CV:戸谷公次(MGS)(MGS2)、山崎たくみ(MGS3) 、三上哲(MGSV)、銀河万丈(MGS4)、沢木郁也(MGSBD)
「俺のリロードはレボリューションだ!」
人物
1944年生まれ。身長182㎝。
CIAエージェント、GRU(軍参謀本部情報総局)「山猫部隊」隊長、スペツナズ、FOXHOUND隊員を歴任。リボルバー・オセロットは、FOXHOUND時代のコードネーム。
MGS3の登場人物であるザ・ボスとザ・ソローの実の息子で、本名はアダムスカ。
早撃ちが得意で、跳弾を自在に操る拳銃の名手であり、強制収容所の拷問特別顧問として参加した事がある程の拷問マニアであり、拷問のスペシャリストでもある。
またかつてはシャラシャーシカという通り名で恐れられた時期もある。
当初はMGSで、リキッドの参謀的存在として登場したが、やがて大統領や愛国者達などさらに巨大な組織とつながっていることが作品ごとのエンディング終端で次々と判明していき、最終的にはビッグ・ボス=ネイキッド・スネークと非常に関わりの深い、シリーズ全体を通して重要な役割を担ってきたトリックスター的存在であることが判明した。
蛇一族との関わりがシリーズ中最も強いキャラであり、シリーズ中に登場した歴代全ての蛇の系譜の者達と関わりがあったのはこのオセロットだけである。
このため、「MGS3」ではオセロットとの戦闘はいずれも決着がつかないまま終わるものが多い上、そうでない場合は気絶で終わらせる必要があり、そのシーンで殺害してしまうと「TIME PARADOX」としてゲームオーバーになってしまう。
西部劇やマカロニウエスタンをこよなく愛すガンマニアであり、ダスターコートを着て西部劇などでおなじみのリボルバー型拳銃のひとつ、SAAを愛用しており、「世界でもっとも高貴な銃」と称した。
装飾を施した観賞用やストックを装着したものを使った時もあった。
若い頃も西部劇に影響を受けてはいたものの、当初は銃はオートマチックのマカロフPMを使っていた。ネイキッド・スネークと出会い、彼のアドバイスを受けてSAAに持ち替えたことで、より西部劇マニアぶりが加速したようだ。
SAAは一発ずつ排莢して一発ずつこめ直すという非常にリロードに手間のかかる銃だが、オセロットは命を懸けた戦闘中にあえてこの手間をかけることにも興奮を覚えたらしく、「戦闘中のリロードがたまらない!」「銃に命を吹き込んでいるようだ」などの台詞でもってそれを示している。
見様見真似だけで短期間でスネークと同じCQCを会得する、SAAに持ち替えてわずかの間にガンプレイやジャグリングしながらのロシアンルーレット、ファニングショット等の高い技術を要する射撃法を使いこなす等、天性の戦闘センスを持つ。
余談だが、MGSVの情報テープにて、モスクワオリンピックの話が出た際に、柔道家の山下泰裕のファンと思しき発言をしている。
劇中の活躍
MGS3
誕生後まもなく賢者達に引き取られ、GRUとヴォルギン大佐の元で育てられる。
おそらく10代の頃から既に相当の戦闘・諜報技術を体得し、CIA(及びアメリカの「賢者達」)のスパイ「ADAM」として活動開始。
なお、母親の家系において彼の祖父にあたる人物は賢者達の最後のメンバーであった。
1964年、20歳の時点で、ヴァーチャスミッション及びスネークイーター作戦に参加。
GRUの将校(階級は少佐)「オセロット」として、ネイキッド・スネークの前に度々現れる。この時点で、GRU←KGB←CIAの三重スパイであった。
GRU将校やKGB側スパイの役割としてスネークを妨害するが、当初は慢心と経験不足で惨敗を繰り返していた。
挑戦を繰り返すうちにやがて彼に心酔するようになり、それは以降彼が死ぬまで続くことになる。
ヴォルギン大佐がスネークとの一対一の決闘を望みながらも、負けそうになると他者に助けを求める等の見苦しさに失望した事も、男らしく戦ったスネークに心酔した理由と思われる。
