曖昧さ回避
- 回転式弾倉(シリンダー)の構造がある拳銃の総称。
- メタルギアシリーズの登場人物⇒リボルバー・オセロット
- 遊戯王VRAINSの登場人物⇒リボルバー(遊戯王VRAINS)
- 音楽作品で用いられる名称の一つ。代表例としては、ビートルズのアルバム『リボルバー』やマドンナの楽曲(和訳では『リヴォルヴァー』と表記)など。
- その他、名称に採用される単語『Revolver(リボルバーまたはリヴォルヴァー)』。
拳銃の「リボルバー」
日本語では「回転式拳銃」や「輪胴式拳銃」とも言う。
1832年、サミュエル・コルトはカルカッタ行きの外輪船に乗っている時、船の動輪を見ていて回転式弾倉のアイデアが浮かんだ。
曰く「動輪がどっちの方向に回転しようと、それぞれのスポークが常にクラッチとかみ合うように線で接することを見つけ、リボルバーの考えがまとまった」。
アイデアをまとめたコルトは父の援助でリボルバーの試作を繰り返し、1836年2月25日に「リボルバー拳銃」で特許を取得した。
多銃身拳銃を祖として歴史は非常に古く、今では現実における実用性は自動拳銃に劣りがちだが、その無骨さのキワミともいえるデザイン故にフィクションや裏の業界で人気がある。
基本構造
映画、ドラマ、アニメでもよく目にするので外見を想像するのは割と簡単かと思われる。
胴体部分にある円筒形のパーツが「輪胴弾倉(シリンダー)」と言われる、弾薬を装填しておく部分。
シリンダーは引き金(トリガー)の動きに連動して弾一発分の角度だけ回転し、次々と弾を発射位置に持ってくることができる。
そのシリンダーを囲っているのが「フレーム」で、だいたいのリボルバー拳銃はフレームとグリップの芯までが一体化している。
フレーム前方には銃の性質に合わせた「銃身(バレル)」が結合されていて、弾薬はここを通って加速されながら飛んで行く。
シリンダー後方には、バネ仕掛けで弾薬の後ろを突くためのて「撃鉄(ハンマー)」がついている。これが引き金に連動して鋭く倒れることで弾薬を撃発(発射用の火薬に着火)し、銃弾を発射する操作ができる。
pixivには多様なリボルバー拳銃のイラストが投稿されているので、それらを見ながら、どこがどのパーツかをチェックしてみると良いだろう。
リボルバーと付属品
サプレッサー(減音器)
銃口に取り付けて、銃の発射音と発射光を軽減させる筒状の装置。「サイレンサー(消音器)」とも呼ばれるが、完全に音を消せる訳ではないので最近では「(サウンド)サプレッサー」と表記されるようになってきた。
肝心のリボルバー拳銃との相性だが、相性が悪いというより一部の特殊な機種を除けば構造的に無意味なので、創作で描写する際は要注意。
リボルバーの構造上、銃身と弾倉にはシリンダーギャップという隙間が開いているので銃口にサプレッサーがあってもギャップから出る音は一切消せない。劇画「ゴルゴ13」などでリボルバーに装着するシーンがあるが、あくまでもフィクションである。
- ギャップを塞ぐ特殊な機構を組み込んだナガンM1895のような設計であれば銃口サプレッサーでも消音効果を得られるが、リボルバーの「パーツが少なく信頼性が高い」という特長と逆行してしまう。
- ナイツアーマメント社はルガースーパーレッドホークにシリンダーギャップを可能な限り狭める改造を加え、残った隙間も弾頭部のピストンシールによって塞ぐ機構の追加、薬莢内部に発射ガスを逃さないピストン機構を備えた専用弾を使用する事で消音仕様を製作したが、逆に言えばここまでしないと「消音リボルバー」にはならないということ。ストックや、サウンドサプレッサーによって長くなった銃身により小型のボルトアクションライフル並に大型化し、専用弾を用いるコストもあって量産には至らなかった。
- ジョー・ピータース PSDR3のように、サウンドサプレッサーを銃口部のみならずシリンダー部まで完全に覆い、ギャップからのガスも逃がさない構造とすれば専用弾や特殊な機構を用いずとも減音効果を高めることができる。
- 拳銃ではないが、回転弾倉式ショットガンであるSIX12では銃身根元にあるガスシールがシリンダーへと後退して、窪みとかみ合う事で隙間をなくす機構を持っている。
- OTs-38やS&W/AAI QSPR(トンネルピストル)では、ピストン・プリンシプル弾とよばれる発射ガスを薬莢内に閉じ込める弾を使用することで消音リボルバーを実現しているが、ガス圧が低いので射程や威力がガタ落ちし、用途が限られる。
- では自動式拳銃はと言うと、最大の騒音である発射ガスの破裂音はサプレッサーである程度は抑制できるが、スライドが動く作動音が出るので、隠密作戦レベルで消音にこだわるならMK22ハッシュパピーや64式微声手鎗のようにスライドをロックする機構を持たせ、銃弾が発する衝撃波の音も消すため威力を下げてでも亜音速弾を使用する。また、銃身の重量やガスの圧力が変化して動作不良を誘発するという別の問題が出てくるので銃の調整も必要。リボルバーにせよ自動式にせよ、ポンと取り付けて音が消えるというレベルにはなってくれない。
スコープ
望遠鏡型の精密照準器。サプレッサーとは逆に、リボルバー拳銃とスコープは割と相性が良い。
- リボルバーは発射時に動く部品がシリンダーと撃鉄だけなので、がっちり固定されたフレームと銃身の上に安定してスコープを据え付けることができる。近代的なリボルバーだと、最初からフレーム上部にスコープを取り付けるための規格に合わせた溝を彫ってあるものも珍しくない。
- さすがに射程や精度はライフル銃とスコープの組み合わせには及ばないものの、銃の所持規制が比較的ゆるい国(要はあの国あたり)だと、あえてライフルではなく強力なリボルバーを使ってハンティングをするという趣味もあり、ハンティング・リボルバーあるいは射撃競技用リボルバーとスコープの組み合わせは一般的な使い方の一つ。
カートリッジホルダー(弾薬を保持する道具全般)
