副作用ではげ上がってしまい、前作の登場人物でKAZUYAの恩師・柳川と見分けがつかないほどそっくりになってしまう。

ガン発症を機に、残る命と人生を後進の環境改善のために使うと決意。同僚の戸倉からの要請を受けて医師連盟の理事に立候補した(かつて大垣は、KAZUYAが健在の時期に勤めていた病院に裏切られた挙げ句に責任を負わされ、ショックで身を持ち崩していた経験がある)。


  • 柳川慎一郎(やながわ・しんいちろう)

帝都大学医学部第一外科の元教授。KAZUYAや大垣の恩師であり、KAZUYAの父・一堡の親友。

KEIに請われ、自身の出生の秘密を知った一也のもとに訪れる。当初は徘徊老人を装っていたが、それは一也の人となりを確かめるためだった。

昭和55年、原子力医療開発研究所の事故で死にかけたが、一堡の命がけの行動と若干18歳のKAZUYAの治療で一命を取り留める。しかしこの時KAZUYAと共に被爆し、共に癌を発症。自身はKAZUYAの執刀によって助けられるも、KAZUYAは治療できずに命を落とした。

KAZUYAの死因と享年を知って不安になった一也にこの事実を伝え、必ずしも一也がKAZUYA同様に若くして発症するとは限らないこと、そして一堡やKAZUYAと同じ医師としての崇高な精神をしっかりと受け継いでいることを教えた。



ドクターKの弟子編集

K2は、医療関係者の尽力と一也の成長という物語の縦軸以外に、一人の下に集った弟子の成長という軸も持つ。

本節では、上述する黒須一也宮坂詩織和久井譲介以外の弟子を記載する。


N県T村に赴任してきた西海大学所属の若き医師。前作での高品龍一ポジション。

開業医の家系に育ったお坊ちゃんだが、地方の医療格差に危機感を抱いてあえて過疎村への赴任を志願した熱血漢。

K2における一人の最初の弟子であり、彼と一人の邂逅がドクターK伝説復活のきっかけとなった。当初は経験不足で一人の技術に圧倒されるばかりだったが、強い向上心で腕を磨いていき、ムードメーカーとしての気質で村にも溶け込んでいった。また、村で暮らし始めた一也からも兄のように慕われていた。

実家に里帰りし、富永総合病院の患者の難手術と海外の医療チームへのスカウト、それを断った出来事を機に富永総合病院へ戻り、現在は父の跡を継いで院長を務めている。

院長となって以降は、診療所にいた頃と変わらぬ様子を見せながらも、その優れた手術の腕前と全責任を負う覚悟の姿勢から、癖のある部下たちからも全幅の信頼を寄せられている。

曰く、彼が村を離れてから7年間のうちに担当した手術は約800件以上(およそ開腹450/鏡視下350)。名目上の専門は「一般外科」ということになっているが、脳、胸部、腹部、整形、循環器、消化器内科まで全てこなしてしまうほど熟達しており、専門医ですら舌を巻くほどに頼もしい医者へと成長した。


KAZUYAと縁の深い高品龍一の息子。

母のように慕い、後見人だった安倍川素子が病で一線を退いたことで今後の進退に自信を無くしてしまい、それを見かねた父・龍一によって診療所の一也・詩織とトレードする形で一人の元に預けられた。

現役で医大を卒業し国家試験にも一発合格する程度には地力があるようだが、偉大な父親を持ってしまったことと、レールを敷かれて医師となった受動的な生い立ちがコンプレックスとして悪い形で噛み合ってしまい、理想とする医師のビジョンを抱けていない。

お調子者かつ受け身だが仕事へのモチベーションの低さは自信の無さから来るものであり、決して医師自体を軽んじてはおらず、正しい叱咤もきちんと受け止める。その彼の性分は、高品病院の時は同期から向上心の低いダメ新人と見られていたが、N県T村では年配の人が多いため素直で可愛がりのある若者として、往診やその先の手伝いに積極的になっている。

