CV:銀河万丈(MGS)/本城雄太郎(MGSV TPP)/カム・クラーク(海外版MGS)
「俺は復讐の機会すら貴様に奪われた。だから俺は、親父の意志を実現してみせる。親父を超え、親父を殺す」
「死を懇願した時勝敗は決まる。わかったろう!貴様は誰も守れはしない!自分の身さえな!死ね!!」
「まだだ!まだ終わっていない!!」
概要
FOXHOUND実戦部隊リーダー。MGSのテロ事件の首謀者。
33歳。身長183cm。本名はイーライ。若干イギリス訛りがある英語を母語とし、スペイン語、フランス語、マレー語、アラビア語など7か国語に堪能。特にアラビア語は完璧に扱える。
主人公のソリッド・スネークと同じ「スネーク」の暗号名を持つ男(とはいえ、ゲームの都合なのか、ソリッドのことは基本的に「スネーク」と呼ぶ。実はソリッド役の大塚明夫も疑問だったもよう)。
明るい金髪、やや浅黒い肌だが、目鼻立ちや輪郭はソリッド・スネークと酷似している。
元SIS出身。10代で英陸軍SASとして湾岸戦争に参戦し、スカッドミサイルの移動発射台を破壊する特殊任務に就く。
味方の裏切りにより一時はイラクの捕虜となるが、自力で脱出し、イギリスに戻ることなく行方をくらます。この時の経験や後述の出自による世界に対する怒りから、世界を回す歯車のような個体ではなく、世界を酸のように溶かし尽くす液体になるとの決意からリキッドのコードネームを名乗る事になる。
その後、アメリカ軍に保護されてソリッドと入れ替わるようにFOXHOUNDに入隊し、部隊の事実上の指揮官となる。
その圧倒的な存在感や背景、そしてそれらによって磨かれた凄まじい戦闘力や執念から、未だにソリッド・スネーク最大の宿敵やシリーズ最高のラスボスとして評価する声は多い。
来歴
シャドー・モセスでは部隊を率いてテロを起こし島を占拠する。そして遺伝子が絶滅傾向にある同族の原因の特定と対処法を調べる為に米政府にビッグ・ボスの遺体を要求。
さらに冷戦が終結し、紛争が減りゆく時代に戦士が生かされる場所を望み、ビッグボスの遺志でもある「アウターヘブン」の実現が真の目的であり、終盤はシャドーモセス島を新たなアウターヘブンとすることを宣言する。
これはビッグ・ボスに成し遂げられなかった意志をあえて受け継いで、実現させる事でビッグ・ボスを超えて彼への復讐を果たすという歪んだ復讐心もある。
その正体は「恐るべき子供達計画」で作られたビッグ・ボスのクローン兵士にして、ソリッド・スネークの双子の兄弟。自らの人生そのものがビッグ・ボスという最強の兵士を再現するためだけに作られて仕組まれたものだったが故に、父にあたるビッグ・ボスや自身のような存在を作った世界そのものを激しく憎悪している(ノベライズ版だとこの事実を代理母のEVAから知った模様)。
さらに、自身は優性遺伝子を集約した兄弟のソリッド・スネークを生み出すために劣勢遺伝子を集約させられた予備だったと思い込んでいる。
そのためビッグボスの優性遺伝子を集約されて作られたにもかかわらず自らの出生を何も知らずに育ち、父親を自らの手で殺めて復讐の機会すら奪ったソリッドに対しても激しい憎しみを向けている。
だからこそリキッドはビッグボスの遺志を実現させる事で、運命への抗いを試みる。
※この辺りの因縁が語られたMGS1では、「優性遺伝子」「劣性遺伝子」が本来の意味とは違う用法で使用されているため注意。詳しくは後述。
戦士としてはもはや超人的なまでの身体能力と戦闘技術とそれを支える凄まじい執念の持ち主。
劇中でも
- 吹雪の中でMi-24ハインドD攻撃ヘリを難なく飛ばし、F-16戦闘機を2機撃墜する
- 墜落するハインドからローターに切り裂かれるリスクを無視してパラシュートで脱出し、無事生還する。
