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概要編集

電子技術を用いて、映像を映すのに使われる部品の名称。陰極線と呼ばれるカテゴリに属する。この部品に電子的な映像信号を流すと、ブラウン管前方のガラス面に映像が表示される。

この名称はドイツ人のカール・フェルディナンド・ブラウン(C.F.Braun)氏が発明したことに由来している。テレビを実現するための技術として開発され、2000年代までは電子映像(テレビビデオビデオゲーム)を見るために世界中で広く使用されていた。

2000年代に入ると、代替物となる平面型ディスプレイ(液晶・プラズマ・有機EL)が登場し、大規模に使用されることは無くなった。


英語ではカソードレイ チューブ(Cathode_ray tube)と呼ばれ、YouTubeの語源ともなった。英語圏では頭文字をとって、CRTと略されることが多い。


2000年代以降は廃れた存在ではあるが、ノスタルジックなデザインで人気があるためか、ブラウン管に似せた液晶テレビも発売されている。


当初は冷陰極管と呼ばれるものから始まり、、クルックス管、陰極線に蛍光面を付けた物と進化。後に普及した物は電子銃から電子ビームが発せられ、偏向コイル、収束コイル、陽極端子を介してシャドーマスクを通り、色蛍光体へ至る。所謂「テレビ」の代名詞としても使われるようになった。


なお、よくある誤解であるがブラウン管テレビ=アナログテレビではない。偶然世代交代の時期が重複しているが、ブラウン管はあくまでモニターの方式であり、放送規格とは無関係である。過渡期ではあるが表示装置としてブラウン管を使用し、チューナーはデジタルハイビジョン。というテレビも発売されていた事がある。


仕組み編集

ブラウン管は内部を真空にしたガラスの筒である。視聴者側には蛍光剤が塗られた画面があり、反対側には「電子ビーム」を発射する「電子銃」がある。電子ビームを画面に向けて発射すると、蛍光剤が発光する

電子銃と画面の間には「偏向ヨーク」という電磁石が入っており、これを使用して電子ビームを曲げて、画面の必要な場所だけ光らせることが出来る。

実際の使用時は映像信号を用いて電子銃と偏向ヨークを細かく制御することで、映像を作り出している。

走査編集

電子ビームは画面のある一点にしか照射されない。そのため、画面全体に映像を表示するために電子ビームは画面を高速でなぞっている。これを走査と呼ぶ。この走査の動きは非常に高速で、人間の目には知覚できない。

例えば、アナログテレビは1秒間に60コマの映像で、1コマに与えられた時間は16.7ms程度である。この間に、電子ビームは画面上をおおよそ240回往復しているのである。1往復にかかる時間は100μ秒以下である。


特徴編集

  • デカい

構造上奥行きが必要で、これは画面サイズよりも長くなる。数センチの厚さで済む液晶ディスプレイなどと比べると、大きな欠点である。

  • 重い

ブラウン管に使用されるガラスはが含有されているため、非常に重たい。30インチクラスの大画面ともなれば100kgを超えてしまうレベルである。これにより、実用的なブラウン管の画面サイズには上限値があった。


  • 残像が少ない

ブラウン管は、送られてきた映像のコマをほんの一瞬(4ms以下)しか表示しない。1秒間に60コマの映像では1コマに16.7msの猶予があるが、それでも4ms以下しか表示しないのである。この方法は「インパルス駆動」と呼ばれる。(液晶ディスプレイや有機ELは映像を常に表示するホールド駆動

インパルス駆動の映像は動きに残像が少なく、映像が非常に滑らかになる。これは、現代でもブラウン管が液晶ディスプレイなどに勝っている数少ない点である。


ビデオゲームなどにおいては最高の特性であり、ブラウン管から液晶ディスプレイへの過渡機では、液晶ディスプレイでいかにインパルス駆動を再現するかでメーカが競っていた。

  • 画面が点滅する(ちらつき・フリッカー)

インパルス駆動は残像を軽減する働きがあるが、人によっては画面が高速で点滅しているように見える。

送られてくるコマ数が少ないほどちらつきは強くなり、1秒間に50コマだったヨーロッパのテレビでは問題となっていた。


  • 色がにじむ

ブラウン管に表示される映像は色に「にじみ」が発生し、輪郭線などをぼかしてしまう。悪く言えば精細感をそいでしまうが、解像度の低い映像の見た目を柔らかくする効果もあった。ブラウン管時代のドット絵などは、このにじみを前提に制作されているとされる。

