※他の意味については「蟹」の記事を参照。
🦀概要
軟甲綱十脚目のうち短尾下目(カニ下目)に属する甲殻類の総称。漢字表記は「蟹」(音読みは「かい」)。学名は「Brachyura」(ギリシャ語で「短い尾」の意味)。英語は「crab」(クラブ)。
甲殻類としてかなり多様で、十脚類全種の半分以上、甲殻類全種の10%以上を占める7,000種ほど知られている。
全身が丈夫な甲殻に覆われ、箱形にまとまった体に5対の脚があり、そのうち後4対は原則として歩行用で、最初の1対は先端がハサミになっている(ホモラやカイカムリ、ムツアシガニのように後脚が歩行に使わないか退化した例外もいる)。
エビとは分類学上非常に近い仲間で、同じ十脚目どころか、ヤドカリなどと同じその間から派生した系統だが、甲羅は大きく、触角は短く複眼の間に収め、そして前述した名前の通り腹部は著しく短縮し(カニの「ふんどし」)、長身なエビとはシルエットが大きく異なる。
余談になるが日本の現実におけるカニの和名は連濁で「ガニ」と付くものしかおらず、カタカナで「カニ」と書く例は俗称以外では使用されない。
🦀生態など
横歩きすることで有名で、それしかできないイメージがあるが、アサヒガニは主に前歩きをし、クモガニは後ずさりもする。
雑食で海産の種類が多いが、食性や生息地は種類により様々で、捕食性、淡水性、(成体に限られるが)陸棲の種類も存在する。
腹部はメスの方が幅広く、これを用いて卵塊を腹に抱いているように保護する。
発生は基本的に微小なプランクトンとして生活する幼生期を経た変態を行う。まず頭部に長い棘を持つゾエア幼生として孵化・放出され、数回の脱皮を重ねてカニとエビの中間みたいな姿のメガロパ幼生となる。これはやがてカニらしい形の雛ガニに変態して着底し、そこから徐々に成体の姿に成長する。
🦀カニでないもの
東日本のカニ料理店で賞味できるタラバガニやハナサキガニ、ヤシガニは、外見がカニに似ているが実はヤドカリの仲間(異尾下目)である。
カニと似た見た目の異尾類は他にもカニダマシやスナホリガニなどが知られるが、概ね歩脚の数(3対)・触角の位置(目の左右に付く)・口元の構造(カニのように口を隠す平たいマスク状ではない)でカニから見分けられる。
なお、カブトガニに至っては甲殻類ですらなく(クモやサソリと同じ鋏角類)、基本構造もカニと全く異なる。
🦀人間との関わり
エビと同様、世界各地に魚介類として食用にされる種類が多い。
ただし食べられない種類もあり、例えばマンジュウガニ(スベスベマンジュウガニが有名)の類は名前が美味しそうに饅頭と付くが、有毒種であるので要注意。
また、一部の種の甲羅部分は人面のように見え、特にヘイケガニは平家の怨念と結びつき妖怪視されることもあるほか、実は動物系妖怪としても狐・狸・ヒキガエルと同列ぐらいのメジャーっぷりを誇る。
🦀関連イラスト
🦀主な種類
(生息別)
砂浜や干潟 スナガニ オサガニ コメツキガニ シオマネキ アシハラガニ
陸地 オカガニ
岩礁海岸 イソガニ イワガニ オウギガニ ケブカガニ ショウジンガニ ダンジネスクラブ
貝類等の体内 ピンノ
浅い海の砂泥底 マメコブシガニ キンセンガニ ガザミ(ワタリガニ) アサヒガニ ヘイケガニ ケガニ カイカムリ
浅い海の岩場 イシガニ ベニツケガニ ニシノシマホウキガニ オウギガニ スベスベマンジュウガニ カラッパ クモガニ
深海 ズワイガニ タカアシガニ ユノハナガニ タスマニアオオガニ マツバガニ
🦀サブカルにて
漫画アニメでは蟹座の神話に基づいてか基本的に不遇なザコのモチーフにされる事が多い。
代表的なのは『聖闘士星矢』の蟹座連中や『ベイブレード』の渡蟹哲也(復讐心をこじらせた小悪党)だろうか。詳しくは星座カースト制度などの関連記事を参照のこと。
