玩具「光線銃シリーズ」
1970年発売の『光線銃・光線銃SPシリーズ』から始まった、任天堂の玩具シリーズ。考案者は横井軍平。
レーザーが標的に命中すると、ビール瓶が吹き飛んだりライオンの壁掛けが鳴き声を挙げるなど多彩なリアクションを見せる。個性豊かな標的が人気を集め大ヒットした。
銃口に備えた電球の光を、標的に組み込んだ太陽電池が感知してリアクションを起こす仕組みである。
ちなみにこの太陽電池は当時シャープ所属の技術者だった上村雅之が開発した。
(同氏は光線銃SPのヒットを切っ掛けに任天堂に移籍し、据え置きゲーム機開発に携わった)
1973年から任天堂が展開し始めた大規模レジャー施設『レーザークレー』も光線銃の技術を活用したものだったが、レーザークレーはオイルショックの影響で失敗し莫大な借金を背負ってしまう。
1976年には『光線銃カスタムシリーズ』が発売される。カメラのストロボにも使われているキセノンランプを採用したことで100メートル以上の射程距離を誇る代物だったが、25000円という高価格が災いしほとんど売れなかった。
ファミコン用「光線銃シリーズ」
ファミリーコンピュータの周辺機器(ガンコントローラ)。1984年発売。
上記光線銃シリーズの技術を発展させたものであり、テレビ画面に映った標的を(擬似的ではあるが)撃ちぬく演出を可能にし、リアリティの面で進歩があったといえる。
デザインはコルトシングルアクションアーミー風のクラシックなリボルバー拳銃。
「ガン」という簡潔なロゴが描かれた箱には小さくガンマンの絵がついているが、
「ワイルドガンマンセット」と銘打った本機+『ワイルドガンマン』+専用ホルスターとベルトのセット商品では
西部劇の決闘シーンのようなリアルタッチのイラストが印刷されている。
翌1984年には海外版NES用にSF風のデザインの「NESZapper」が販売された。
こちらは2色あり、濃灰色とオレンジ色。
原則的には光線銃シリーズが国内向け、NESZapperが国外向けだったが、
業務用機である「ファミコンボックス」が海外版NES仕様になっている関係で、
日本国内でも後者を目にした事がある人も少なくないようである。
また、後述する非正規品やコピー品でも圧倒的に後者のデザインの採用率が高い。
動作原理としては、前述の光線銃シリーズと違ってこちら側が受光部になっており、
トリガーを引くとファミコン本体とソフトが命中判定用の映像を描画する。
その映像を描写している走査線が本機にキャッチされる事で命中の成否が判定される…という仕組みのため、
ブラウン管テレビでないと正常にプレイする事が出来ないので注意が必要である。
対応作品
任天堂
光線銃専用ゲームはこの3タイトルのみである。
その他のメーカー
この2タイトルは光線銃対応ゲームである。
亜種・コピー品
ハイパーショット
『ハイパーオリンピック』用のコントローラーとして有名な方のハイパーショットと
名称が同じだが、別物。
製造・販売はバンダイで、『スペースシャドー』用のコントローラーとしてセット販売された。
いかにも80年台~90年台にH&K社あたりが開発していそうな
(当時の)最先端サブマシンガンっぽい見た目で、
トリガーを引くとリコイルを再現した振動がある、フルオート仕様である、
銃自体から銃声が鳴るという非常にリアリティに注力した作り。
取り付けられているリアサイト・フロントサイトも飾りではなく、肩付けすれば
しっかり照準が合うようになっているなどバンダイ渾身の一作である。
仕様面としては、上述のようにフルオート仕様(トリガーを引きっぱなしで連射)の他、
任天堂公式の光線銃と違ってトリガーがAボタン、フロントグリップにBボタンと十字ボタン、
側面にスタートとセレクトボタンが取り付けられているのが特徴である。
互換性の面では、こちらで光線銃シリーズを遊ぶ事はギリギリ可能だが
逆に光線銃で『スペースシャドー』を遊ぶことはボタンが足りないので不可。
敵を撃った時だけは反応するので、おそらく公式の光線銃と動作原理は同じである。
このように非常に凝った作りではあったのだが、
- 本機にフルに対応した作品が「第一弾」と銘打った『スペースシャドー』だけ
- その『スペースシャドー』はフルオート銃に対応する為、画面のチラツキが凄まじい
- 単2乾電池を4本使用+本体重量により結構な重さ&大人が使えるぐらいのデカさ
- 振動機能を使用するとその単2乾電池4本が30~40分で干上がるまさにフルオートな消費量
- 銃声の調整機能などがなく、想像以上にうるさい
- 発売は1989年2月と翌年にはスーパーファミコンが発売されてしまう時期
など、ご家庭で遊ぶのには著しく向いていない要素が多かった為か全く普及せずに消えていった。
また、前述の通りハイパーオリンピックの方のハイパーショットと名前が
被っているという点は後年にインターネットが普及すると、著しく検索性が低いという
結果を招いており、現在のレトロゲーム周辺機器の話でもあまり話題に登ることはない。
後年にフルオートの銃を採用したガンシューティングがアーケードで好評を博したり、
ゲーム機のコントローラーが振動するようになる、コントローラーからサウンドが再生できるようになったりしている事を考えると
発想が10年~20年ほど早すぎた一品である。
非正規品、コピー品
日本国内ではブラウン管とともに姿を消して久しい光線銃シリーズだが、
海外ではNESZapperの方をモデルとした非正規品を生産しているメーカーがいくつか存在する。
大抵は動作原理が同じためにブラウン管以外では使えない物が多いが、
中には2019年になってから、液晶テレビ対応の光線銃を発売する事を表明した周辺機器メーカーのHyperkinのような会社もある。
後に発売した商品は専用の変換アダプタでソフトそのものにラグ調整用のパッチを充てるという仕様になっている。
また、海外等で無断でコピーされたファミコン互換機等にはモデルガンの金型を流用して作ったと思しき
謎の光線銃が付属している場合もある。
こちらに関してはガワ以外は完全にデッドコピーである事が多いため、当然ながらブラウン管以外では動作しない。