概要
2003年7月17日にPS2用ソフトとして発売。そのタイトルが示す通り、(STGとしての)『R-TYPE』シリーズ最終作という触れ込みで発売され、シリーズとしては『SUPER R-TYPE』以来となるTVCMも放映。取扱説明書の巻末にもプロデューサーの九条一馬の言葉で「『R-TYPE』という名のつくSTGが新たにアイレムから出ることはないでしょう」と記されていた。
本作はシリーズの旧作やアイレムの他タイトル等から集められた総勢101機もの主人公機が登場するという類を見ない作品であり、作戦名「LAST DANCE」を通じてこれらの機体を開発していくことになる。
また、エログロ要素が強く含んだデザインも健在で、一部ステージの背景が性的なニュアンスを含む内容になっている事から、本作は人間のキャラクターが全く登場しない作品であるにもかかわらず、CERO区分がBとなっている珍しい作品である。基本STGは「CERO:A」が多いが、本作のCEROレーティングが跳ね上がった理由は「部位欠損」やゴマンダーだったらしく、噂になっていたステージF-Aの背景ではなかったとのこと。
ゲームシステム
プレイヤーは任意の自機を選択し、総勢16ステージ(ただし一部は排他選択であり、1プレイで通過できるのは通常7~8ステージ)・5段階の難易度を攻略して行く。プレイヤーの攻撃手段は前作『R-TYPEΔ』を踏襲しているが、波動砲、フォース及びレーザー攻撃のタイプ、搭載可能なミサイル、ビットは機体ごとに異なるため、機体登録で内容を確認しておかなければならない。
「機体生産ゲー」R-TYPE FINAL
本作の最大の特徴は、使用可能なプレイヤー機の数である。新規スタート時に最初に使える機種はR-9 アローヘッドと数種の派生タイプのみであるが、プレイを進め、特定のステージへの到達、特定の機体を規定時間使用し続ける、パスワードを入力…などの条件を満たす事でその数はどんどん増加し、最終的には101機という途方も無い数量に至る。
純粋なプレイヤーキャラの数という意味でも相当なものであるが、一般的なシューティングゲームの使用可能な自機数がせいぜい3~5機程度であり、10機を越えるようであれば相当多い方だと評価される事を考えるとこれが如何に凄まじい数字であるかを窺い知るのは容易であろう。
この為、登場する機体も多岐に渡り、シリーズ旧作の主人公機がそのまま、あるいは仕様をアレンジされて登場しているのはもちろん、『GALLOP』や『イメージファイト』、『Mr.HELIの大冒険』といったアイレムの他シリーズ作のプレイヤー機も登場する。『R-TYPE』の最終作でありながら、アイレム作品のクロスオーバーという側面も持ち合わせるのが本作である。
ギャラリー
『R-TYPE』は数あるSTGの中でも世界観やメカニックなどに詳細な設定が盛り込まれていることでも知られており、本作にはプレイヤーが開発し操作することになる計101機ものR戦闘機を展示した「R's MUSEUM」と、バイドのデータが収められた「BYDO LABO」で情報を閲覧することができる。
「R's MUSEUM」はR戦闘機が開発された経緯や各種武装などを知るだけではなく、各種条件を満たすことで新たなR戦闘機の使用を解禁したり、出撃時に選択する機体の登録もここで行うようになっている。
一方「BYDO LABO」はプレイ中に遭遇・撃破したバイドの生態やステータスを知ることができるが、1つのバイドのデータの解析を完了するには対象となるバイドを計3回撃破する必要がある(情報収集機能に優れたR-9E系列の機体を使用すれば2回で完了)。
ステージ
ステージ1.0 永眠の都市
前大戦時に落下したコロニー「エバーグリーン」内部での戦闘。
ステージ2.0 歪んだ生態系
バイドに占拠された港湾システムの跡地での戦闘(ボス戦である条件を満たす事で、次周回時にステージの地形や登場する敵が変化し、2.0~2.5までの5パターンが存在する)。
ステージ3.0 巨大戦艦来襲
バイドの侵食により暴走した大型戦艦との死闘。市街地の上空からビル街の隙間へと戦場は移り変わる。
ステージ3.5 暗黒の森の番犬
バイドツリーが林立する空間で、かつて存在を抹消された英雄との決闘が繰り広げられる。このステージにはRX-12でしか到達できない。
ステージ4.0 沈黙の研究所
バイドに占拠された火星のバイド研究所での戦闘。巨大な培養槽の周囲を取り囲む通路に沿って進攻していく。
ステージ5.0 跳躍26次元
跳躍空間での戦闘。自機の移動スピードの変更に伴い、映像の歪みが変化。更にボス戦である条件を満たす事で、次に進むステージが分岐する(初回プレイ以降)。
ステージ6.0 宇宙墓標群
密集する隕石や建造物の残骸で構成されたアステロイド帯での戦闘。
ステージ6.1 異変と忘却
謎の空間に迷い込んだプレイヤー機はそこに潜むバイドと交戦。倒すことで自機に異変が…
ステージ6.2 逆流空間
電子空間と化した不特定ポイントでの戦闘。
ステージF-A バイドとは…
謎の空間でのバイドコアとの決戦。
ステージF-B 夏の夕暮れ
・・・・・
ステージF-C どこまでも
26世紀への跳躍を試みる。ボスは登場しないが、残機やクレジットは没収されるため、ミスすれば即ゲームオーバーとなる(コンティニューも不可)。
2019年、まさかの展開に
本作の発売後にSLGとして新たなスタートを切った『R-TYPE TACTICS』がリリースされた後もSTGとしての続編を望む声は後を絶たず、これに応える形で2019年4月1日に『R-TYPE FINAL2』のリリース計画が発表された。
しかしながら、アイレムは2011年3月にそれまでに開発していたゲームの制作を中止し、以降はパチンコ・パチスロ向け映像ソフトの開発にシフトしていたため、同社に在籍していた九条一馬を筆頭とした社員が独立して起業したグランゼーラがクラウドファンディングを募る形で開発を行うこととなった。
このニュースは奇しくも4月1日のエイプリルフールに発表されており、過去のアイレムの公式サイトで『R-TYPE_FINAL2 グランドフィナーレの野望』というエイプリルフールネタがあった事もあり、誰もが手の込んだエイプリルフールネタ だと思い込んでいたのである。
だが、この『FINAL2』が本当のプロジェクトなのか否かをニュースサイト「ねとらぼ」がグランゼーラ広報に確認したところ、ジョークでもフェイクでもない事実であった事が判明。この事には驚きと歓喜の声が上がった。一度(正確には『R-TYPEⅢ』で一度完結しており、本作で二度目となる)完結した『R-TYPE』の再始動と『R-TYPE FINAL2』が物語として一体どのような繋がりを持つのかは全くの未知数であった。
なお、九条一馬によれば本作のタイトルを「FINAL」とした事には心残りがあったようで、『R-TYPE FINAL2』の制作に至ったとのことである。
有志からのクラウドファンディングによる資金の調達を経て開発はスタートし、2021年4月29日に満を持して『R-TYPE FINAL2』はグランゼーラより発売された。対応機種は当初はPS4のみの発表だったが、後にSWITCH・XboxOne・Steamでのリリースも決定している。当作の詳細については『R-TYPE FINAL2』の記事を参照されたし。
関連タグ
椎名へきる:本作のエンディングテーマを歌唱。