「俺のリロードは、革命(レボリューション)だ!」
CV:戸谷公次(MGS)(MGS2)、山崎たくみ(MGS3) 、三上哲(MGSV)、銀河万丈(MGS4)、沢木郁也(MGSBD)
人物
1944年生まれ。身長182㎝。
CIAエージェント、GRU(軍参謀本部情報総局)「山猫部隊」隊長、スペツナズ、FOXHOUND隊員を歴任。リボルバー・オセロットは、FOXHOUND時代のコードネーム。
MGS3の登場人物であるザ・ボスとザ・ソローの実の息子で、本名はアダムスカ。
早撃ちが得意で、跳弾を自在に操る拳銃の名手であり、強制収容所の拷問特別顧問として参加した事がある程の拷問マニアであり、拷問のスペシャリストでもある。
母語であるロシア語の他、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語に堪能。
またかつてはシャラシャーシカという通り名で恐れられた時期もある。
当初はMGSで、リキッドの参謀的存在として登場したが、やがて大統領や愛国者達などさらに巨大な組織とつながっていることが作品ごとのエンディング終端で次々と判明していき、最終的にはビッグ・ボス(ネイキッド・スネーク)と非常に関わりの深い、シリーズ全体を通して重要な役割を担ってきたトリックスター的存在であることが判明した。
蛇一族との関わりがシリーズ中最も強いキャラであり、シリーズ中に登場した歴代全ての蛇の系譜の者達と関わりがあったのはこのオセロットだけである。
このため、「MGS3」ではオセロットとの戦闘はいずれも決着がつかないまま終わるものが多く、対決シーンではライフキルしても死亡扱いにならずキル数にもカウントされない特別仕様。これ以外の場面で殺害してしまうと「TIME PARADOX」としてゲームオーバーになってしまう。
西部劇やマカロニウエスタンをこよなく愛すガンマニアであり、ダスターコートを着て西部劇などでおなじみのリボルバー型拳銃のひとつ、SAAを愛用しており、「世界でもっとも高貴な銃」と称した。
装飾を施した観賞用やストックを装着したものを使った時もあった。
若い頃も西部劇に影響を受けてはいたものの、当初は銃はオートマチックのマカロフPMを使っていた。ネイキッド・スネークと出会い、彼のアドバイスを受けてSAAに持ち替えたことで、より西部劇マニアぶりが加速したようだ。
SAAは一発ずつ排莢して一発ずつこめ直すという非常にリロードに手間のかかる銃だが、オセロットは命を懸けた戦闘中にあえてこの手間をかけることにも興奮を覚えたらしく、「戦闘中のリロードがたまらない!」「銃に命を吹き込んでいるようだ」などの台詞でもってそれを示している。
見様見真似だけで短期間のうちにCQCを会得する、SAAに持ち替えてわずかの間にガンプレイやジャグリングしながらのロシアンルーレット、ファニングショット等の高い技術を要する射撃法を使いこなす等、天性の戦闘センスを持つ。
個人的に嫌いな物はフランスに関連するもので、『MGS2』のプラント編では移植されたリキッドの右腕が独自の遺志を持っているかのような症状が露わになった際に、そばにいたソリダス・スネークからは、彼が元々右腕の移植手術を手配した関係で「リヨンに本拠地を置く世界最高の移植チーム」と発言したのに対し、「フランス人は信用ならん!」と返している。
このフランス嫌いについて『MGSVTPP』ではビッグ・ボスと「恐るべき子供達」について会話をする際、このフランス名である「レ・アンファン・テリブル(Les Enfants Terribles)」をやや嫌々そうに発言したことに対して「フランス嫌いは相変わらずか」と言われているが、オセロット本人は「いえ、エカテリーナの時代が苦手なだけです。宮廷にはいい印象がない」とその理由を明かしている。
余談だが、MGSVの情報テープにて、モスクワオリンピックの話が出た際に、柔道家の山下泰裕のファンと思しき発言をしている。
歳を重ねていくにつれ、父であるザ・ソローの面影がどことなくあるが、いわゆるヤング・オセロットの頃は母であるザ・ボス寄りの顔立ちをしているものの、一目では親子とはわからない。ちなみにヴォルギンはネイキッド・スネークの青い瞳が気に食わないでいるが、オセロットもよく見ると青い瞳の持ち主である。
