マカロフPM
ぴすとれっとまかろば
マカロフPM(Pistolet Makarova キリル文字でПистолет Макарова)
1951年、トカレフTT-33の後継としてソビエト連邦軍に制式採用された拳銃である。
設計において、ワルサーPPに大きな影響を受けている。
自動装填式作動方式は、燃焼ガスの圧力で後退する薬莢の運動を利用したストレート・ブローバック。撃発方式はダブルアクションとシングルアクションの両方が可能。
実包はワルサーPPで使用された9mmウルトラ弾をアレンジした9×18mmマカロフ弾を使用。装弾数は8発+1発である。
安全装置は、スライド後部のレバーを押し上げると安全状態となる。操作方法はワルサーPPと逆向き。押し下げて解除するアクションはAK47等と共通し、合理的と言える。
また、80連のドラムマガジンが存在することが有名だが、あれは軍用等の用途で作られたものではなくPPSh-41のドラムマガジンを改造して作られたもので、ロシア警察の特殊部隊員が心許ないマカロフの装弾数を打開するため(半分冗談で)に溶接して製作したワンオフハンドメイド品であるとされる。
トカレフTT-33を更新する形でソビエト連邦軍に配備され、東側諸国でも採用された。
ロシア連邦軍においては2008年からMP-443"グラッチ"に更新され退役したが、準軍事組織や治安機関では現役である。
中華人民共和国の人民解放軍でもコピー・モデル(59式手槍)が製造されたが、7.62×25mmトカレフ弾を使用するSMGを使用していたため、一部のみの利用にとどまった。
ロシアの治安悪化により日本にも大量に密輸され、2001年からは押収数がトカレフTT-33を抜いて一位になっており、現在日本で違法に所持されている拳銃の大半がコレである。関係者の間ではグリップの星マークから「赤星」という隠語で呼ばれる。
1980年代以降、マカロフPMの陳腐化と火力不足が懸念されたため、改良型であるマカロフPMMが開発されたが、いろいろあって使用する部隊は少数に留まっている。
ロシア国外への輸出向けに、マカロフPMそのもの以外に、装弾数を増やした改良型が生産されている。
ロシア国内市場向けには、実弾の発射機能を無くしてごく低威力の弾のみ発砲可能とした低致死性武器(護身具)版のバイカルIZH-79-8が販売されている… が、そこはロシア。マフィアの手によって実弾用の部品に入れ替えることが横行しているとかいないとか。
チェコスロバキアでは、Cz.82というポリゴナルライフリングを採用したちょっと凝った派生型が存在したが直ぐに通常のライフリングに戻された上に、全軍に行き渡る前にチェコスロバキアが解体されてしまった。
トカレフをエアソフトガン化したハドソン産業亡き今、新しい銃のみが売れる市場でこの銃を製品化するメーカーなどないと思われていたが、トカレフを新規に作り上げたKSC
からついに製品化(外部リンク)。
P230等の小型オートのガスブローバックを手掛けているメーカーだけあって小さいながらも十分な性能を備えており(もちろんユーザーを選ぶ会社なので調整できる腕があった方が良いが)、更には限定品としてイスラエル製の実物グリップを付けたカスタムモデルやブルガリアのアーセナル社製の輸出仕様をモデルとしたものも登場している。
イスラエル製カスタムグリップには親指で操作可能なマガジンキャッチも備えられており、底部のマガジンキャッチのみの通常モデルと比べて操作しやすくなっている。カラーバリエーションも3色用意されている。
ブルガリア製仕様にはクリア素材のスケルトングリップと角型トリガーガードが採用され、マガジンにはフィンガーグリップに加えて隙間から見える薬莢が再現されたシールが貼られているのでグリップから透けて見えるようになっている。
また、それ以前にWE-Techも商品化していたがこちらは日本ではフルメタルであるため購入するだけで違法となってしまう品である為、違法に輸入されamazon等に在庫があっても絶対に購入してはならない。
また、奇妙なことにダブルバレルマカロフという奇天烈なバリエーションモデルも発売されていた。
ロシア映画はもちろんのことだが、洋画などでも悪役に持たせやすいのかM1911ほどとは言わないものの、数えきれないほど沢山の映画に出演している銃である。
本項ではその代表的な物の一部を紹介する。
- アトミックブロンド
東ドイツ製のモデルとロシア製のモデルが登場し、主人公のシャーリーズ・セロンが演じるロレーヌも使用する。
- 007シリーズ
主に90年代以前までの映画にソ連の悪役のピストルとして頻繁に登場する。
オセロット少佐が最初に使用する拳銃でガンプレイを披露するが、マガジン交換後に薬室内の弾のあるなしに関係なく装填をおこうなうというテクニックを聞きかじりで実践してジャムを起こし、そのうえでスネークに「リコイルを肘でまげて吸収する癖がある。どちらかといえばリボルバー向きだ。」と指摘されSAAに持ち替えて以降は使用されない。
- 龍が如くシリーズ
2以降、ほぼすべての作品に架空デザインが加えられたものが登場している。
スペツナズオペレーターの共通のサイドアームとして登場する。
マルチプレイヤーにサイドアームの一つとして民間モデルが登場。拡張マガジン以外はM1911のほぼ上位互換の性能。何故かグリップ底部のマガジンキャッチを押していない状態でリロードを行っている。
ピストルの一つとして登場する。上記の80連のドラムマガジンを使用可能。
- ファークライシリーズ
2以降、ほぼ毎作中盤頃に使用できる消音ピストルとしてPBモデルが登場する。
「Sykov」という名称でカストビアという架空の国家で製造されたモデルが登場する。
未改造状態でも他のピストルと比べて威力が高めで反動が軽く扱いやすい。
80連ドラムマガジンが使用可能な他、PBやバイカルモデルにカスタムが可能で「Sorokin」というスチェッキンを意識したスライドに乗せ換えることでフルオート射撃が可能になり、デュアルと80連ドラムマガジンを併用することで非常に凶悪なメインウェポンと化し、マルチプレイヤーとWarzoneが一時期はこの武器一色で染まった。
また、本銃のみ他のピストルと違い仕舞う際に毎回デコッキングレバーを下げるモーションがある。
wikipedia:マカロフ_PM