「スネーク、俺たちは、政府や誰かの道具じゃない。闘う事でしか自分を表現出来なかったが、いつも自分の意思で闘ってきた」
CV:塩沢兼人(MGS、MGS2)、山崎たくみ(MGSBD)、福山潤(MPO)
概要
出生について不明な点が多く、正確な生年や国籍は不詳。本名はフランク・イェーガーとされているが、これも戦場で兵士達によって付けられた名前である。
1970年時点でCIA工作員、後にFOXHOUND隊員、その後は傭兵として各地を転戦。FOXHOUND在籍時は、最高の隊員である事を示す「FOX」のコードネームを与えられていた程の人物だった。
経歴
モザンビーク時代
1960年代から、アフリカで反ポルトガル支配を提唱するゲリラ組織『FRELIM(モザンピーク解放戦線)』の少年兵として、モザンビーク独立戦争に従軍する。ナイフ一本で政府軍の兵士を葬る際の淡々とした様と、片言のドイツ語を話していたことから、この時にフランク・イェーガー(イェーガー:Jäger、独:狩人)と呼ばれるようになった(この経歴は、後の作品に登場する雷電とも非常に酷似している)。
そして1966年に、この独立戦争に参加していたビッグ・ボスと初めて出会う。その時に彼と戦って敗れ、戦争の道具と化していたフランク・イェーガーは、ビッグ・ボスによって保護される。
その後は、更生施設に入れられた筈だったが『賢者達』に拉致されてしまい、完璧な兵士(絶対兵士)を作り出す計画の素材として利用される(彼はこの頃から実験体にされていたのである)。
CIA時代
1970年に発生した、サンヒエロニモ半島での蜂起に端を発するジーンの反乱の中で、ビッグ・ボスと再会する。当時のコードネームは「ヌル」。
彼は任務完了の度に調整槽に入れられ、記憶を一旦リセットさせられていた。これにより、彼は超人的な速度で敵の動きを認識、学習できるようになった。マチェットを武器として用いて敵を斬殺する、銃弾を弾き飛ばすなど、後のサイボーグ忍者を彷彿とさせる並はずれた身体能力を、この時点で既に身につけている。
しかし、ビッグ・ボスと再度接触した事により、記憶を取り戻してビッグ・ボス側へ加勢する。
FOXHOUND時代
命を助けられ、人間性を取り戻されるという再三の恩義を受けた事で、ビッグ・ボスを慕うようになる。その後は、ビッグボスによるFOXHOUND設立時に隊員として参加し、同時に彼が創設した武装要塞国家「アウターヘブン」に所属した。FOXHOUND在籍時は、同隊最高の隊員である事を示す「FOX」のコードネームを与えられ、ビッグ・ボスの右腕として活躍した。
南ローデシア(現在のジンバブエ)で、孤児の少女を引き取って後に彼女にナオミ・ハンターという人物の名前と戸籍を与える。実はその時に、ナオミの両親を殺したのは彼だったのだが、幼いナオミを殺す事は出来なかったのだと、シャドーモセス事件の時にスネークに告白している(バンドデシネの方では自分の誤射が原因で死んだと語っている)。その後は、ビッグ・ボス、ナオミと共にアメリカへ移住し、そしてナオミが大学を出るまでの間は彼女の面倒を見続けていた。
さらに1988年カルガリーオリンピックにて、プロフィギュアスケート選手であるグスタヴァ・ヘフナーと出会い恋人同士となるが、冷戦下という時代から彼女は選手権を剝奪されて東側に残留する事になってしまい、西側に帰るしかなかったグレイ・フォックスは彼女と別れる事になった。
1995年のアウターヘブン蜂起ではビッグ・ボスに命を受け、ソリッド・スネークに先駆けてアウターヘブンに潜入する。そして謎の兵器「メタルギア」の情報を入手した後、捕虜とされた。
その後、ソリッド・スネークによって救出され、スネークにメタルギアの情報を提供するなどの支援を行ったが、アウターヘブン陥落後は行方不明になったとされていた。
勿論これ等は全て芝居であり、実際は裏でビッグ・ボスと連絡を取りながら行動しており、捕虜にされたのもスネークに偽の情報を掴ませる為だった。事件後はザンジバーランドの勢力と合流していた。
傭兵時代
1999年のザンジバーランド騒乱にはビッグボスの副官として参加する。しかし一方で、ソリッドに対しては無線で接触して、「ファン」を名乗って陰から支援していた。
これはスネークを自らの場所までおびき寄せて、彼と直接戦いたいという意図があり、メタルギア改Dに搭乗してスネークとの戦いに挑むも、逆にメタルギア改Dを破壊されてしまう。また、スネークとの戦闘の中で、かつての恋人であるグスタヴァと戦場での哀しき再会を経て、彼女を亡くしてしまう。
そして最期は、地雷原の中でスネークと直接徒手格闘での決闘を行った末に敗北、最後にビッグ・ボスに助けられた己の身の上をスネークに明かした上で、命を落としたと思われていた。
しかし実際には、半死半生の状態であった彼は、ザンジバーランドの陥落後に『愛国者達』によって回収されており、クラーク博士によって無理矢理蘇生させられた上で、ゲノム兵の初期の遺伝子治療(ジーンセラピー)の実験体として利用され、人格すらも省みない非人道的な人体実験を繰り返し行われる。また同時に、アームズテック社の強化外骨格の研究素材としても利用された(この強化外骨格の実験はDARPA局長の主導の下で行われていたらしく、その為にアームズテック社社長であるケネス・ベイカーすら、グレイ・フォックスの事を直接は知らなかった)。