オセロットという名前の由来はおそらく小島秀夫監督が愛読している作家、船戸与一の小説『山猫の夏』に登場するキャラクター弓削一徳のあだ名「山猫(オスロット)」から来ているものだと思われる。
劇中の活躍
※ストーリー解説につきネタバレ注意
MGS3
「山猫は、狙った獲物を逃さない」
誕生後まもなく賢者達に引き取られ、GRUとヴォルギン大佐の元で育てられる。
おそらく10代の頃から既に相当の戦闘・諜報技術を体得し、CIA(及びアメリカの「賢者達」)のスパイ「ADAM」として活動開始。
なお、母親の家系において彼の祖父にあたる人物は賢者達の最後のメンバーであった。
1964年、20歳の時点で、ヴァーチャスミッション及びスネークイーター作戦に参加。
GRUの将校(階級は少佐)「オセロット」として、ネイキッド・スネークの前に度々現れる。この時点で、GRU←KGB←CIAの三重スパイであった。
GRU将校やKGB側スパイの役割としてスネークを妨害するが、当初は慢心と経験不足で惨敗を繰り返していた。
挑戦を繰り返すうちにやがて彼に心酔するようになり、それは以降彼が死ぬまで続くことになる。
スネークとの一対一の決闘を望みながら負けそうになると他者に助けを求めるヴォルギンの見苦しさに失望した事も、男らしく戦った彼に心酔した理由と思われる。
シャゴホッドはスネーク達によってヴォルギンともども葬られ、グロズニィグラードはザ・ボスの手によりデイビー・クロケットで抹消される。
そしてスネークイーター作戦終了後はグラーニンが作成していた「核搭載二足歩行戦車」の研究資料を持ち出し、CIAに帰還する。
この資料を基に、後にCIAでピースウォーカーの開発が進められる事になる。
初登場時の時点で既に西部劇好きで、GRUの制服を着ていながら足に拍車をつけていたり、わざわざオートマチックのマカロフPMでガンプレイをするなど、見た目と振る舞いで気取りまくっていた(ちなみにリボルバーに比べて重いオートマチックでガンプレイをするのは本来不可能に近い)。
また、この時点で跳弾を使いこなしている。
しかし「マガジン交換直後に残弾のあるなしに関わらず薬室へと初弾を装填して確実に射撃を行う」というテクニックを聞きかじっただけで行っていたため、弾詰まりを起こしてスネークに敗北した(残弾を抜く際に手で排莢口を塞いでしまったため)。
敗北後に前述の失敗について図星を突かれ、さらに無意識で行っていた自身の癖(射撃時に肘を曲げて反動を逃がす動作をしており、自動拳銃でこれをやると動作に必要な反動まで逃がしてしまうため動作不良の原因になる。しかしリボルバーなら反動は不要である為負担の軽減につながる、まさにスネークの言った通り「致命的な悪癖にも天与の才能にもなる」癖である。)を見抜かれて指摘されている。しかし同時に銃捌き及び早撃ちの腕の良さを『いいセンスだ』と高評価されていた。
ここで既にスネークに心酔し始めたらしく、次に出会ったときは「リボルバー向きだ」と教えられた通りにSAAへ持ちかえていた。
ところが次の対決では銃を持ち替えたことで装弾数が減っていることを失念し、またも敗北。おまけに実用拳銃でなく、装飾が施された観賞用の銃を使用した事をスネークにからかわれてしまった。
3度目の対峙では前回の反省からか実戦用のSAAを2挺持ち歩いて擬似的に装弾数を増やしており、今度は互角の戦いを繰り広げた(戦闘前に「12発だ いいか、今回は12発だ」とわざわざ強調する)。
残弾がなくなるとSAAをリロードし始めるのだが、その際なにかに目覚めたのか「不思議だ、この緊張感! マグチェンジでは到底味わえない」「リロードタイムがこんなにも息吹を!」と言いながらスネークの目の前で堂々とリロードする。この後リロードするたびにセリフが変わっていき、「たまらない! こんなにもリロードタイムが戦闘に抑揚をもたらすのか?!」「礼を言うぞ! よくぞこの喜びを俺に教えてくれた!」「俺のリロードはレボリューションだ!」などとはしゃぎまくる。