患者の症状の違和感を「なんとなく」で察することがあり、その違和感を放っておかずに深く追求する事で隠れていた病症を発見することも少なくない。一人からは患者に納得されにくい「なんとなく」という曖昧さを正直に伝えられることも彼の才能の一つだと捉えられている。

未熟ゆえのケアレスミスや横着をしようとしての不備はあるものの、最初の手術以外では大きなミスは無く、麻上からは不思議な人と評されている。

向上心の強かった富永や一也とは異なり積極性に欠けるが、上記の診察の姿勢と同時に勇み足もしない慎重さ、ヒントを与えれば少しずつでも着実に正解へとたどり着く、叩けば響く姿勢は「これまでに会った事が無いタイプ」として一人の教育心をくすぐっている。


医師・病院関係者編集

  • 氷室俊介(ひむろ・しゅんすけ)

N県T村出身で一人の幼馴染み。

村を出られない一人に代わって村を出て医師となり彼の分も人を救うため、糖尿病の原因となる発症遺伝子を特定した。

研究中の事故により白内障を患い一人の治療を受けるために帰国したが、一族の掟を破って一人が医師免許を取得していた事に激怒して彼からの治療を拒否した。しかし、一人が盲点に回り込み顔を見られないよう手術したことでその腕を認め、和解した。

富永も彼に憧れていたが、治療後も診療所に居座っていたため、いつ帰るのかと呆れていた。


  • 道尾忠夫(みちお・ただお)

音羽医風会の麻酔医。

おかっぱ頭でちょび髭という特徴的な外見と周囲に流されないマイペースな性格をした個性的な人となりだが、麻酔医としては「プロ中のプロ」。一人をして「彼の前では麻酔を打つのは御免被りたい」と評されるほどの凄腕医師。

慰安旅行中に出くわした土砂崩れ事故の際、車の中に取り残された患者を相手に不安定な姿勢のまま腰椎麻酔や硬膜外麻酔を施すという離れ業をしてみせた。

ただし、その不愛想な性格が災いしてか患者に治療の意図が上手く伝えられずに心を閉ざされてしまった事もあり、一人の協力を仰いだこともある。

趣味は秘湯巡りで、秘湯の事になるとこれまでの堅物さが嘘のようにハイテンションで饒舌になる。

しばらく出番がなかったが第462話にて再登場。定年を来年に控え、髪や髭も白くなった。後進の育成に尽力しており、龍太郎を指導している一人と、人を育てることの難しさを共感する。


  • 相馬有朋(そうま・ありとも)

倉津大学付属病院で第一外科教授を務めていたが、作中のとある事件により死去する。本作の主人公の一人である一也に強い影響を与えた人物。自分が執刀する手術に一也を立ち会わせたり、大学での講義に参加させたりしている。

移植手術の権威だが患者の完治に拘り、臓器移植制度の限界を嘆く余り結果的に刈矢の再生医療(まだ実用段階には至ってない)の論文を握りつぶしている。

当時の法と倫理では問題があったため極秘裏に行われた1つの肝臓を2人に移植する手術を成し遂げるも、情報が漏れてしまい大きな問題へと発展した。

その苦悩や日本人の死生観による臓器不足を嘆き、クローン技術の裏組織に加担し、移植用クローン臓器に手を出してしまった。しかし、クローン臓器の矛盾とパーフェクトクローンである一也との交流で過ちに気付き、組織摘発に協力。組織の幹部から一也を庇って頭部を撃たれるも倒れず、幹部達の確保に貢献した。

頭部を撃たれてからすぐに刈矢が蘇生を試みるが脳死状態となった。その後は相馬のドナーカードと遺言状に従い心臓、肝臓、左右の腎臓、膵臓は臓器提供された。その際に心臓摘出及びレシピエントへの移植手術は一人が行い、他の臓器摘出は刈矢が執刀した。

