曖昧さ回避
概要
1939年11月11日生まれ。
スネークの作戦サポート要員の一人。兵器や軍事技術の専門家で、「武器装備、最新テクノロジーの特別にスゴい専門家」を自称する。スネークが使用する武器や装備品を開発した人物でもある。
シギントとは、シグナル・インテリジェンスの略で、電子機器を使った諜報活動のこと。
以下、ネタバレ注意!
彼の本名はドナルド・アンダーソン。MGSで登場したDARPA(国防省付属機関先進研究局)の局長その人であり、『愛国者達』の創設メンバーの一人。
さらには『愛国者達』の代理A.Iネットワークを完成させた張本人であり、MGSでは国防省長官らと組んで、メタルギアREXと新型核弾頭の開発・演習を主導していた人物でもある。
実はネイキッド・スネーク、リボルバー・オセロットに次いで、その後の時代の作品に登場していたMGS3の登場人物である事が、エピローグの年表である程度の形で判明していた(厳密には本物の彼は死体でしか登場していないのだが)。
作中での活躍
MGS3
当時24歳。スネークイーター作戦から参加する。
ゼロ少佐のスカウトによりCIAへ入局してFOXのメンバーとなっている。
1964年当時は黒人への差別意識が高かった時代故に、まともな就職先がなかった彼であったが、その知識と能力が、人種に拘らない方針のゼロの目に止まった事がきっかけとなっている。
他のFOXのメンバーと同じく変人で、彼がプロデュースした武器装備のこだわりから窺い知れる。
- 変装マスク
スネークイーター作戦以前にヴォルギンに最も近く階級に見合わない権力を持ったライコフの地位及び立場が注目され、彼に変装して潜入し極秘書類を入手する作戦があり(作戦は中止)、マスクはその時に作成。『まばたき』機能を付けることにこだわっていた反面、(変声機が着いてないので声でバレる為か)口パク機能は実装しなかった。
あまつさえ「口は開かないのか?」と聞いてきたスネークを「おいスネーク、常識で考えてくれよ。頼むぜ、全く!」と小馬鹿にしていた。
シギントがまばたきにこだわるのは、人間は基本的にまばたきを必ず行うため、それが無い場合不審に思われるから、という説がある(いくらライコフが変人とはいえ、彼もどちらかといえば普通の人間であるため)。
余談だが、パラメディックの無線でゴジラ50周年(2004年)の話しが出るのだが、この時公開されたゴジラファイナルウォーズでは、とある人物達がまばたきをしなかった事で正体が発覚するという演出があり、しかもこの作品の監督はザ・ツインスネークス(こちらも2004年)にも関わりがある北村龍平氏である。
- EZ-GUN
最低難易度のVERYEASY(又は特定の条件クリア後の2週目以降)の初期武器。弾が無限の上、サブレッサー(消音器)要らずの消音麻酔銃。
リベレーターに似せたいが為だけに、苦労に苦労を重ねて小型化した。
- 双眼鏡
高性能以外一見何の変哲もない双眼鏡だが何故か偉く褒める。ゼロ少佐によるとその双眼鏡はシギントが作ったそうだ(…そういう事か)。なお、制作に1年もかかったそうだが、その理由はデザインにこだわってたらしい。そのせいで予算は予定の3倍も食い潰され、少佐も始末書を書かされることになった。
ただし、自分ではまともだと思っているのか、ゼロ少佐やパラメディック達を変人だと思っている。
特にネイキッド・スネークには以下の無線通信でドン引きした事もある。
- UNIFORM:NAKED装備時
スネーク「下半身は脱げないのか?」
シギント「脱げるわけないだろ!どうしてFOXには変人しかいないんだ!」
- ダンボール装備時
スネーク「被らなければならないという使命感や、人間はこうあるべきだという安らぎに満ちたものを感じる」
シギント「あんたといい、パラメディックといい、どうして少佐の部下には変な奴しか居ないんだ」
まあ、実際スネーク達も変人だが……ただし、関係は良好で半ば友達のような仲である。
特にゼロ少佐とはCIAで共にUMA同好会なる活動を一緒にしている程。
ツチノコ捕獲成功時には、「よくやった!流石はザ・ボスの弟子だ!」と、その喜びっぷりに逆にスネークが引いていた。
とはいえ、軍事技術に関するスペシャリストである事は間違いない。
1964年当時の東西の軍事技術事情・装備には概ね精通しており、スネークが現地で初めて見た軍用ヘリ(ハインド)の目的をすぐさま推察し、アメリカではまだ遅れをとっていたソ連の装備品に舌を巻いている。