彼のリロード速度は1度目でも既に相当な早技(かなり遅く感じるかもしれないが当時のリボルバー式拳銃には一斉排莢機構がないため一つ一つ手動で落として排莢装填しなければならないのでモタついてない時点でかなりの業前である)なのだが、レボリューション(変革、革命)を称するだけあってリロードするたびに徐々に速度が増していき、最終的には弾倉を弾く様に回転させることで空薬莢を吹き飛ばし、間髪入れずに回転させたまま装填するという意味不明な動作を会得、数秒で12発を排莢/装填し終えるという非常識なスピードに達する。
戦闘中にザ・ペインが横槍を入れてきたため勝負はつかないままとなるが、彼の操る蜂の大群を猛スピードのガンスピンで叩き落すという荒業を披露している。(なお「横槍を入れてきた」
と書いたが、実際はザ・ペインがスネークを追い詰める作戦に山猫部隊が勝手に割り込みをかけており、むしろ横槍を入れたのはオセロット側である。オセロットがどういう意図でこのような行動を取ったのかは不明だが結果的に部下を大勢失うことになった)
その後、携行数を3挺へとさらに増加。3挺をジャグリングしながらロシアンルーレットするという離れ業を披露した。
そのうちの1つは、後にグロズニィグラードの拷問室でタチアナにロシアンルーレットを行った際にザ・ボスを介してスネーク、そしてEVAへと渡っている。
また、この際ヴォルギンのスネークへの拷問を見ている際に「悪くない、究極の表現方法だ」と拷問狂の素質を垣間見せている。
ラスト付近にWIG機内で2挺のSAAによるロシアンルーレットによりスネークとの最後の勝負を行う。
ロシアンルーレットの結末次第ではオセロットのSAAの1挺はスネークへと渡る。(弾の入ったSAAを拾い「オセロットを撃つ」「狙いを外す」「あえて撃たない」、弾の入っていないSAAを拾い「オセロットに撃たれる」の四パターン、オセロットに撃たれる結末でSAA入手。外した場合は実弾が出るが他は空砲になるので特に影響はない)
こうして彼はSAAの魅力に取り付かれ、彼の意識が消えるまで使い続けることになる。
オセロットは中米から南アメリカにかけて生息する大型のネコ科動物である為、当初パラメディックは何故GRUの人間がアメリカの動物の名前のコードネームなのかを疑問に思っていた。
理由は不明だが、決闘中にマーコール(野生の山羊)を殺すと怒りを現す。特に動物が好きな訳ではなく、自分との決闘中に他の獲物に手を出す余所見が気に入らない模様。
シークレットシアターの「根本的な誤解」では本来弾切れの筈のSAAに弾が残っており、スネークを仕留めたもののEVAには逃げられるという残念な結果になった(オセロットの立場からすれば殺すべきはEVAの方であり、スネークもオセロットもお互い間違っていたというオチ)。
他にも「最終決戦」ではWIGに乗り移ったもののそのまま跳ねて反対側の扉にぶつかってしまった上、その扉が衝撃で開いてしまいそのまま湖に落ち、「老いらくの恋」では、EVAに恋したジ・エンドに二度も眠らされている。
MPO
1970年、26歳。
本編中では出てこないが、エンディングにのみの登場
「ヌルと同じコードネームを持つ男」の後ろ盾により活動しており、ジーンを影から支援し反乱を起こさせ、そのどさくさの中でそれまでの上司を殺害し、アメリカ側の従来の「賢者達」を消滅させ、賢者の遺産を回収。(なお、CIA長官殺害のやりとりがいつもの盗聴ではなくムービー化しているので無事登場出来た事になる)奇しくもザ・ボスの息子である彼が両親の雪辱を果たす形となった。
おそらくではあるがこの後のあたりで、後の「愛国者達」へ繋がる組織を結成しその一員となる。
しかし恐るべき子供達計画が原因でビッグ・ボスとゼロが決別した際には、ビッグ・ボスへの忠誠心からEVAと共に組織から離別した。
因みに、特定の条件を満たせばスカウトが出来る。
MGSPW
今回も本編中では出てこないが、EVAのテープにて母ザ・ボスと父ザ・ソローとの生死のやり取りの背景からその存在が語られる。(なお「姿を見せない」のはOPSのやりとりがムービー化した事もありこの作品のみである)
賢者達の陰謀により、ザ・ボスとザ・ソローは戦い合わせられた。
二人が揃って生き残れば、アダムスカの命はない。
止むを得ずザ・ボスはザ・ソローに向け引き金を引き、ザ・ソローもそれを受け入れ死亡。
父ザ・ソローの犠牲により、アダムスカは生き延びることができたのだった。
