「待っていたぞ、『愛国者達』の手先!」
「闖入者共よ、海に沈めてやる!」
「私は『愛国者達』を倒して自由になる!まさしく───『自由の子供達(サンズ・オブ・リバティ)』になるのだ!」
CV:大塚明夫(ソリッドと一人二役)/ジョン・サイガン(英語版)
人物像
『愛国者達』によって誕生させられたソリッド・スネーク、リキッド・スネークに次ぐ3人目のビッグ・ボスのクローン。
ビッグボスの持つ兵士としての遺伝的特性(ソルジャー遺伝子)を劣性と優性、それぞれを人為的に集約させて能力の向上を目指したソリッドとリキッドの2人と違い、遺伝学上にも100%完全なクローンとしてビッグボスを再現した『完全なる均整』を持つ個体。
ただし、他のスネーク達と同様に遺伝子操作によって生殖能力は奪われており、子孫を残すことはできない。
ビッグボスの老いた体細胞やテロメアをそのまま受け継いで誕生したためか3人のスネークの中でもさらに老化速度が早くMGS2で登場した時点で白髪が目立つ。(テロメアが完全に同じなためにオリジナルのビッグボスと最初から同じ寿命しかなく完全に同じ速度で老化している)
しかし、肌の色や髪の色などの細部がビッグ・ボスとは違うソリッド、リキッドの2人と違って、外見は完全にビッグ・ボスと同一であり、特に作中で左目を負傷して眼帯をつけるようになった際の風貌は、リボルバー・オセロットからも「ビッグボスに瓜二つ」と評された。
単に「スネーク」と呼ばれることの多いソリッド・スネークのことを「ソリッド」と呼んだことのある数少ない人物でもある。
ソリダスから兄弟呼ばわりされる事をリキッドとの因縁のせいか、スネークはかなり忌み嫌っていた様子。
戦闘時には外装式強化服を装備し、武器は強化服の胸部に備わっている「スネークアーム」と呼ばれるマニピュレーターとそこから発射される小型ミサイル、アメリカの二大政党である民主党と共和党の名にちなんだ刀、民主刀と共和刀の2振りを持つ。銃器はP90を使用した。
さらに、胸部装甲とスネークアームをパージすることで背面のブースターを使用した高速移動が可能となる。
このスネークアームで直接相手の首を掴むことで絞殺することもでき、MGS2では雷電(プレイヤー)に対して披露した。この際の威力と拘束時間は難易度に比例して上昇し、EXTREMEともなると連射パッドがなければ常人には到底クリア不可能なほどに強化される。(HD版ではいくらか緩和されたものの、サブスタンスのE-EXTREMEではなんと最長で1分以上かかる)
「MGS2」の後の時代となる「MGS4」ではこのスネークアームの技術が流出、解析されているようでありラフィング・オクトパスがソリダスの物の発展型を装備している。
一方でビッグボスの完全なクローン体だが性格はビッグボスとは正反対であり、その出生や境遇もあって後述の様に冷酷非道な人物であった。
正確な生年は不明であるが、少なくともソリッドやリキッドよりも後に生まれている。
リキッドは当初、50代のビッグボスの体細胞から誕生したと言っていたが、実際の二人の体細胞はおそらく30代頃のビッグボスのものが使われたと思われ、少なくとも彼はそれ以降のビッグ・ボスの体細胞から生まれた模様。
アメリカの法律では大統領は35歳以上でないとなれない、と定められているがもし本当に実年齢が35歳以上だったらソリダスはソリッド達よりも年上であることになってしまう(シャドーモセス事件当時ソリッドとリキッドは32~33歳)ために、実際は愛国者達により、かなり若くして(下手をすれば20代半ばから後半)大統領に就任させられていたことになる。
ただし上記の通り彼の老化速度は生まれた瞬間からその時点のオリジナルのビッグ・ボスと完全に同一である為に、20代半ばから後半の時点で35歳以上と簡単に偽装できるくらい老化していたのは間違いない。
また、彼がアフリカに渡ったのは10歳前後の頃であり、その後の義理の息子ジャック(雷電)との出会いも、まだ10代半ばから20代前半ぐらいでの出来事になる。
劇中の活躍
MGS以前の活動
