来歴
1986年10月21日生誕。鹿児島県出身。高校の卒業後にドラマや映画の世界に憧れて一念発起、上京後にはスポーツ、報道、情報番組など様々な現場で経験を積むこととなる。
その後、劇場作品『さらば仮面ライダー電王』に参加したことをキッカケに『仮面ライダーキバ』辺りから平成仮面ライダーシリーズの助監督としてコツコツ活躍。
意外にも上堀内氏が特撮を知ったのは『さらば電王』の時が初めてで、それまで仮面ライダーや戦隊モノに興味もなければ制作会社へ履歴書を送ることもなかったが、それまでバラエティー番組を中心に活動していた上堀内氏には演技とアクションの両面に力を入れる特撮の番組制作は大きな衝撃を受けたという。
やがてショートドラマ『アラン英雄伝』を経て遂に現在でも高い評価を得ている『ゴーストRE:BIRTH 仮面ライダースペクター』にて初の長編監督作品を担当し、この時の支持も相まってあれよあれよと『仮面ライダーエグゼイド』では念願のTVシリーズで監督を務めるようになっていく。
なお、この少し後には劇場作品でも『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』や『Be The One』などを担当、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』ではパイロット監督を務めるなど、現在でもプロの監督として活躍を続けている。
作風・人物
作風としては若干アニメチックとも取れるメリハリのある演出が特徴的であり、一つのシーンにおけるインパクトの強い演出を撮ることに抜きん出ている。
『RE:BIRTH 仮面ライダースペクター』では、シンスペクターとエヴォリュードの最終決戦で、卓越したCG技術とワイヤーアクションを用いて 7つの大技であるシンダイカイガンと必殺技のデッドリーオメガドライブを全て披露する といった白熱のバトルを魅せた。
『エグゼイド』の仮面ライダークロノスのポーズ演出や、『ビルド』におけるハザードフォームの暴走シーンやグリスブリザードの登場回は、最早ファンの間では語り草の一つ。
近年では スライディングアクション に味をしめたのか、最光エクスソードマンのフォームチェンジやリバイのゼロ距離射撃、ジャックリバイスのローリングバイスタンプを転がしながらの移動などスピーディーな戦闘描写にも力を入れている。
CGやドローンなどの最新技術にも積極的に取り組んでおり、『ゼロワン』における迅・バーニングファルコンや『リュウソウジャー』のマックスリュウソウレッド、『セイバー』でのサーベラの狼煙霧虫シーンなど、CGと実写を巧みに組み合わせた独特な演出技術は一部のファンに「上堀内演出」や「カミホリ演出」と呼ばれ愛されている。
最新のメイン監督作である『王様戦隊キングオージャー』はカミホリ演出の新境地とも言えるものとなっており、39話の宇蟲五道化とキングクワガタオージャーの戦闘では、最新のCGテクニックであるソニーPCLを配備してる白河BASEのボリュメトリックキャプチャを駆使した今迄にない映像を撮っている。
CGを用いた特撮について『今までやろうと思ったことなく思いつかなかったことを思いつける可能性と発想を持っている』と語っている。
無論、アナログ撮影もお手のもので『仮面ライダージオウ』第12話での過去と未来の鎧武アーマーが時を越えてリンクする場面や『平ジェネFINAL』のバイクシーンといった、迫力満点で見応えのあるシーンも数多い。
また、上記のあまりに印象深いシーンが多すぎるが故にヒーローたちのアクション面や演出面が話題となることが多い彼だが、登場人物たちの演技面では『エグゼイド』でのライバルキャラが主人公に圧倒される中で命の重みを泣きながら懺悔するシーンやVシネ『スペクター』での自身の出生に苦悩する主人公といった、人物表現での手腕も随所に見られる。
それらの人物表現やキャラクターの関係性を表すためにわざと無音にする演出を取り入れている。
さらに、光の演出による陰陽の引き出しにも定評があり、上述の『ビルド』におけるハザードフォームや『リバイス』第39話におけるホーリーライブの変身、『深罪の三重奏』における陰惨なシーンの描写などもかなり高い評価を受けている。