またTPPでのミラーとゼロの会話の記録によると、PWからV:GZまでの間にミラーはスネークからオセロットの存在を聞かされていたようである。
MGSV
TPPにおいて、シリーズで唯一味方として登場。
1984年前後、40歳。
ソ連・アフガン戦争に参加しており、アフガンゲリラやソ連側の兵士から「シャラシャーシカ」という通り名で恐れられていた。
由来は彼が尋問及び拷問を行っていた収容所が「シャラシュカ」(疑惑の噂のある、間に合わせの、という意味、転じてソ連の強制労働施設のスラング)という名前だったことからアフガンゲリラに「シャラシュカ」と同名で呼ばれ恐れられていたことに加え、彼の前線での戦いぶりを見ていた戦士によりカフカス(コーカサス)地方を出自とする刀剣「シャシュカ」に例えられた事が合わさり、シャラシュカとシャシュカの呼び名が混ざり、いつしか「シャラシャーシカ」と呼ばれるようになったらしい。本人はあまり快く思っていないもののスパイを生業としている身分としては好都合としており、"仕事"においてはその「勝手なイメージが先行し、肥大化した虚像」を実に有意義に使わせてもらったと語っている。
謎の武装組織の襲撃によって「国境なき軍隊」が壊滅し、そのときの負傷で9年間昏睡したヴェノム・スネークを、XOFの襲撃を受ける病院から救出した。
その後、彼をアフガニスタンに案内しカズヒラ・ミラーの救出任務を与える。
ミラー救出後はスネーク達と共にダイアモンド・ドッグズに合流し、参謀的な立場で彼らに協力していく。
サイファーへの報復心に駆られ強行的な手段に出がちのカズヒラ・ミラーを諌める場面も多くマザーベースでは兵士への戦術教官も行っている。その一場面では若き日にビッグボスからアドバイスされた「聞きかじりの技術が招くミス(ウエスタン映画でよくある腰からの早抜き撃ちを射撃訓練で行っていた、「先に抜いたのは向こうなので悪いのは死んだアイツ」という言い訳を成立させるための作法であり、基本的に実戦のための所作ではない)」「リボルバー向きの癖(その際無理のある体制で撃っているからかウエスタンで使われるのがリボルバーだからか反動を逃す撃ち方をしており、ジャムを起こしている)」「美術品要素の高い銃の戦略的価値の無さ」「早撃ちへの評価(実用的かはともかく早撃ち自体は及第点の速度だった)」を兵士に熱弁していた・・・スネークにそれを見られて少々気まずかったようだが。
本人がその元聞き齧りの知識を血の滲む努力によって実戦技にまで磨き上げている例であるため、とても実感の篭った教訓になっている。
一応フォローしておくと、法執行機関であるFBIは70年代に近距離では悠長に正しく構えると先に撃たれてしまうからとFBIクラウチングという腰だめの早撃ちの射撃方法の訓練を行っており、至近距離での銃撃戦が起こりやすい法執行機関では一時期は有効とされており、現代でもその訓練を行う組織もある射撃方法ではある。
相変わらず銃への拘りは強いが「MGS3」の終盤でも見せたCQCも一流の腕を持ち、作中ではクワイエットやイーライと言った優れた身体能力を持つ者も抑えてしまうほど。
本作では他作品でのようなやたら大仰で芝居掛かった言動が少なく基本的に冷静沈着だが、これは本作の彼はマザーベースではスパイとして活動している訳ではないので普段スパイ活動の際にしているキャラ作りや暗示等をしていないからであり、実は本作のこのオセロットや後述する4のラストのオセロットが本来の素の彼に近いとのこと。
なお、今作での彼はお馴染みのSAAではなく、マテバ社の製品によく似たリボルバー拳銃「TORNADO-6」を二丁所持している。この「TORNADO-6」はDLCでプレイヤー自身も開発、使用が可能であり、更にオンラインミッションであるFOBミッションではオセロット自身をプレイヤーとして使用できる。
小説版では今まで通りSAAを使っている他、MGSVの資料集では彼のデザイン画にSAAが描かれているので開発当初はSAAを持たせるつもりだったと思われる(変更した理由はお察しください)。
「MGSV」の時代である1984年の時点で、ダスターコートを羽織り白い長髪になっており、後の「リボルバー・オセロット」の姿にかなり近くなっている。