シャゴホッドはヴォルギン大佐と共にスネーク達によって葬られ、グロズニィグラードはオセロットの手によりデイビー・クロケットで抹消される。
そしてスネークイーター作戦終了後はEVAが入手していた賢者の遺産のマイクロフィルムを偽物とすり替えて回収し、さらにグラーニンの「核搭載二足歩行戦車」の研究案の資料を盗み出して、CIAに帰還する。
この資料を基に、後にCIAでピースウォーカーの開発が進められる事になる。
この頃から西部劇好きだったようで、GRUの制服を着ていながら足に拍車をつけていたり、わざわざオートマチックのマカロフPMでガンプレイをするなど、見た目と振る舞いで気取りまくっていた。
しかし、「マガジン交換直後に薬室に弾のあるなしに関わらず薬室へと初弾を装填して確実に射撃を行う」というテクニックを聞きかじっただけで行っていた事や、無意識で行っていた射撃の反動への自身の癖(射撃時に肘を曲げて反動を逃がす、子供が指拳銃でやる様な動作。マカロフやコルトのような自動拳銃は銃の反動を動作に利用しているため、しっかりと反動を受け止めないと反動が逃げてしまう事で動作不良、給弾不良等の原因になり、完全に無意識でコレを行っていたオセロットにとっては矯正の見込みが無く、自動拳銃使いとして致命的な悪癖) が祟り、弾詰まりを起こしてスネークに敗北した。
敗北後に前述の癖を彼から指摘され、それがリボルバー向きの証である事を教えられた事もあって、リボルバーであるSAAに持ちかえた。(前述の悪癖はリボルバーのような反動を動作に使用しない銃では反動を受け止める必要がなく、むしろ上手く逃がすと手首等の負担を軽減する事が出来るため、完全に無意識でこれを行える事は、自動拳銃の場合とは逆に天賦の才能になる)
ちなみにこの時、銃捌き及び早撃ちの腕の良さを『いいセンスだ』と高評価されていた
ところが次の対決では、銃を持ち替えたことで装弾数が変わっていること(マカロフは8発、SAAは特殊な弾倉を使っているモデルでもなければ6発、にも関わらず6発全てを威嚇のための無駄撃ちに使っていた)を忘れてしまい、またも敗北。おまけに鑑賞用の装飾が施された実用拳銃ではない観賞用の銃を持ってきた事をスネークにからかわれてしまった。
そしてSAAを二艇持ち歩くようになるとボルシャヤ・パストの崖でスネークに決闘を挑み、今度は互角の戦いを繰り広げた。(前回の反省を踏まえ戦闘前に「12発だ、今度は間違えない」と宣言する)
このとき、ザ・ペインのよこした無数の蜂を猛スピードのガンスピンで叩き落すという荒業を披露している。
この決闘の中で戦闘中に行うSAAのリロードに目覚めてしまい、「不思議だ、この緊張感! マグチェンジでは到底味わえない」「リロードタイムがこんなにも息吹を!」「たまらない! こんなにもリロードタイムが戦闘に抑揚をもたらすのか?!」「礼を言うぞ! よくぞこの喜びを俺に教えてくれた!」などと、はしゃぎまくっており、最終的には「俺のリロードはレボリューションだ!」と言い始める。
レボリューション(変革、革命)を称するだけあって、最初こそ廃莢→装填の動作がモタついており、「トンッ、トンッ、トンッ、トンッ、トンッ、トンッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ、ジーーッ×2」と一丁に10秒近く掛けてリロードしている(2丁リロードの時間で前述の台詞を二つ言い終えるほど長い)が、リロードする度に加速していき、最終的には数秒で12発リロードし終えるほどにリロードが大幅に高速化する。
その後、グラーニン・ゴルキーの倉庫でソコロフにロシアンルーレットを仕掛けた際には持ち歩く銃の数が3艇に増えている。
そのうちの1つは、後にグロズニィグラードの拷問室でタチアナにロシアンルーレットを行った際にザ・ボスを介してスネーク、そしてEVAへと渡っている。
