高岩成二
たかいわせいじ
16歳の時、真田広之に憧れてJAC(現在のJAE)の養成所に入所。高校卒業後所属となる。
養成所時代から、後楽園ゆうえんち(当時の東京ドームシティ)のアトラクションでヒーローを演じたのち、1989年『仮面ライダーBLACKRX』でのライダーマン役でスーツアクターとしてTVデビューし、1992年『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のドラゴンレンジャー役で、TV本編のメインキャラのスーツアクターを本格的に担当。
1993年では『仮面ライダーZO』で悪役、ネオ生命体・ドラスの役を担当。元々、ドラスは横山一敏だったが、『特捜ロボジャンパーソン』に参加するため、途中で交代された経歴がある。
1994年『忍者戦隊カクレンジャー』でスーパー戦隊シリーズの戦隊レッドを初めて担当。メタルヒーローシリーズでのヒーロー担当(『ビーファイターカブト』のビーファイターゲンジ。フリオ・リベラ役として顔出し)を経て、1998年の『星獣戦隊ギンガマン』から3作続けて戦隊レッドを担当。
そして2001年の『仮面ライダーアギト』以降、『仮面ライダー響鬼』を除く全ての平成ライダーで主役を演じており、ファンからは尊敬を込めて「ミスター平成ライダー」と呼ばれている(『響鬼』が放送された2005年では『魔法戦隊マジレンジャー』でマジレッドを担当しているほか、同作の女怪人も好演した)。
また、2007年の『仮面ライダー電王』では、電王全フォームに加えてモモタロスのスーツアクターも担当しており、高岩はじめイマジンたちのコミカルな演技が、番組が爆発的な人気を得る原動力の1つとなった。
『仮面ライダーディケイド』でディケイドが変身したクウガと響鬼を演じた事で、名実共に平成ライダーシリーズ全ての主役ライダーを演じた事になった。
2019年、「電撃ホビーウェブ」内のインタビュー記事にて、主演ライダーは当時担当していた『仮面ライダージオウ』までで終了することを公表。このインタビュー記事は高岩と『仮面ライダーゼロワン』の縄田雄哉の両名が同時に受けており、高岩は戦隊からライダーに移ったばかりの頃は演技にダメ出しされ続けたエピソード等を語り、縄田は高岩のように周囲に影響を与えるような芝居を作っていきたいと抱負を語った。
アクターのバトンタッチをしたのは平成から令和への改元というきっかけもあるが、『ジオウ』にて常磐ソウゴ役の奥野壮が自分の息子より歳下ということに気付いて本格的に世代交代を考えたとか。
そして『ゼロワン』では仮面ライダー滅のスーツアクターとして登板することになった他、ジオウとゼロワンの冬劇場版では仮面ライダー1型のスーツアクターも担当した。
また、『未来戦隊タイムレンジャー』で高岩演じるタイムレッドの変身前を演じた永井大が、同時期の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』にマスターブラックとして出演した際は、彼が変身したリュウソウブラックのスーツアクターとして再び戦隊シリーズに帰還した。
2021年に著書『時は今-- 歩み続けるその先へ ACTion 高岩成二』を出版。
その最終章にて、今後は妻の村上利恵が運営するワークショップ等で後進育成をメインに活動していきたい旨を綴った。
前述したように、2020年中盤までは『ゼロワン』にレギュラー出演していたが、『セイバー』以降は出演しておらず、その発言を裏付けている。(顔出し出演は例外であり、実際『仮面ライダーリバイス』のスピンオフ作品『Birth of Chimera』では大谷希望の父親役で出演している。)
2021年10月31日をもって、JAEを退所。フリーランスとなった。
現在は夫人の村上が運営しているアクションチームでアクション指導をしている。
演技傾向
非常にカッコイイスタイルと卓越した演技力の持ち主で、各作品ごとにきっちりと演技を分けている事で知られている。その格好良さは衰えることを知らずむしろ日々進化している。
著書『時は今』によると、高岩が務める前の戦隊レッド(主に新堀和男が務めた)は、変身前のキャラクターが何であれ、変身後は王道的な正義のヒーローという演技となるのが常であった。
長身でガタイのいい新堀と同じことをしても映えない(高岩世代のスーツアクターは新堀世代よりも細身の者がほとんどだった)と考えた高岩は、変身前のキャラクターに準じた演技にした。
こうした「変身前後のキャラクターの統一」は当時としては異端であり、現場監督からは不評であったが、高岩はそれに抵抗し、現在ではそれがスタンダードになった。
演じる役のキャラクター性を掴むために、あえてアドリブを突っ込むこともあり、特に「折れたぁ!?」「はい変わったー」は、平成ライダーの迷場面として親しまれる。
MOVIE大戦などライダー大集合映画は原則として最新ライダーを演じているとのこと。
ただし例外としてモモタロスはどの状況でも全て高岩さんである。
仮面ライダー電王クライマックスフォーム(通称:てんこ盛り)の演技のせいなのか、「2人で1人の仮面ライダー」であるWは当時、開発サイドから「高岩が絶対参加すること」との指定が来たとか…
同じスーツアクターである岡元次郎とはライバル役で組むことが多く、彼とのバトルシーンは息のあった緊迫感溢れるものが多い。年代によって高岩が悪役、岡元がヒーロー役を演じたり、その逆もしかりである。
