概要
2006年4月から9月にかけてテレビ東京系列局とBSジャパンで放送されたTVアニメ。AT-Xでも1ヶ月半遅れで放送されている。全26話。
メディアミックスプロジェクト「プロジェクトゼーガ」の一作として制作され、アニメ本放送同年にXbox360で販売されたゲームソフト「ゼーガペインXOR」「ゼーガペインNOT」、アニメ放送終了後に発売された小説「忘却の女王」「喪失の扉」とは世界観を共有する。
キャッチコピーは「消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み」。タイトルの「ゼーガペイン」もこのフレーズから取られ、「是我が痛み(これ わが いたみ)」、すなわち「是我痛」となる。
原作の伊東岳彦と監督の下田正美は専門学校時代の同期(ほかの同期には北爪宏幸、新房昭之、高橋和希がいる)。
当時無名だった花澤香菜と浅沼晋太郎が脚光を浴び始めた頃の作品であり、後年彼らは印象的な作品として本作を挙げている。
本作は、千葉県舞浜市を舞台としたロボットアニメである。
その世界観設定は和洋様々なSF作品からヒントを得て練られおり、また「青春」をテーマにしたストーリーは評価が高い。
特に序盤は世界観が意図的にぼかされて表現されているが、そこから世界の真実が明かされる衝撃の大きさや、主人公達に待ち受ける過酷な展開は見る者を惹きつけてやまない。
本作は当時珍しいHD製作だったが、放送当時はBDはなくDVDのみでの販売であり、本放送より劣化したDVDの画質もあり商業的に奮わなかった。DVD売上が1900~2000枚で全巻ほとんど変動することなかったことから、「1ゼーガ=1900枚」という不名誉な単位が作られたこともあった。
しかし、上述したストーリーの完成度の高さから、応援し続けてきたファンの熱意は強く、2010年には「あなたの力でBD化プロジェクト」の熾烈な投票合戦を勝ち抜いて商品化権を獲得。その後2016年にはプロジェクト10周年を記念して再販が行われる。BDBOXは8000セット以上売れたとのこと。
また、2007年の星雲賞メディア部門の候補作となったが、惜しくも受賞を逃した(受賞作は時をかける少女)ものの、パチスロ化や「SUGOI JAPAN」アニメ部門へのノミネートなど、ファンの熱意に応えるように様々な盛り上がりを見せており、スーパーロボット大戦シリーズに参戦した際には、史上初の単独作品のチラシが作られるなど、名実ともに人気作品へと成長を遂げている。
2016年には10周年記念イベントの開催の他、新規カットを入れ再編集した劇場版「ゼーガペインAdaptation」の公開も行われた。
メカニックデザインも独特なものとなっており、本作では半透明の装甲を持つメカニック「ホロニックローダー」が登場する。
「光を装甲や武器にして戦う」という独自のコンセプトを再現すべくメカアクションは一部を除き3DCGで表現されており、立体物もそのデザインを再現する為にクリアパーツが多用されている。
また、本作に於いて「8月31日」は特に重要な意味合いを持つ日であり、本作のファンもこの日に特別な思いを抱く者も多い。
(実質)再放送
2016年7月にテレ玉で実質再放送を開始した、のだが、2クール作品としては多めの全26話であった事に加え年末年始特番にぶつかったからか、放送終了は翌年2月初頭に持ち越しとなった。
同年10月からは三重テレビでも放送を開始、こちらも話数故に2017年4月初頭に終了している。
2017年8月には、ネタになった地のテレビ局である千葉テレビにて実質再放送がスタートしたが、こちらもテレ玉とほぼ同じ事情故に2018年2月初頭に全話消化した。
そして、2023年8月31日、TV本編の続編である新作「オルタモーダ編」の制作が発表された。それに伴い同年10月からTOKYOMXで全話実質再放送が実施された。
2024年3月1日には「オルタモーダ編」が劇場版として公開されることが発表、タイトルは「ゼーガペインSTA」で2024年8月16日から公開される。
それを睨んでか、同年4月からサンテレビに加えてTBS系列局約1局、テレビ朝日系列局約2局で実質再放送を行った。
ストーリー
未来的にデザインされた街・舞浜市に住み、近郊の高校に通う普通の学生、キョウ。たった1人で水泳部を切り盛りする彼は、中学の時の因縁から難癖をつけてくる友人らとのいざこざにもめげず、水泳部への勧誘を行う傍ら練習のため学校の室内プールへと向かう毎日。