なお、自他共認める程撮影に対しては強い拘りを持つことで知られており、上記の『平ジェネFINAL』における爆発をバックに6台のバイクが一斉に駆ける場面はハイスピードカメラを使用して何度も爆発やバイクが揃うタイミングを調整してなんとか撮りきったらしい。
演技指導に関しても厳しい一面があるらしく、『ジオウ』11~12話では「ツクヨミをこれまでより可愛く撮りたい」とツクヨミ役の大幡しえり氏には何度かリテイクを繰り返しており、明光院ゲイツ役の押田岳氏が「トラウマになってた」と語る程ガッツリ指導した(なお、大幡氏も後にファンブックや読本などで11~12話のエピソードに触れている)。
ちなみに、そんな彼に対して唯一対等に反論できたのは三浦涼介氏。彼とは同い年だったため、助監督時代の『ooo』撮影期間中に考えの不一致で一時期口論になるほど対立していたものの、あくまで作品を良くするための意見の衝突であり、「ただの喧嘩ではなかった」と語られている。
後に『平成ジェネレーションズFINAL』にて三浦氏がアンクとして客演した際には上堀内氏が監督に昇格していたため、互いに感慨深くなった模様。
そんな厳しい一面とは裏腹に一部のキャストには「カミホリさん」と慕われ、ファンにはその撮影技術から名前を取って「神堀内監督」と言われることもある。
また、『平成ジェネレーションズFINAL』でのスタントカーの爆破シーンから「車を破壊する監督」として挙げられることも多いが、公式側でもそのような認識がされており、さらにTTYOで2024年元旦に配信された『劇場版仮面ライダービルドBe The One』ビジュアルコメンタリーによる本人談によれば、「映画といえば爆発させられるんじゃなくて、車をいつでも爆発させたいけど、映画だったらやらせてくれるから映画でやる」のが本当のところらしい(また助監督時代を含めて結構な数の私物の車も参加しているらしい)。
さらに『Be The One』は監督としてまだ若く手探りなところもあったためかコメンタリー内でもう1回編集して良いと自己分析している。
さらにパイロット監督として担当した『キングオージャー』は撮影の9割がグリーンバッグで行われるため爆発するにも実際のナパームやセメントではなく合成のため生の爆発を起こす機会が訪れず、「爆発させてくれぇぇぇぇ!」と禁断症状を起こしてる。
また、同作で撮影に使用された車(郷原光臣が地下駐車場で乗っていたもの)は監督の私物であり、カースタントのシーンでスタントマンがサイドブレーキを強く引きすぎて現場から帰れなくなりそうになったことがあるという。
さらに上述の厳しい演技指導にも触れられグリスブリザードやハザードなど上堀内監督の担当回が多かった猿渡一海役の武田航平氏や『ビルド』の当時のプロデューサーの谷中氏によれば、「他の組と比べ上堀内組になるとキャストはみんな監督が求めるものに対して本気になる」と語っており、監督も自分達演出チームが求めたものに対してみんな本気出してくるからゴールが見えて来ないと話している。
これらの演技指導などから武田氏からは石田秀範監督の演出技法を受け継いだ石田イズムの継承者と評されている。
本人も助監督時代は石田監督に弟子入りして演出の仕方などを勉強したと語っている。
監督作品
仮面ライダー&戦隊シリーズ
- 『仮面ライダーエグゼイド』(2016年~17年)
- 第31話「禁断のContinue!?」
- 第32話「下されたJudgment!」
- 第39話「Goodbye 俺!」
- 第40話「運命のreboot!」
- 『仮面ライダービルド』(2017年~18年)
- 第3話「正義のボーダーライン」
- 第4話「証言はゼロになる」
- 第21話「ハザードは止まらない」
- 第22話「涙のビクトリー」
- 第29話「開幕のベルが鳴る」
- 第30話「パンドラボックスの真実」
- 第31話「ほとばしれマグマ!」
- 第46話「誓いのビー・ザ・ワン」
- 第47話「ゼロ度の炎」
- 『仮面ライダージオウ』(2018~19年)
- EP11「ジオウ・オン・パレード2018」