リボルバーが世に出てからずっと「シリンダーへ一気に弾を籠めて素早く再装填したい」という要望は出され続け、そのために様々な道具が開発されていた。
- スピードローダー
- シリンダーの穴と同じ配置で、弾の後端を咥えておく道具。例えば6連発のリボルバーなら、ローダーに咥えたままの弾を全て同時にシリンダーに挿し込めるため、単純計算で装填時間は1/6。弾を挿し込んだあとは自動あるいはスイッチを操作して咥えを外し、ローダーは回収する。
- ローダーを何個も持っておくことで次々と装填できるが、シリンダーの穴と位置を合わせる関係上、銃のモデルに合わせたものを使う必要がある。また、シリンダーと同じ円形なのでやや嵩張る。
- ムーンクリップ
- スピードローダーのように弾をシリンダーと同じ位置に咥えておく道具だが、こちらは薄い鉄板などでできている、より単純なもの。弾を挿し込んだらクリップは外さず、いっしょに装填したままシリンダーを発射準備状態に戻す。リボルバーでは抜け落ちてしまい装填できない自動拳銃の「リムレス弾」を固定することで、リボルバーで撃てるようにする道具でもある。
- 撃ち終わった薬莢を排出する時も、クリップがついたまま全部の薬莢を排出できる。構造も手順もローダーよりシンプルだが、シリンダー後方にクリップが挟まるだけの隙間を備えた銃にしか使えない。
- 全弾を咥えておける円形のものは「フルムーンクリップ」、半数だけ咥えて嵩張らないようにした半円形のものは「ハーフムーンクリップ」と呼ぶ。こちらも銃のシリンダー形状に合わせたものを使わねばならない。
- スピードストリップ
- ゴム製のまっすぐなベルトに、弾の後端を挿し込んで一列に並べておけるようにしたもの。弾を細長くコンパクトに整理された状態で持ち歩ける。シリンダーに装填する際は、列の端から2発を挿し込むのを繰り返していくので理論上は2倍の速さで装填できる。
- チャージングマガジン
- 筒の中に弾を縦一列に並べる構造で、それを6本束ねたようなものもある。一つの筒で30発分の装填が可能な上に、馬上など片手しか使えない状態でも再装填ができるのが売り。かなり長くて持ち歩きにくいので、現代では廃れてしまった。
回転式と自動式の比較
回転式(リボルバー) | 自動式(オートマチック) | |
---|---|---|
装弾数 | 少ない。5〜6発、多くて9発 | 多い。13~17発。ロングマガジンにおいては30発以上 |
再装填 | 面倒。スピードローダーがあれば比較的早くできるモデルもある | マガジン交換で簡単 |
故障 | 構造は単純だが過信は禁物。シリンダー周りは繊細で手入れを怠ると回転しなくなったりする。 | 同じくこまめな清掃と点検が必要。排莢部が薬莢を挟みこむことがある。 |
弾が不発だった… | ダブルアクションならば引き金を引けば、直ぐに次弾を撃てる | スライドを引いて、薬莢を排出する。撃ち合いでは隙ができる。 |
弾の撃ち分け | 人力で次弾を送り出すため、弾のサイズが同じなら特殊な弾丸の発射は自動式よりも対応力がある | 発射ガスの圧力で稼働する為、仕様上の標準弾薬以外を装填すると誤作動のもとになる |
サプレッサー※ | 無改造では効果はほぼ無い | 搭載可能。ただし効果は限定的 |
リボルバーの長所
※近代的な金属式薬莢を使うリボルバーという想定で、セミオートの自動拳銃と比較しての相対的な長所
- 構造が単純である
- リボルバーの長所を語るにあたって、第一に挙がると言っても良い要素。銃の構成は弾と本体のみ。自動拳銃に求められる「スライドの噛み合いや動作タイミングのコントロール」に必要な仕組みも不要で、基本的に人力と撃鉄のバネ、テコの原理だけで動作する。装薬のエネルギーも、シリンダーギャップから漏れる分を除けば全て「弾の発射」に費やされる。流石にデリンジャーやトンプソン・コンテンダーのような中折式や、古典的な海賊が所持しているイメージの強い前装式のフリントロックピストルなどに比べれば複雑な構造をしているが、そうした古典的な銃よりは使いやすさや装填数に優れ、自動拳銃よりは操作が単純かつ信頼性に優れるという意味で、良く言えば中庸な利点を持つと言える。
- 単純なパーツ総数だけ見るとリボルバー並みにパーツ少ない自動拳銃も存在するが、銃身のロック構造やスライドを動かすバネなど、可動部品が多いという点は変わらない
- あるていどの安全性を確保しつつ即応性もある
- 引き金を引くだけで撃鉄起こしと撃発まで行えるダブルアクション・モデルなら「セーフティ解除」の動作を飛ばして「引き金を引く」だけで咄嗟の射撃にも迅速に対応できる。また、銃弾側に問題があって不発が発生しても、そのまま引き金を引きなおせば即座に次弾を発砲できる為、不意のアクシデントに対するリカバリーもシンプルかつ早い。
- ほとんどのリボルバーには発砲をロックするマニュアルセーフティが無い。これは安全面では大きな欠点とも言えるが、近代的な設計のリボルバーならファイアリングピンブロックやトランスファーバーなどの暴発防止機構がついているので、撃鉄が銃弾に接近したハンマーダウン状態でも安全に携行できる。トランスファーバー等が無いタイプのリボルバーだと、例えば銃を落とした時に撃鉄が雷管にぶつかって暴発するといった危険があった。
- 特に安全装置とダブルアクションに関しては利点でも欠点でもあるので、欠点の項目も要チェック。
- 弾薬の自由度が高い
- 発射に直接関わる機構が単純なので、マグナム弾やライフル弾のような強力な弾薬の使用も、自動拳銃に比べれば自由度が高い。
- 基本的に全ての機構を人力に頼る為、弱装弾や散弾、低殺傷弾等の特殊な弾も使いやすい。これらの弾薬を自動拳銃で使う場合、「動力」に相当する火薬の燃焼ガス圧力が低いので作動不良に注意する必要がある。