また、この際ヴォルギンのスネークへの拷問を見ている際に「悪くない、究極の表現方法だ」と後の拷問狂の素質を垣間見せている。(拷問そのものへの感嘆なのか、それに耐えるスネークへの畏敬なのか、スネーク程の人物すら拷問は耐えるしかないというやや倒錯した感情なのかは分からないが)
ラスト付近にWIG機内で二艇のSAAによるロシアンルーレットによりスネークとの最後の勝負を行う。
ロシアンルーレットの結末次第ではオセロットのSAAの一艇はスネークへと渡る。
こうして彼はSAAの魅力に取り付かれ、彼の意識が消えるまで使い続けることになる。
シークレットシアターの「根本的な誤解」では本来弾切れの筈のSAAに弾が残っており、スネークを仕留めたもののEVAには逃げられるという残念な結果になった。
他にも「最終決戦」ではWIGに乗り移り損ねて湖に落ち、「老いらくの恋」では、EVAに恋したジ・エンドに二度も眠らされている。
エンディングでスネークがビッグボスの称号を合衆国大統領から授与されるシーンで主観に切り替えると、窓の左下にスネークへ向けてあのポーズを取っているオセロットを見ることが出来る。(HDエディションでは、これを発見するとトロフィーがもらえる)
「山猫は、狙った獲物を逃さない」
オセロットは中米から南アメリカにかけて生息する大型のネコ科動物である為、当初パラメディックは何故GRUの人間がアメリカの動物の名前のコードネームなのかを疑問に思っていた。
全編を通して、やたら手を動かすしぐさが多い。またスネークが収容されていた際にスネークから取り上げられた食糧を食べたのも彼である。その目的はスネークが何を食べていたのかを知るためでもあった(ちなみに何故オセロットがそんなことをしたのか理解できなかったスネークは、EVAから朴念仁と揶揄されている)。
理由は不明だが、決闘中にマーコール(野生の山羊)を殺すと怒りを現す。特に動物が好きな訳ではなく、自分との決闘中に他の獲物に手を出す余所見が気に入らない模様
MPO
1970年、26歳。
「ヌルと同じコードネームを持つ男」の後ろ盾により活動。
ジーンを影から支援し反乱を起こさせ、そのどさくさの中でそれまでの上司を殺害し、アメリカ側の従来の「賢者達」を消滅させ、賢者の遺産を回収 奇しくもザ・ボスの息子である彼が両親の雪辱を晴らす形となった。
おそらくではあるがこの後のあたりで、後の「愛国者達」へ繋がる組織を結成しその一員となる。
しかし、恐るべき子供達計画が発動し、これが原因でビッグ・ボスとゼロが決別した際には、ビッグ・ボスへの忠誠心からEVAと共に、組織から離別した。
MGSPW
残念ながら登場を果たすことができず皆勤賞は逃したが、EVAのテープにて母ザ・ボスと父ザ・ソローとの生死のやり取りの背景からその存在が語られた。
自身を誘拐した賢者達の陰謀により、ザ・ボスとザ・ソローを戦い合わせられた。
二人が揃って生き残れば、アダムスカの命はない。
止むを得ずザ・ボスはザ・ソローに向け引き金を引き、ザ・ソローもそれを受け入れ死亡。
父ザ・ソローの犠牲により、アダムスカは生き延びることができたのだった。
また、TPPでのミラーとゼロの会話の記録によると、PWからVのGZまでの間にミラーはスネークからオセロットの存在を聞かされたようである。
MGSV
TPPにおいて、シリーズで唯一味方として登場。
1984年前後、40歳。
この頃には、ソ連・アフガン戦争に参加しており、アフガンゲリラやソ連側の兵士から「シャラシャーシカ」という通り名で恐れられていたのはこの頃からである。