同時に「MGS」のキャンベルの紹介でも言われた通り拷問、心理戦においても卓抜した能力を有しており、劇中ではヒューイ、クワイエットなどの取り調べを担当している。
因みに取り調べに使用している部屋、「101号室」は本作「MGSV」の元ネタの一つでもあるジョージ・オーウェル作の小説「1984年」に登場する拷問部屋とまったく同じ名前である。
実はGZの後の時点からゼロ少佐によってビッグ・ボスが搬送された病院の場所やヴェノム・スネークの真実を知らされており、作中ではダブルシンク(二重思考)の自己暗示を自分にかけて、ヴェノムを本物だと思い込んだ上で彼やダイヤモンド・ドッグズのサポートをしていた等、ビッグ・ボスの忠臣としての側面が強調されている。(本物のボスからの連絡を「ボスを名乗る偽者の工作」と思い込んでしまっては意味がないので「ヴェノムを本物と思いつつ、いざとなればビッグ・ボスが本物という事を思い出せる様にする」ためこのような回りくどい手法を取っている)
しかし暗示をかけていても接し方に違いが出ている(ヴェノムにはタメ口だがビッグボスには敬語。またヴェノムへの対応が目下の者に接する態度だとよく指摘される)。また劇中のカセットテープでは本物のビッグ・ボスから一度、『ジュニア(ザ・ボスの息子)』と呼ばれている。
しかしこれらの件がきっかけとなってカズとビッグボスの間に確執が生まれてしまい、(実はカズはヴェノムが目覚める以前に真実を知っていた)内心ではビッグボスからの離反を決意していた彼とは互いの真意を知りながらも表向きは協力し合うという「冷戦」状態だった。
MG2
1999年、55歳。本作には登場していないが、MGS4でこの作品直後の動向が語られている。
ザンジバーランド蜂起においてビッグボスがソリッド・スネークに2度目の敗北を喫して植物状態になった末に、ナノマシンによってその意識を封印され愛国者達に監禁されてしまったことを受けて彼の回収・覚醒と、愛国者達の支配の打倒を目指して戦っていくことになる。
MGS
2005年、61歳(MGS発売時のプロフィールでは50代となっていたが、MGS3以降変更された)。
ソ連崩壊後、オモン特別任務民警支隊を経てロシア税務警察の突撃隊に身を置く。
後にKGB第一管理本部を前身とするSVR(ロシア対外情報本部)の特殊作戦部門に入るが、旧KGB体制に適応できず離脱し、その後傭兵として各地の紛争地帯を転々と渡り歩いていた所をアメリカにスカウトされ、FOXHOUNDに入隊した。
リキッド・スネークの参謀的存在として彼をサポートし、シャドーモセス島でのFOXHOUNDの武装蜂起に参加する。
しかし実はジョージ・シアーズ大統領(ソリダス・スネーク)の部下であり、愛国者達への反乱を目論む彼に従って自らの目的の為にリキッド達を誘導していた、いわば黒幕であった。
…だけでなく、実際にはこの時点でまたも三重スパイとして活動しており、FOXHOUND←ソリダス←愛国者達という、愛国者達の手先であった。
一度は決別したはずの愛国者達の部下に収まっていた経緯は不明だが、本心では変わらずに「愛国者達」打倒を目指しており、愛国者達の創設メンバーの一人であった当時のDARPA局長ドナルド・アンダーソンを拷問中の事故に見せかけて殺害した。なおアンダーソン局長はこの当時には愛国者達に内密でメタルギアREXの建造計画を進めており、彼を始末したのは愛国者達の意向でもあったと思われる。
ちなみに本来は利用対象であるリキッドに対しては、彼の凄まじい執念とそれがもたらす超人的な能力に内心では畏怖しており、状況によってはソリダス達を裏切って本当にリキッド側につくことも考えていた模様(リキッドとは実際にビッグ・ボスを取り戻す等の目的は一致していた)。
同志であるEVA、同じくビッグボスを慕うナオミと協力し、グレイ・フォックスを解放して彼の潜入を手引きもしている。
また、フォックスは脱走する際にやはり愛国者達の創設メンバーであるクラーク博士を殺害している。
この事件後、メタルギアREXと核実験の演習データをソリダスの元に持ち帰り、彼と共に潜伏する。しかし同時にそれを世界中にばら撒いたことで、メタルギアの亜種が各地で大量に生まれる事態を招いた。
