日本語に直すと超短波。VHFはVery High Frequencyの頭文字。波長が1mから10mほどとUHFに比べて長い。
特徴
波長が短いため、あまり遠くまで伝播しない。送信所から見通せる範囲がおおよその通信可能エリアとなるが、スポラディックE層やラジオダクトなどの影響により遠くの送信所の電波を受信することがある。それでもUHFに比べて遠くまで飛びやすく新潟県のケーブルテレビで東京タワーから射出される12chテレビ東京の再送信を行っていたことがある。
異常伝搬の一例として鹿児島県奄美大島のコミュニティFMが新潟県のFM新潟と混信したことがある。
利用例
一番身近なものでFMラジオ放送がある。かつての地上波テレビ放送は一部この周波数帯にもあった。
ラジオ放送では76MHzから108MHzの範囲に日本や主要国のラジオ放送の送信周波数が多く含まれる。
日本ではテレビ放送では周波数帯域で90MHzから222MHzを使っていた。しかし受信機では基本的に物理チャンネルという表記を使っていた。
テレビ放送で使われる物理チャンネルは1chから12chだが、3chまでは108MHzまでの範囲に収まっており、さらにアナログ放送(FMラジオと原理が同じ)なので音声をラジオで受信することが出来た。
チャンネルについて
隣り合うチャンネル同士(1チャンネルと2チャンネルなど)では周波数帯が一部被るため、隣接混信と呼ばれる障害が発生する。そのため、アナログ放送の物理チャンネルは必ず1つ間隔を空けて割り当てられていた。
しかしVHFの3チャンネルと4チャンネルは周波数帯が離れており、チャンネルが隣り合っていても問題なかった。例えば関東エリアではアナログ放送のNHK東京放送センター教育テレビジョンが3チャンネルを使用し、日本テレビが4チャンネルを使用していた。
FMラジオ放送及び旧地上波アナログテレビジョン放送以外での用途
アマチュア無線(50MHz・144MHz帯)、業務用移動通信、航空無線、国際VHF、防災無線など。
公共用広帯域移動通信システム(170~205MHz)は既に役目を終えた地上波アナログテレビジョン放送の周波数帯(物理チャンネルは4ch~9ch)を用いている。