- ちなみに、リボルバー用と自動拳銃用の弾薬は末端部にあるリム(フチの出っ張り)の有無という大きな違いがあり、たとえ口径などの寸法が同じであってもそのまま共用することはできない。リムレス(リムが無い)の自動拳銃用弾薬をリボルバー拳銃のシリンダーに入れても、ひっかかる部分が無いので抜け落ちてしまう。
- 逆にリボルバー用のリムド(リムあり)弾は、リムが邪魔でマガジン内に並べられないためオートに流用できない。マグナム弾用の専用設計マガジンと銃が必要になる。
- やや珍銃の類だが、「リボルバーと自動拳銃を両方所持して、弾薬は共通にしたい」といったニーズに合わせて、自動拳銃用リムレスカートリッジが使えるリボルバーもある。これはリムレス弾が装填できると言うより、抜け落ちないようムーンクリップで保持した状態のリムレス弾に合わせて設計されているもの。リムレス弾をクリップなしで装填可能なものもあるが、エジェクターが使えず再装填が非常に面倒であったりと何かしらの欠点を持っている。
- 薬室関係のトラブルに強い
- 撃発時に弾薬が収まっている部分を薬室と言う。リボルバーは弾を装填するシリンダーの穴がそのまま薬室になるので、弾一発につき専用の薬室が一つずつある形になる。例えば薬莢が発射時の圧力で変型し薬室に張り付いてしまったとしても、リボルバーならシリンダーごと回転して新しい弾と薬室が発射位置にやって来るため連射を続行でき、張り付きは次の再装填まで無視できる。
- 一つの薬室を全弾で共有する自動拳銃では、一度張り付きが発生したらそこで打ち止め。次以降の弾を撃つことができない。ただし、リボルバーはシリンダーの動作不良により銃尾に弾丸がぶつかると最悪再起不能になるので構造的には一長一短。
- 大きく動くパーツが無い
- 突き出す形で動くのは撃鉄と引き金のみ。引き金はトリガーガードがあるので実質的には突き出ない。シリンダーは軸で回るだけなので、動いても銃の外寸が変化しない。このおかげで、ホルスターに入れずに上着等のポケットの中に突っ込んだ状態で持ち歩き、ポケットに入れたまま撃つこともできるので、咄嗟の応戦や奇襲に有利と言われることもある。
- 特にコンシールド(隠して持ち歩く)用に設計されたポケットリボルバーの中には、撃鉄もフレームで挟むように隠したインナーハンマー、シリンダーを覆い隠したインナーシリンダーになっているものもあり、この場合は引き金以外に露出した可動部品が無いので、ポケット内から撃つことも、ポケットなどから素早く抜き出すこともできる。
- パーツが少なく、銃身は不動、大きく動作して銃を揺らす部分も無いので、ターゲットシューティングにおいて遠距離を狙うような使い方とも相性が良い。スコープも載せやすい。
- 逆に、撃鉄が露出するタイプを懐に隠し持つ場合は、衣服にひっかけたり、間に物が挟まらないよう注意して扱う必要がある。この点は自動拳銃も同じ。
自動拳銃の信頼性が向上していく中で『神話的』と揶揄されるようにもなってきたリボルバーの「利点」だが、自動式では弱点になる部分をカバーする特性を持っているのは確かであり、警察関係者などを中心に、支給の自動拳銃をメインにしつつ、個人用のリボルバーをバックアップとして携帯する者も少なくない。
また、性能的な優位性ではなく社会的な側面として、文化的にリボルバーが身近であったり、自動拳銃に比べてリボルバーの銃規制が緩い場合が挙げられる。※
こうした規制下でホームディフェンスなどを目的とした一般人が銃を買い求める場合、リボルバーの方が入手しやすい(不適切な人間も入手しやすい事になるが)。
ある国や地域において「自動拳銃よりリボルバーの方が購入者が多い」という統計が出る場合、性能的な優劣ではなく、こうした社会的な背景が原因になっている場合もある。
※金属式薬莢を用いないパーカッション式であれば登録すら無用な制度を敷く地域もある
リボルバーの短所
※長所と同様に、近代的な金属式薬莢を使うリボルバーという想定で、セミオートの自動拳銃と比較しての相対的な短所
自動式の信頼性が格段に向上した現代の目から見るなら、致命的な欠点も多い。
「拳銃は積極的な戦闘用のメインウエポンではないから、これら程度の短所は自動拳銃との大きな差ではない」といった向きもあるが、警察官のように拳銃を相棒に命がけの現場に立つ人もいるので、特に装填時の隙によって警官が殺傷される事件が発生した例などは、80年代後半から90年代前半にかけて起こった「公的機関のリボルバー離れ」に拍車をかけた一因とも言われる。
- マニュアルセーフティやデコッカーといった安全装置が無い機種が多い
- 「安全装置の解除動作を挟まず即座に撃てる」という面では長所でもあるが、持ち歩く際の安全性が問題となる。
- 撃鉄を起こした状態で安全装置をかける「コックアンドロック」ができないので、実際には撃つ前に撃鉄を起こすワンアクションを挟むか、引き金が重くて長いダブルアクションで撃つことになる。「引き金が重いから安全装置の代わりになる」とも言われるが、即座に撃てるという長所には相反する。コックアンドロックしておいた自動拳銃なら、安全装置を外して軽いシングルアクションの引き金を引くだけなので、このあたりは前提条件の問題になってくる。
- 撃つのをやめて撃鉄を戻す「デコッキング」をする場合、撃鉄を押さえながら引き金を引いてゆっくり戻す…という、暴発リスクがある操作をしなくてはいけない。これはデコッカーの無い自動拳銃も同じだが。
- 近代的なリボルバーなら、衝撃などによる暴発を防ぐ安全装置は実用化されているし、リボルバーにも原理的にはセーフティやデコッカーを付けることは可能。ただし「操作や構造がシンプル」という利点と相殺になってしまう。ハンマーの前進を防ぐハーフコックポジションにできるリボルバーもあったが、構造によってはシリンダーが空転してしまい、ズレにより動作不良を起こす可能性がある。