他のスネークとは異なり、愛国者達の下で活動していた。
CIAの依頼によりリベリア内戦の際に、MGS2プラント編の主人公・雷電を含む多くの子供達を誘拐(この際に雷電の両親を殺害している)、銃を手に戦うことを拒否した子供は容赦なく殺害し、雷電達残りの子供達を兵士として育てた。(この多くの少年兵を作り上げた訓練内容は軍事訓練に加えて、食事に中毒作用のあるトルエンを含む火薬(ガンパウダー)を混ぜて摂取させた上で、一種のトリップ状態のまま「無抵抗の市民や捕虜をその手で殺害させる」という残虐なもので、後に『シアーズ・プログラム』としてMGRに登場)
こうした行動の背景には、クローンとして生殖能力を奪われたことから「自分の因子を引き継いだ子供を作る」ということに執着した結果である。
また、ノベライズ版によると当時のソリダスは、サイファーを率いていたゼロ少佐とその元副官であるスカルフェイスの分裂と彼らによるサイファー内での冷戦の影響で、アフリカに渡って活動していたとのこと。
そしてそのままアフリカで育ち、リベリア内戦勃発の際に裏でCIAのエージェントとして軍事活動を行う中で雷電と出会うという経緯である。
その後はアメリカに呼び戻されてジョージ・シアーズの名で第43代アメリカ合衆国大統領に就任(実際の第43代アメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュ)し、シャドー・モセス事件を迎えた。
MGS
名前だけで本人は登場しない。
アメリカ合衆国大統領ジョージ・シアーズとして活動しており、米露間の核兵器削減条約START3の調印を控えている。
物語終盤、シャドー・モセス島に空爆機を送り込んで全ての証拠を隠滅しようとした国防省長官ジム・ハウスマンを更迭、空爆を中止させる。
表向きは事件そのものは途中まで知らないということになっていたが、実は裏でリボルバー・オセロットを使いシャドーモセス事件の全てを操っていた黒幕だった。
そしてオセロットを使ってREXの実験データを密かに手に入れる。
メタルギアREX計画は愛国者達にも知られていなかった極秘プロジェクトであった為、この事件で彼らの不興を買い、その直後に引責辞任した(表向きの理由は上記の国防長官の任命責任)。その後は愛国者達の暗殺から逃れるべく地下に潜伏する。
バンドデシネ版では暗殺を装い愛国者達の目を欺いており、暗殺事件はソリッド・スネークに着せられた罪状のひとつとなっている。
MGS2
愛国者達の支配から解放される事を望み、海上除染施設『ビッグ・シェル』に偽装されたアーセナルギア内の光ニューロAI『G.W』に記録されている愛国者達の中枢メンバーの名簿を奪取すべく、2009年4月29日にゴルルコビッチ私兵部隊残党とソリダス配下の対テロ演習仮想敵部隊デッドセルによる混成部隊を率いて『サンズ・オブ・リバティ』を名乗り、ビッグ・シェルを武力占拠、施設を視察訪問中だった合衆国大統領を含む政府の要人十数名や環境保護団体職員らを人質に取る。
その際に表向きはソリッド・スネークと名乗っている。
そして事件の中でかつて自身が育てた少年兵の一人である雷電=ジャック・ザ・リッパーと再会する。
その真の目的はアーセナルギアの制御A.Iである『G.W』にハッキングして愛国者達の指導者である「賢人会議」の12名のメンバーのリストを発見して彼らを殺害すること。(しかし実際は賢人会議は前身にあたる大戦時の「賢者達」の頃に存在した機関であり、現在の「愛国者達」にはそんな機関は最初から存在しておらずその12人もあくまで偽装用に用意された、当時の賢人会議のメンバーのデータだった)
そして最終段階としてマンハッタン上空でアーセナルギアから発射した純粋水爆を爆発させて強力な電磁パルスを発生させて、愛国者の電子的ネットワークから開放された独立区を築きあげようと画策する。
しかし腹心のリボルバー・オセロットが愛国者達のスパイであったことが判明し、純粋水爆は偽装、さらに自らもS3計画の手駒に過ぎなかったことを知る。(尤も、この時語られたS3は建前の方である)