なおこのときはSAAを一丁のみ使用しており、ソリッド・スネークと互角の戦いを繰り広げた。このときに「いいセンスだ」と、かつてのビッグ・ボスの賞賛の言葉を彼に贈っている※。
しかし、サイボーグ忍者に利き腕の右腕を切り落とされ、死亡したリキッドの腕を移植し、左利きに矯正することになった。(後に自身が行う「リキッドの憑依」の理由を用意するためだと思われる。)
また、何故かこの時使用するSAAにはビッグ・ボスに説教され、また自分も説いていた筈の「なんの戦術的優位性(タクティカルアドバンテージ)もない刻印(エングレーヴ)」がされており、彼の真骨頂である二丁拳銃も披露していない。ビッグ・ボスの教えを受けたリボルバー・オセロットの本意として戦っているわけではないことの意思表示なのだろうか?(二丁拳銃に関しては「そろそろ本気で行くぞ」と言った直後に斬られているため、披露する暇がなかっただけかもしれないが)
※ちなみにオセロット戦でゲームオーバーを5回以上繰り返して勝利した場合、「拍子抜けしたな、やはりボスとは違う」と、スネークに失望したようなセリフになる。
MGS2
2007年、63歳。
アメリカ海兵隊が極秘裏に開発し、偽装タンカーで輸送していたメタルギアRAYを奪うために、シャドーモセス島事件でも協力していたセルゲイ・ゴルルコビッチ大佐やその私兵部隊と共に偽装タンカーを襲撃する。
しかし、ここで初めて自分が愛国者達の部下であることを明かすと、ゴルルコビッチをも裏切って海兵隊司令官スコット・ドルフ諸共殺害してRAYを強奪し、タンカーを沈めて、「アーセナルギア」建造とS3計画実験の隠れ蓑となる「ビッグシェル」建設の建前を作り上げる。
このときには、かつてのリキッドの右腕を自分に移植していたが、その右腕に宿るリキッドの残留思念に憑依されたかのような様子を見せている。
2009年、65歳の時点で、ビッグシェルでのソリダス・スネークの武装蜂起に参加。
愛国者達の部下であることはスネークなど一部の人間しか知らないため、変わらずソリダスの部下を装って活動していた。
愛国者達への反乱をソリダスと共に行ったように見せて、実際には愛国者達のS3計画(正式名称solid snake simulation、特定の設定と役割を背負わせることで、極限状況下においてもその人物の意志・選択を制御できるというもの。例えば、「密室空間内に爆弾があり、解体しなければ死ぬ」という設定を背負わせれば誰しも「なんとかして爆弾の解体を行う」という意志を持つ。つまりシャドーモセスと同じ状況をある程度の能力を持つものに背負わせれば全く同じ形で事件を収束させられる筈、という実験であり、シャドーモセスのそれがコントロール出来るなら他の全てにも応用が効くため、それを社会全体にも応用し、全てをコントロールしようと考えたもの)の最終実験の演習場としてこの反乱を意図的に勃発、演出していた。
(ただし、これが明かされた直後に愛国者達のAIにより再度明かされるがs3はsolid snake simulation(ソリッド・スネーク・シミュレーション)ではなくSelection for Societal Sanity(セレクション・フォア・ソサイタル・サニティー「社会の思想的健全化のための淘汰」)で、情報の検閲や制御を行う事で個人が分不相応な力を持たないように制御し、社会的混乱や衰退を抑制するための計画であり、即ちS3は代理AI「G.W」の事を指しているため、上記の計画説明はただのこじつけ兼カバーストーリー)
実験が無事終了した後にはRAYに乗ってアーセナルから脱出しようとしたがここで完全にリキッドの意思が覚醒してしまい、リキッドに乗っ取られ、本来は愛国者達の下へ帰還するはずが愛国者達を葬るためにRAYと共にいずこかへと消えた。
実際にはタンカー沈没事件のあたりから自分の意識を抹消してリキッドの物語を上書きしてリキッドの精神的なドッペルゲンガーとなろうとしていた(リキッドの人生を全て記憶し、自身の人生を忘れ去ることで"自分がリキッドスネークである"と思い込むと言うもの)のだが、これは愛国者達の目を欺き、彼らへの反抗を本格的に開始するためであった。
従来の催眠などの洗脳技術では限界があったが、エヴァ達が盗み出したS3計画のノウハウとナノマシン、サイコセラピーを併用し、「愛国者達に成り代わろうとするリキッド」という役割を演じることで、限界を超えた精神の書き換えを進めていった。
