概要
1990年代初頭「電子立国」と讃えられた日本のエレクトロニクス産業は、その後の20年あまりの間に世界的トップの栄光から短期間のうちに凋落し、空洞化→崩壊に至る特異な経験をした。
その中でもかつての日本のお家芸だったテレビ受像機は、デバイスがブラウン管から液晶に移行した2000年代に世界シェアが急降下していたが、国内では「世界の亀山モデル」の成功が報じられておりごく一部の人が知るのみだった。2010年代になると電機メーカーの赤字が明るみに出て、事業撤退が相次ぐ。2020年代には日本国内市場すら海外企業に占拠されて見る影も無くなっている。日本のテレビ市場1位のTVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)、2位のシャープ、3位のハイセンス(Hisense)は全て外資系の企業である。
実は、日本もアメリカのテレビジョン産業を空洞化させてしまったのでよその国のことは言えない。1960年代にZenithやGE、Magnavox、Philco そしてブラウン管のロイアリティで黙っていても巨額な金が入っていたRCAは、1年に1度早いと半年に1度の大規模モデルチェンジで性能向上した日本メーカーに後れを取り、車などと同様に日米通商摩擦の1つになっていた。
ブランド一覧
大手メーカー
サムスン電子:SAMSUNG[液晶・有機EL]韓国の代表メーカーのひとつで、2006年から現在まで世界のテレビ市場のトップに君臨している。近年は液晶テレビ部門で中国勢の猛追を受けて、有機ELテレビやマイクロLEDテレビに力を入れている。
LGエレクトロニクス:LG[液晶・有機EL]サムスンとともに韓国を代表する総合電機メーカー。LEDテレビやUHDテレビ、スマートテレビなどラインナップが広い。日本市場にも展開している。
ハイセンス:Hisense[液晶・有機EL]中国の海信集团有限公司という会社が展開しているブランド。世界シェア2位。REGZAで知られる傘下の東芝を含めると、日本ではシェア1位になっている。
TCL:TCL[液晶・有機EL]中国のTCL科技集团股份有限公司という会社が展開しているブランド。世界シェア3位。テレビ用液晶パネルを自社生産する数少ないメーカーの一つ。
ベステル:VESTEL[液晶・有機EL]トルコの大手家電メーカーで、日本ではなじみが薄いが、欧州を中心にアジア、中東では主要ブランドの一角。また、欧州で販売されている東芝などのテレビは同社のOEMだったりする。
OEM主力のブランド
フィリップス:Philips オランダの大手家電メーカーだが、現在フィリップスブランドのテレビは台湾のTPビジョン・ホールディングから販売されている。