トンプソン・コンテンダー
とんぷそんこんてんだー
トンプソン・コンテンダーとは、トンプソン/センター・アームズ製の大型拳銃である。
1965年設計、67年から製造されているTCA(トンプソン/センター・アームズ)の大型拳銃。
狩猟・競技用として使用されており、TSA社の売れ筋となるべく開発された。
コンテンダーを売り込むために、わざわざ社名を「トンプソン/センター・アームズ」に変えたという逸話があるほど。
現在はS&Wにより買収され、ブランド名こそ継続しているもののS&Wハンティングの一部門となっている。
近代の拳銃としては珍しい単発式。さらに手動で撃鉄を起こす「シングルアクション」を採用しており、銃弾を発射するための最低限必要な機構だけに削ぎ落されたシンプルさが特徴。
中折れ機構を持つ後装式で、トリガー・ガードを引き込むことで銃身の末端が露出し、そこから弾丸を装填する。
雷管を突いて撃発するための撃針は2本備えていて、中央部を叩くセンター・ファイヤー式と縁を叩くリム・ファイヤー式のどちらにも対応可能。安全装置を兼ねたセレクターを操作することで撃ち分けが出来る。
最大の特徴は「銃身の取り換え機能」。使用する銃弾サイズ別にコンテンダー専用の銃身が別売りされている。
フォアエンド(先台)を外し、そこから出現する蝶番ピンを押し出すことで、銃身を取り外すことが可能。蝶番ピンに別の銃身を宛がって固定することで、簡単に銃の口径と使用弾を変更できる。
さらに照準器とエキストラクター(排莢装置)は銃身に付属しているため換装に際して取り替える必要がなく、一連の作業に必要な工具はマイナスドライバー1本で事足りるという手軽さである。
また、この手の銃はサードパーティによるのカスタムパーツも用意されており、メーカーが用意していない口径に対応した銃身や銃身長の異なる銃身が売られているだけでなく、薬室の加工が施されていない素材用の銃身まである。既製品に手を加えたり、素材用銃身にオリジナル加工を施す事で大小さまざまな銃弾に対応可能。銃身長も選ぶ事が可能となっている。
この構造のおかげで、ライフル用の火薬量と弾頭による強力な一撃を拳銃でぶっぱなすという反則技も実現できる。
しかし、元は競技射撃やハンティング向けの単発式拳銃ゆえに連射できないという宿命が付いて回るので、戦闘用としては玄人向け…というかロマンを求める変態向けと言うほかない。強力な弾薬を求めれば発砲時の反動もそれだけ強くなるので、自在に扱うには熟練を要する。
とはいえ、ライフル弾を用いる場合は銃身長に合わせて適正な威力や命中精度を出せるようにするだけでなく、反動や発射炎を抑えてまともに扱えるよう火薬量を調整するといった工夫もあり、威力と引き換えにはなるが扱いやすくする事も可能。
実際のところ、いくら「装填して撃てる」からといって、銃床もなしにグリップを握っただけの拳銃で.30口径弾のような弾をそのまま撃てば、2㎏以下のコンテンダーの重量では反動を抑制しきれず、撃った瞬間に銃は手からすっ飛んでしまうのがオチである。
現在は初期型の『G1』と、改良型の『G2』、二つのモデルが存在する。
G1とG2はおおまかな外見こそ似ているが安全装置などが更新されていて、一部を除きパーツの互換性はない。
1996年には、サイズが一回り大きくなった強化モデルである「アンコール」が登場。
フルサイズの大口径ライフル弾だけでなく、火薬量を増したマグナムライフルカートリッジやショットシェルなどにも対応し、安定して構えられる銃床つきのライフルモデルや前装式のマズルローダーも登場している。
マズルローダーは銃弾や発射薬は銃口から装填するが、中折れ機構を用いて銃身後部の雷管突を露出させて雷管を取り付けるパーカッション式となっており、撃発機構を含めフレーム側はそのまま使用できる。
日本ではデジコン社より「ターゲット」の製品名でエアソフトガンが発売されていた。
単発のカートリッジ式で、実銃同様の装填・排莢が可能であったが現在は絶版。
構造が単純だったため、当時流行っていたハイパワー改造によって現在では考えられないほど高いジュール値をたたき出す危険な改造も横行していたが、改正銃刀法の施行に伴い、現在中古市場に出回っている物のほとんどは規制内にまでデチューンされたものである。
既に絶版品であることや改正銃刀法によって数が少なくなっており、下記のFateでの知名度向上も相まったプレ値もあってか定価の3~4倍で取引されるようになっている。
また大日本技研よりアニメ版Fate/Zero仕様を再現するパーツのガレージキットが発売されていたが、こちらも現在は絶版。。