この後、MGS4のあたりでとうとうオセロットとしての自我は閉ざされ、ほぼ完全にリキッド(リキッド・オセロット)として覚醒した。
この変貌についてビッグボスは後に「猫は蛇への擬態を好むもの」と語っている。
また小説版では愛国者達への反抗という目的とは別に、偽りであっても尊敬した戦士ビッグ・ボスの息子になり、自身も蛇の系譜に加わる事をオセロット自身が望んでいた可能性が示唆されている。
一方でバンドデシネでは、リキッドの右腕を移植したことでタンカー事件前後からリキッド本人の亡霊がオセロットの精神を乗っ取ろうとする描写があり、こちらではオセロットが腕を移植したのはリキッド曰くリボルバーの早撃ちの名声を失いたくなかったからと解釈されている。
さらに父親であるザ・ソローがリキッドに精神を乗っ取られかけていることを酷評する場面もあるなど、MGS4のゲーム本編とは設定が変更されている。(バンドデシネは元々、ゲーム版とは設定や展開が異なるパラレルである)
またパンドデシネ版ではオセロットがこうなったのはザ・ソロー譲りの霊媒体質のせいだとされている。
MGS4
S3計画(真の意味であるG.Wの方ではなく、建前の方)のノウハウをもとにしたナノマシンを介した人間の思考制御(SOPシステム)が構築され(建前の方のS3計画もSOPシステムの礎になる程度の副産物的成果は出ていた様で、愛国者達はこれを応用して「戦争ゲームを開発発売することで、それをプレイした者に戦場への憧憬を植え付け、擬似的なVR訓練になるようにすることで戦場適応を行い、いざ志願してきた後の訓練過程を省略する」という洗脳教育じみた行いにも着手していた模様)、愛国者達が民間軍事企業を利用した「戦争経済」を展開し歪に成長していく中、リキッド・オセロットとして「アウターヘブン」をマザーカンパニーとする6つの民間軍事企業を有し、軍縮中の各国軍はおろかアメリカ軍をも超える軍事力を得ていた。
また、オセロットの肉体を用いてセキュリティを無効化し、かつてアーセナルギアに積まれていた『G.W』を復元して愛国者達のシステムの中に「ヘイブン」として潜伏させている。
さらにアーセナルギア級の一隻を強奪してそれを改修し、自らの母艦「アウターヘイブン」とした。
ちなみに、リキッドの右腕は既に用済みとなった為に、本作の時点ではサイボーグ技術で作られた高性能な義手に付け替えている(リキッドの右腕がどうなったかは不明だが、ビッグ・ボスの体の修復に利用されたのかもしれない)。
また、オセロットとしての自我は完全に封じ込められたことで、もうSAAはおろか、銃そのものを使わなくなっていた。
一応Thorというシングルショットピストル化したM1911を使用したが、一度きりである。
「ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」と称してSOPシステムへの大規模なハッキングを行い、愛国者達の戦場支配、情報統制を崩壊させようとしていた。
ビッグ・ボスの肉体を奪還すると同時に、システムを掌握して世界中の戦場に混乱を起こし、その最中にシャドーモセス島にある愛国者達の支配が及ばない「裸の核兵器」、すなわちメタルギアREXのレールガンとステルス核弾頭を回収し、衛星軌道上に浮かぶ愛国者達の中枢AI『J.D』の撃墜・破壊を目指す。
その目的はビッグ・ボスの遺志である愛国者達の支配の及ばない世界「アウターヘブン」(「天国に見放された世界」)の完成であった。
しかし、この時代では既に愛国者達は世界中のインフラ管理システムに根を張っている状態にあった為、『J.D』が破壊されてしまうと人々の生活を支える文明のインフラそのものが根本から崩壊し、世界が西部開拓期の時代まで一気に逆行して大勢の犠牲者達を生んでしまうという重大な問題を孕んでいた為、ソリッド・スネーク(オールド・スネーク)達はそれを阻止すべく奔走する。
愛国者達に真意を悟られぬように、破壊した『J.D』を『G.W』で代用することで愛国者達を乗っ取り、『自分が愛国者達に成り代わる』という偽りの目標を掲げて活動し、システムの介入に利用したビッグ・ボスの肉体が実はソリダスの肉体だと悟られぬようにEVAとも敵対関係を演じていた。