これは彼が尋問及び拷問を行っていた収容所が「シャラシュカ」(疑惑の噂のある、間に合わせの、という意味、転じてソ連の強制労働施設のスラング)という名前だったことからアフガンゲリラから「シャラシュカ」と同名で呼ばれ恐れられていたことに加え、彼の前線での戦いぶりを見ていた戦士によりカフカス(コーカサス)地方を出自とする刀剣「シャシュカ」に例えられた事が合わさり、シャラシュカとシャシュカの呼び名が混ざり、いつしか「シャラシャーシカ」と呼ばれるようになったらしい(本人は「大衆の勝手なイメージが先行している」「根も葉もない噂」とあまり快く思っていないが、逆に「勝手にキャラクターを作ってくれるから簡単に自分を誤魔化せる」とスパイを生業としている身分としては好都合としている)。
"仕事"においてはその「勝手なイメージが先行し、肥大化した虚像」を実に有意義に使わせてもらったと語っている。
謎の武装組織の襲撃によって「国境なき軍隊」が壊滅し、そのときの負傷で9年間昏睡したヴェノム・スネークを、再び襲撃を受ける病院から救出した。
その後、彼をアフガニスタンに案内し、カズヒラ・ミラーの救出任務を与える。
ミラー救出後はスネーク達と共にダイアモンド・ドッグズに合流し、参謀的な立場で彼らに協力していく。
サイファーへの報復心に駆られ強行的な手段に出がちのカズヒラ・ミラーを諌める場面も多くマザーベースでは兵士への戦術教官も行っている。その一場面では若き日にビッグボスからアドバイスされた「聞きかじりの技術が招くミス(ウエスタン映画でよくある腰からの早抜き撃ちを射撃訓練で行っていた)」「リボルバー向きの癖(その際無理のある体制で撃っているからかウエスタンで使われるのがリボルバーだからか反動を逃す撃ち方をしており、ジャムを起こしている)」「美術品要素の高い銃の戦略的価値の無さ」「早撃ちへの評価(実用的かはともかく早撃ち自体は及第点の速度だった)」を兵士に熱弁していた
本人がその元聞き齧りの知識を血の滲む努力によって実戦技にまで磨き上げている例であるためとても実感の篭った教訓になっている。・・・スネークにそれを見られて少々気まずかったようだが。
相変わらず銃への拘りは強いが「MGS3」の終盤でも見せたCQCも一流の腕を持ち、作中ではクワイエットやイーライと言った優れた身体能力を持つ者も押さえてしまうほどである。
本作では前述の通り、他作品でのようなやたら大仰で芝居掛かった言動が少なく基本的に冷静沈着だが、これは本作の彼はマザーベースではスパイとして活動している訳ではないので普段スパイ活動の際にしているキャラ作りや暗示等をしていないからであり、実は本作のこのオセロットや後述する4のラストのオセロットが本来の素の彼に近いとのこと。(3の動作はスパイの役作りというのもあるが、年相応のそれが混ざっていた可能性は否めないが)
なお、今作での彼はお馴染みのSAAではなく、マテバ社の製品によく似たリボルバー拳銃「TORNADO-6」を二丁所持している。この「TORNADO-6」はDLCでプレイヤー自身も開発、使用が可能であり、更にオンラインミッションであるFOBミッションではオセロット自身をプレイヤーとして使用できる。小説版では今まで通りSAAを使っている他、MGSVの資料集では彼のデザイン画にはSAAが描かれている。(当初はSAAのままで行くつもりだったのだろう。)
「MGSV」の時代である1984年の時点で、ダスターコートを羽織り白い長髪になっており、後の「リボルバー・オセロット」の姿にかなり近くなっている。
同時に「MGS」のキャンベルの紹介でも言われた通り拷問、心理戦においても卓抜した能力を有しており、劇中ではヒューイ、クワイエットなどの取り調べを担当している。
因みに取り調べに使用している部屋、「101号室」は本作「MGSV」の元ネタの一つでもあるジョージ・オーウェル作の小説「1984年」に登場する拷問部屋とまったく同じ名前である。
