「FP-45 (リベレーター)」とは、第二次世界大戦中のアメリカ合衆国が枢軸国支配下のレジスタンスを支援する目的で制作した簡易型拳銃。
イラストのみで構成された取扱い説明図同封で、支援物資として空中投下されたと言われているが、公式支援ではないため正式な記録はほぼない。
概要
アメリカの自動車製造メーカー「ゼネラルモーターズ」により製造された。
納入数は100万挺で、政府の要請から11週間(一説には6ヵ月)のうちに作り上げた。
これを実現するためプレス部品を多用し、部品数はたったの23点。
後にもう少しまともな拳銃がゼネラル・モーターズにより作成されたとの説もあるが、それらは使用されることはなく処分されたらしく、実証する資料は存在しない。
銃の詳細
オートマチックではない単発式の銃で、製造簡略化のためかライフリングがない。
排莢装置はないため、発砲後、銃口より棒状の何かを差し込んで排莢を行う。
後ろのブロック部分を引き、半回転して弾薬装填、元に戻して引き金を引き発射する。
弾丸は.45ACP弾を使用、グリップ下部の蓋を開けることで予備弾を収納可能で、5発の予備弾がグリップに搭載されている。
照準距離3mという説もあるが、命中精度に関しては疑問が残る点が多々あり、正面装備としては心許ない。
実用的に考えるなら、敵の武器を鹵獲するための脅迫及び強奪用の兵器として扱うのが精一杯だろう。
あまりの実用性のなさから信号弾発射装置として開発された可能性すら示唆されている。
使用状況
フランスやポーランド、ベルギーなどの反ナチレジスタンスに供給されたらしいが、状況から見るに実際に供給された、あるいは使用されたかは不明。
ただし、レジスタンスが弾薬の出る銃を持っている、というのは情報だけでメリットがあり、警戒心を仰ぐことで敵軍を間接的にある程度分散させることができる。
一説によるとこの武器はアジアのレジスタンスやゲリラに渡すために投下されたが、おそらくそれが横流し及び鹵獲により日本軍に流れたため、この銃器を見たアメリカ軍は「日本で作成された自殺用の拳銃」と推測したという話がある。
100万艇目は製造完了記念の刻印が施され、プロジェクトの製造担当者であるフレッド・タッカー氏に送られた。
後継
この銃器の後継として有名なものとしてCIAが作成し、ベトナム戦争で使用したといわれる、ディアガン( deer gunあるいはdear gunとつづられる )という銃器が存在する。
こちらはねじ込み式の銃身で9mm弾( 詳細不明 )を使用し、アルミニウムダイカストで製造され、同様の説明書が付属しているとされる。
この銃はベトナムへ飛行機から投下し同盟勢力に使用される目的で製造されたが、数千挺程度しか作られず、使用されることなくベトナム戦争後破棄されたらしい。
ちなみに第二次世界大戦中には同じくゼネラルモーターズによって簡略化させたM1911を量産する計画が存在したが、重量が通常のM1911の二倍近くになったために中止になった模様。
関連項目
ゼネラルモーターズ(製造会社)
Hi-Point(似たような銃を作っていた会社)
M3サブマシンガン(同じくゼネラルモーターズ社が作成したサブマシンガン )
.45ACP(使用された弾薬、45口径オートマティックコルトピストル弾 )
人造人間ハカイダー(冒頭で自殺用拳銃として登場する)
メタルギアシリーズ(製作者曰く『カッコイイから』という理由でFP-45に似せて作ったと言う設定の麻酔銃『EZGUN』が登場)
ブレイブウィッチーズ(ネウロイの巣にとどめをさす際に使用した)