過ちを犯したものの多くの同僚や弟子から死を嘆かれ、彼の存在は一也に医師の道を歩むにあたり大きな影響を与えた。

彼の行いによって倉津大学付属病院はマスコミから大バッシングを受けてしまい、長きに渡って暗い影を落とすこととなる。

ちなみに本業の外科医の腕前だけでなく料理含む家事全般も手抜きなくこなし、その料理の腕前は弟子の刈矢が「先生の料理はなんでも美味い」と評するレベル。


  • 刈矢俊一郎(かりや・しゅんいちろう)

倉津大学付属病院の第一外科准教授(初登場時の肩書きは旧制度の助教授)。初登場時35歳。

無精ヒゲにボサボサの長髪と身なりに頓着がなく論文も怠るが、これは不真面目と言うより現場主義であるためで患者には誠実。

相馬からは現場以外の至らなさを咎められるも医師として信用されており、刈矢も相馬に強い尊敬を抱いている。

移植だけでは救えない現状の中で再生医療に希望を見出し、論文作成にも精を入れてより励もうと踏み出すも、病院の不祥事とバッシング、そして敬愛する相馬の死によって彼の時間は止まってしまった。

事件後、再生医療の研究にも携われず、地方の分院に飛ばされ、見通しのない移植手術の練習こそこなしていたが、タバコを吸うときに逢える相馬の幻影の時にしか生気を取り戻さない日々を歩んでいた。

しかし、刈矢の処遇は、実は相馬の後任となった加賀美教授が抜け殻となった刈矢の復活を賭け、相馬と無縁の場所で時間と共に心の傷を癒やすことだった。

15年後、倉津大学付属病院で移植医療を再開することになった際、一人から説得され、相馬の思いに応えて成長した一也との出逢い、15年間の欠かさなかった努力を見ていた分院の師長の後押しにより立ち直る。そして、生前の相馬が受け持っていた患者への肝移植を成功させ、第一外科の教授となる。その時、相馬の幻影に出逢うためだけに吸っていたタバコを捨て、前に進む決意をした。


  • 富永進太郎(とみなが・しんたろう)

富永研太の父で、富永総合病院の院長。

部下に慕われ、患者ともコミュニケーションを取る名医。一方で頭が固い部分があり、息子を医者にするために野球をやめさせるなど、親子の間に溝が生じていた。しかし自身の脳腫瘍を摘出するなど、医師として立派に成長した息子の姿を見て、和解すると同時に育て上げた一人に感謝した。

息子が帰ってきてからは院長の座を譲ったものの、訪問医療部門を立ち上げて未だに現役バリバリ。一也という圧倒的な実力のスチューデントドクターの前に気落ちしてしまった研修医たちを、訪問医療に同行させて励ましたりもしている。


  • 寺井台助(てらい・だいすけ)

美容整形外科医。

ぽっちゃり系でオネエ言葉とインパクトがあるが、美容整形にあたり手術のみならずそれに伴うメンタルケアも万全な名医であり、一人からの信用も厚い。

健康体にメスを入れるという分野上の性質、美容整形分野の医療ミスによる裁判の多さ、そして寺井自身がキャッチーな広告を多く打ちメディアへの露出も積極的であることから、金稼ぎ目的の胡散臭い医者という偏見で白い眼を向けられることもままある。


  • 安倍川素子(あべかわ・もとこ)

高品総合病院の外科部長を務めていた厳しくも母性溢れる女性。

高品夫妻と同時期にドイツで医療を学んでいた縁で家族ぐるみの付き合いがあり、多忙な二人に代わって龍太郎の世話役をしていた。龍太郎からは「もっちゃん」と呼ばれて慕われている。

バセドウ病を発症して、視力低下のため勇退を決意する。


  • 高岩成司(たかいわ・せいじ)

門前総合病院の医師で、救急医療のスペシャリスト。上記の「10本のメス」を持っていた1人。

学生時代に交通事故に遭い、KAZUYAに治療される。治療の過程で、脳動脈瘤破裂に至る可能性がある血管が発見されるも当時の技術では治療困難であったため、KAZUYAからNo.2のメスを託された。後に自らも医者となり仕事に励みながらも自身の状態を把握するため健康診断を欠かさなかったが、脳動脈瘤の肥大の発生と治療の後遺症を前に、治療せず動脈瘤が破裂するその時まで医師の使命を全うしようと決意する。メスの存在を知った一人によって新たに確立された治療法を受け、その後も医師として活躍している。