それに対してスネーク達は、裏から愛国者達の意図で動かされながらもナオミ・ハンターから託され、サニーがエマのワームクラスターに落とし込んで完成させたウイルスプログラム『FOXALIVE』による『G.W』の破壊を実行しようとする。
実はFOXALIVEはナオミが伝えていた『G.W』のみを破壊するものではなく、『J.D』を含めた5つの代理AIのすべてを破壊して愛国者達の代理AIネットワーク全体を破壊するものであった。
しかしウイルスのブラックボックスにまでサニーが手を加えていたことで支配を行う大脳部分のみが破壊され、脳幹部分であるインフラ管理は残すように変更されていた為に世界は文明崩壊から救われる事になった。
オセロットは裏ではビッグボスの開放と愛国者達の崩壊のために、敵対者を演じていたEVAやFOXALIVEの作り手であるナオミ達とも協力しており、核弾頭による『J.D』の破壊からのシステムの乗っ取りやFOXALIVEの侵食のどちらにおいても、『J.D』と「愛国者達」が壊滅するように仕組んでいた。
そのため、スネーク達を意図的に見逃し、逆に利用しているということを気づかれないように状況を演出して操っていた。(これは建前の方のS3計画の応用でもある。)
結果として、システムの崩壊と解放はオールド・スネークとオタコンとサニー達の手に託されて実行され、インフラなどが維持されたまま愛国者達だけを消し去るという結末に至った。
『天国の外側の世界』の完成を見届けたオセロットは、リキッドの分身として、そしてオセロット個人としてビッグ・ボスの分身であるスネークと『個人的な決着』をつけるべく一騎打ちを挑む。
そしてスネークと互いに死力を尽くした激しい肉弾戦を繰り広げた末に敗北。闘いの中でオセロット本来の人格と記憶、それに伴って本来その身に染み付いていたビッグ・ボスのCQCを取り戻しながら戦い(戦闘の際はライフゲージがMGS⇒MGS2⇒MGS3の物となって行き、名前もリキッド⇒リキッド・オセロット⇒オセロットへと変わって行く等、徐々に人格と記憶がリキッドからオセロットへと戻って行く演出となっている)、最期はスネークに仕込まれていた新型FOXDIEで息を引き取った。70歳没。
息を引き取る直前にスネークに対して、改めて自らが忠を尽くした存在であるビッグ・ボスにかつて贈られた彼にとって最上級の賞賛の言葉、『いいセンス(SENSE=意志)だ』を贈った。
彼の行動原理は一貫してビッグ・ボスへの「忠」であり、彼の解放と愛国者達の撲滅のためだけにその生涯を捧げたといえる。彼もまた自分が信じるものの為に忠を尽くした者の一人だった。
最終的に、彼のこの一連の行動の真実は覚醒したビッグ・ボスによってスネークに語られた。
リキッドの人格になっていたオセロットであったが、本当に彼自身の人格が消えていたのかというと怪しい部分が東欧でのEVAの最期を見た後にボートで去って行く際に葉巻で一服する所にある。
去るまではテンションが高かったのだが、急に憂いた表情になったのである。
計画上では偽りの敵対関係を演じなければならなかったとはいえ、長年「ビッグボス=ジョン」を敬愛し共に戦ってきた同志の死にはやはり思うところがあったと思われる。
「ナノマシンや情報統制、遺伝子統制を突き詰めたところで、人を自由に操る事など、ましてや人が他人に完全に成りきるなど不可能だ」というビッグ・ボスの言葉通り、事実オセロット達はAIに与えられた役割(ロール)を果たすことを放棄する事で、それが完全に為されていれば不可能だったはずの愛国者の崩壊を成し遂げた。
であればその意志(SENCE)を完全に封じる事など不可能なのだろう。
余談
当初、「V」のオセロットの声優は故・戸谷公次氏の息子である戸谷公人氏が演じる予定があったが、齢40代のオセロットを演じるには若すぎた為に却下となり最終的に三上哲氏が演じることになった。
ちなみに若き日のオセロットのモーションキャプチャーにおいてはリボルバーのリボルバーでジャグリングするシーンではプロのジャグリング(ガンジャグリング)演者が担当している。
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