実はGZの後の時点からゼロ少佐によってビッグ・ボスが搬送された病院の場所やヴェノム・スネークの真実を知らされており、作中では「2+2は5」というダブルシンク(二重思考)の自己暗示を自分にかけて、ヴェノムを本物だと思い込んだ上で彼やダイヤモンド・ドッグズのサポートをしていた等、ビッグ・ボスの忠臣としての側面が強調されている。二人への接し方の違いとして、ヴェノムには対等な口調で話すが、本物のビッグ・ボスには敬語を使うと言った違いがある。又、劇中のカセットテープでは本物のビッグ・ボスから一度、『ジュニア(ザ・ボスの息子)』と呼ばれている。
しかしこれらの件がきっかけとなってカズとビッグ・ボスの間に確執が生まれてしまい、(実はカズはヴェノムが目覚める以前に真実を知っていた)内心ではビッグ・ボスからの離反を決意していた彼とは互いの真意を知りながらも表向きは協力し合うという「冷戦」状態だった。
MG2
1999年、55歳。本作には登場していないが、MGS4でこの作品直後の動向が語られている。
ザンジバーランド蜂起においてビッグ・ボスがソリッド・スネークに2度目の敗北を喫して植物状態になった末に、ナノマシンによってその意識を封印され愛国者達に監禁されてしまったことを受けて彼の回収・覚醒と、愛国者達の支配の打倒を目指して戦っていくことになる。
MGS
2005年、61歳(MGS発売時のプロフィールでは50代となっていたが、MGS3以降変更された)。
ソ連崩壊後、オモン特別任務民警支隊を経てロシア税務警察の突撃隊に身を置く。
後にKGB第一管理本部を前身とするSVR(ロシア対外情報本部)の特殊作戦部門に入るが、旧KGB体制に適応できずアメリカにスカウトされ、FOXHOUNDに入隊した。
リキッド・スネークの参謀的存在として彼をサポートし、シャドーモセス島でのFOXHOUNDの武装蜂起に参加する。
しかし実はジョージ・シアーズ大統領(ソリダス・スネーク)の部下であり、愛国者達への反乱を目論む彼に従って自らの目的の為にリキッド達を誘導していた、いわば黒幕であった。
…だけでなく、実際にはこの時点でまたも三重スパイとして活動しており、FOXHOUND←ソリダス←愛国者達という、愛国者達の手先であった。
一度は決別したはずの愛国者達の部下に収まっていた経緯は不明だが、本心では変わらずに「愛国者達」打倒を目指しており、愛国者達の創設メンバーの一人であった当時のDARPA局長ドナルド・アンダーソンを拷問中の事故に見せかけて殺害した。なおアンダーソン局長はこの当時には愛国者達に内密でメタルギアREXの建造計画を進めており、彼を始末したのは愛国者達の意向でもあったと思われる。
ちなみに本来は利用対象であるリキッドに対しては、彼の凄まじい執念とそれがもたらす超人的な能力に内心では畏怖しており、状況によってはソリダス達を裏切って本当にリキッド側につくことも考えていた模様(リキッドとは実際にビッグ・ボスを取り戻す等の目的は一致していた)。
同志であるEVA、同じくビッグボスを慕うナオミと協力し、グレイ・フォックスを解放して彼の潜入を手引きもしている。
また、フォックスは脱走する際にやはり愛国者達の創設メンバーであるクラーク博士を殺害している。
この事件後、メタルギアREXと核実験の演習データをソリダスの元に持ち帰り、彼と共に潜伏する。しかし同時にそれを世界中にばら撒いたことで、メタルギアの亜種が各地で大量に生まれる事態を招いた。
なおこのときはSAAを一丁のみ使用しており、ソリッド・スネークと互角の戦いを繰り広げた。このときに「いいセンスだ」と、かつてのビッグ・ボスの賞賛の言葉を彼に贈っている。
しかし、サイボーグ忍者に利き腕の右腕を切り落とされ、死亡したリキッドの腕を移植し、左利きに矯正することになった。(後に自身が行う「リキッドの憑依」の理由を用意するためだと思われる。)
