「あ~、剣が泣いてるな」
演:永井大
概要
ある日、突然姿を消したらしく、バンバとトワは彼の行方を追っていた。
本編より数百年前にマスターグリーンと協力してドルイドン族の一部を迎撃した。
活人剣に近い思想の持ち主らしく、力や命を「活かす」事に重きを置いた戦いのスタンスを取っており、バンバへの教えにもそれは如実に表れている。故にバンバも彼の事を「最高のマスター」と評する程の人格者であり、敬愛する恩師だった模様。
先代の黒き師
まだ幼く、未熟だった頃のバンバが強さを求めて遮二無二剣を振る様子を見て、上記の台詞を発しながら彼の前に現れると同時に、「ただ力に頼ってぶん回すな。剣に伝わる力を意識しろ。それを活かすんだ」と指導。その後の修行でへばるバンバに水を分け与える優しさも見せている。
更に、日が暮れて修行を切り上げようとするも、早く自分の様に強くなりたいと気持ちのはやるバンバに対し…
「今日はもう終わりだ。自分の体を無茶に振り回しちゃ駄目だ…限界を認めろ。強くなってどうする?強さをどう活かす?」
そう言って自身の身体を労わると共に、強くなる事の意味とその活かし方を問い掛ける。
斯様な点から剣を振るう膂力は勿論、自身の身体とその強さ…あらゆる物を活かす事を自身の戦いの身上としている事が窺い知れる。やはりその思想は活人剣に近い様だ。
やがて数十年の時が流れ、マスターブラックはバンバにリュウソウケンを託す。「俺にはまだ…」と戸惑うバンバに対し、マスターブラックは言う。
「お前にはもう、大事なソウルが備わっている。お前は自分の力を活かせるようになった。自分の周りにいる大事な物を知り、それを守る為に強くなった。お前はトワと2人で生きていけ。グリーンリュウソウルは、トワに授ける」
てっきりグリーンは同門のナダが受け継ぐものと思っていたのに、弟に授けると言われてますます困惑するバンバ。マスターブラックは尚も告げる。
「トワには光がある。俺もお前も持っていない光だ。あいつを守り抜け、それがお前の使命だ」
そんな彼の事をバンバも「最高のマスター」と評し、敬愛していた。ところが………
裏切りのマスター
或る日を境に、マスターブラックは突如バンバを裏切り、敵に回ってしまう。多くの同胞達と共にボロボロとなって転がるバンバに対し、マスターブラックは冷淡に「リュウソウルを渡せ」と言い放つ。
「俺に皆を守れと、あんたが言ったんじゃないのか!?」
激昂しながら叫ぶバンバだったが、マスターブラックは「お前には何も守れない」と無情に返すだけ。両者が激しく剣をぶつけ合う中、トワの居所を問われたバンバは「眠らせた」と回答。それは尊敬する自分達の恩師が、裏切って闇に堕ちた姿を弟に見せたくなかったが故の行動だった。
そんなバンバに対し、マスターブラックは「お前は甘い!」と叫び、容赦の無い攻撃を繰り出す。
裏切りの師の攻撃を受けて薄れゆく意識の中、最後にバンバが耳にしたマスターブラックの言葉は、「エラスを守らなくては…」と言う意味深なそれであった……。
バンバがトワ以外の他者を信じられず、絆と言うものに対して否定的なのも、尊敬する恩師からの裏切りがトラウマとして心に強く残っているからなのは火を見るよりも明らかだろう。
裏切りの真相(ネタバレ注意)
長らく行方をくらませていたが、終盤でその所在と「裏切り」の真意が判明する。
500年ほど前、マスターグリーンと共にドルイドンと戦っていたのだが、その最中に地底に落下。そこで見たものは、地中に封印されていたドルイドンの主であるエラスだった。マスターブラックは調査を進める中で、プリシャスとサデンが「宇宙に潜伏しているドルイドン幹部に地球を襲撃させ、リュウソウカリバーを抜かせることでエラスが復活するように仕向ける」計画の話をしているところに遭遇する。その際に自分に気づいたサデンを倒し、サデンに変装してドルイドンに潜入し、計画の阻止のために動き出した。