- EP12「オレ×オレのステージ2013」
- 『仮面ライダーゼロワン』(2019~20年)
- 第25話「ボクがヒューマギアを救う」
- 第26話「ワレら炎の消防隊」
- 第27話「ボクは命を諦めない」
- 『仮面ライダーセイバー』(2020~21年)
- 第5章「我が友、雷の剣士につき。」
- 第6章「疾風の如く、見参。」
- 第25章「煙をまといし、真紅の刺客。」
- 第26章「深き闇、剣と共に。」
- 第42章「はじまる、美しい終わり。」
- 第43章「激突、存在する価値。」
- 『仮面ライダーリバイス』(2021~22年)
- 第5話「世直しライダー!裏切り者は誰だ!」
- 第6話「エビルの正体!衝撃のショータイム!?」
- 第13話「フェニックス危機一髪!」
- 第14話「司令官は…デッドマン!?」
- 第24話「狩崎博士の戻せ!あべこべ大作戦!」
- 第25話「よみがえる!ベイル!?五十嵐家の記憶」
- 第39話「希望と絶望、三兄妹の葛藤」
- 第40話「家族か世界か…魂の兄弟喧嘩!」
- 第47話「狩崎の反乱、変身の代償」
- 第48話「覚悟の証明! これが…日本一のお節介!」
- 『仮面ライダーギーツ』(2022年)
- 第7話「邂逅Ⅵ:ラスボスと缶けり」
- 第8話「邂逅Ⅶ:切り札ニンジャ」
- 『仮面ライダーガヴ』
- 第11話「あまい言葉にご用心!」
- 第12話「ドーナツがつなぐ絆」
- 『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019~20年)…パイロット監督
- 第1話「ケボーン!!竜装者」
- 第2話「ソウルをひとつに」
- 第19話「進撃のティラミーゴ」
- 第20話「至高の芸術家」
- 第32話「憎悪の雨が止む時」
- 第33話「新たなる刺客」
- 第46話「気高き騎士竜たち」
- 第47話「幸福と絶望の間で」
- 第48話「地球の意思」
- 『王様戦隊キングオージャー』(2023~24年)…パイロット監督
- 第1話「我は王なり」
- 第2話「誰がための王」
- 第3話「我がままを捧ぐ」
- 第4話「殿のオモテなし」
- 第5話「冬の王来たる」
- 第12話「6人目の王様」
- 第27話「宇蟲王の到来」
- 第28話「シャッフル・キングス!」
- 第29話「王様失格」
- 第37話「イロキの乱」
- 第38話「不動のアイドルデビュー」
- 第39話「ンコソパ頂上決戦」
- 第48話「さらば、親愛なる民よ」
- 第49話「王はここにいる」
- 第50話「俺様たちが世界を支配する」
劇場映画作品
- 『平成ジェネレーションズFINAL』(2017年)
- 『劇場版仮面ライダービルドBe The One』(2018年)
- 『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』(2019年)
- 『映画 王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』(2023年)
Vシネマ・オリジナルビデオ作品
- 『アラン英雄伝』(2016年~17年)
- 『ゴーストRE:BIRTH 仮面ライダースペクター』(2017年)
- 『深罪の三重奏』(2022年)
ネットムービー作品
- 『仮面ライダーエグゼイド【裏技】ヴァーチャルオペレーションズ』(2016年)
- 『仮面戦隊ゴライダー』(2017年)
ドラマ作品
- 『特捜9 season3』(2020年)
- 『特捜9 season4』(2021年)
- 『管理官キング』(2022年)
- 『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』
関連タグ
グリスショック…『ビルド』第47話
ナダショック…『リュウソウジャー』第33話
43話ショック…『セイバー』第43話
いずれの回も、劇中で重要な場面やインパクトのある決戦シーンが印象的なターニングポイントとなった名エピソード。なお、これらの回は全て上堀内佳寿也監督回である。これだけでもいかに彼の演出が視聴者に深く刻まれたかが窺えるだろう。