- トランスファーバーなどが普及する以前は、撃鉄を倒した状態で銃を落とすなどして不自然な力が加わると、微妙に動いた撃鉄が雷管を叩いてしい暴発してしまうこともあった。このため、あえて一発装填せず薬室を開けて暴発を防止するという工夫もあった。当然、連射数が一回減ることになる。
- 装填数の進歩が頭打ちになっている
- フレームのサイズとシリンダー強度の限界があるので、装填できる弾薬の数が限られる。トーラス・ホーネットのような8発装填リボルバーは実用化されているが、現実的なサイズや構造を考えると、そのぐらいが限界のようである。より小口径の弾を使えば増やせる可能性はあるが、それを言ったら自動拳銃はもっと増やせてしまうので…。
- 一応24発装填できるリボルバーが実在するが、銃本体に対してかなり巨大なシリンダーに二列の薬室を開け、銃身と撃鉄も二つあるという珍銃の域を出ないものである。
- 自動拳銃では比較的古いM1911が1列弾倉で7+1発だが、弾を二列収める複列弾倉(ダブルカラム・マガジン)が登場すると、装填数の面に限って言えばリボルバーは対抗のしようがなくなった。マガジン式の場合、バネの力のバランスが許す限り延長したロングマガジンが作れるというのも差が出る一因。
- 再装填に時間と手間がかかる
- 自動拳銃はマガジンでひとまとめに装填できるが、リボルバー拳銃にも弾をひとまとめにするスピードローダーやムーンクリップといった再装填を効率化する道具がある。銃の規格に合ったローダーやクリップを準備してやる必要はあるが、これらを使えばシリンダーへ一気に弾を差し込むことができるため、弾を「入れる」動作の速さならマガジンを挿し込むだけの自動拳銃にも後れは取らない。
- シリンダーのリム側の薬室を削って口を広げる事でさらに装填をしやすくできるが、グリップそのものを加工したり部品を取り付けることで広い挿入口にできる自動拳銃のほうがこの辺りの自由度は高い。
- 問題は撃ち終わった薬莢を「排出する」動作のほうで、まずシリンダーを解放し、次に空薬莢を確実に抜き出すためエジェクターを操作してやる必要がある。フィクションではシリンダーを開けて銃を上に向けるだけでバラバラと空薬莢が落ちる描写も多いが、実際には燃焼ガスの圧力で薬莢が膨張しシリンダー内に張り付いている事があるので、安全確実を求めるなら手動のエジェクター操作は欠かせない。
- 排出時にミスをしてエジェクターとシリンダーの間に薬莢が入り込み、エジェクターが薬莢を噛んでしまったりすると、最悪、シリンダーの銃口側から棒を突っ込んで押し出すといった事態も起こり得る。
- S&W モデル3のように、シリンダーの解放と同時にエジェクターが作動する設計のリボルバーもあるが、強度優先でフレームを展開しないソリッドフレームと、横にシリンダーを振り出すスイングアウトが採用される事が多い現代では主流にならなかった。
- SAAのようなスイングアウトの出来ないリボルバーであれば更に手間がかかり、SAAの場合はハンマーを操作してシリンダーをフリーにしたうえでローディングゲートから一発ずつ空薬莢を抜いた後、また一発ずつ装填する必要がある。
- パーカッション式リボルバーの時代によく見られた、シリンダーをまるごと交換できる「デタッチャブルシリンダー」という形式なら、装填済みのシリンダーを用意して弾倉がわりに素早く取り替えるという手段はとれる。ただしこれはデタッチャブル前提の設計な銃でしか行えないし、金属薬莢が主流の現代ではデタッチャブル式自体が廃れてしまった。
- 薬室に一発残して再装填(タクティカルリロード)すれば弾倉がない状態でも発砲ができる(物が多い)自動式に比べ、リボルバーはシリンダーを戻すまで発砲できないので装填作業中の隙が大きいと言われることもある。
- 近代的な設計のリボルバーはシリンダーの開放を片手で行えるが、戻す際の位置あわせが難しい。銃と装填補助具の構造によっては、一度グリップから手を放してシリンダーを支える事で隙ができてしまうこともある。フィクションでは「銃を振るだけでチャキッとシリンダーを戻す」というカッコいい動作が描かれることも多いが、アレをやるとシリンダーがうまく噛み合わず、回らなくなってしまうことがある。
- 「手持ちの弾倉やクリップを全部使い切ったがバラの弾は一発だけあるのですぐに装填したい」というかなり特異なシチュエーションを想定すると、自動拳銃は薬室を開放してスライドストップをかけエキストラクターを避けて排莢口から奥まった薬室に弾を押し込まなければならないのに対して、リボルバーは通常の手順と全く変わらず一発だけの装填ができる。もっとも、そこまで特殊な状況を想定するのが一般的な長所短所かは怪しいところだが…映画「リーサル・ウェポン」でリッグス刑事がこの方法で自動拳銃に単発装填しているシーンがあるものの、これは自宅に一人で居た際の実用とは程遠い特殊な状況でのことである。
- 両手対応(アンビデクストラス)の設計がしづらい
- 自動拳銃でも完全に対応できている訳ではないが、特にシリンダーをスイングアウトさせる設計の近代的リボルバーの場合、どうしてもスイングアウト方向を左右どちらか選択しないといけないので、左にスイングアウトさせる右手持ち前提の設計になってしまいがち。こうしたリボルバーを左手で扱った場合、右手の親指で操作する前提のスイングアウトスイッチが操作しづらい。
- 左手持ちだと再装填時のシリンダーが射手から見て体の外側へ開いてしまうため、左手でグリップを握ったままにしたいなら、銃をまたぎ越すように右手を伸ばして装填したり、銃を大きく右に傾けて操作する必要が出てくる。
- 負傷等により片手での操作が必要な事態になった場合、銃から手を放して足で挟むなどで片手を空ける必要があるのは自動式も同様だが、リボルバーの場合はシリンダー回りの操作が非常に手間となる。
- 自動式ではカスタムパーツの装着や標準搭載部品の形状変更によりリアサイト等を服やベルト等に引っ掛けて片手でスライドの操作が可能なモデルが登場しており、更にどちらの側からもスライドストップ機構が操作可能である等のアンビモデルが登場しており、一昔前と異なり片手での操作が行いやすくなっている。
