概要
シベリア東部のベーリング海からカムチャツカ半島にかけて住むといわれる少数民族である、コリャーク人の伝承に登場する精霊。
食べたものに幻覚や興奮をもたらす毒キノコ・ベニテングタケに住んでおり、人をたぶらかして食べさせてその毒で苦しめるとされる。
キャロル・ローズ著「世界の妖精・妖怪事典」によれば、ヴァパクはベニテングダケを食べた人間を支配下に置くといい、例えば少量のベニテングダケを食べた老人にヴァパクが「お前は子供に戻った」と告げれば老人は赤ん坊のように泣き出し、ヴァパクが「あの世に行け」と告げれば老人はすぐに死んでしまうという。
なお修行を行ったシャーマンはこのキノコを摂取することで、様々な神託を得るといわれており、そういった神秘的な力を神格化した存在なのかもしれない。
またこのキノコを興奮剤として必要量摂取することで、疲れを忘れて活動できるという、少数民族の元に訪れた探検家の記録も残り、ソビエト連邦の捕虜となり、シベリアの収容所に送られた日本兵の手記にもそのような描写がある。
生物学的には北方に分布する種は、土壌や気候の関係で毒性が特に強いとされる。
創作での扱い
ベニテングタケの傘をさしている少女姿の妖精。小悪魔ヴァパクや眠りのヴァパクなどもいる。