「エラスを守らなくては」という発言はエラスを守護するのではなく、エラスの封印の解除の阻止のことを指すものであった。
そのため、実際にはバンバ達を裏切ったのではなく、ドルイドンに潜入するという危険な任務に彼らを巻き込まないために自分から遠ざけようとしたのが真意であった。
ただし、エラスがリュウソウカリバーの力を吸収し始めたことを察知したセトーの判断により、後にコウとカナロによりリュウソウカリバーは抜かれ、マスターブラックの当初の目論見は崩れている。
プリシャスは正体に感づいていたようで、ドルイドンへの「裏切り」への保険として、マスターブラックの心臓を奪い掌握していた。その後コウもサデンに変装したことにより、マスターブラックの心臓は奪還された。
ドルイドンとの決戦ではプリシャスの動向を探ろうとするが、取り戻したばかりの心臓がまだ馴染んでいないことを心配したバンバの(非常に不器用な)気遣いによって、今代のリュウソウジャーに全てを託して残ることになった。
最終決戦が終わった後は広い世界を見るため旅立ったトワを見送ったバンバの元に現れ、相変わらず無愛想なことをからかった。最終的に先代のマスター唯一の生存者となった。
余談
演者の永井大氏は、2000年放送のスーパー戦隊シリーズ作品『未来戦隊タイムレンジャー』にて、主人公である浅見竜也/タイムレッドと同作のキーパーソンであるリュウヤ隊長の二役を演じていた。
同氏はこの頃は「永井マサル」の芸名で出演しており、その後学業専念の為に一年ほど一時引退(この影響からか当時のスーパー戦隊Vシネマは『ガオレンジャーVSタイムレンジャー』ではなく『VSスーパー戦隊』になった)。した後、現在の名義で再デビューした経緯がある。
その為「彼がスーパー戦隊に客演するのは事務所からNGが出るので無理」といった風説があったようだが(実際に2004年に発売された『未来戦隊タイムレンジャー』のDVDに付属している解説書に掲載されているメンバー6人のキャストインタビューでは永井のみ未参加)、本作から5年前の『VS嵐』の放送にて元々特撮ヒーローだった事はオープンな賀集利樹やつるの剛士らと共にタイムレッドの変身ポーズを披露しており、少なくとも彼自身は戦隊メンバーであった事を黒歴史扱いしてはいない事が判明した。
そして今回別の役とはいえ、20年ぶりのスーパー戦隊シリーズへの再出演が無事果たされた事により、こうした風説は完全に払拭されたといえる。
また第13話にてバンバの過去を知るリュウソウ族の狩野澪子役で、永井氏の妻である中越典子氏が出演していたが、今回のキャスティングで第13話は大きな伏線であった事が判明した。
公式に発表された当時は、「タイムレッド」がトレンド入りし永井氏の20年ぶりの戦隊出演を祝福する声で溢れていた。また既に引退しているユウリ/タイムピンク役の勝村美香氏以外のタイムレンジャーのメンバーも関連ツイートを発信している。
また、さらにマスター版リュウソウブラックのスーツアクターは高岩成二氏が務めることも報じられ、20年ぶりにタイムレッドのタッグが復活することとなった。
なお、高岩氏は同時期に『仮面ライダーゼロワン』で仮面ライダー滅のスーツアクターを担当しており、スケジュールの合間を縫っての出演だった。
関連タグ
騎士竜戦隊リュウソウジャー リュウソウ族 リュウソウブラック
浅見竜也/タイムレッド・リュウヤ隊長(未来戦隊タイムレンジャー):中の人繋がり。素の性格や考え方は竜也に近いが、作中での行動や表面上の言動はどちらかと言えばリュウヤに近い。
狩野澪子:お互い顔見知りらしい。中の人同士は夫婦
桐生ダンテツ:前作の恐竜系スーパー戦隊の登場人物。敵組織の野望を阻止する作戦の一環で味方を裏切るような行動をとった事が共通している。ただし、マスターブラックのその行動期間が数百年規模だったのに対し、ダンテツのそれは数時間(1日?)程度のものである。