- 残弾管理の問題
- 自動拳銃は弾を撃ち切るとスライド等が後退状態で固定され、射手は撃ち終わったことが判る。リボルバーはシリンダー内の弾を撃ち尽くしても動作は止まらず操作し続けられるので、弾切れまでの発射回数は射手自身が覚えている必要がある。この「動作が止まらない」という性質は、不発などが出ても止まらないのでリカバリーの面では利点でもあるが…。
- 連続発砲するような事態で残弾を数えていられるほど冷静な射手なら、自動拳銃を使えばより精神的な余裕が生まれる訳で「射手がしっかり覚えていれば問題ない」とも言いづらい。
- 一部のポケットピストルなどに撃ち切ると引き金が止まるものもあるが、こうした仕掛けのためシリンダーにカウンント用の溝を設けている都合上、再装填時には一度シリンダーを外して位置をリセットするため特定の角度で戻すなどの面倒が生じてしまう。そもそも自衛用ポケットピストルは言ってしまえば「その場しのぎ」のための武器なので、あまり再装填の使い勝手を考慮していない。ポケットピストルで弾を撃ち切るというのは、その前に逃げるか別の銃を取り出したほうが良い状況ではある。
- ダブルアクションでの速射精度
- ダブルアクションで速射をする場合、ハンマーを起こす為の長いトリガーリーチによって『ブレ』が起こり、速射時の精度がシングルアクションの可能な自動拳銃に対して劣る。
- ダブルアクションの自動拳銃と比べでも、大きなハンマーと強いハンマースプリングを搭載しているリボルバーでは自動式と比べて引き金が重く、いわゆる「ガク引き」を誘発して精度が劣ってしまう。
- 名手を錬成するような訓練をすればガク引きの矯正も可能ではあるが、そもそも「ユーザーを名手に錬成しないと充分な性能が引き出せない」というのは道具として見れば短所である。
- 射撃競技での速射を前提としたようなリボルバーも作れるには作れるが、こうしたカスタムでは反動を少しでも減らす為に装薬量を競技規定の範囲内ぎりぎりまで減らし、銃自体もハンマースプリングを削る、シアのかかりを浅くするなど軽い力で発砲できるよう加工されている。こうした設定の銃を法執行機関等で使用すると、威力不足や暴発や誤発射、不発の危険のある銃となってしまう。
- 構造上の欠点
- シリンダーが筒状のため、同規模の自動拳銃と比べると左右に厚みがある。アンクルホルスター等を使い隠して携行しようとすると、収められる場所が限られる。この厚みを減らすには装弾数や銃弾のサイズを減らすことになるので、威力や弾数に劣ることになる。
- 「シンプルな構造」が利点なのは確かだが、シリンダーを回転させ、常に定位置で固定する機構を持つため、単純化を徹底した自動拳銃である『M1911』や『グロック17』といった銃と比べると、実は機構そのものは複雑になっている。
- 作動時の内部部品への負荷が人間の握力とバネのみである為、意外と強度が弱く、衝撃が逃げづらいことで破損しやすい。
- 「シリンダーに半端な弾数を入れる」という限定的な状況の話ではあるが、シリンダーギャップから漏れ出た発砲炎が空の薬室を通って射手方向に向かい、リコイルシールドとの広い隙間から漏れ、射撃姿勢によっては射手へと向かって噴き出す事も起こりえる。
- 機関部や薬室などが外部環境に露出しているため、落とした際や泥まみれになった際に機構が故障する、異物の混入等による作動不良は自動式に比べて多い。ファイアリングピンがフレーム側ではなくハンマー側にあるリボルバーの場合、ハンマーが起きている状態では露出しているので、落としたりぶつける、異物混入したままの撃発等でファイアリングピンが破損し、発砲できなくなる事もあった。
- オートマチックより強力な弾薬を使える自由度はあるが、逆にそうした弾薬やダブルチャージ(規定量の二倍の装薬量)、トリプルチャージといった強化弾薬を使用して異常を起こした場合、圧力の逃げる先が少ないためにシリンダーが破裂するという射手の危険度が高い事故につながる。耐えらえる限界は高いが、その限界をオーバーした場合の事故は重大ということである。
- 自動拳銃では薬莢のリム側は薬室内に完全に収まってないものが多く、フィーディングランプ(マガジンから薬室へ弾薬を送り込むための坂)やスライドと薬室の隙間、エキストラクター(薬莢を薬室から引き抜くための部品)等から圧力が逃げる為、薬莢が膨らむ程度か、もともと別パーツのスライドや弾倉などが吹き飛ぶ程度で済むものもある。
- 弾薬の不発が起きた場合、自動拳銃は手でスライドを動かして排出することになるが、リボルバーでは薬室内に弾がそのまま残る。着火が時間差で起きる「遅発」が起きた場合、シリンダーの破裂やフレームの破壊といった致命的な破損を引き起こしてしまう可能性がある。
- 使い込んだ銃ではシリンダーロックの磨耗によってシリンダーを適切な位置に止める事ができずにオーバーランを起こしてしまい、雷管に撃針が当たらず撃発できない。ずれた位置で撃発してしまい銃の破損を招くといった事も起こりえる。
- これらの問題から、「構造がシンプルで故障しにくい」というイメージに反して潜在的な故障率は自動拳銃より高いと主張する人もいる。
- シリンダーと銃身の間のスキマ(シリンダー・ギャップ)から火薬の燃焼ガスが漏れるので弾薬のエネルギー損失が起きるが。これは自動式の装填機構による損失と比べて不安定と言われる。
- シリンダーギャップ周辺が覆われていないリボルバーの場合、ギャップから弾薬のジャケット片や発射ガス、装薬の燃焼滓が噴き出してくるので、射手の指などが巻き込まれないよう、しっかりと構える必要がある。このギャップからの噴き出しは、「銃身側にフォアグリップを付けられない」「射撃姿勢が限定される」といった制約になる。ギャップにカバーをつける、射手が皮手袋でもつけるといった対策はあるが、エジェクターが操作し辛いといった欠点が生じてしまう。射撃競技によっては、保護具が服装の既定違反となってしまうこともある。