また、何故かこの時使用するSAAにはビッグ•ボスに説教され、また自分も説いていた筈の「なんの戦術的優位性(タクティカルアドバンテージ)もない刻印(エングレーヴ)」がされており、彼の真骨頂である二丁拳銃も披露していない。ビッグ・ボスの教えを受けたリボルバー・オセロットの本意として戦っているわけではないことの意思表示なのだろうか?(二丁拳銃に関しては「そろそろ本気で行くぞ」と言った直後に斬られているため、披露する暇がなかっただけかもしれないが)
MGS2
2007年、63歳。
アメリカ海兵隊が極秘裏に開発し、偽装タンカーで輸送していたメタルギアRAYを奪うために、シャドーモセス島事件でも協力していたセルゲイ・ゴルルコビッチ大佐やその私兵部隊と共に偽装タンカーを襲撃する。
しかし、ここで初めて自分が愛国者達の部下であることを明かすと、ゴルルコビッチをも裏切って海兵隊司令官スコット・ドルフ諸共殺害してRAYを強奪し、タンカーを沈めて、「アーセナルギア」建造とS3計画実験の隠れ蓑となる「ビッグシェル」建設の建前を作り上げる。
このときには、かつてのリキッドの右腕を自分に移植していたが、その右腕に宿るリキッドの残留思念に憑依されたかのような様子を見せている。
2009年、65歳の時点で、ビッグシェルでのソリダス・スネークの武装蜂起に参加。
愛国者達の部下であることはスネークなど一部の人間しか知らないため、変わらずソリダスの部下を装って活動していた。
愛国者達への反乱をソリダスと共に行ったように見せて、実際には愛国者達のS3計画(正式名称solid snake simulation、特定の設定と役割を背負わせることで、極限状況下においてもその人物の意志・選択を制御できるというもの。例えば、「密室空間内に爆弾があり、解体しなければ死ぬ」という設定を背負わせれば誰しも「なんとかして爆弾の解体を行う」という意志を持つ。つまりシャドーモセスと同じ状況をある程度の能力を持つものに背負わせれば全く同じ形で事件を収束させられる筈、という実験であり、シャドーモセスのそれがコントロール出来るなら他の全てにも応用が効くため、それを社会全体にも応用し、全てをコントロールしようと考えたもの)の最終実験の演習場としてこの反乱を意図的に勃発、演出していた。
(ただし、これが明かされた直後に愛国者達のAIにより再度明かされるがs3はsolid snake simulationではなくSelection for Societal Sanity(社会の思想的健全化のための淘汰)で、情報の検閲や制御を行う事で個人が分不相応な力を持たないように制御し、社会的混乱や衰退を抑制するための計画であり、即ちS3は代理AI「G.W」の事を指しているため、上記の計画説明はただのこじつけ兼カバーストーリー)
実験が無事終了した後にはRAYに乗ってアーセナルから脱出しようとしたがここで完全にリキッドの意思が覚醒してしまい、リキッドに乗っ取られ、本来は愛国者達の下へ帰還するはずが愛国者達を葬るためにRAYと共にいずこかへと消えた。
実際にはタンカー沈没事件のあたりから自分の意識を抹消してリキッドの物語を上書きしてリキッドの精神的なドッペルゲンガーとなろうとしていた(リキッドの人生を全て記憶し、自身の人生を忘れ去ることで"自分がリキッドスネークである"と思い込むと言うもの)のだが、これは愛国者達の目を欺き、彼らへの反抗を本格的に開始するためであった。
従来の催眠などの洗脳技術では限界があったが、エヴァ達が盗み出したS3計画のノウハウとナノマシン、サイコセラピーを併用し、「愛国者達に成り代わろうとするリキッド」という役割を演じることで、限界を超えた精神の書き換えを進めていった。
この後、MGS4のあたりでとうとうオセロットとしての自我は閉ざされ、ほぼ完全にリキッド(リキッド・オセロット)として覚醒した。
この変貌についてビッグボスは後に「猫は蛇への擬態を好むもの」と語っている。