- 本人がひとたまりもないと言っていたメタルギアREXの頭部から転落しても戦闘を継続し、さらにその後ジープが横転事故を起こしても立ち上がる。このときFOXDIEがなければソリッドは詰んでいた可能性が高い。
など非常識な離れ業の数々を披露している。 さらに近接戦闘術もスネークに匹敵するほど。
このため、個性派揃いのFOXHOUNDの隊員達からも畏怖されており、あのリボルバー・オセロットですら内心ではその執念に戦慄していた。
また、小説版ではマクドネル・ミラーを殺害した直接の犯人とされている。
なぜか真冬のアラスカで上半身裸の上にFOXHOUND制式のコートという格好をしている。
ソリッドや若い頃のビッグ・ボスのようにダンボールへの思い入れがあるかのは不明。
上記の通りの凄まじい執念と戦闘技術でスネークを幾度となく追い詰め、最後の最後までスネークを殺そうとするが、最期は発病しないと思われていた人工ウィルス「FOXDIE」の発作で死亡。
しかし兄弟の弟(バンドデシネでの設定)であるソリッド・スネークの方は発病しなかったが、その理由は彼らは敵対勢力や国家へ彼ら自身が渡った際の情報漏洩及び転用の防止のために様々な遺伝子操作が施されておりその結果、同じクローンでありながらそれぞれの遺伝子は100%一致はしないからというものだった。(実際に遺伝子上の関係性は兄弟に近いとの事)
後に実は優性遺伝子を集約されたのは実はリキッドの方であった事が判明したが、これを彼は生涯にわたって知る事は無かった。
その後、その右腕はオセロットに移植され、オセロットの肉体をのっとり始めた。
遺体そのものはタンカー沈没事件後のソリッドの死を偽装するために使用された。またMGS4でビッグボスの身体の再生手術にも使用された事が言及されている。
またMGS4ではビッグ・ボスの遺体を要求したことには他の目的もあった事が明らかになる。
いけないか?世界を敵に回して!
スネェェェク!まだだ、まだ終わっていない!!
MGSV TPPではリキッドの少年兵時代の姿が登場。大人の兵士顔負けの戦闘能力を持つ。この頃はホワイトマンバを名乗っており、本名のイーライで呼ばれることを嫌う。
着ている服の背中には眼帯をした豚の絵と、英語で「NEVER BE GAMEOVER」漢字で「液体人間」という文字が書かれている。
アフリカにてメンバーが全て子供で構成された武装集団を率いる。子供ながらに既に指導者としてのカリスマ性があり周辺の少年兵達をあっという間にまとめ上げて、近隣で略奪や暴行を繰り返していた。またこの頃から戦闘に関しても凄まじい素質と才能の持ち主で一度見ただけでヴェノムの技を見切り、大人の兵士を難なくねじ伏せる程。
父親に執着した言動をとり、作中に登場するヴェノム・スネークを殺害して彼の呪縛から解放される事を望んでいる。だがその殺害は失敗しマザーベースに移送されるが、そこでも大人達に抵抗し、オセロットやヴェノムに取り押さえられる事が何度もあった。またそこで行った血液検査ではヴェノムと遺伝子情報が合致しなかったがこれにはある理由があった。
スカルフェイスとの最終決戦では彼の報復心に感応した第三の子供を通じてサヘラントロプスを操り、ヴェノムを殺そうとしたが失敗してサヘラントロプスを破壊された。
そして終盤ではヴェノム・スネークの真実に気づき、ヒューイの協力を得て修理したサヘラントロプスを第三の子供の力を借りて起動し、少年兵達が乗っ取ったヘリと共に何処かへと飛び去っていった。
その後の行動は特典ディスクに収録された幻のエピソード『蝿の王国』で確認できる。
Vの小説版では、本編前に愛国者達の研究所からEVAによって保護されていた過去があり、戦闘や知識などの本当の教育をしてくれたと回想をするなど他の大人達と比べて心は開いていたが、結局大人への不信感から庇護下を離れていたことが判明した。同作ではイギリスで育った経験からか、自身をアーサー王伝説に登場するロンギヌスの槍で癒えない傷を付けられ、呪いにより自らが治める領土を荒廃させてしまった漁夫王ペラムと例えていた。