- シリンダーギャップからのガス噴出リスクについてはこちらの動画も参照。装薬量の多い大口径弾などの場合、指など吹き飛んでしまう危険性もあるため、持ち方にはしっかりと習熟しておく必要がある。指トリガー警察ではないが、創作にリボルバー使いを登場させるなら、こうしたポイントに気を付けていると一枚上手の描写になるだろう。
リボルバーと自動拳銃の良いとこどりをしたオートマチック・リボルバーなんてものもあるが、同時に複雑な機構と動作機構の露出という悪いとこも両取りになっているので、「リボルバーの上位互換」にはなれなかった。
上記のような欠点をまとめた『リボルバーの22の大弊害』という批評なんかもある。
一方で、こうした欠点に関しては「実際には問題にならない」「言うほどの欠点ではない」といった反論も見受けられるが、「100%実用性と合理のみのリボルバー論」を探すのは非常に難しいのが現状ではある。
こちらのページは機構とフィクションの演出に関しての比較。
パーカッション式リボルバー
弾頭と発射薬と発火装置(雷管)をひとまとめにした金属薬莢が実用化される以前のリボルバー拳銃。管打式とも言う。
外観は現代のリボルバーとあまり変わらないが、シリンダーが素通しになっておらず、後方は雷管を取り付ける小さな穴しか開いていない。構造的にはマスケット銃と同じ前装式で、装填には非常に手間がかかった。
ライトノベルキノの旅などに描写があるが、
- シリンダーに直接火薬を注ぎ込む
- 布などでできた「ワッズ」で火薬を塞ぐ
- 弾頭を正しい向きで入れる
- 火薬と弾を突き固めるローディングレバーを操作する
- パーカッションキャップ(雷管)を後方に取り付ける
- 引火防止や弾頭安定のためグリスでシリンダーを塗り込める
この作業を装填数分だけ、つまりだいたい6回ほど繰り返す。予備の銃を用意するなら更に倍。もはやちょっとした内職である。
一度シリンダーをはずした状態で薬室の穴すべてに同時に火薬を注ぎ込める弾薬フラスコなどもサミュエル・コルトにより設計されている。
また、火薬と弾が詰められた紙製の薬莢を使って1~3の作業を短縮したり、リスクは覚悟でグリスシールはサボるといったアレンジもあったようだが、それが原因でシリンダーギャップから散った火花などに引火し暴発する事故は起きていたという。
…というわけで、現代ではまともに実用されている銃ではないが、西部開拓時代をテーマにした射撃競技「カウボーイシューティング」では時代背景に合わせるというルールに適合するため、当時からあるパーカッション式のリボルバーが使われることがある。
長所短所の項目でも触れた、シリンダーを取り外せる「デタッチャブルシリンダー」を採用した銃は、こうしたパーカッション式リボルバーが多い。
シリンダーごと交換することで再装填を高速化するためとも言われるのだが…どうもこれは整備のための機構であって、予備弾倉に使えるほどシリンダーだけが販売された当時の記録が無いとか、シリンダーをたくさん持ち歩いていた人の記録が無い、付け替えると機構の調整が合わないので危険では…といった、予備シリンダー交換説に懐疑的な見解もある模様。
ややかさばるが、フリントロック銃の時代と同じく「銃を何丁も持っておく」という対策の方が確実だったのかもしれない。
ただ、上記のカウボーイシューティングでは、同年代の銃よりシリンダー交換できるパーカッション式の方が再装填が早い…ということで、予備弾倉方式で使っている参加者も見られるらしい。
パーカッション式は粉状の黒色火薬を使用する関係で、準備も後始末も手入れも管理も手間がかかるので、銃本体はそのまま、シリンダーだけを現代的な金属薬莢が使用できるものに交換してしまうというカスタムもある。
このシリンダーはコンバージョンタイプ(パーカッション式から金属式に改造されたモデル)にカテゴリを変更せずに済み、携行時に雷管の脱落を気にしなくても良い、黒色火薬銃特有の発射のタイムラグがない、不発時の処理が楽、発射後の火薬滓の再燃焼による火災を気にしなくてよいと利点が多い。
現代のパーカッション式では、カウボーイシューティングのルール上でも使える「代替」黒色火薬を使うことが殆どで、旧来の黒色火薬より燃焼速度が安定しているため、近代的な無煙火薬を用いた金属式薬莢と大きな差は無いとも言われる。
パーカッション式ではシリンダーに雷管突の間でハンマーを固定するための溝が掘られており、そこにハンマーを倒して固定してしまえばシリンダーの回転はハンマーにより抑えられ、ハンマーに衝撃が加わっても雷管を叩く事はないので安全に保持できるようになっていた。
現代に於けるリボルバー
自動機構の存在しないものが殆どを占め、構造上、大口径弾薬への設計自由度・柔軟性が高く、拳銃用マグナム弾薬の大半はリボルバーをプラットホームとしている。
先述の通り薬莢が自動で排莢されずリロードに手間がかかるのが欠点だが、逆に言えば再利用したり売却したりする薬莢がどこかに飛んでって不法投棄になってしまうことを防げるのもリボルバーを選ぶ人がいる理由の一つとなっている。
一部にはシリンダーに特殊な機構を組み込むことでハーフムーンクリップ等を必要とせず、イジェクターを活かしたまま自動式用の弾(9mmLuger弾、.45ACP弾など)も使用可能なモデルも存在している。
小口径の散弾銃用ショットシェルをそのまま装填・発射が可能なモデルもあり、有効射程は短いものの近距離での護身用に使われる。
また.22LRを発射するリボルバーの多くは自動拳銃より価格が安くリムファイアカートリッジを安定して発射でき、シリンダーを取り換えるだけで.22WMRを発射できるモデルもあるため狩猟用として人気を博している。
最近は大口径の威力を活かし、大物猟への対応や猟銃のバックアップとして野生動物からの護身を売り文句に販売される商品も多く、人気を博している。
