CV:桑島法子
概要
1936年6月22日生まれ。
趣味は映画(特にSF、ホラー、ファンタジーもののB級映画)鑑賞。寿司や日本酒を好んでおり、嫌いなものはカニ。好きな動物は小鳥。
家族構成は両親と兄二人で、映画好きになったのは、幼い頃に家族で映画を観に行った時がきっかけとなっている(といっても幼かったからか、映画の内容までは上手く理解できなかったが、帰りの時に買ったキャンディバーが印象に残っており ここから映画好きになっていったらしい)。
スネークの作戦サポート要員の一人。医師の資格を持っており、スネークの作戦中の体調管理をサポートし、セーブも担当する(彼女のみ専用回線が二つ用意されており、セーブした後に映画の話が聴ける)。実はスネークに段ボールを使った偽装を提案した張本人である。
医師としての腕が確かな事もゼロ少佐が保証しているが、かつてのあだ名はヤブ医者。これはアヒルの擬声語で「やかましい人」を意味し、「ヤブ医者」という意味も持つ、“quack”を掛けた英語のジョークだった。
コードネームの「パラメディック(paramedic)」は救急救命士を意味する言葉ではあるが、彼女はパラシュート降下で駆けつける看護部隊の創設を理想としており、後に「パラメディック部隊」を立ち上げる。
以下ネタバレ注意
彼女の本名は「クラーク」。MGSで名前だけ登場したナオミ・ハンターの前任者である遺伝子工学の権威・クラーク博士の正体であり、『愛国者達』の創設メンバーの一人。
後に「恐るべき子供達計画」を主導してビッグ・ボスの子供達を作り出し、遺伝子実験をアメリカ軍に導入して、様々な非人道的な人体実験や研究を行ってきた張本人でもある。
先述の“quack”も、「やかましい人」「やぶ医者」だけでなく、彼女の本名の発音に近い為にそう呼ばれていた。つまりMGS3の時点で彼女の正体は仄めかされていたのである。
作中での活躍
1964年。当時28歳。ヴァーチャスミッション時から参加する。
ネイキッド・スネークが気に入った初対面の女性に対して行うナンパの社交辞令を受けるほどの美人で、それに対してもウィットに富んだ受け答えが出来る大人の女性。
しかし、ヴァーチャスミッションは失敗に終わり、最後のチャンスとしてスネークイーター作戦に参加する。失敗すれば医師免許剥奪という危機に陥ってしまった。
しかし、同じく最後のチャンスとなったスネークの活躍のおかげで医師免許剥奪からは免れた。
作戦地域における動植物等についても、食料にできるかや毒性の有無、生態などを解説してくれるのだが、中には知識や資料が間違っているものもある。自分を日本通だと思っているが、
「日本だと扉が開かない時は扉の前でお祭りをするそうよ」、
「ゲイシャガール達がスレンダーなのは皆カロリーメイトでダイエットしているから」
などの誤った知識をスネークに披露するシーンもある。また、即席ラーメンに興味を持っており、余ったら持って帰ってきてほしいとスネークに頼み込む事がある。曰く、「一度、食べてみたかったのよね、それ(即席ラーメン)」との事。
任務中、野生動物を捕獲して食料にしているスネークに対して突然、軍用犬や馬を食べないよう言ってきたり、ガーコやゾンビを知らないスネークやシギントに対して、「無知な人たちね」と解説を始めたりする。通信の会話などでスネークやシギントを変人呼ばわりするが、逆に彼らから変人扱いされたりもする。
またスネークとの通信において、「道徳上は否定したいが、医師としてクローン技術には興味がある」という、後の展開に繋がるような危険なコメントもしている。
シークレットシアターでは馬を食べようと考えている(?)スネークに対してソ連兵に囲まれながらも説教している(しかもソ連兵は全員困惑している)。
当時34歳。1970年にはワシントン州シアトルに米国初のパラメディック制度を導入し、自らもパラメディック部隊の設立に成功した。