またギャグアニメで敵役がカニ型メカを繰り出してきた場合、硬い装甲を持つ上、強力な切れ味を誇るハサミや特殊効果を持つ泡攻撃で苦戦させられるが、横にしか歩けない設計のため、操作ミスで敗れるのがお約束である。
脚の形状からジャンケンに弱いというギャグも定番である。(裏をかくというギャグもある。)
とは言え、探してみれば『ビーストウォーズ』のランページや『テラフォーマーズ』のシルヴェスター・アシモフなど、強いカニも居る。
特撮作品ではその硬質かつトゲやハサミといった押し出しの効いた外観から重宝され、そこそこ優遇される傾向にあり、『仮面ライダー』第1作でショッカー終了とゲルショッカー台頭を担ったガニコウモルや『V3』にて幹部が変身したカニレーザー、『BLACK』にて新ライダーキックを編み出さなければ倒せなかったカニ怪人がいる他、『仮面ライダー555』と『仮面ライダーアマゾンズ』では物語のターニングポイントに登場と印象的な場面に出演することも多い。
また幹部怪人になった出世頭2名ほどいる。両名とも固い甲羅と鋏を活かしたパワーファイターである。
とは言え、汚職刑事である上に使役する怪人に喰われて死んだり、リメイク版で「卑怯もラッキョウも大好物だぜ!」という迷言を残したりした仮面ライダーシザースなど従来の小物で描かれたキャラもいる。また、上述の幹部怪人になった約2名も終盤までは生き残れずサブライダーとの死闘の末に脱落している。
戦隊シリーズでも怪人第1号として登場した上に物語の因縁を作ったカニシンカや、新型怪人の素体としてカニギンが選ばれ、合体後のカニアリギンはロボを追い詰めた実績がある他、劇場版の敵として相応しい猛攻撃を加えたカニカンスもいる。
🦀カニをモチーフにしたキャラクター
スーパー戦隊シリーズ
昭和戦隊
- カニモンガー(『太陽戦隊サンバルカン』)
- カニモズー(『大戦隊ゴーグルファイブ』)
- カニシンカ(『科学戦隊ダイナマン』)※正確にはヘイケガニ
- カニカンス(『超電子バイオマン』)
- ザ・ギーライ、ザ・メタガス(『超新星フラッシュマン』)
- ベームドグラー(『光戦隊マスクマン』)
平成戦隊
20世紀平成戦隊
- オニボーマ(『高速戦隊ターボレンジャー』)
- カニギン、カニアリギン(『地球戦隊ファイブマン』)
- バラプリンター(『超力戦隊オーレンジャー』)
- カニネジラー(『電磁戦隊メガレンジャー』)
- 砲烈道(『星獣戦隊ギンガマン』)
- 暗黒魔剣サイマ獣ソルゴイル(『救急戦隊ゴーゴーファイブ』)
- 賭博師ベリト(『未来戦隊タイムレンジャー』)
21世紀平成戦隊
令和戦隊
仮面ライダーシリーズ
昭和ライダー
- カニバブラー(『仮面ライダー』)※正確にはタラバガニ
- シオマネキング、ガニコウモル(『仮面ライダー』)
- カニレーザー(『仮面ライダーV3』)
- カニ獣人(『仮面ライダーアマゾン』)
- 奇械人ハサミガニ・カニ奇械人(『仮面ライダーストロンガー』)
- カニンガージン(『仮面ライダー(スカイライダー)』)
- ガニガンニー(『仮面ライダースーパー1』)
- カニ怪人(『仮面ライダーBLACK』)
- ガイナマイト・トリプロン・ガゾラゲゾラ(『仮面ライダーBLACK RX』)
平成ライダー
平成一期
- クラブロード(『仮面ライダーアギト』)
- 仮面ライダーシザース ボルキャンサー ジェノサバイバー『(仮面ライダー龍騎』)
- 仮面ライダーインサイザー(『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』)
- クラブオルフェノク(『仮面ライダー555』)
- バケガニ(『仮面ライダー響鬼』)
- ウカワーム(『仮面ライダーカブト』)
- クラストイマジン(『仮面ライダー電王』)
- クラブファンガイア(『仮面ライダーキバ』)※正確にはワタリガニ
平成二期
- ビカソコンボ(『仮面ライダーOOO』)
- 鎧武者怪人(『MOVIE大戦CORE』)