また小説版では愛国者達への反抗という目的とは別に、偽りであっても尊敬した戦士ビッグ・ボスの息子になり、自身も蛇の系譜に加わる事をオセロット自身が望んでいた可能性が示唆されている。
一方でバンドデシネでは、リキッドの右腕を移植したことでタンカー事件前後からリキッド本人の亡霊がオセロットの精神を乗っ取ろうとする描写があり、こちらではオセロットが腕を移植したのはリキッド曰くリボルバーの早撃ちの名声を失いたくなかったからと解釈されている。
さらに父親であるザ・ソローがリキッドに精神を乗っ取られかけていることを酷評する場面もあるなど、MGS4のゲーム本編とは設定が変更されている。(バンドデシネは元々、ゲーム版とは設定や展開が異なるパラレルである)
またパンドデシネ版ではオセロットがこうなったのはザ・ソロー譲りの霊媒体質のせいだとされている。
MGS4
S3計画のノウハウをもとにしたナノマシンを介した人間の思考制御(SOPシステム)が構築され、愛国者達が民間軍事企業を利用した「戦争経済」を展開し歪に成長していく中、リキッド・オセロットとして「アウターヘブン」をマザーカンパニーとする6つの民間軍事企業を有し、軍縮中の各国軍はおろかアメリカ軍をも超える軍事力を得ていた。
また、オセロットの肉体を用いてセキュリティを無効化し、かつてアーセナルギアに積まれていた『G.W』を復元して愛国者達のシステムの中に「ヘイブン」として潜伏させている。
さらにアーセナルギア級の一隻を強奪してそれを改修し、自らの母艦「アウターヘイブン」とした。
ちなみに、リキッドの右腕は既に用済みとなった為に、本作の時点ではサイボーグ技術で作られた高性能な義手に付け替えている(リキッドの右腕がどうなったかは不明だが、ビッグ・ボスの体の修復に利用されたのかもしれない)。
また、オセロットとしての自我は完全に封じ込められたことで、もうSAAはおろか、銃そのものを使わなくなっていた。
一応Thorというシングルショットピストル化したM1911を使用したが、一度きりである。
「ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」と称してSOPシステムへの大規模なハッキングを行い、愛国者達の戦場支配、情報統制を崩壊させようとしていた。
ビッグ・ボスの肉体を奪還すると同時に、システムを掌握して世界中の戦場に混乱を起こし、その最中にシャドーモセス島にある愛国者達の支配が及ばない「裸の核兵器」、すなわちメタルギアREXのレールガンとステルス核弾頭を回収し、衛星軌道上に浮かぶ愛国者達の中枢AI『J.D』の撃墜・破壊を目指す。
その目的はビッグ・ボスの遺志である愛国者達の支配の及ばない世界「アウターヘブン」(「天国に見放された世界」)の完成であった。
しかし、この時代では既に愛国者達は世界中のインフラ管理システムに根を張っている状態にあった為、『J.D』が破壊されてしまうと人々の生活を支える文明のインフラそのものが根本から崩壊し、世界が西部開拓期の時代まで一気に逆行して大勢の犠牲者達を生んでしまうという重大な問題を孕んでいた為、ソリッド・スネーク(オールド・スネーク)達はそれを阻止すべく奔走する。
愛国者達に真意を悟られぬように、破壊した『J.D』を『G.W』で代用することで愛国者達を乗っ取り、『自分が愛国者達に成り代わる』という偽りの目標を掲げて活動し、システムの介入に利用したビッグ・ボスの肉体が実はソリダスの肉体だと悟られぬようにEVAとも敵対関係を演じていた。
それに対してスネーク達は、裏から愛国者達の意図で動かされながらもナオミ・ハンターから託され、サニーがエマのワームクラスターに落とし込んで完成させたウイルスプログラム『FOXALIVE』による『G.W』の破壊を実行しようとする。