その後、マントを受け継いだ一也が救った患者を急患として受け入れた際、マント姿の男が処置した話を聞き、新たなKの存在を実感した。


  • 双葉(ふたば)

高品総合病院の診療看護師の女性。

仕事の姿勢は真摯かつ冷静。目付きが鋭く一見おっかなそうに見えるが、高品院長を尊敬して彼の言葉に感涙の涙を流すなど、感情表現は豊富な方で宮坂さんとは違う意味でネタに溢れる女性。

現役のボディビルダーであり、白衣の下には見事な筋肉を隠している。

同僚の斎藤が東医体の剣道女王であることを知るや心構えを聞きに行ったり、プロレスラーの患者が退院したあとに自腹でチケットを工面してまで同僚全員を誘って復帰戦を観に行こうとするなど、スポーツとその精神に対しての造詣が深い。

真面目さ故に厳しいところがあり、腕がおぼつかない研修医には練習を促したり手伝ったりするが、やる気が希薄な龍太郎にはやや辛辣。


  • 冴草克之(さえぐさ・かつゆき)

非合法の堕胎手術などを引き受ける闇医者。幾つもの顔と偽名を持ち、冴草克之という名もその一つ。

「違法でも必要とされ、患者に感謝もされてる」と嘯き、金儲けを優先しては依頼側の非につけこんでアフターケアを雑に済ませる悪辣さを持つ。とは言え、代理母の斡旋がクローン臓器に関わっていれば(SFモノと違って、一度出産されたクローン人間を殺して臓器摘出するため)顔を青ざめて引き受けなかったと弁解したり、一人と岡元に救われた恩に報いるため協力するなど、彼なりに一線は弁えている。

違法な堕胎手術を追う岡元とその捜査に協力した一人の活躍で逮捕されるも、裁判で執行猶予に持ち込んだ。その後、ある一件で一人と岡本に命を救われたため、自らが引き受けた代理母とそれに関わるクローン臓器の調査に協力し、裏組織の追っ手から逃れるべくフェードアウト。後に村井の改心で組織の闇が暴かれると、一人たちの元に訪れて別れを告げた。


  • 野々原隆史(ののはら・たかし)

くたびれた印象の中年の医師。

困窮する児童支援施設「めだか寮」を助けるため昼夜を問わずボランティアに訪れており、子供たちにも慕われている。

一方で勤務する病院では同僚からも患者からも評判が悪く疎まれていた。ちなみに、不評の内容は患者に対する接し方や症状の説明を怠る、同僚には報連相の不備など、コミュニケーションの部分であった。

その正体は、自分が慕われている環境(子ども相手なら説明不要で済み、感謝されるため)と見捨てられた施設に手を差し伸べている自分と言う偶像に酔い、その幸福を失うことを恐れて定員数を超えためだか寮の子供5人を輸液によって殺害していたという外道。動機が動機なので、施設の窮状が改善されることは望んでいないため、病院側の担当を当番制にしようという提案も断っていた。

最後は、めだか寮を生かさず殺さずの状態に陥れながら、社会が悪いとめだか寮の窮状の責任を転嫁し始め、めだか寮出身の刑事から鉄拳制裁を受け、逮捕される。その後は、精神崩壊して取り調べで全て語ったが、いつめだか寮に戻れるかと夢想する態度に、警察官も言葉を失っていた。


  • 朝原省吾(あさくら・しょうご)

朝倉雄吾の息子。前々作で母胎内で水頭症を患い、KAZUYAの治療を受けた胎児。そのため本格的に登場したのは本作から。

アメリカで医師となり、譲介のスカウトのために来日した。

自身を父やKに及ばない凡人と評しつつも、最新機器を使えばその高みに手が届き、治療することを信条とし、設備が追いついてない現状を正したいと考えている。

海外育ちのために日本独自の医学には疎い。天真爛漫で、日本文化にも好奇心旺盛な明るい表面とは裏腹に、幼い頃に記憶にもない水頭症の経験から脳への治療にトラウマを抱え、医師として人を救うことへの使命感が強い。