- キャンサー・ゾディアーツ/キャンサー・ノヴァ(『仮面ライダーフォーゼ』)※正確には蟹座
- ガンマイザーマグネティックブレード(『仮面ライダーゴースト』)
- 仮面ライダーバースX(『復活のコアメダル』)
令和ライダー
漫画・リブート
ウルトラシリーズ
昭和ウルトラマン
- 磁力怪獣アントラー(『ウルトラマン』)※アリジゴクモチーフだが頭部にカニ要素が含まれる。
- かに座怪獣ザニカ(『帰ってきたウルトラマン』)
- 大蟹超獣キングクラブ(『ウルトラマンA』)※カブトガニモチーフだがカニ要素も含まれている
- 異次元超人巨大ヤプール(同上)※閻魔大王もモチーフ。
- 大蟹怪獣ガンザ(『ウルトラマンタロウ』)
- 円盤生物ブラックドーム(『ウルトラマンレオ』)
- 泡星人アルゴ星人(『ウルトラマン80』)
平成ウルトラマン
メタルヒーローシリーズ
- カブキノイド、ダブルノイド(『機動刑事ジバン』)※ダブルノイドは双頭のカニのイメージ。カブキノイドは、歌舞伎役者がメインモチーフだが、頭部の飾り。肩装甲。手などにカニモチーフが垣間見れる。
- 合成獣エビガーニャ(『重甲ビーファイター』)
- ガニラン(『ビーロボカブタック』)※カブトガニモチーフだがカニ要素も含まれている
その他特撮
- 電磁波怪獣カニックス(『マグマ大使』)
- 大蟹怪獣ガニメ(『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣』)
- 人形怪獣キンダー、妖怪怪獣マグマゴン(『ミラーマン』)
- オニババ(『パシフィックリム』)
- 大蟹怪獣ざばみ(『仮面の忍者赤影』)
- カニガブラー(『ザ・カゲスター』)
- キメンガニレッド(『人造人間キカイダー』)
- ハサミルゲ(『超人バロム・1』)
- セイザー・ギャンズ(『超星神グランセイザー』)※厳密には蟹座、メインモチーフはエイ
- 海骨(『バトルホーク』)
- ホッケウラーJ9(『スーパーロボットマッハバロン』)
- ガニ魔(『東映版スパイダーマン』)
- あぶく怪獣ギャンザー(『メガロマン』)
- 妖怪蟹光線(『古代少女ドグちゃん』)
- カニ男(演:石橋貴明 『仮面ノリダー』)
- カニ男(演:柄本明 『ゼブラーマン』)
漫画
- クラブマン(『仮面ライダー(漫画)』)
- カニベース(『キン肉マン』)
- 蟹男(『ゆうれい小僧がやってきた!』)
- カニドーラク・カーニ星人(『ハイスクール!奇面組』)
- ドーラク(『逢魔ヶ刻動物園』)
- クラドニカ星人ニーカ、カニカン、巨大生体兵器プロレタリア1号(『宇宙家族カールビンソン』)
- シルヴェスター・アシモフ(『テラフォーマーズ』)※正確にはタスマニアオオガニ
- カニランテ(『ワンパンマン』)
- カニ怪人(仮面ライダーEVE)
- カニ(さばげぶっ!)※名称不明の越前ガニ。一応準レギュラー。
文学
ライトノベル
- アクタガワ(『錆喰いビスコ』)
ゲーム
- クラブ/キングラー、マケンカニ/ケケンカニ、ガケガニ(『ポケットモンスター』)
- ぐんたいガニ・カニおとこ・スラキャンサー・ダーククラブ(『ドラゴンクエスト』)
- ピーザー、カニィ、バブー、クラビィ、カニル(『星のカービィ』)
- バブリー・クラブロス(『ロックマンX2』)
- ヤクト・クラべ(『ロックマンDASH』シリーズ)
- キャンサー・バブル(『流星のロックマン』)※正確には蟹座
- レッドクラブ・ヒステリックエンプレス(『ダライアス』シリーズ)
- パイレーツクラブ(『ドンキーコングリターンズ』)
- バルムンクラブ(『テイルズシリーズ』)
- フリーザー、スノークラブ(『FFUSA』)
- キャンサー・コーラルクラブ・クラムボン・アンキケン(『ロマンシングサガ』)
- タラバクラバ・サイドムーブ・シーカミング(『メダロット』)
- クラバーニカ・キャンサー(『メダロット』)※正確には蟹座