スネークから逆に装備品のアドバイスを受けた事もあり、「コンバットナイフの柄の部分に小物入れを作ってマッチ等を収納するアイディア」をスネークに語ったが、それだとナイフのブレード部分の耐久性に問題が出る事を指摘され、小物入れはナイフの鞘の方に作ると考えを改めていた。
スネークイーター作戦後、人種を問わずに活動できるネットワーク世界構築を目指してARPA(現DARPA)に入局、インターネットの前身であるARPANETの立ち上げに参加した。
二足歩行戦車のコンセプトを否定した発言や、メタルギアと思われるものが引き起こした悲劇的な夢を見た事を語ったりもしていたが、皮肉にも後に彼はメタルギアREXの開発計画を直接推し進めていく立場になり、その話を聞かされていたスネークもまた、後に軍備拡張の一環としてメタルギアを建造する事となっていく。
また、この時点で人間的なミスを犯さない機械による人間社会の発展という、後の『愛国者達』の代理A.Iシステム開発に繋がるような構想も持っていた。
シークレットシアターのメタルギアシギントでは、スネークのおいしいシーンを殆ど持って行ってしまった(ザ・ボスとの決着を除く)挙句、ビッグ・ボスの称号を与えられている。
MPO
パラメディックと同じく、特定の条件を満たせばプレイヤーキャラとして使用可能、やはり無線で話も聞ける。
サンヒエロニモ半島事件当時ARPAでは、兵士が五日間にわたり食事を取らずに戦闘を続けられるようにする、「メタボリック・ドミナンス」という極秘プロジェクトが進められていた。
MGSPW
本人は登場しないが、カズヒラ・ミラーとゼロ少佐との会話に名前だけ登場した。
この時点でゼロの設立した組織『CIPHER』に参加しているが、A.Iについては「所詮、機械は機械」とカズに語っていたようであり、この時点ではA.Iをそこまで重視はしていなかった(あるいはA.Iが持つ合理的であるが故の危険性を、この頃から軽視していた)ようである。
MGSV
本人は登場はしないが、カセットテープのオセロットやヒューイの証言にて現状を確認できる。
この時からDARPAに所属しており、立ち回りからして既に局長を務めているのかもしれない。
ゼロ率いる非政府諜報組織の傘下にあり、ストレンジラブの研究を引き継いで中枢代理A.I『愛国者達』を完成させ、組織が『CIPHER』から代理A.Iによって運営される『愛国者達』へと改められる立役者であったことが語られた。
XOFによるMSF襲撃後の事後処理をゼロから任されるなど、組織の中核として特に信頼を置かれていた。
しかし、かつてはゼロと友人同然の仲だった彼でさえ、既に何重ものカットアウトを通じてのやり取りでしか繋がっていないようであり、人間不信も相まってゼロがとにかく徹底して姿を隠していたことが窺える。
これと前後して、ゼロがXOFの指揮官であるスカルフェイスの仕組んだ寄生虫を使ったトラップによって、脳障害を起こして再起不能に陥ってしまった為に、その後の『愛国者達』の組織の意思代行役はシギントに任せられる事になった。
ただし、あくまでも『愛国者達』の中枢代理A.Iの維持・管理を務めていただけで、組織の全権を任されていたという訳ではなかった。
シギントの目論見は、ゼロも同意した思念や情報統制の仕組みを『規範(プログラム)』という形で機械に残す事であり、時代にこれの上を永久に反復させるという考えでいた。
しかしオセロットからは、MSFから倣ったプライベートフォースが行う戦争ビジネスが、それを狂わすだろうと危惧され、ゼロの思念はいずれは朽ちると予言されている(実際に、MGS4の時点ではその読みが当たっており、結局ゼロもシギントもA.Iの完全性や合理性を過信するあまり、その危険性を理解していなかったと言える)。
シギントは、『愛国者達』のプロジェクトにストレンジラブ博士も召集したが、何らか事故(トラブル)で彼女を主任から外している。
その一方で、どういう訳かヒューイとは繋がりを持っており、マザーベースで捕縛されているヒューイと、ATGC社のパラメディックと共に裏で連絡を取っていた。
彼等がどの様な取引をしていたのかは詳細は不明だが、少なくともこの時の要件はパラメディックの関与、コードトーカーのテープの内容や、前後のCIPHERの動きなどからも、この時点でマザーベースにしかサンプルが無くなっていた声帯虫の件で、何らかの取引をヒューイとしていたのは間違いない。
実際に、スカルフェイス亡き後のXOFの指揮権は彼に委ねられており、それを委託されたパラメディックからの直接の指示で、その後のXOFは声帯虫の資料やサンプルの回収を行っていた模様(ただし、作戦はヴェノム・スネークによって悉く阻止されている)。
