概要
ニンテンドーエンターテインメントシステムの頭文字を取ってNESとよばれる。
拡張チップが使えない上、ディスクシステムも存在しなかった。ただし、ディスクシステム用のソフトの一部は海外でカートリッジ向けの仕様へ変更された形で販売されている。
日本同様多くのファンが存在し、今でも見かける事がある。
ファミコンとの違い
カートリッジとコネクタ
- カートリッジのサイズと形状・コネクタの端子の数が異なる。その為互いに物理的な互換性がない。
- カートリッジが本体に横挿しタイプとなっている。
- コネクタそのものが違う為、外部入力にあたるピンが存在しない。また、国内では拡張チップに使っていた論理チャネルを下記の認証チップに割り当てている。この為カートリッジ側拡張チップが使えなかった。例えば、ファミコン版では外部音源搭載だった『悪魔城伝説』が海外版の『Castlevania III』では内部音源のみのBGMとなっている。
- なお、ディスクシステムも拡張チップを使っているため、NESには論理的にも接続することができない。海賊版互換機でディスクシステムが動かないことがあるのはこの為。北米版NESを解析して作られた海賊ハードではまず動かない。
- ちなみに国内版ニューファミコンではちゃんと外部拡張チップ用の入力端子と論理チャネルは開いているので、ディスクシステムや拡張チップ音源が使えないということはない。
- 勝手にソフトを作られないようにカートリッジと本体との認証チップ(10NES)が任天堂で初めて使われた。いわゆる海賊版対策として設けられていたもので欧州版ではリージョンロックの機能も兼ねていた。
- NESカートリッジ自体は実は日本でも業務用ファミコン用のソフトやディスクライターのゲームパック（ディスクソフトのマスターデータが入っている）で使用されている。ただしこれらはNESでは使用できない。
- カートリッジが大きい為、さぞ中身である基板も大きいと思いきやガワの大きさの反面収まっている基板は小さく半分以上はスカスカである。
コントローラ
- コントローラ（ゲームパッド）が着脱可能。ニューファミコンとも共用可能。
- 着脱前提の為、コントローラそのものには1コン2コンの違いがない。ちなみに『ゼルダの伝説』等では海外でも説明書にマイク機能を使うギミックの説明が残っていたりする。
- 一方で国内版ファミコンにあった拡張端子がないため、ジョイカードやホリコマンダーといったサードパーティの外付けコントローラは使用不可。
- ただしニューファミコン用のNEWホリコマンダーなら差し込める（実はこれ、基本的に通常のホリコマンダーのプラグを変更しただけであり、近年ではその理屈で私家版変換ケーブルが作られ流通しているので、それを使えばその他の外付コントローラも使用可能）。
- 実はファミコンの1コンとNESコントローラーの内部基板のボタン配置に始まる構造は同一である為、ガワだけ交換が可能。
派生機種
RF仕様NES（NES2）
AV仕様ファミリーコンピュータ（ニューファミコン）の国外版・・・というのは間違いで、こちらのデザインを流用したのが国内で発売されたニューファミコンである。
AV仕様である日本のニューファミコンとは逆に、コストダウンでRF出力専用になっている。
Nintendo M82
正式名称は「M82 Game Selectable Working Product Display」。
海外の玩具店等で店頭試遊機として設置する為に販売された巨大な業務用機。
販売促進の試遊機であるためNESとの互換性を有し、NESのソフトが起動できる。
ちなみに、国内向けにリリースされた任天堂製「ファミコンボックス」やシャープ製「ファミコンステーション」に関してもファミコンの名前は付いているが、仕様はNESに近い（業務用カセットの入れ方は完全にNESである）。
AVS
1985年1月に、アメリカのCESで任天堂が発表した「Advanced Video System」の略称。
NESのプロトタイプとでも呼ぶべき機種であり、ホビーパソコンを強く意識したハードだった。
当初は日本のファミコンと内部では同じ仕様だったとされている。また、ファミリーベーシックのある意味プロトタイプでもあった模様。
欧米における展開
AVSの発売は中止され、パソコン要素を切り捨てたNESへと仕様変更された。
ビデオデッキのような外観に一新し、光線銃やR.O.B.（ファミリーコンピュータロボット）等を付属させることでConsole（ゲーム機）では無くEntertainment System（娯楽用機器）であることを強調した。
これらの試みが功を奏し、1985年10月18日にニューヨークでの先行販売に漕ぎ着け、翌1986年2月には全米で発売された。海外でのローンチタイトルになった『スーパーマリオブラザーズ』が人気になったことで、再びビデオゲーム産業は活性化された。PCゲームに移っていた北米のゲームメーカー各社も家庭用ゲームに続々参入し、アメリカの家庭用ゲーム市場は復活を遂げた。
日本において「ファミコン」がゲームそのものを指す代名詞として一時期定着したように、
アメリカでも「ニンテンドー」がゲーム全般を指す代名詞として定着する程の隆盛を誇った。
（湾岸戦争の別称である”ニンテンドーウォー”はその典型的な例である）
一方、ヨーロッパではセガのマスターシステムに先手を打たれており、長らく二番手のシェアに留まっていたものの、『激亀忍者伝』のリリースを切っ掛けに逆転を果たした。
余談
- 巷に存在するファミコン互換機は極めてNESの仕様に近かったりする。
- 現在はレトロフリーク用NESカートリッジコンバーターにより日本のファミコン本体でNESのゲームをプレイ出来る。