雷電やスネーク達の活躍により『G.W』は破壊され結局、愛国者達の情報は得ることもできず全てを失ったソリダスは、唯一残された手段として雷電の脳内に埋め込まれたナノマシンから愛国者達を逆探知すべく、フェデラルホールの屋根の上で互いの自由と解放を賭けて最後の決闘を挑む。(この際にかつて雷電を拉致する際に彼の両親を殺害したのが自分であることを暴露している)
雷電との壮絶な死闘の末に背骨を斬られて敗北したソリダスはそのまま屋根から転落、ジョージ・ワシントンの像にすがりついた後、絶命した。(パンドデシネでは彼と最後の決闘をして倒したのは雷電からスネークに変更されている)
なお、最後の決戦の際に彼の真意は『生まれた瞬間から愛国者達に支配されていた己を解放する』、『子孫を残せない自分自身が、その考えや名前を歴史に永遠に残す』ことだったと雷電に告白している。(MGSでナスターシャ・ロマネンコ曰く「大統領(シアーズ)は取り立てて功績がないから歴史に名を残したいなら今回の調印は必須」と言っており、ソリダスの思想的にはここで歴史に名を刻む事も目的の一つだったと思われる)
SNAKE TALES
本編とはつながりの無い外伝であり、その中の一つであるExternal Gazerに登場している。
並行世界のソリダスであり恋人のメイ・リンと共にある目的を持ってソリッド・スネークの抹殺のために動く。
MGS4
その遺体は愛国者達に回収されていたが、最終的にリキッド・オセロットによって奪取される。
ビッグボスの完全なクローンだったことで、その遺伝子コードをキーとしてビッグ・ボスのものと誤認させてSOPシステムへの介入に成功。(遺伝子が100%一致しないソリッド、リキッドの遺伝子コードでは完全にパスはできなかった)
さらに欠損したビッグボスの身体を補うための移植、ビッグボスの脳死体の偽物としても利用されている。(遺伝子が完全に一致するためにシステムでも偽物とは見抜けなかった)
『ナノマシンによって意識を幽閉されているビッグボス』としてカモフラージュされているため、時折痙攣のように動くときがあったが、彼の意識や自我がまだ維持されていたのかは不明。ちなみに失った目の位置がよく見ると左右逆になっていた為に勘のいいプレイヤーはここで気付いたようである。
その後、オセロットの手にかかり東欧で焼却される。
燃やされた遺体の遺灰は後にビッグボスとしてポッターズフィールドのザ・ボスの隣に葬られた。
生前、ソリダスの野望であった愛国者達を倒し自由への解放を果たすという悲願は、本編中で図らずもかつて自身を倒したソリッド・スネークや雷電たちの奮闘によって果たされることとなる。
MGR
既に死亡しているため当然出番はないが、デンバーに突入した際の雷電とケヴィンの無線会話にて名前のみ登場。
彼がCIAの工作員としてリベリアでの軍事活動の一環で現地で多くの子供の誘拐と徴兵活動を行い、教練を行った通称「シアーズ・プログラム」がこの時代にもまだ残されて裏で利用されており、皮肉にも彼のミームは後世まで残されていた形となった。
余談
「ソリダス(solidus)」とは「固相線」を表す言葉であり、固相線とはこれ以上の温度では固体と液体が平衡して存在しており、これ以下の温度では固体が安定して存在する領域の境目を示す線のこと。
ジョンソン大統領の語った
「液体でも固体でもない最も均整の取れた個体」
という言葉がまさに当てはまるコードネームである。
小島秀夫監督によると、「個体・液体と来たら次は気体となるのが普通だが、それだと格好悪いから」ということらしい。
ソリダスの声を担当しているのはソリッド・スネーク役の大塚明夫だが、海外版及びサブスタンスの英語音声はスネーク役のデイヴィッド・ヘイターではなくジョン・サイガンが担当している。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALではスピリッツとして登場。
雷電も同じくスピリッツとして登場している。さらに雷電のビジュアルは、MGRの際のソリダスと同じく左目に眼帯をつけた姿である。