譲介の渡米に伴い、アメリカへと帰っていった。


  • 末次利八(すえつぐ・りはち)

秋田で末次医院を開業している町医者。

一也の学友の緒形が秋田に帰省した際、その手腕に感動して彼の下で学びたいと決意させた。

患者の言葉に耳を傾け適確に返答し時に厳しく言い聞かせる、優れた総合医にして隠れた名医。


帝都大編集

  • 深見武彦(ふかみ・たけひこ)

大病院の院長の息子で、ラグビー部に所属する文武両道の青年。一見すると上昇志向が強い典型的な二代目キャラだが根はお人好しで人情家、出会ったばかりの緒形が倒れた際に心配したり、解剖実習ではナイーブになって大泣きしていた。

学生に見合わない一也の医療技術と知識を疑問に思いながらも友人として接していたが、船医手伝いのアルバイトに参加した際、密輸グループに船を乗っ取られる事件が発生。銃の解体など、修羅場において尋常ではない行動を取る一也に疑問が膨らんで独自に彼を調べ出すが、譲介の脅しを含めた説得とT村での経験により保留することとなる。その後、ストーロジ・ジーズニの事件で一也の出生を知っても友人として態度を変えず、同期のライバルであり友人として接し続けた。

同期の中では患者になるエピソードも多かった。

大学卒業の頃には仲間から反抗期と揶揄されながらも実家の病院以外への勤務を希望していたが、父の姿勢を理解したことで考えを改める。


  • 仙道安人(せんどう・やすと)

チャラくて軽薄な友人内のムードメーカー。

普段の言動に反してナイーブな面があり、優秀な同期達に劣等感を抱き一度は退学を意識した事もあるが、集団食中毒騒動が起きた際に偶然無事だった自分の手で皆を救い、これが自信の回復に繋がった。

最終的には試験中に泣きだす者も居たというほど難しかった戸倉教授の卒業試験を、同期共々満点でパスするほどに優秀な成績を修めている。

在学中に父が他界、当初は病死かと思われたものの、監察医・岩動瀧造の司法解剖によって暴行を受けた事が原因であると判明する。この一件により「亡くなった人間は帰ってこないが、何故亡くなったのか、何が原因だったのかが分かれば遺族の心が救われる」ことを実感し、法医学の道を目指すようになる。


  • 緒形俊司(おがた・しゅんじ)

秋田出身の落ち着きのある温和なメガネ男子。

訛りがあり当初は恥ずかしがって隠そうとしていたが、馴染めてからは気にすることなく話している。また、言うときにはハッキリ言うタイプ。

雪国育ちだがスノースポーツが苦手であることにコンプレックスを持つ。

自炊を切っ掛けに料理にハマったことで魚も捌けるようになり。その手先の器用さを活かして外科を志すようになる。

卒業後は、コロナ禍で地元に帰った際に出会った末次利八の手腕に感動し、彼の元で医師として学びたい旨を伝えた結果、その伝手で地元の総合病院にマッチングする。


  • 斉藤由貴(さいとう・ゆき)

サバサバとした正義感の強い女傑。

学生時代は剣道部に所属、患者との確執で病院に忍び込んだ暴漢を単独で叩きのめしたこともある猛者。

成績優秀で技術・知識共に申し分のないオールラウンダーだが、一方で絵が壊滅的に下手という弱点も抱えている。

卒業後は、高品院長夫人の遠縁だったことから高品総合病院に勤務。

院長の息子・龍太郎とトレードされる形で一也と宮坂が高品総合病院に来たため、現在の一也サイドを描く話ではほぼ登場する準レギュラーとなった。


  • 青山今日子(あおやま・きょうこ)

