『ファイナルファンタジー4』は、1991年7月にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された、FFシリーズ第4作。
2008年には続編である『ファイナルファンタジーⅣ ジ・アフター -月の帰還-』(携帯アプリ版・Wii版)が出た。
「二つの月が照らし出す絆」
概要
スクウェア初のSFCソフトであり、SFC版FF三部作の一つ。
これまでのシリーズと比較すると、キャラ育成などのゲーム性の面よりもドラマ性とストーリー性を重視しており、「人の愛憎」を主軸とした人間ドラマをメインとした作風となっている。
暗黒騎士として自分の生き様に苦悩するセシル、幼馴染みへの恋心を付け込まれ自分を見失ったカイン、故郷を喪い数奇な運命を辿ることになるリディアやエッジなど、どのキャラクターも重いものを背負い、強大な力を持つ真の悪に翻弄されていく。
それでもなお、世界の平和を取り戻すため、協力して真実に近づいていこうとあがくその姿が織り成す人間ドラマが多くのプレイヤーに支持された。
世界観は、初代や「III」にも見られた「ファンタジー世界+SF要素」という独自性が前面に押し出されている点に大きな特徴がある。
舞台は地球をモチーフにした青き星から地底世界、果ては月面までと、かなりスケールが大きい。
ロボット兵器や宇宙船、宇宙人などの未来的な文明や要素も登場する。
ストーリーとドラマ性の高さが魅力だが、その反面ゲーム性の面では極めてシンプルな作りになっているため、他作品と比べるとやりこみ要素はやや薄い。
そのためか、JRPGの始祖的作品として扱われることもある。
人気シリーズの一つでもあり、FFシリーズ初のミリオンセラーになった前作に続きミリオンセラーとなり、なんと1991年の年間ナンバーワンセールスを記録した。ただ後述の通り端境期であったためかミリオンセラーそのものがもう1本しかなかったのだが。
後にワンダースワンカラーやGBアドバンスおよびニンテンドーDSなどに移植・リメイク作品が登場。
更に2008年には後日譚の『ファイナルファンタジー4 THE AFTER 月の帰還』が携帯電話用ソフト・Wiiウェアとして配信され、PSPでもFF4とFF4TAそして中間のストーリーである『ファイナルファンタジー4 interlude』がセットになったコンプリートコレクションが発売された。
現在のファイナルファンタジーシリーズのロゴデザインはこの作品で確立した。「Ⅴ」以降もファミコン三部作のリメイクにおいてもこのタイプで統一されている。
また、初めて行動するパーティの人数がそれまでの4人から最大5人に増えた(前作であるⅢも時期によって5人だが、5人目はNPCである)。しかし、次作以降は4人に戻ってしまったが。
パーティには前列、後列の概念があり、片方を3枠、もう片方を2枠とし、時期によってそれを切り替えていく戦略が問われる。なぜかFF4における隊列の概念はFFシリーズではなく、世界樹の迷宮シリーズにて本採用されている。
登場キャラクター
パーティーに加わるキャラクター
- セシル・ハーヴィ
- ローザ・ファレル
- カイン・ハイウインド
- リディア
- テラ
- ギルバート・クリス・フォン・ミューア
- ヤン・ファン・ライデン
- パロム
- ポロム
- シド・ポレンディーナ
- エッジ(エドワード・ジェラルダイン)
- フースーヤ
敵キャラクター
その他キャラクター
登場する地名・地形
地上世界
国家・都市
ダンジョン
地底世界
国家・都市
ダンジョン
月面世界
集落
ダンジョン
乗り物
余談
元々、この「4」は実は「5」として開発されていた。
当時スクウェアはファミコン版の「4」とスーファミ版の今作を同時に開発していたのだがスタッフが『アクトレイザー』の音楽に感銘を受け急遽ファミコン版の「4」をお蔵入りにし、今作を「4」に繰り上げて音質を向上させたという経緯がある。
なおこの時お蔵入りとなったファミコン版の「4」は紆余曲折の末、最終的には「聖剣伝説2」となって世に送り出されている。