実はFOXALIVEはナオミが伝えていた『G.W』のみを破壊するものではなく、『J.D』を含めた5つの代理AIのすべてを破壊して愛国者達の代理AIネットワーク全体を破壊するものであった。
しかしウイルスのブラックボックスにまでサニーが手を加えていたことで支配を行う大脳部分のみが破壊され、脳幹部分であるインフラ管理は残すように変更されていた為に世界は文明崩壊から救われる事になった。
オセロットは裏ではビッグボスの開放と愛国者達の崩壊のために、敵対者を演じていたEVAやFOXALIVEの作り手であるナオミ達とも協力しており、核弾頭による『J.D』の破壊からのシステムの乗っ取りやFOXALIVEの侵食のどちらにおいても、『J.D』と「愛国者達」が壊滅するように仕組んでいた。
そのため、スネーク達を意図的に見逃し、逆に利用しているということを気づかれないように状況を演出して操っていた。(これは建前の方のS3計画の応用でもある。)
結果として、システムの崩壊と解放はオールド・スネークとオタコンとサニー達の手に託されて実行され、インフラなどが維持されたまま愛国者達だけを消し去るという結末に至った。
『天国の外側の世界』の完成を見届けたオセロットは、リキッドの分身として、そしてオセロット個人としてビッグ・ボスの分身であるスネークと『個人的な決着』をつけるべく一騎打ちを挑む。
そしてスネークと互いに死力を尽くした激しい肉弾戦を繰り広げた末に敗北。闘いの中でオセロット本来の人格と記憶、それに伴って本来その身に染み付いていたビッグ・ボスのCQCを取り戻しながら戦い、最期はスネークに仕込まれていた新型FOXDIEで息を引き取った。
そして息を引き取る直前にスネークに対して、改めて自らが忠を尽くした存在であるビッグ・ボスにかつて贈られた彼にとって最上級の賞賛の言葉、『いいセンス(SENSE=意志)だ』を贈った。
彼の行動原理は一貫してビッグ・ボスへの「忠」であり、彼の解放と愛国者達の撲滅のためだけにその生涯を捧げたといえる。彼もまた自分が信じるものの為に忠を尽くした者の一人だった。
最終的に、彼のこの一連の行動の真実は覚醒したビッグ・ボスによってスネークに語られた。
リキッドの人格になっていたオセロットであったが、本当に彼自身の人格が消えていたのかというと怪しい部分が東欧でのEVAの最期を見た後にボートで去って行く際に葉巻で一服する所にある。
去るまではテンションが高かったのだが、急に憂いた表情になったのである。
計画上では偽りの敵対関係を演じなければならなかったにも関わらず、長年共に戦った同志の死にはやはり思うところがあったと思われる。
ビッグ・ボスは言った「ナノマシンや情報統制、遺伝子統制を突き詰めたところで、人を自由に操る事など、ましてや人が他人に完全に成りきるなど不可能だ」と
事実オセロット達はAIに与えられた役割(ロール)を果たすことを放棄する事で、それが完全に為されていれば不可能だったはずの愛国者の崩壊を成し遂げた。
で、あればその意志(SENCE)を完全に封じる事など不可能なのだろう。
余談
当初、「V」のオセロットの声優は故・戸谷公次氏の息子である戸谷公人氏が担当する予定があったが、40代のオセロットの声を演じるには若すぎた為に却下となり最終的に三上哲氏が担当することになった。
関連イラスト
関連タグ
MGS MGS2 MGS3 MGS4 メタルギアソリッド
ソリッド・スネーク リキッド・スネーク ソリダス・スネーク ネイキッド・スネーク オールド・スネーク ビッグ・ボス ヴェノム・スネーク
スナイパー・ウルフ バルカン・レイブン サイコ・マンティス デコイ・オクトパス
EVA(MGS) ナオミ・ハンター グレイ・フォックス
ザ・ボス ザ・ソロー ヴォルギン 愛国者達
ラフィング・オクトパス レイジング・レイヴン クライング・ウルフ スクリーミング・マンティス
ヘイブン・トルーパー