小柄で温和な性格。

友人内では一歩引いた立ち位置におり目立つタイプではないが、医療に対しては真摯で優秀。

学生時代に臨時救護班として陸上部の練習に参加した際、水中毒で倒れた生徒を前に慌てるばかりの「傍観者」となってしまう。その反省から、後に同じような状況に遭遇した際には宮坂と斎藤ですら呆気に取られて動けない中でいち早く声を発し行動する成長を見せる。

また、同期の友人らが怪我をした子供を前に喧々諤々と症例を議論し合う中、まずは子供の目線に立ち警戒心を刺激しないよう動いた彼女は「殺気を消すことができる」と評され、これを切っ掛けに小児科の道に進むことを決意する。

卒業後は目標通り小児科にマッチングして研修に励んでおり、時には先輩医師やベテラン医師を相手に毅然とした態度で物申すなど精神的な成長も見られる(そのせいで研修同期からは「番長」とあだ名されてしまった。本人は心底嫌らしい)。


  • 安田亨太(やすだ・こうた)

1話限りのゲストなのだが(悪い意味で)強烈なインパクトを残した人物。

人体解剖実習でふざけていた学生で、実習後も検体に涙する深見をからかい、挙げ句に検体の爪を持ち出して作ったストラップを見せびらかしたことで同級生たちから唖然とさせた。そのことに激怒した一也によって帝都大慰霊碑の前で叱咤され、己の過ちを悟って退学届を提出した。

余談だが、死体解剖保存法で実習用の検体は「遺族の承諾を得た上で」標本として臓器を保存できるものの、原則として全てを遺族に返還するよう定められており、勝手に持ち帰った彼の行いは刑事罰こそないが違法行為である。


警察編集

  • 岡元(おかもと)

第1話から登場した刑事。サングラスを愛用する肥満気味の男。娘が1人いる。

健康な人間に嘘で無用な治療を行い、薬を与えて荒稼ぎする悪質な無免許医者によって妻を喪ったため無免許医者を憎んでいる。医師免許を持たない一人を追っていたが、彼が技術も志もあることを知ってからは逮捕を諦め、医療絡みの事件ではアドバイスや協力を求めるようになる。

妻を奪った悪徳医師が捕まらない焦りから生き急ぐような生活をするも、それを案じた娘から相談を受けた一人が一計を案じ、知らず知らずの内に肥満治療を受けさせられダイエットに成功。娘の交際も知らされて落ち着きを取り戻す。

話のシフトが一也になってからはほとんど登場していない。


破留島の住民編集

  • 神代一郎(かみしろ・かずろう)

行方知れずとなっていた一人の父。街中で交通事故に遭った妻(一人の母)を、己の技術的には可能であったものの医師免許を持っていないがために救えなかったことから、己の存在に疑義を抱いてT村から姿を消した。

一時はクローン臓器の密造裏組織に所属するが、組織の方針に気付いて悪事には手を付けずに抜け出した。放浪の果てに第三のKの一族・神津家がいる波留島へと辿り着き、父を亡くしたばかりの神津家の末裔・海と出会い、無医村となった波留島に駐留していた。

妻を亡くした過去から己を師と慕う海と一定の距離を取っていたが、一也の来訪をきっかけに彼女を医師として鍛える決意を抱き、神津家の後見人となる。

どんな経緯か一也の境遇や故郷の様子も把握しており、ストロージ・ジーズニが一也の抹殺のため暴走したのを知って、単身ロシアへ赴いて組織を壊滅させている。


波留島に住むKの一族の一つ・神津家の少女。

島唯一の子供で島の地理に詳しく、炭鉱内の抜け道も把握している。

大雨の日に自身の外出が原因で父・一友を亡くして失意に暮れていたところ、父と同じKの一族の医師である一郎と出会い、彼に認められようと奮闘する。

一友と一郎の医療行為を見学していたため、独学で医療知識を会得している。


  • 神津一友(こうづ・かずとも)