「蠅の王国」
子供達と共に脱出した後は南国のとある島に第三の子供から渡された英語株の声帯虫をばらまいて、大人を駆逐して子供だけの国を作り、そこに「蠅の王」として君臨する。(小説版では、世界を腐らせる漁夫王から腐肉と化した世界を喰らう蝿の王ことベルゼバブになろうとしたとされている)
そして豚の頭の代わりにサヘラントロプスを自分達の象徴として祀るが、これはヴェノムを誘き寄せる為の囮だった。
そして島にやってきたヴェノム達、ダイヤモンド・ドッグズとXOFの残党との激しい混戦を繰り広げる。
しかし最終的にはヴェノム達の攻撃によってサヘラントロプスは両腕、両脚を破壊されて胴体を寸断され、頭部のコックピットを除いてほぼ大破する。そして大破したサヘラントロプスから這い出したが視覚障害でイーライが着た防護服と周囲のXOFの隊員達の防護服の色の区別がつかなかったヴェノムにとっさに撃たれてしまう。
防弾チョッキを着ていたのでなんとか無事だったものの、本来は声変わり前の子供には声帯虫は定着しないのだが、彼は既に声変わりが始まっていたので感染してしまっていた。
そこで父のビッグ・ボスや世界に対する憎悪の念をヴェノムにぶつけるが、彼から自分だけを憎むように諭されヴェノムはイーライに撃たれる事を覚悟してその場に銃を置いて立ち去り、島ごとナパームで焼き払って声帯虫の拡散を防ごうとする。
しかしイーライは結局、ヴェノムを撃てずに自殺しようと頭に銃を向けるが、第三の子供に喉の声帯虫を取り除かれた事で考えを変えて、彼と共に島を脱出する。
そして彼を引き連れて何処かへと姿を消していった。
まだだ...まだ敗けてない...
以下ネタバレ
この第三の子供こそ、後にFOXHOUNDで彼の部下となるサイコ・マンティスであることが小説版の「サブスタンスⅠ」で確定する。
彼とはこの頃からの付き合いで、どうやら当初公開されていたリキッドやマンティスの経歴やプロフィールは一部偽装だった模様。(元々、シャドーモセスで登場したFOXHOUNDの隊員達は大なり小なり全員が経歴を偽装しているので別におかしくはない)
また小説版ではこれに合わせてマンティスの過去の設定も一部変更されている。
なお、少年期のデイビッド(ソリッド・スネーク)はゲームでは描かれていないが、おそらくはイーライと瓜二つであると推測される。
リキッドの用いる「優性/劣性」の誤解
劇中でリキッドは、ビッグボスの遺伝子のうち戦闘に適した形質を発現させるもの(=ソルジャー遺伝子)を優性遺伝子、そうでないものを劣性遺伝子と呼んでいたが、これは現実における「優性遺伝子」「劣性遺伝子」という単語の用法からはズレたものである。
優性劣性を優等劣等と置き換えると意味が通じ、彼もそのように勘違いをしていたとされており、本来の用法では、「優性遺伝子」とは発現しやすい遺伝子を指し、逆に「劣性遺伝子」とは発現しにくい遺伝子を指すものであり、決して遺伝子そのものの優劣を表しているわけではない。
しかし劇中では、リキッドの台詞に限らず、一貫して「優性遺伝子」「劣性遺伝子」が単に「ソルジャー遺伝子か否か」程度の意味合いで用いられているが、実際のところ他の産まれることも許されず間引かれた子供達が彼の言う「劣性(劣等)遺伝子存在」であり、キチンと産まれ大人になることを許されている時点でリキッドもソリッドもソルジャー遺伝子を持った「優性(優等)遺伝子存在」である。
本来の意味を知っている人間ほど混乱しやすく、逆に知らない人間は誤解したまま覚えてしまう可能性があるので注意が必要である。
ちなみに現在では、こういった誤解を招きやすいといった理由から「顕性遺伝子」「潜性遺伝子」という表記に改める方向に向かっている。