  • 画面が暗い

先述のインパルス駆動により、ブラウン管が光っている時間は一瞬である。これにより人間が感じる画面の明るさが低くなっている。電子銃の出力を上げれば明るくなるが、部品の発火の危険性があるため、一定のレベルを超えることは出来ない。この特徴は昔のゲームセンターの店内が暗かった理由でもある。

ホールド駆動を使用する液晶ディスプレイなどは、より安全省電力に強く光らせることが出来た。

  • 画面が平面ではない

構造上、映像が表示されるガラス画面は曲面となっているため、着座位置によっては画面の端が歪んで見える。時代が進むごとに歪みの小さいブラウン管が開発されていた。

  • 画面が安定しない

ブラウン管は熱や電圧の変化に敏感で、表示されている映像が歪んだり、勝手に拡大されたりすることがあった。



ブラウン管と磁気編集

ブラウン管は磁力に干渉されやすく、磁石を画面に近づけたりするとうまく表示されなかったり色がおかしくなる。(シャドーマスクやアパーチャグリルが磁化され電子軌道に影響を与える)その為、テレビのスピーカーには防磁対策がされていた。主電源をOFFにして10分後に再度ONにすることを繰り返すとテレビ内部の消磁回路により消磁が行われる。(テレビの向きを変えると地磁気の影響を受けていて色むらになりますが同様なことを何回か繰り返すと直ります)


また、ブラウン管は内部にあたる箇所は絶対に素人が扱ってはいけない部分でもあるなぜなら、高圧電気が帯電して危険なものだったからである。ブラウン管のアノード(高圧部)は約2万Vかかります。ピカチュウの10万Vより低いと侮ってはなりません。修理中なら指先にそれが集中して当たりますので指先の感覚はなくなり、やけど状態になります。持っているものを落とし2次被害も起きます。

また、ブラウン管は破裂ではなく爆発する危険性もあった。特に中国製ものは特に爆発する危険性が高い。なお日本製の1960年代以降の白黒テレビ、1970年以降のカラーテレビブラウン管は爆縮を採用しているのでネックが折れても爆発しません。(ただし爆縮でも危険なことは変わりませんので使用後リサイクル料の節約のため破砕廃棄などと考えずに正しく処理しましょう。)


さらに、ブラウン管の周辺や内部には電子ビームがシャドーマスクやアパーチャグリルに衝突した際に発生するX線を透過させない様にガラスが使用されており、再資源化時に分別する必要がある。



焼き付き編集

一般の放送を受像するブラウン管は全体的な輝度低下を起こすことはあっても、部分的な焼き付きはないが、アーケードゲーム機のブラウン管は麻雀牌が焼き付いてゲーム実施に支障を起こすことがあった。 スクリーンに投影する高輝度CRTも焼き付きが起こりやすい。

プラズマ方式のモニタでもこの問題が起きている。


ブラウン管テレビの魔改造編集

古いブラウン管テレビは「ジャングルチップ」という内部の信号処理がアナログであるため、ここを弄ればゲーム機などをRGBで直接入力が可能。

ジャングルチップがデジタル化しているテレビは現時点では改造不可能。

まるでかつてのニンテンドウ64のRGB化改造の様である。


ただし、前述の通り内部は特にブラウン管が高電圧である為、素人がやるのはオススメできない。


ジャングルチップ交換による修理編集

RGB化改造チャレンジ編集



ブラウン管を演出等に使ったTVプログラム編集

霊感ヤマカン第六感 OP/ED他

クイズ100人に聞きました 開始にあたり9画面の演出方法を朝日放送に聞きに行ったらしい。

クイズダービー ライトペンを使ったブラウン管上での書き込み(フリップ紙を使わないエコである)

平成教育委員会 ライトペンを使った書き込みはクイズダービーと同じ。


なお家庭用一般テレビカメラでブラウン管映像を撮影すると、フリッカーが起きてしまう。

霊感…ではブラウン管の輝度を落としてフリッカーの映り込みがないようにしていた。

ライトペン:ブラウン管上にワイヤードペンを置くことでそのブラウン管のX-Y値を読み取り点または線を描くことができた。 一時はCAD、ペンタブレットへの応用も模索されていたが、現状はモニタ上での直接操作はペンのほか指での書き込み操作で、いずれも、表示幕に細かいメッシュを張り付け押されることで感応させている。


ブラウン管がモチーフのキャラクターなど編集

天才てれびくん(第2期)にはテレゾンビが登場する。


関連タグ編集

液晶モニター プラズマディスプレイ


ガンコン:ガンコン2まではブラウン管専用

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