概要
勝鹿北星(きむらはじめ※1)・浦沢直樹・長崎尚志脚本、浦沢直樹作画の漫画作品。『ビッグコミックオリジナル』で1988年から1994年にかけて連載された。
なお、長崎は連載当時小学館に勤める編集者で、浦沢の担当編集であった。
明言はされていないが、題名はアメリカの喜劇俳優「バスター・キートン」の名を捩ったものと思われる。
原作にほぼ忠実な内容で、テレビアニメ化もされている。アニメのナレーションは「キートン」繋がりということもあってかキートン山田が務めた。
著作権がらみのトラブル(※2)でコミックスが絶版となっていた時期もあったが、後に完全版が刊行されている。また、続編となる『MASTERキートン REMASTER』が2012年から2014年にかけて不定期にビッグコミックオリジナル上で掲載された。
※1:作家でゲームクリエイターの「きむらはじめ(木村初)」とは別人。こちらはキム皇の愛称で知られている。
※2:2005年に『週刊文春』で単行本の増刷がなくなったことについて取り上げられ、記事内では「原作者とされている勝鹿が原作を仕上げたことはなく、全て長崎と浦沢が書いていた」と長崎が発言したと記している。また、同記事内では匿名の関係者から「印税はこれまで通り長崎と浦沢の2人で分け合い、更に浦沢からの申し入れで、著作者としての勝鹿の名前、扱いを小さく表記するようにした」という証言があったことや、これらについて勝鹿の友人の雁屋哲が小学館に抗議をしたことで単行本の増刷が中止(=絶版)となっていると綴られている。
主な登場人物
本作の主人公。日本人の父とイギリス人の母を持つ日英ハーフ。英国籍である。
遺跡発掘などの研究をする考古学者を本業とし、いくつかの大学にて非常勤講師として働いているが、安定した雇用先に恵まれず、生活のため副業としてロイズ保険組合の調査員(オプ)としての仕事もしている。
劇中で描かれる活躍は調査員の仕事上でのものが多い。
専門の考古学に限らず、歴史全般に造詣が深い知識人で、複数の言語を自在に操るマルチリンガル。
日本の自宅にいる時以外は、発掘作業中であっても基本的にスーツを着ている。
元SAS(イギリス陸軍特殊空挺部隊)曹長でサバイバルのスペシャリスト。潜入捜査員としても活躍した。かなりの功績を挙げているものの、本人が「徹底した現実主義的な軍という組織に馴染めなかった」為、惜しまれながらも依願除隊している。
SAS時代に教官を務めていた時の生徒から『マスター』と呼ばれた事がある。また兵士たちの間で最高位の尊称とされる『プロフェッサー』と呼ばれていた上官からは「(フェンシングの)腕はいいがあまりにもユニーク過ぎる為、達人(マスター)にはなれても教授(プロフェッサー)にはなれない」と評された。
なお、REMASTERでも未だ本業で博士号(ドクター)を取得できておらず、修士(マスター)止まりのため、大学の学生たちからはドクターでなくマスターキートンだと揶揄されている。
穏やかな性格で、日本にいるときはのんびりした暮らしをしている。夢見がちでロマンチストなところがある一方で、堅実で冷静な考え方の持ち主でもある。
従軍経験者ということから、必要とあれば相手側が死に至りかねない攻撃もするが、面と向かって相手を射殺する事には非常に強い拒否感を見せる(その一方でどこに当たるかわからないのに相手に背を向けた状態で平然と発砲した事もある)。
(元)妻は数学者で、オックスフォード大学在学中に留学生であった彼女と知り合い、大恋愛の末学生結婚。一人娘の百合子を授かった。しかし「自分だけのわくわくする夢に押しつぶされそうだった」ことが原因となって別居、『REMASTER』では正式に離婚したことが明かされている。美人で当時の男子学生たちの憧れのマドンナだったらしいが、作中では後姿が描かれたのみにとどまった。
母親のパトリシアはイギリス南部の名家キートン家の令嬢。キートンの父である太平との離婚後は故国に戻り、実業家として成功しているらしい。
平賀太平
声:永井一郎
太一の父で動物学者。高齢にもかかわらずかなりの好色で、美女と見ると声をかけずにはいられないらしい。自由気ままな好好爺といった人物だが、息子同様シビアで冷静な面を見せることもある。
(明確な描写はあまりないが)動物学者としての能力は高いらしく、また旧日本軍に在籍していたなどの経歴がある事から多方面に顔が利く人脈の広さを持っている。
太助というチャウチャウの血が混じった雑種犬を筆頭に、その他数匹の犬猫などの動物を飼っている。
彼をメインに一応据えた「キートン動物記」と言うのもある。
声:桑島法子
太一の娘。母親譲りの気の強さや現実的な面と、父親譲りの堅実さやロマンチストな面を持つ利発な美少女。初登場は中学生で、最終話時点で高校3年生となっている。
父親のライフワークである「ドナウ文明」の研究者で、太一に多大な影響を与えた恩師であるユーリ・スコット教授の名にあやかって、「百合子」と名付けられた。
父親のお人好し過ぎる所は「尊重すべき欠点」と見なしている模様で、当人もややもすればお節介焼きである。『REMASTER』では父と同じ考古学者となっている。
声:菅原正志
太一の幼なじみの有名探偵。
イタリア系のハーフで、太一を「ハーフジャパニーズ」と呼ぶ。仕事の上では太一をライバル視しており、素早い事件解決をモットーとしているため、彼の調査に疑問をはさむ太一に苛立つこともあるが、その一方で自分以上に度胸の据わっている太一を認めている。
イタリア男らしく、惚れっぽい上にマザコン気質なところがある。
関連タグ
マスターモスキートン、マスターモスキートン'99:タイトルは似ているが、本作とは別物の作品。