その非人道的な蘇生法と人体実験の数々と、それに伴って麻薬漬けにされた事で、既に半ば廃人同然にされており、後述のシャドーモセス島で姿を現した際には、薬物の禁断症状と思われる発作を起こしては錯乱・暴走し、人格も消滅しかねない程に身も心もボロボロに侵されていた。
シャドーモセス島事件
2005年のシャドーモセス島事件の直前に、リボルバー・オセロット、EVA、ナオミらの手引きで解放され、研究機関の責任者であるクラーク博士を殺害して逃亡する(表向きは研究所の爆発事故として処理されていた)。事件発生当時はソリッドとの決着を望んで彼を追って、シャドーモセス島に潜入していた(MGS4でオセロットとナオミの手引きで潜入した事が示唆された)。
そして、無線を介してスネークと接触し、自らを「ディープスロート」を名乗り、再び謎の支援者(ファンの一人)としてスネークにアドバイスをした。そしてその一方で、強化外骨格をその身に纏った「サイボーグ忍者」として、スネークの前に度々姿を現しては、戦いを挑んだり助けたりした。
最初はサイボーグ忍者としてスネークと直接交戦したものの、その後はリキッド・スネークの操るメタルギアREXとの戦いでスネークを援護する為にREXと交戦し、そのレドームの破壊に成功するが、腕を切断されてしまい、REXの頭部により壁との間に挟まれて致命傷を負う。
最期はスネークにナオミに遺言を伝言するように頼んで、REXに踏みつぶされて死亡した(自身がナオミの両親の仇だと伝える内容だったが、結局スネークはその事をナオミには伝えなかった)。
彼が最期に遺した「俺達は、政府や誰かの道具じゃない。闘う事でしか自分を表現出来なかったが、いつも自分の意志で闘ってきた」という言葉は、スネークのその後の人生に大きな影響を与えている。また、MGS4の小説版によるとこの言葉は元々、FOXHOUNDへの入隊時にビッグ・ボスから彼らへ贈られた言葉である事が語られており、スネークはビッグ・ボスと再会するまでその事を忘れていた。
バンドデシネでは、サイコ・マンティスによる洗脳も掛けられおり、マンティスが死ぬまで半分錯乱していた。
武装
いずれもサイボーグ忍者時のもの。
サイボーグ忍者を象徴する忍者刀のように刀身が短い刀。なお、スネークとの対峙では途中で使う事を止めて徒手空拳に徹する。MGRでは「フォックスブレード」という雷電の専用武器の一つとして登場する。効果は脅威の「一撃必殺」ボスクラス以外の全ての敵を確率で斬奪状態(トドメをさせる状態)にしたうえで両断される(敵キャラは斬奪しないと両断できないので特別仕様)ため、走って剣を振り回すだけで雑魚は次々芋虫になったり真っ二つになって倒れ伏す。
最大強化すれば最大難易度ですら敵がスパスパ切れていく
彼の神出鬼没さはこれがあってこそであり、彼が身に纏う強化外骨格がその機能を持っている。ちなみに赤外線ゴーグルを持たない状況でのスネークは、彼のステルス迷彩のある欠点を見抜いた。
- アームガン
右腕に装着する銃器で、強力なエネルギー弾を発射する事ができる。状況に応じて自由に着脱して使用が可能である。作中ではREXのレドームを完全に破壊する為に使用された。
外部出演
大乱闘スマッシュブラザーズ
『X』『SP』に「サイボーグ忍者」名義でアシストフィギュアとして登場。
声は塩沢氏のライブラリ出演となっている。相手にスネークがいるとセリフが変化する。
スピリットで星三で登場
ボクらの太陽
『DS』に彼の強化外骨格とよく似たアクセサリーが「忍者スーツ」の名前で登場。「伝説の忍者が使った」と言い伝えられている。
このゲームは以前のボクタイシリーズと違いステルス要素がほとんど無いため、ソル・ダーク属性のダメージを減らす効果に変更されている。
余談
- フランクとナオミのファミリーネームは違うのだが、実は両者(イェーガー、ハンター)共に『狩人』を意味する。これはMGSにおいて、フランクとナオミの関係を示す伏線的な意味合いもあったと考えられる。
- 上記の通りMGS2、MGRの主人公であり、MGS4でも重要な役割を果たした雷電とは、その経歴から刃物を得意とする事や、『愛国者達』に捕らえられてのサイボーグ化など非常に重なる部分が多い。最終的には自らの意思での戦いを続ける事を選んだのも同じだが、彼の方は愛した女性と結ばれてその子供にも恵まれて家族を作っており、これはグレイ・フォックスにもできなかった事である。
- MGS2では、塩沢兼人氏は彼の急逝を受けて特別出演枠という形で登場している。
- MGSBDでは既に塩沢氏が他界していた為、塩沢氏の声質とよく似ている事から塩沢氏没後に代役・後継を受け持つ事が多い山崎たくみ氏がフォックスを演じている。こちらでは塩沢氏よりもより無機質なイントネーションの特徴がある。