携行時の安全対策としてはトランスファーバーやハンマーブロック等のトリガーと連動する撃発を防ぐ機構が備えられ、ハンマー側から落としたとしても暴発を防いでいる。
また、先述の通りファイアリングピンがフレーム側に内蔵されているものが殆どとなったこともあり、破損は減っている。
冶金技術の向上により、.357Magnum弾を八8発装填可能なS&W M627など、装弾数を増やしたモデルも登場している。それでも発射回数が多いと亀裂が入るといった問題は残っているようだが。
シリンダーを円筒以外の形状にしたものもある。多角形シリンダーはリボルバーの欠点の一つである横の厚みをある程度は解決できるアイデアになった。
操作がシンプルという点でホームディフェンスの用途でもまだまだ現役だが、装填状態で保管される事が多いため、子供の悪戯による暴発事故がたびたび起きている。自動拳銃のようなマニュアルセーフティが無いリボルバーの場合、安全対策としてトリガー部分を覆うロック機構や自転車のようなワイヤー式ロックを使うことになるのだが、そもそもこれらが外れたままだったのが事故原因だったりもするため、外れようがない銃本体にキーロック機構を備えたものも登場している。
ただ、キーロックつきのリボルバー拳銃は
- いちいち鍵を外さねばならないのでいざというときに使いづらい。
- 機構によってはトリガーの感触が悪くなったり動作不良の原因になる。
- 鍵はそこまで特殊な構造ではないので、普通の工具で解除できてしまう場合がある。
といった問題もあり、面倒だから使っていないという、外付け安全装置と同じ状況になりがち。メーカー側が訴訟対策として「安全装置はちゃんと用意してあった」と主張するために付けているのが実情。
自動拳銃のマガジンと異なり、リボルバーのシリンダーは弾薬の保持にバネを用いないので、「装填状態での長期保管に向いている」とも言われるが、よほどひどい製品でなければ自動式であっても10年単位で装填したまま保管してあっても何ら問題なく動く例は多くある。
機構よりも品質と保管環境に左右されるので、防湿庫ならともかく即座に使用できるようにと適当な場所に保管した場合、銃本体の錆や腐食、弾薬の劣化等により射撃が不可能となる可能性はどんな銃でも起こりえる。
公的機関での採用に目を向けても、様々な理由から現代でも警察など法執行機関(ロー・エンフォースメント)のリボルバー需要はそれなりにある。
先進国では自動拳銃が主流となっているが、「過剰な火力を持たないので警察比例の原則に合わせやすい」という見方や「訓練がしやすく扱いやすそうなイメージ」があるので、日本の警察のように現在もリボルバーを主力としている組織や、高威力のマニューリン・リボルバーを伝統的に採用し続けているGIGNのような組織もある。
また、規定を満たす範囲であれば自腹で好きな銃を選ぶことが出来る組織の場合、自発的にリボルバーを選ぶ者も居る。ただ、この種の規定は自動拳銃が前提となっていることが有り、そもそもリボルバーは基準外だったり、かなり熟練していないと基準を満たせないという事もある。
非番時でも拳銃の所持が義務となっている組織で支給品を使わずに私物のリボルバーを使う例もあるが、当然その銃は規制に合わせた登録をする二度手間が生じるのに加えて、非常時であっても私物を使用した場合は一般市民と同じように取調べを受ける事もあるため、余程の愛着を持った「リボルバー好き」でもなければ選ばれることは少ない模様。
同じ公的な実力組織でも、軍隊での需要はほとんど皆無といっていい。
装備を採用するにあたっての要求水準が自動拳銃前提である事が多いので、そもそも正規の装備として採用される機会が無い。
戦闘機などのパイロットが敵地で脱出した場合に備えるサバイバルキットに拳銃が入っていることはあるが、これも要求水準をクリアする必要があるのでリボルバーは採用されづらい。リボルバーの利点を以てキットに組み込むメーカーが居れば話は別だが…。
制式拳銃の設定が無い軍隊なら自弁で好きなリボルバーを購入して使えたりもするが、近代的な軍隊になると自弁のような組織側でコントロールできない装備は管理上好まれない。
「お守り」的な意味で私物のリボルバーを持ち込む兵士もいるが、弾薬の調達も整備も全て自分で面倒を見ることになるので手間はかかる。また、軍で配備していない「破片化する対人用弾」といった戦時国際法に反するものを使用してしまった場合、戦争犯罪として訴追される可能性もある。
エアソフトガンのリボルバー
王道的な「鉄砲」なので玩具としての需要は高く、LS・クラウンのようにハンマーで直接BB弾を叩いて飛ばすスプリングガン、薬莢内にエアピストンを内蔵したファルコントーイや、ガス式でスムーズな連射が効く東京マルイなど、様々な構造のものが作られては消えていった。
国内外問わず様々な作品で個性的に扱われていたこともあり、人気はあるものの、ガスがほぼ密閉状態な自動拳銃モデルと違い、シリンダーの前後でガスルートが分断されてしまう、銃身とBB弾の収まるチャンバー部分が分断されているなどの要因で、パワーや命中精度はイマイチ。
カート式なら装弾数の致命的な少なさと、エアソフトガンとして不利な構造な為に競技でもサバイバルゲームでも実用は難しく、外観や質感を愛でるモデルガンが主流となっている。
一方で実銃ほど高圧の発射ガスを用いないのでシリンダーギャップからのガスの漏れは少なく、サウンドサプレッサーの効果が比較的高く、ダブルアクション機構があればある程度の連射も利くので、「あえてリボルバーで行く」人や、「刑事やヤーさんのコスプレで参加する」という感じにサバゲー等で愛用している者もいる。
ネガティブな面では、構造が比較的実銃に近いので、「実弾を撃てるように改造しやすいのでは?」という危惧も常に付きまとっていた。