ある日、幼なじみのリョーコに頼まれ、映画研究部作品の撮影中、やる気の無いキョウはNGを出し撮影は中断。ふと、窓の外を見ると、プールの飛び込み台の最上段に見知らぬ美少女・シズノが立っていた。
水泳部入部希望者と察したキョウは、慌ててプールへと急ぐが、シズノは声にならない謎の言葉を残し、華麗な飛び込みを見せ、そのまま水中に忽然と姿を消す。シズノの事が忘れられないキョウだったが、程無くして彼女はキョウの自室に忽然と現れた。
シズノは「ゲーム」の始まりを宣言した。キョウは彼女に導かれるままに異空間へ転送され、美しい光の装甲をまとった巨大ロボットゼーガペイン・アルティールに乗り込み、彼女と共に敵キャラクターを倒していく。だがしばらくして、様々な疑問に直面していく。
繰り返されるデジャビュの感覚、「ゲーム」の中に残された謎のメッセージ、自分しか知らない筈の事をいつの間にか知っているリョーコ達学友。真実に近づくのをどこか警戒している生徒会長=司令官シマ。ゼーガペインでの戦いを「ゲーム」と称した事で怒りを露にするルーシェン達パイロット。そして、初めて搭乗したゼーガペインの操縦桿を違和感なく繰る自分自身。
果たして、キョウが繰り広げるこの戦いは、本当にバーチャルなのだろうか?
様々な痛みと想いが交錯しながら、世界は徐々に真実の姿を曝け出し、遂に残酷な真実をキョウは目の当たりにする。仮想世界と思っていた世界に広がる荒廃した舞浜。そこには破壊された学校やリョーコとの思い出の場所もあった。シズノは言った。ここが、現実の舞浜だと。そして、ゲームの敵と思っていた機動兵器の中には、アビス - 深淵の名で呼ばれる亜人類の姿があった。
残酷すぎる事実と真実を知り始めた時、キョウの本当の戦いが始まる。
登場人物
十凍京(ソゴル・キョウ)
主人公。
廃部寸前の水泳部の建て直しの為に奔走する熱血漢。直情的に見えるがインテリ的な思考も持ち合わせる。
シズノと出会いガルズオルムとの戦いに巻き込まれていく。
守凪了子(カミナギ・リョーコ)
CV:花澤香菜
ヒロイン。
ビデオ映画の撮影を趣味とするキョウの幼なじみ。
当初こそガルズオルムとの戦いとは無関係だったが……。
三崎紫雫乃(ミサキ・シズノ)
CV:川澄綾子
儚げながらも神秘的な雰囲気を漂わせるもう一人のヒロイン。
キョウをゼーガペイン・アルティールに乗せ、ガルズオルムとの戦いに引き込んでいく。
島
CV:坪井智浩
シズノ達「セレブント」を纏めた組織「セレブラム」の司令官。
平時はキョウ達の高校の生徒会長を務めるが、シズノと同じく世界の真実を知る人物でもある。
CV:井上麻里奈
オーストラリア出身のセレブラント。シマの副官であり、彼に好意を抱く。
CV:朴璐美
上海出身の男性。ゼーガペイン・ガルダのガンナー。
キョウとは逆に普段の立ち振舞はクールだが、実戦では熱くなる熱血漢。
キョウに対して特別な感情を抱く。
メイウー/メイイェン
上海出身の双子の姉妹。ゼーガペイン・ガルダのウィザードを務める。
CV:家中宏
パリ出身。ゼーガペイン・フリスベルグのガンナー。アークの夫。
CV:久川綾
ゼーガペイン・フリスベルグのウィザード。クリスの妻。
アビス/シン
セレブラムと敵対するガルズオルムの生み出した亜人種。男性体がアビス、女性体がシン。「復元者」とも呼ばれる。
共に10代の肉体と褐色の肌を持ち、自らを「光ある者」と名乗る。
専門用語
セレブラム
「セレブラント」と呼ばれる者達によって構成された組織。規模こそ小さいものの、地球上では唯一ガルズオルムに対抗できうる存在である。
光装甲を纏う「ホロニックローダー」とオケアノスを初めとした飛行戦艦を主戦力とするが、組織を構成するセレブラントの数には限りがある。
その名は「大脳」に由来する。
セレブラムが運用する、「光装甲(ホロニックアーマー)」を纏う人型兵器の総称。
量子変換エネルギー「QL」をエネルギーとして稼働するが、光装甲の維持や飛行、武装の使用などでQLが消費される為、稼働時間には制限が存在する。
複座式のコックピットを採用しており、機体操縦を担当する「ガンナー」と機体制御を担う「ウィザード」の二名によって運用される。