このキットは無可動モデル、可動モデル、デジコンターゲットいずれかに組み込む方式になっていた。
エミール・フーション(ハード・ターゲット)
ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のアクション映画「ハード・ターゲット」に登場する人物で、ランス・ヘンリクセンが演じる劇中の黒幕。
人間を狩りの獲物とする狂ったハンティングを主催するフランスの闇の富豪で、金に飽かせて警察をも買収する巨悪。
手下やハンティングの参加者の大半がベレッタ92FやMP5といった年代相応の連射可能な銃器を装備しているのに対し、自身は敢えて不便な単発銃であるコンテンダーに強い拘りを見せており、作中で彼が撃った銃はほとんどこれだけである。
発砲シーンのほか、発砲のたびに銃弾を再装填する描写も何度か存在し、「他の連中が当たり前のように連発銃を装備している中で、あえて単装単発の変わった銃を使い続ける黒幕」という構図のインパクトはなかなかのものがあり、ヘンリクセン氏の怪演も相まって作中の銃の中でもかなり印象的な使われ方をしている。
その構え方も独特で、「猟銃のように目線を照準(サイト)に合わせて左手親指側の甲に乗せる」という、『るろうに剣心』の斎藤一の必殺剣「牙突」を彷彿させる。
下記の衛宮切嗣が登場する以前からコンテンダーを知る人の中には、こちらの作品で覚えた人も少なくないのではないだろうか。
サブカルチャー界隈におけるコンテンダーの知名度を一躍押し上げたキャラクター。
必殺の魔術礼装「起源弾」を発射するために使用する。
ダークヒーローかつハードボイルドな雰囲気も相まって、コンテンダーによる一撃必中は衛宮切嗣の象徴とも言えるアクションシーンとなった。
ちなみに彼が使用するのは14インチ銃身のアジャスタブルリアサイト装備、弾薬は.30-06スプリングフィールド弾仕様だが、実際のコンテンダーだとフレームの強度が不足するため、誰かが特注や自作でもしない限りは実在しないモデルである。
では一回り大きく頑丈な「アンコール」かと言うと、アンコールの.30-06弾用銃身には14インチ銃身のものが無い。更にZeroの舞台である94年ごろはアンコールが世に出る前である。
もっとも、コンテンダーは上記のように非正規な改造を行いやすい構造の銃なので、この手の無茶な改造もありえない話ではない。あるいはフレームごと強靭な鋼材で新造するといった大幅改造という可能性もあり、そういう意味では一種の架空銃である。
隠し持てる拳銃サイズで大威力の弾薬を使いたい切嗣が、それこそ個人的に特注か魔改造でもしたカスタム品なのだろう…と推測できたが、後に設定資料集『Fate/Zero material』において魔術的な工程で鍛造したパーツによるカスタム品だったことが判明。強度の問題はこれでクリアしていたようだ。
ソーシャルゲーム「ドールズフロントライン」(中国名:少女前線)に登場する戦術人形。
レアリティ最高の★5であり、非常に高い支援性能をもつ。
本作ではWA2000とM950AとAUGも登場している為、衛宮切嗣小隊を作るプレイヤーも少なくない。(なおシナジー的な問題で実用性は…)
第6話「悪魔を憐れむ歌」に登場。
黒幕に撃ち込むために希少な鉱石から作られた特殊な弾薬を使用する。
ただし、正確には外見や構造を基にした独自デザインの架空銃である。
マッドドッグ(ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌)
チョウ・ユンファ主演の香港映画でフィリップ・クォック演じる悪役のマッドドッグが終盤に使用する。
威力が誇張されており、着弾と同時に弾が爆発する演出がなされている。
今作でジョン・ウー監督が気に入った為にハリウッドで撮影した次回作である上記のハード・ターゲットでも悪役の銃として用いられた経緯がある。
ジョン・ウィック(John Wick: Chapter 4)
ケイン
物語終盤の決闘でエングレービングが施された短銃身、シルバーモデルを使用。
- トンプソン・サブマシンガン
- オート・オードナンス社製の著名なサブマシンガン。直接の関連はないが、どちらの開発者も名前が「トンプソン」であるため、関連があると誤解されやすい。
- Thunder.50
- Triple Action社が試作した21世紀の単発式拳銃。こちらは重機関銃などに使う12.7×99mmNATO(.50BMG)弾が撃てる。
- タンフォリオ ラプター