スーパー戦隊シリーズでも共演しており、どちらもヒーロー役又は怪人、ロボットを演じている事がある。
2022年の座談会でのインタビューにおいて、一番好きなライダーを決めて欲しいとの質問を受けた際には、悩みに悩んだ末に『アギト』を挙げている。
俳優として
スーツアクター以外にも顔出しでドラマに出演しアクションを披露している。東映特撮では、(先述の通り)『ビーファイターカブト』のフリオ、そして『仮面ライダーゴースト』では第31話より敵幹部など。
一般ドラマでも、ガタイやアクションスキルを活かし、SP(セキュリティポリス)などを演じることが多い。『絶対零度』や『ルパンの娘』ではライダー俳優経験者と共演しており、後者ではそれを意識したであろうシーンが組み込まれている。
『世にも奇妙な物語』では覆面の男という役でサプライズ出演し、ファンを驚かせた。
2022年には、「ひかりTV」オリジナルドラマ『グッドモーニング、眠れる獅子』でドラマ初主演を務めることとなった。(しかも、共演者には椿隆之や井上正大、佐野岳、西銘駿など嘗て高岩と共にそれぞれの主人公像を作り上げた名優達が集結している。)
翌2023年には続編も決定。こちらにも共演者には賀集利樹、半田健人、ケイン・コスギなど高岩との共演経験がある役者、嘗て高岩と共にそれぞれの主人公像を作り上げた名優が集結している。
- 平成ライダーを支えてきたレジェンドである為、ファンからは分身したり、分裂したり、腕が伸びちゃったり、変形してもおかしくないという信頼を寄せられる事も。
- また、手の開き方に特徴があるらしく、新ライダーの画像が出回った際には有識者に一発で正体を看破されてしまう事も。
- ちなみに高い所(演技中は平気らしい)とダンスは苦手である。
- 別の人間が投げたアイテムを受けとるカットの撮影で既に持ってる状態で受け取った芝居をよく行ってることから「高岩キャッチ」と呼ばれている。
- 風都探偵で左翔太郎がクラブ・ドーパントを攻略するべく一夜漬けで空手の型を習うのだが、翔太郎に空手の型を教えたのが、柔道家にしてスーツアクターの鷹岩降雄(たかいわ・ふりお)と明言こそされてないもののまんまモデルが高岩とわかりやすい人物であるというエピソードがある。
- 『劇場版仮面ライダービルド Be The One』で共演した才賀涼香役の松井玲奈が高岩を見てキャピッていたらしく、それに嫉妬した上堀内佳寿也監督らスタッフから罰ゲームとしてビルドの数あるフォームの中でもかなり動きにくいタンクタンクフォームでロケ地の北九州を走らせたというエピソードがある。
- 高岩がスーツアクターを務めたライダーの1体・仮面ライダー滅 アークスコーピオンの変身音に"The conclusion after evil climbs the top of the highest mountain of rock".= 「高き岩峰の頂へと至った悪意に続く結論」と高岩の存在を示唆するワードが入っている。これはかなりのライダーオタクかつ英語に詳しい人でないとわからない、かなり凝った小ネタである(狙ったのかは不明)。
- 『グッドモーニング、眠れる獅子』で共演した西銘によると撮影の時、「この後アクションシーンだから食うんだ。」と楽屋に弁当2つ持っていき、3口食べて爆睡するというおちゃめな姿を見せた。
- 同じく『グッドモーニング』の座談会で、フォーゼ、ダブル、オーズの3ライダーが登場した『MOVIE大戦MEGAMAX』の時、Wとオーズに変身する桐山漣、渡部秀、菅田将暉から「どれに入るんですか?」と聞かれた時、MOVIE大戦のようなクロスオーバー作品の場合は公開当時の主役ライダーに入ることになっていたため、「フォーゼに入る。」と言ったら3人揃って「はーん、やっぱりそうなんですね…。」と嫉妬されたが、この時のMOVIE大戦の監督が坂本監督だったため、監督による粋な計らいで、アクションは別のスーツアクターに担当してもらったものの、変身シーンだけはダブル、オーズ、フォーゼの3ライダーに入ったと明かしている。
- それ以外の冬映画でも歴代主役ライダーが共演したさいには上述のように放送時点でのメインライダーに入るため客演した主人公の俳優達からは恋人の取り合い見たいになっている。
- また、渡邉美穂演じるアイドル絹貴玲美を事務所のブラインド覗きながら社長室から出てくる玲美に対して「玲美さん!家までお車でお送りします」というセリフが恥ずかしかったと話しており、共演した佐野岳や井上正大にオタ芸じゃ無いんですか?と聞かれると事務所でのシーン以外では、「俺はライダー.俺はライダー」と仮面を被ってるていで芝居をしてたが、「玲美さんお車でお送りします」と言った言い回しのセリフが特撮に無かったから難しかったと話している。
- さらに同作では、高岩とキャラを作ってきた俳優陣が高岩とアクションをするため、ほとんどのキャストが「一緒にキャラを作った高岩さんを殴るのは自分を殴る感覚」や申し訳ないと躊躇いを見せる中、通りすがりの破壊者を演じた井上はオファーを聞いた際に「高岩さんをボコれる!」と嬉しそうにしている。
- グッドモーニング内でシェフやマネージャー等色んなことをやった高岩だが、監督の坂本浩一によると、まず最初に坂本も敬愛してるジャッキー・チェンやブルース・リーはこれをした、なら高岩成二に何をやらせようとスタッフと脚本家で考えるところから始めると高岩との対談にて語っている。
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