特定の条件を満たせばゼロ少佐やシギント同様、プレイヤーキャラとして使用可能になり、無線相手のリストにも名前が載る。無線で話が聞けるが、映画オタクは相変わらずなようだ。
スネークイーター作戦以来、野生動物の調理法を勉強したが、今回は充分な食料があると聞いた時はがっかりしたようである。
本人も名前も登場せず、話題にすら上がらないが、事件の裏で「恐るべき子供達計画」を主導していた。この時点から、最早かつてのような道徳心は無くなりつつあり、自らの研究欲求のままに非人道的な実験や研究も厭わない、ただのマッドサイエンティストへと成り果てていく。
この計画では、自身の助手だった日本人女性の卵子を使い、EVAを代理母として最初に8人のクローン・ベイビーを受胎させ、ある段階で6人の胎児を意図的に間引く事で、より強い胎児を生み出す「スーパー・ベイビー法」を使って、ソリッド・スネーク(デイビット)と、リキッド・スネーク(イーライ)の双子を作り出した。さらにソルジャー遺伝子をリキッドに対して優先的に発現させた上で(リキッドは逆だと思い込んでいたが)、他の勢力の手に落ちる事で利用される事を防ぐ為に、遺伝子のテロメアも意図的に短く設定し生殖機能も奪うなど、完全に軍事利用を目的に2人を生み出した。
小説版MGSでは、計画を実行に移している時の様子がやや詳しく描写されており、国防省長官のジム・ハウスマンとも会話していた。
また、この計画とは別に研究目的もあって、後に100%純正のクローンとしてソリダス・スネークも作っているが、そのせいでソリダスはさらに短い遺伝子のテロメアで生まれてしまった。
本人は登場はせず、カセットテープでのコードトーカーとヒューイの会話から現状を知る事が出来る。
件の「恐るべき子供達計画」のクローン研究を成し遂げてからは、何年後かにATGC社に所属しており、声帯虫の研究に目を付け始める。また今回キーとなった声帯虫の生みの親でもある。
ヒューイ曰く、「クラーク博士」に関する情報は徹底した情報統制が敷かれており、彼自身も素性はおろか性別すらも全く掴めなかったらしく、この事からヒューイからは「幻(ファントム)」と呼ばれている。しかし、相変わらずのマッドサイエンティストっぷりからか、ヒューイからは同じ科学者として謙遜されてしまっている(はっきり言ってただの同族嫌悪でしかないが)。
ATGC社の人間である事を隠して、“ある財団”としてコードトーカーに連絡を取り、声帯虫と寄生虫のサンプルを預けて研究させていた。また、ダイアモンド・ドッグズに捕縛されているヒューイと連絡を取り、こちらではATGC社の人物として裏で繋がっていた。
しかし、パラメディックがどういう経緯でヒューイと繋がっていたか、また連絡の用件が何だったのかは本編ではっきりとはされていない(上記のテープの件や時期的にも、この時点でマザーベースにしかサンプルが無くなっていた声帯虫に関係した取引だった事は間違いないが、やはり詳細は不明である)。
また、声帯虫の研究はコードトーカーに任せていた為に、同時期にコードトーカーの館にて寄生虫の研究成果の資料をサイファーに強奪させようとしている。
実行したのは、ゼロに反旗を起こしたスカルフェイス率いる特殊部隊XOFだが、この時点でスカルフェイスが死んだ事でサイファーの指揮系統が回復した為に、シギントの配下になっていた。
そのXOFに声帯虫の研究の資料を強奪するように、また研究の資料を警備会社ゼロリスク・セキュリティに警備させるように、直接指示を出したのは声帯虫の研究資料を欲していた彼女だと思われる。
更に、ヒューイが起こしたとされている事件でも彼女がβ線での変異体の詳細をコードトーカーよりも先に知っていれば、それをヒューイという手駒を利用して声帯虫を回収する為に暗躍した可能性は高い。(ただし、ボルバキアの存在は知っていなかった為、仮に成功してしまえば彼女自身も被害に遭ってしまうという本末転倒な結末を向かいかけていた。)