……とは言うものの、端境期であるためか、漢字の使用はなし、楽曲もDPCMチップの高性能化で改善されたとは言え、本作では同時5音+リズム1音のファミコンでも(ROMカセットの容量を度外視すれば)演奏可能な楽曲が多く見られる。
例えば「1」~「6」各作の「バトル(1)」で、ファミコン本体だけでは演奏不可能な同時発音を使っているのは「2」「5」「6」の3作だけ。「2」はディスクシステムなどが使っていたカセット用アナログ回路を使用してカセット側に拡張音源を積んでいたものと思われる。
またさらにややこしい話だがアメリカでは今作が「2」として発売されている。
- 所謂ファミコン版2はアメリカでは発売されていない。理由はおそらく前述のカスタム音源と思われる。国内向けファミコンのアナログ回路に使っていた物理チャンネルを海外向けNESではリージョンチェック用に使ってしまっていて拡張音源が使えなくなった。
また、当作品をベースにしたアメコミも刊行される予定だったが、出版元の倒産によりお蔵入りとなってしまった。なお倒産した出版元はディズニーの関連会社であり、後の「キングダムハーツ」発売によりFFシリーズとディズニーの悲願のコラボを達成する。
また、今作は子供には難しいと言う意見からか、発売数か月後に「イージータイプ」が販売されている。敵の大幅な弱体や、ストーリーや敵、アイテムの名称の変更、敵の特殊攻撃の削除など。バグも修正されている。また、序盤を攻略する為の解説書もついており、当時としては類を見ない試みがされている。
名称変更はケアルラをケアル2にしたりと直感的にわかり易くしていた反面、何か良くわからない名称に変更されたりしているので、賛否両論。味気ない名称になったと言う意見も。(カタカナの言葉を日本語に変換した事で分かり辛くなっている部分も)ただ、アイテムも大幅に削除されている他、使用出来ないアビリティもあるので(「つよがる」など)全体的な難易度は少し下がった程度と見る人もいる、実際は操作方法を簡単にした上で、レベルを上げてある程度ゴリ押しで何とかなる調整になっている。
内容的には海外版とほぼ同じであり、インターナショナル版の原点と言えるかもしれない。(イージータイプの方が発売が、やや早いので、海外版製作と同時並行して作られたのかもしれない。)
イージータイプが作られたのは歴代のFFでもFF4のみ。なお上記の解説書以外に別売りの攻略本もイージータイプ専用の物があったが、説明を簡略化しすぎている為か、色々と適当感が凄い部分も。
主にRPGに不慣れな層に向けたバージョンである。
実はラスボスのグラフィックも変わっており、長年イージータイプ専用のボスだった。
(海外版のグラフィックはオリジナル版ゼロムスである)
しかし、近年行われるリメイクでは「ゼロムス:EG」としてイージータイプ版のグラフィックを見る事が出来る。なお「EG」とはEasy typeのGraphicと言う意味らしい。
上記のフルネーム設定を始めとしたプロフィールの設定は当初からあったものであるが、当時はNTT出版の攻略本にしか記述がなかったためトリビアの域を出なかった。
プロフィールが広く知れ渡るようになったのは、FF4TAや「ディシディア」シリーズが出てからである。
またシリーズでプロフィールの設定がゲーム雑誌などで広く取り上げられ、最初から知れ渡るようになるのは、FF6の頃からとなっている。
アクティブタイムバトル(ATB)の初採用作品であるが、オリジナル版にはまだ待機時間を表示する『ATBゲージ』が無かった。GBA版以降から5以降同様のゲージを表示できるようになり、視覚的にわかるようになっている。
FFでは初の二人協力プレイがオプションでキャラクターにコントローラ割り振りをする事で戦闘中でのみできるのだが、5で途絶えてしまった。リメイク版にはそれは引き継がれなかった。
GBA版は初回生産版にバグがあり、バグによっては深刻なものがある(通称E3版)。また、オリジナル版ではできなかったセシル以外のメンバーのパーティ入れ替え(イベント専用もしくは物語で死亡した人物を除く)がミシディアで可能となっており、それにまつわるラスボス戦での演出パターンが増えた。