特徴
地球の周囲を周回している放送用人工衛星(CS放送の場合は通信衛星)から地上に向けてSHF帯を使って送信する。地上側に送信所や中継局を作る必要がなく、地形などの影響を受けないので全国で一律の番組を1箇所の送信所(衛星)で放送出来るのが強み。
ただし使用している周波数が高く、波長が短いために悪天候時の受信が困難、受信するためには地上波用のUHF(VHF)アンテナとは別にパラボラアンテナが必須などメリットばかりというわけではない。過去に地上波難視地域の解消でSHF帯中継局を受信していた世帯のパラボラアンテナは衛星放送の受信には使えない。ただし中華鍋は使える。(コンバータさえ用意できれば)
最近は地方での深夜アニメ格差是正にこの衛星放送(特にBSデジタル放送)が積極的に活用されるようになっている。深夜アニメ以外の番組では地上波とのディレイ、サイマル放送が権利関係の処理から難しく、地上波側では企画が通らないちょっとマニアックな番組、地上波でなかなか視聴率を得られなくなった野球中継を放送する事が多い。
コンプライアンス面は地上波に比べて緩く、2020年代でも例えば古いドラマの女性の胸を丸出しにしたストリップシーンが「オリジナルを尊重」という形でそのまま放映されるぐらいである。
主な設備
地上側
- アップリンクセンター
地上の衛星放送局が放送するための番組を宇宙空間の放送衛星に送信する設備。日本国内では東京都渋谷区のNHK放送センターと埼玉県久喜市のNHK菖蒲久喜ラジオ放送所にある。
ちょっと2箇所の距離が近すぎるような気がしなくもない。
衛星側
- 放送衛星
現在はスカパーJSAT株式会社と株式会社放送衛星システムがそれぞれ放送用と通信用の人工衛星を管理している。
打ち上げに使われたロケットはアリアン4とアリアン5である。
日本の放送衛星にゆりシリーズが有り、ゆりが使われていた頃は毎年春と秋に各1ヵ月半程度深夜放送を休止していた(注1)。というのもこの時期は放送衛星が地球や月の影に入ってしまい電波を発射するために必要な電力を発生させるための太陽電池が使えず、その間はバッテリー電源で電波を発射するが、バッテリーを使い過ぎると停波の恐れがあったためである(注2)。
※注1:当時のテレビ欄では「食のため深夜放送休止」「食のため1:00~4:00まで放送休止」といったものがよく表記されていた。ちなみに「食」とは日食や月食の食であり先述の地球や月の影に入る事である。職員の食事休憩タイムというわけではない。
※注2:ソーラーパネルや蓄電池の発達で発電効率や充電効率が高くなった為、現在では地上施設のメンテナンス以外では休止は殆どない。
2018年12月には4K放送、8K放送がBSで開始された。
主な衛星放送局
BSデジタル放送
- NHK BS
- BS日テレ
- BS朝日
- BS-TBS
- BSテレ東
- BSフジ
- WOWOW
- BS11
- TwellV
- スターチャンネル
- 放送大学
- グリーンチャンネル
- BSアニマックス
- BSスカパー!
- JSPORTS
- BS釣りビジョン
- 日本映画専門チャンネル
- ディズニーチャンネル
- BS松竹東急
- BSJapanext
- BSよしもと
CS
- スカパー!
- アニマックス(BSデジタル放送に移行)
- カートゥーンネットワーク
- キッズステーション
- チャンネルNECO
- ディスカバリーチャンネル
- ディズニーチャンネル(BSデジタル放送に移行)
- テレ朝チャンネル
- ファミリー劇場
- AT-X
4K BS放送
- NHK BSプレミアム4K
- BS日テレ 4K
- BS朝日 4K
- BS-TBS 4K
- BSテレビ東京 4K
- BSフジ 4K
8K BS放送
- NHK BS8K
過去に存在した衛星放送局
アメリカの衛星放送プラットフォームで、AT&T系。日本では1996年から2000年まで展開されていた。
現在でもアメリカでの放送は継続している。
いわゆるCS1。現在はスカパー!に移譲。現在でも一部のメーカーではその名残が見られる。
- セント・ギガ(St.GIGA)→クラブコスモ(Club COSMO)→WINJ
世界初の衛星放送によるラジオ局。1995年~2000年までサテラビュー向けデータ放送なども実施していた。
いずれもディズニー系列のテレビ局。チャンネルの再編に伴い閉局となった。