ここでは1の事柄について説明する。
サバイバルとは・・・
例えば災害や事故等で文明社会から隔絶された状況で生き抜く為の術であり、その技術を全般的に『サバイバル術』と呼ぶ。
短期・長期に関わらず救助を待つか打開する為には現状を理解し衣食住を確保しなければならない場合は全ての知識をフル活用しなければいけないが、かと言って知識の過信や思い込みはかえって危機に陥る原因になる事もありうるのである。
短期になる場合はなるべく体力消耗を減らす為、一定の安全が確保できるところでじっと救助を待つのが前提となるが、長期化になるようだと食料と飲料水の確保が必要になってくる。
これだけは気を付けなければならない最低限の知識
山の場合
- 無闇に下る行為は谷や崖への転落が多々あるので楽観的に『下れば何処かに出るだろう』と考えるのは禁物である。方位磁石もなく曇天や茂み、夜間では方角すら見失いやすい。
- 頂上に展望台がある山においては上に登ったほうが良い場合も。(裾野は広くとも頂上は1か所しかなく、途中で登山道に出られる場合もある)
- キノコを食料にする場合はかなりの知識が必要であり、むしろ食用よりも毒キノコの種類が多いので素人判断で口にするのは危険。
- 雪をそのまま水代わりにするのは低体温症を招く為、飲料水にする場合は必ず沸かす事(雪であっても不純物が混ざっていることがある)。湧き水の場合もできれば沸かしてから飲む事(不純物のほか、寄生虫などが混ざっている可能性があるため)。
- 上流で大雨が降ったりすると取り残されることがあるため、川の中州にテントを立ててはならない(悪くすれば、そのまま流されることもある)。
- 仮におぼれている人を見たら、空のペットボトルやクーラーボックスを渡して浮袋にするようにし、救援隊が来るのを待つ。
- 雷もしくは雷雨の場合はできるだけ樹木から離れて洞穴等を見つけてそこに避難すること。特に金属が含まれる所持品はビニール袋に入れて離して置いておく。
- 大小問わず山小屋があれば迷わずそこに留まる事。場合によっては非常食が備蓄されている事も。
- けもの道は特に迷いやすく通常の登山道と間違えられやすいが、道にかかっている草木の状態である程度判別可能。けもの道の場合は人間が通る道より低い高さに草木が被さっている事が多い。
- 切り株の年輪を見ると方角がわかると言われてきたが、実はあまりアテにならない。
- 登山の場合は入山の届出を必ず提出する事。これによって万が一の際に地元からの遭難の判断が早くなる。
- 登山中に体調や天候、道の様子が怪しくなったら迷わず引き返す。
- 登山や運動の経験や体力が豊富でも、加齢によって体力が衰え帰れないトラブルも。
- 日帰りの予定であっても、照明や携帯食料を持っておくだけでも単純な生存率は飛躍的に上がる。
海の場合
- 海水を飲料水として利用しない。これは塩分過多で逆に脱水症状を招く為。なお、海でのサバイバルにおける飲料水の確保は、山の場合よりも数段難しいとされている。
- 仮に海中に投げ出された場合、長時間水に浸かった状態でいると低体温症を招くため、なるべく大きな漂流物の上に乗る(あるいは掴まる)ようにして、着水している部分を極力少なくする。大きな漂流物は波や強風で転覆するリスクも減るし、サメよけにもなる(サメに限らず、動物は基本的に自分よりも大きなものを狙わないとされる)。
都市部・集落の場合
こちらの場合は大抵災害でライフライン壊滅時に覚えておくと役に立つ。
- 携帯電話・スマートフォンの基地局からの通信が生きているかを確認後、電話ではなくインターネット通信を主に連絡手段に使う。電話の場合特に殺到しやすいので災害専用ダイヤルは積極的に活用しよう。特に災害時は各携帯電話会社で災害エリアの契約者のみモバイル通信容量制限を非常特例でフリーにする事がある。
- 基地局に送電がされなくなった場合は予備電源に切り替わるが、それでも最大24時間しかもたないとされている。
- 家庭用の電話機は停電でも通信自体は生きている事が多い。黒電話が代表例だが、実は外部電源を使う留守番電話付き電話機でも最低限の通話は可能。
- また、災害による停電で充電ができなくなった場合は車を持っている人はシガーソケットタイプのUSB充電器、それ以外はモバイルバッテリーや乾電池式モバイルバッテリーを有効活用しよう。特に乾電池式は100円ショップでも売られており、安価に入手しやすい。
- 情報収集の際はSNSの場合は政府・各市町村自治体・警察消防の公式アカウントの情報を最優先にしてデマに翻弄されないようにする。根拠がなく「かもしれない」を「である」と判断し拡散するケースもある
- ヘリ等の救援を求める場合は広い場所に「負傷者・病人の人数」「避難人数」を大きく色々な物を使って上空からわかるようにする。
- 水道が止まるかもしれないと判断した場合、事前に水を確保する際には「飲料水はペットボトル・やかん・鍋・水筒といった食器類」「トイレ等の洗浄水はバスタブ」に分けて貯める事。よく誤解されやすいのが後者であり飲料水確保目的でバスタブや流しに貯めるのは絶対やってはならない。排水口が下水道と直結しているからである。ポリタンクを使うならば事前に新品の段階で飲料水用と洗浄水用に必ず用途を分ける事。飲料水用はコックの付いた専用のものがあるので余裕がある時に入手しておくといいだろう。
- 灯りが必要な時にロウソクを使う場合はガラスコップの中に立てるとよい。なるだけロウソクの高さより上のものを使う。これだけでロウソクが倒れて火災のリスクが下がる。
- 近年入手しやすくなった強力なマグライトは灯り目的ならば天井や壁を照射して間接照明として使うと部屋全体が明るくなりやすいし、調剤薬局で無料で持ち帰る事のできる半透明の薬ビンを被せると一方向だけではなく全体を照らしやすくなる。
- 大声は体力を消耗してしまうため、よほど近くに来ている時以外は避ける。
- 防災用の笛など、少ない体力で大音響を出すことが可能である。合図にも使える。
- 規則的な音を出す。自然界において規則的な音は存在しない=人為的なものと分かる。
- 被災地へ物資を送る際は、「内容物」「数量」「賞味期限」などを必ず記載する。現地においては次々に運び込まれる膨大な数の支援物資をひとつひとつ開いてゆっくり仕分けている暇はない。
- 被災地のニーズに合わないもの、衛生面で問題のある着なくなった古着などを不用品処分を兼ねて送ってはいけない。