中華製トイガンのコルトパイソンやスカイマーシャル)をはじめ、コクサイのM29パワーアップマグナム、タナカワークスによるカシオペアモデルのS&W M500とコルトSAA45といった蓄圧式カートのように(実現可能かはさておき)改造により実弾が撃てるとされ所持が禁止されているものもある。
もしも見つけたら警察に連絡、提出すること。
中古市場で売られているのを見ても絶対に購入しないように。
現在の主流は以下の通り。
- ガスタンクをグリップ内に内蔵して薬莢が排出できるもの。通称カートリッジ式(マルシン工業・クラウン)
- 1同様の構造だが薬莢の装填・排出をできなくした代わりに24連射を可能としたもの(東京マルイ)※2019年に絶版
- シリンダー内にガスタンクを内蔵してフレームの機構をモデルガン同様に実銃に近づけたもの。排莢は楽しめなくなるが、パワーは自動拳銃型と同レベル。通称ペガサスシステム(タナカワークス・ハートフォード)
- グリップ内にガスタンクの代わりにエアピストンを内蔵したコッキング式(クラウン・東京マルイ)
しかし、1、4のカート式では、どうしても命中精度・パワーは、自動拳銃型ガスガンに一歩ゆずる。
ここらへんは個人のカスタムと技量と気合で何とかしたい。
しかも、装弾数は六発から五発。(カートリッジによっては実銃の散弾同様に一つのカートリッジに複数のBB弾を装填することで複数弾同時発射を可能とするものもあるが、発射に用いるガスの量は変えられないのでどうしても射程はかなり短くなってしまう。)
装弾数に関してはカート式だからこそスピードローダー等を用いての再装填が可能である。
シリンダー内にマガジンのある2、3の方式では再装填が容易ではなく、特殊なレギュレーションでなければゲーム中のBB弾用ローダーの使用は、禁止されているので撃ち切ったらおしまいである。
2の東京マルイのケースレスリボルバーは、マルイ独自の機構のおかげで命中精度や射程距離は格段に上がったものの、パワーでは、やはりオートには少し劣る。
冬場など寒い場合では、停弾が起きる可能性がある。
ただ、オートと渡り合える装弾数を持ち、比較的安い価格という事もあり、マッチ・サバイバルゲームでもよくお目にかかるリボルバーである。
社外のカスタムパーツを用いることでカート式へと変更することも可能。この場合は他のカート式同様に実銃と同じ装弾数となる。
3のペガサスシステムは、装弾アクションを犠牲にしたが、よりリアルな外観、フレームの内部機構で好評を得ている。
実銃のグリップが無改造もしくは最低限の加工で付けられるものもある。(実銃に実銃用グリップを取り付ける場合であっても個体差に対応するために多少大きめに作ってあるなど、取り付けの際に加工が必須なグリップもある為、実銃と寸分違わず作られていても無加工で付けれるとは限らない)
また、シリンダー内もしくは銃本体側にマガジンを持つものが多いケースレスリボルバーなので、装弾数が実銃の装弾数の倍近くあるのも魅力。(ただし機種によってはマガジンがなく、実銃と同じ装弾数しかないものもある)
モデルガン同様に機関部が実銃に近いために分解や調整が容易で、ファストドロウマッチでは主力の一つとなっている。
ただ、命中精度は完璧を求めるなら、オーナーが少し手を加えなければならない機種もある。
価格は高い。また機構上止む終えないがシリンダー前部のリアリティは欠けてしまう。
4のエアコッキング・カート式リボルバーは、何よりその安価さと、装弾アクションが楽しめる。
シングルアクションしか使えないし、性能もガスリボルバーより劣る。
当然、装弾数も六発。
「だがリボルバーの醍醐味を味わいたいのだ」という方にはお勧めできる。
リボルバーと縁のあるキャラクター
これまで上述したように現実の現代兵器としてはオートマチックに劣っている面が多いリボルバーだが、リボルバーの時代だった19世紀を舞台にした西部劇と、それから影響を受けたアニメ・マンガ等の歴史の長さから、フィクションの世界では凄腕のガンマンならリボルバー使い、というキャラクター設定がある種、伝統的である。
作品名50音順
- ビリー、UNBELIEVABLE-不可信- (アンデッドアンラック)
- タイキシャトル(ウマ娘プリティーダービー)
- アレキサンドラ・ロイヴァス(エターナルダークネス)
- ガブリエラ・ロタルィンスカ(拡張少女系トライナリー)
- 佐竹笙悟 (Caligula)
- キノ (キノの旅・学園キノ)
- トグサ (攻殻機動隊)
- 両津勘吉、中川圭一 (こちら葛飾区亀有公園前派出所)〈作品の初期ではよく撃ち合いのシーンがあった〉
- コブラ (COBRA)
- ゴルゴ13 (ゴルゴ13)
- 冴羽獠 (シティーハンター)
- グイード・ミスタ (ジョジョの奇妙な冒険・黄金の風)
- ホル・ホース (ジョジョの奇妙な冒険・スターダストクルセイダース)
- 最後のガンスリンガー (ダークタワー)
- ハリー・キャラハン(ダーティーハリー)
- チボデー・クロケット (超級!機動武闘伝Gガンダム)⇒ガンダムマックスリボルバー
- リボルモン (デジタルモンスター)
- アベル・ナイトロード (トリニティ・ブラッド)
- リボルバーマンモス(忍風戦隊ハリケンジャー)
- 乾十三(ノー・ガンズ・ライフ)(リボルバー銃を使うのはなく、リボルバー頭である)
- アキュラス (バトルビーダマン)
- ナイチンゲール(Fate/Grand Order)(※リボルバーの前身であるペッパーボックス銃)
- トレイン=ハートネット (BLACKCAT)〈オリハルコン製の装飾回転式拳銃「ハーディス」を武器としている〉
- シャルロット=ズーム (ヘヴィーオブジェクト)〈式典用のものを携帯〉
- リボルバー・オセロット (メタルギアソリッドシリーズ)
- バンデット・キース、リボルバー・ドラゴン (遊☆戯☆王)
- 次元大介 (ルパン三世)
- 弓場拓磨(ワールドトリガー)
- Mr.5 (ONE PIECE)