そして後に「蠅の王国」では、メタルギア・サヘラントロプスを操るイーライ(リキッド・スネーク)と、ヴェノム・スネーク率いるダイアモンド・ドッグズの戦闘にXOFを介入させ、英語の声帯虫のサンプルを回収させようとした。
しかし結局、研究資料やサンプルの回収はヴェノムに悉く阻止された上に、コードトーカーがヴェノム達の協力者となった事や、唯一繋がっていたヒューイも声帯虫自体の回収には失敗して追放された為に、声帯虫の研究の目処がつかなくなり断念する事になったと思われる。
ナオミ・ハンターとの会話で名前のみ登場する。
ATGC社における遺伝子研究の責任者で、アメリカ軍に遺伝子治療(ジーンセラピー)の実験を導入した張本人である。主に彼女がビッグ・ボスの体から発見した「ソルジャー遺伝子」を人為的に投与する事で、強力な兵士を作り出すという軍事実験であり、湾岸戦争で多くのアメリカ軍兵士に対して最初の人体投与実験が行われた。しかし殆どは失敗しており、その後遺症として兵士達の間で発症した「湾岸戦争症候群」を、『愛国者達』の情報統制によって、サリンや化学兵器による被爆等の様々なカバーストーリーを流す事で隠蔽した。そしてゲノム兵達「次世代特殊部隊」も利用して同じ人体実験をしていたのだが、結局は技術としては未完成であり、多くの兵士達の間でまたしても奇病が流行する結果となっており、遺伝子治療は完全に行き詰まっていたようである。
さらにザンジバーランドで回収された、グレイ・フォックス=フランク・イェーガーの体を素体として利用する事で、様々な実験を行う計画を立案し、彼を無理矢理蘇生させた上で、あらゆる初期段階の遺伝子治療や、アームズテック社の強化外骨格実験等の非道な人体実験を行い(強化外骨格の実験の方は、DARPA局長となっていたシギント=ドナルド・アンダーソンの担当だったようである)、加えて彼を実験の為に麻薬漬けにする事で、その人格や精神すらも破壊して半ば廃人にしてしまった(その為に、当然ながらフランクの妹であるナオミからは憎悪されていた)。
この時点で、Vの頃以上に直接人前に出る機会が少なく、ヒューイ同様にその性別すら知らなかったナオミは、彼女の事を「彼」と呼んでいた(小説版では「彼女」に訂正されている)。
しかし後にフランクは、シャドーモセス事件が始まる前に自分の正体を知る彼女の口封じと、同時に自身の同志であるナオミを後任として潜り込ませる事を目論んだリボルバー・オセロットや、彼の真の協力者であるEVA、そしてフランクの妹でもあるナオミらの支援によって助け出されてしまい、そして最期は解放されたフランクによって、報復として殺害されるという末路を辿った。享年66あるいは67歳。
自らの研究欲求に溺れるがままに暴走を続けたクラーク博士の生涯は、皮肉にも自分が実験体として利用した人間の一人であり、かつての同志であるビッグ・ボスの副官だった男の手で、幕を下ろす事になったのである。
ちなみにこの時点での彼女に、どの程度『愛国者達』に対する発言力等が残されていたのかは不明だが、いずれにせよ既に『愛国者達』は代理A.Iが統制していた為に、彼女は既に中枢からは外されていたと思われる。また、後に代理A.Iによってナノマシンによる精神制御を用いた、より安易でデジタルな方法での兵士達の強化・管理技術(SOPシステム)が確立される為に、後の時代では最早遺伝子治療自体が完全に廃止されており、遅かれ早かれ彼女自身も『愛国者達』にとっては用済みになっていた可能性が高い(あるいはこの時点で既に代理A.Iからは、遺伝子治療そのものと共に見切りを付けられていた事も考えられる)。
本人は既に死亡しているが、ソリッド・スネークの前に現れたビッグママ(EVA)の口から彼女の本名と彼女が愛国者達の創設メンバーである事が明かされている。
余談
コードネームの由来はパラシュートで駆けつける救急救命士。
それに因み、日産が開発した救急車のコードネームでもある。