しかし、元々シギントとヒューイの間にどんな関係があったのかは不明である。
ただし上記の通り、彼は後にMGSでメタルギアREX開発計画を責任者として主導する事になる。
そしてメタルギアREXは、ヒューイがかつて建造したメタルギアZEKEやサヘラントロプスの技術や面影を継承している機体であり、この事からメタルギアREXの建造にあたっての基となったメタルギアの研究・開発データが、ヒューイから提供されたものだった可能性は高い(ヒューイ側がそれと引き換えにシギントからどんな見返りを受けていたのか、あるいは受ける予定だったのかは不明だが)。
また、どの段階からそうなったかは不明だが、MGSの頃の彼は既に冷戦構造の崩壊に伴って、核抑止論が過去の思想となりつつある時勢に反して、熱心に核抑止論を唱え続けていた核抑止論者としても知られており、この頃から抑止論という思想を持っていたとしたら、単純にヒューイとは思想が一致していた可能性もある(尤もTPPの時点のヒューイは、最早その抑止論という思想すら殆ど無くなっていたが)。
MGS
DARPA(国防省付属機関先進研究局)の局長となっており、この時で年齢は65歳。
メタルギアREXと新型核弾頭開発計画の中心メンバーの一人であり、メタルギアREXと新型核弾頭の演習に参加していたが、FOXHOUNDの蜂起により人質にされる。
また、グレイ・フォックスの体を利用したアームズテック社の強化外骨格の実験も、彼が主導していたようである(実際に、アームズテック社社長のベイカーすら、グレイ・フォックスの事を直接は知らなかった)。
国防省長官ジム・ハウスマンとは友人であり、彼と共謀してREX及び新型核弾頭開発計画を推し進め、同時にケネス・ベイカー社長から多額の賄賂を受け取って、彼とも裏で癒着していた。
上記の通りこの時点での彼は、熱心に抑止論を唱え続ける核抑止論者として知られており、REXもさらなる抑止力の完成という名目で開発していたものだったのだが、実際に開発されたREXと新型核弾頭は明らかに抑止力という観点でも過剰すぎる兵器であり、むしろ現代に先制核攻撃の脅威を復活させる代物だった。
そもそも彼の唱える核抑止論自体も、ハッキリ言ってMGSの時代においては既に時代遅れと言える思想である(実際は後述の通り、この時点で既に失われつつあった『愛国者達』への実権を取り戻す為に、切り札を作る方便に過ぎなかった可能性も高い)。
このように、リキッド達に結果的に最悪の兵器を齎す事になり、本作で起きた「シャドーモセス事件」の発端となった中心人物の一人である為、スネークからは「ロクデナシ」呼ばわりされた。
実際には、作中で登場してソリッド・スネークと会話をし、その後に「FOXDIE」の発症で死んだ彼は、偽装したFOXHOUND隊員のデコイ・オクトパスであり、本物はスネークの作戦開始前に既に死亡していた(スネークが入れられた独房の中にあった死体が、本物の彼のものである)。65歳没。
リボルバー・オセロットの行き過ぎた拷問の末に事故死したとされているが、それは表向きの話であり、実際はオセロットが自分の正体を隠す為に(『愛国者達』の創設メンバーである彼は、当然ながらオセロットの事や、これまでの彼の動向を知っていた)、最初から意図的に殺害した。
この時点で、『愛国者達』は既に代理A.Iシステムが完全に運用・統制しており、皮肉にも彼は自身が開発・管理していたA.Iによって組織の中枢からは外され、組織内での実権は既に殆ど失われていたようである。これに対抗してか、メタルギアREXは愛国者達(ゼロや代理A.I)にも内密に建造を進めていたものであり、彼は既に『愛国者達』からは離れつつあった可能性が高い。
その為、オセロットが彼を殺害したのは『愛国者達』の意向もあったらしく、それ故に彼を殺害した後もオセロットは変わらず『愛国者達』側にいたのだと思われる(彼が繋がっていた国防省長官の逮捕も、全て代理A.Iのシナリオであり、彼等はこの時点で代理A.Iから切り捨てられていたのである)。
MGS2
既に死亡しているが、ミスターXが雷電にセキュリティ・カードを渡すときに、彼の声でスネークにカードを渡したときの台詞を言った。
「このカードは、PANという人体通電技術を使っている。」
MGS4
既に死亡しているが、スネークの前に現れたビッグママ(EVA)の口から彼の本名と彼が愛国者達の創設メンバーである事が明かされる。