概要
ピシャーチャはブラフマーによって創られたとも、様々な悪鬼の母であるクローダヴァサー(怒り)から生まれたといわれる。リグ・ヴェーダではインドラに打倒される存在として言及され、ヤジュル・ヴェーダではアスラやラクシャーサと共に邪悪な存在として語られる。
ピシャーチャは人肉、特に屍肉を喰らう存在で、夕暮れ時の火葬場でブータ、ヴェータラ、ヤクシャなどの悪魔とともに集まって跳梁し、この悪魔の群れを見た人間は九ヶ月以内に死ぬといわれる。
さらにピシャーチャは人間に視認できないように自在に姿を変えることが可能で、人があくびをした瞬間に口から入り込んでとり憑いてしまう。その為インドでは、あくびをする時は口を手で覆ったり指を鳴らしたりしてピシャーチャなどの悪霊がつけ入る隙を作らないようにするといわれ、アタルヴァ・ヴェーダには人にとり憑いたピシャーチャを追い出す為の薬草やマントラ(呪文)が記されている。
正体は非常に醜い姿をしていると伝わっており、インドでは相手を侮蔑する際にピシャーチャの名を出すこともあったという。
仏教においては持国天の従者とされ「毘舎闍/畢舎遮/毘舎遮(びしゃじゃ)」と音写され、五穀の精気を吸う鬼「啖精気/啖精気鬼(たんしょうき)」と漢訳される。
フィクションにおける扱い
女神転生シリーズ
※メイン画像も
ハマ系に弱い種族・悪霊や幽鬼である雑魚悪魔として登場。あまり目立つ敵ではなかったが『デビルサマナー』シリーズ以降、目が飛び出したインパクトのある姿になり、吸血やバイツァ・ダストなどの強烈なスキルを持つという個性が与えられている。
詳細は幽鬼ピシャーチャの記事参照。
ベルセルク
物語の舞台ミッドランド王国に侵略を開始した恐帝ガニシュカ率いる、東方の大国クシャーン帝国。仙将ダイバの外法で怪物に変えられ使役される動物「妖獣兵」がピシャーチャと呼ばれる。
クジラを素体とした巨大な「海獣(マカラ)」や翼竜に似た「飛獣(ガルダ)」の他、大きな口と牙を持つトラや二足歩行で銛を操るワニの妖獣兵などが登場。
サンサーラ・ナーガ
押井守監修のインド神話的世界をモチーフにしたロールプレイングゲームのモンスターとして登場。2では「ぴちゃぴちゃ」で毒攻撃をしてくる。仕様書の「インドの由緒正しき吸血鬼」という文面からデザイン担当の桜玉吉はカレー屋の親父にしてしまった。
マハラジャ
ファミコンでサン電子より発売された、インドが舞台のアドベンチャーゲームに登場する単眼で4本腕の魔物。