波留島に居を置くKの一族・神津家の当主であった男性。海の父親。故人。

波留島は炭鉱が栄えた島であり、その影響で塵肺による健康被害が発生していたため、神津家はその治療に尽力した一族である。

ある大雨の日、炭鉱から出られなくなった海を助けたが自身は泥流に呑み込まれて命を落とした(屈強な大人の自分でも対処できない激流から、子どもの海が救うことは不可能であり、むしろ自分を救うため海も巻き込んでしまうのは明白だったため、海の手を取らなかったのが真相だった)。


その他の登場人物編集

  • 竹宮穂波(たけみや・ほなみ)

日読新聞の記者。

張っていた政治家の病院に潜入しようとして一人と出会う。当初は強引に入院しようとして階段から転倒し、本当に腕を骨折し入院してしまった。堅物の一人に苦手意識を抱く。しかし本当の病気に気付いた一人の治療を受け、さらに彼の計らいでスクープをものにする。

その後も周囲の人間が一人の治療を受ける縁があり、彼に好意を抱いたものの、一人とマスコミの接点が生じずにフェードアウトしていった。


  • ラスカー・ジリノフスキ

前作で登場した一昭の配下。本作にて名前が判明した。

ロシアで一昭の墓守となったが一昭の持つクローン技術を国が放っておかず、後継の研究のお目付役となっていた。

しかしストーロジ・ジーズニの暴走によって研究員を殺され、更に研究データから一也に標的を定められたため、ビクトルを留学生の身分で護衛として日本に派遣。自身も日本に訪れ、KEIたちと合流して一也の護衛と事件の鎮圧に協力する。

前作で真っ向勝負ならKAZUYAとTETSUを圧倒した男で、本作でもボディアーマー装着があったとは言え銃撃されても怯まず、その戦闘能力は健在。


  • ビクトル・アントノフ

ロシアから帝都大に留学してきた医大生。

アニメ好きの柔道家で親日家。車のバッテリーでAEDの代用をこなす機転も持つ。

実はラスカーが一也の護衛のために派遣した人物で、一也やKEIと接点を持つべく行動する。

双子の兄弟のバレリがストーロジ・ジーズニに所属していることに心を痛めている。


  • バレリ・アントノフ

ビクトルの双子の兄弟。

幼い頃に貴族の養子となって医学生の道を歩み、同じく医学の道に進んだビクトルと再会する。

双子でありながら、富裕層に引き取られて何不自由なく過ごした自分と、極貧生活を強いられたビクトルとの境遇の差に憤りを覚えていたためにストーロジ・ジーズニの理念に取り憑かれ、文明の発展こそ誤りだと言う結論に飛びついてしまった。

しかし人としての良心は失っておらず、まだ尖兵として殺人にまでは手を染めていない。また、医療で助かる命とストーロジ・ジーズニの教えとの矛盾に戸惑う姿も見せる。


余談編集

作者の趣味か、一部のキャラクターの名前がスーツアクターに由来していると推測されている(富永研太→富永研司、高岩成司→高岩成二、岡本→岡元次郎など)。

シン・仮面ライダー』公開時に配信された445話では、紺郷タケシ十文字勇人が登場した。

また、246話においてゲルバデス級航宙戦闘母艦に由来すると思われる病院が登場するなど、宇宙戦艦ヤマト2199のネタも散見される。

一方、作者の趣味である野球ネタはかなり控えめとなっている。


「スーパードクターK」の頃は外国の首都が核爆発で吹き飛ぶ、邪魔な人間は手術室ごと葬り去る院長が登場するなど極めて治安が悪い世界観だったが読者の年齢層が上がっているためかそういった過激な描写はK2では控えめ。ファンは冗談半分で「KAZUYAが前作で悪い奴を叩きのめしたから平和になった」と称することも。


関連リンク編集

コミックDAYS連載ページ(最初2話と最新2話が無料購読可)

マガポケ連載ページ(スーパードクターKシリーズとしてまとめられている)


関連タグ編集

スーパードクターK

ギュッ K2構文


ブラック・ジャック…別の出版会社の漫画、無免許医やアウトロー医者がいるなどの共通点があるが、ブラック・ジャックは『個』の非合法のアウトロー、K2は公認の『医療全体』のスーパードクターという似て非なる部分がある。

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