ホロニックローダーの光装甲はセレブラム独自の技術であり、機体にはガルズオルム側に光装甲の情報が漏洩する事を防ぐ名目で「パニッシュメントモード」と呼ばれる自爆装置が搭載されている。
エンタングル
セレブラント達が戦場へ転送される際に発する言葉。
語源は量子力学の「エンタングルメント (Entanglement)」に由来する。
セレブラムと対立する勢力。
デフテラ領域と呼ばれる特異空間を広げ、世界を自らの望む形に作り変える事を目的とする。
量子サーバー
街や人間のデータを量子データとして保存する大規模サーバー設備。
サーバー外にデータを持ち出すには特殊な方法を用いなければならず、またデータのコピーも不可能。
その性質上、データを保存する為には常時設備を稼働させ、データをシミュレートし続ける必要があるが、技術的な制約によって一定期間毎に保存データを初期状態にリセットする必要がある。
建造後に各種技術が失われてしまっており、破壊されたら復旧は不可能。
ガルズオルムのデフテラ領域実験により滅ぼされた平行宇宙に存在した世界及び勢力。
失った世界の代わりに、セレブラムのいる世界を自分達のものに書き換えようと狙っている。
パチスロ ゼーガペイン2が初出のオリジナル。ゼーガペインSTAではキーパーソンとなる。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | エンタングル |
第2話 | セレブラム |
第3話 | デフテラ領域 |
第4話 | 上海サーバー |
第5話 | デジャビュ |
第6話 | 幻体 |
第7話 | 迷える魂 |
第8話 | 水の向こう側 |
第9話 | ウェットダメージ |
第10話 | また、夏が来る |
第11話 | 残るまぼろし |
第12話 | 目覚める者たち |
第13話 | 新たなるウィザード |
第14話 | 滅びの記憶 |
第15話 | リインカーネーション |
第16話 | 復活の戦場 |
第17話 | 復元されし者 |
第18話 | 偽りの傷、痛みは枯れて |
第19話 | ラストサパー |
第20話 | イェル、シズノ |
第21話 | 戦士たち… |
第22話 | ジフェイタス |
第23話 | 沈まない月 |
第24話 | 光の一滴(ひとしずく) |
第25話 | 舞浜の空は青いか |
第26話 | 森羅万象(ありとあらゆるもの) |
余談
- シンギュラリティやバーチャルリアリティ、ループなどの難解な世界設定を丁寧な演出で数話をかけて視聴者に体感させるシリーズ構成となっている関係でファンの間では「ゼーガは第6話まで待て」と、自嘲気味に言われることがある。
- 時代設定は西暦2022年だが、放送当時の2006年はまだスマートフォンが発表されていない為、当然だが主人公たちはガラケーを使用している。しかし2013年稼働のパチスロ版での新作カットではスマートフォンを使用している場面があり、その影響か2016年の劇場版の新作カットでもスマートフォンを使用している場面がある。
関連イラスト
関連項目
伊東岳彦....原作者
メガゾーン23:80年代のOVAで主人公達の住む世界が虚構世界だった共通点繋がり
星方武侠アウトロースター:ハリー・マクドゥーガルの能力が幻体の元ネタになっている。
パンドラの夢:PCゲームで主人公達の住む世界が周回プレイ毎に崩壊する
マトリックス:海外のSF映画
スーパーロボット大戦X-Ω:初参戦スパロボ作品。
スーパーロボット大戦DD:初の正式参戦。10を超える並行世界を股に掛けた戦いを描いており、原作初期辺りの時期に異世界のゲートが繋がり、来訪者であるプレイヤー部隊と出会ったセレブラントの面々が協力体制を結ぶことになる。他の世界とは違い他作品と世界観を共有しておらず単独であり、異世界とは言え「人類滅亡後の地球」を目の当たりにしたキャラクター達は強い衝撃を受ける事となった。
一見すると純粋な「ゼーガペイン」の世界にイレギュラーがやって来たと言う感じだが、話が進むにつれて決して原作通りの世界観では無い可能性が浮上しており、オルムウィルスに対してはそれぞれの他世界(他作品)の技術を結集させた事で短期間でのワクチンの完成に漕ぎ着けている。
そして、3章にて原作終了となるが、シズノが記憶を喪わない等、幾らか救済されている(ちなみに、このpartが配信されたのは8月末であり、奇しくもそれと同時期に「オルタモーダ編」の制作が発表された)。