- ゴーマ『(ゼルダの伝説』)※シリーズによってはクモ扱いにされたりもする
- カニタマ(『ピクミン3』)
- フルメタルハガー(『聖剣伝説』シリーズ)
- たらばがに・じんめんガニ(『サンサーラ・ナーガ』)
- プランクタイ・オログハイ(『ファイナルファンタジー3』)
- カニノケンカ
- プチクラブ・カニクラブ・プチタラバ・カニタラバ(『オレカバトル』)
- 右のガーニン(『天外魔境Ⅱ』)
- シガニー、カニタンク(『Splatoon』シリーズ)
- Crab_Champions
- 蟹姬/蟹姫(『陰陽師(ゲーム)』)
- シシキ(『Yes!プリキュア5GoGo!』DSゲーム版限定)
- カニちゃん(『ロボットガールズZオンライン』)
- サイドステッパー(『マリオブラザーズ』)
- チョッキー(『スーパーマリオUSA』)
- ブラキュウラ(『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』)
- クラブロン、オペレーションクラブ(『モンスターストライク』)
アニメ
- 深海攻撃兵士キャンサー(『超神マスターフォース』)
- 遊撃隊員ロックバスター(『ビーストウォーズネオ』)
- クランプダウン(『トランスフォーマーアドベンチャー』)
- 戦将ランページ(『ビーストウォーズメタルス』)
- MSキャンサー(『新機動戦記ガンダムW』)
- ユージーン・ハロールド・カーニ(『スポンジ・ボブ』)
- 蟹座のルキノス・巨蟹武神キャンサード/巨蟹星鎧ブレイヴキャンサー(『バトルスピリッツ』)※正確には蟹座
- クラブバンカー(『ガイキングLOD』)※主人公ダイヤ曰く「カニタンク」でガイキングと合体すると「カニキング」…上記『ロボガZオンライン』のカニちゃんはこれの擬人化
- セバスチャン(『リトルマーメイド』)
- かに座のプリンセス(『スター☆トゥインクルプリキュア』)※蟹座
- チョンギーレ(『トロピカル〜ジュ!プリキュア』)
- 蟹江(『わんだふるぷりきゅあ!』)
- あいうら(OP楽曲:「カニ☆Do-Luck!」)※やたら蟹押しだが、本編にはほとんど出てこない
- キャンサー、クローサー、ヴィセロックス、Butterclaw(爆丸)
- ガーニー(アニメ版『星のカービィ』)
神話・伝承
- 蟹座-安定の蟹座
- 蟹坊主/バケガニ/カニ問答
- クタム
- 月の模様
- 蟹淵
- 蟹淵(かんぶち)の化け物※前述の話とは別物
- 蟹の恩返し
- 桃太郎※地域によってはお供になっている
- カニの相撲
- 蟹の湯治
- ザラタン※亀説もある
- フランシスコ・ザビエル※蟹に助けられたという伝承がある
- さるかに合戦
玩具
その他
- 柳瀬美由紀(『アイドルマスターシンデレラガールズ』)実家が水産加工会社で自身も蟹を捌く。
- 天野舞耶(『ペルソナ2』)蟹座生まれで好物がカニ缶。
- ビーナス(RW5)
- かにぱん/かにぱん。
- TIGER&BUNNY※舞台であるシュテルンビルドでは地上に派遣された女神の使いとして童話になっている。
- ひたぎクラブ
- ヴァンドレッド・ジュラ(『ヴァンドレッド』)※見た目が蟹っぽいため、搭乗者が当初難色を示した。
- 雪ミク2022※北海道の冬の海と蟹+船長がモチーフ
- 雪女と蟹を食う
比喩表現的な意味のその他
- かに星雲
- 朧(艦隊これくしょん)…常に蟹と一緒。
- 不動遊星…髪型が蟹に見えると評判。
- 三島由紀夫…蟹嫌いで「蟹」の字を見るのも嫌いと公言していたが、肉は直に見なければ食べられるとも述べていた。
- 石川啄木…『一握の砂』参照
- 蟹江きぬ…苗字に「蟹」の字があることと、髪型のクセと本数の多いおさげがそれっぽく見えるため、ついたあだ名が「カニ」。
- 可児那由多…通称「カニ公」。本人はカニとはあまり関係ないが、中の人がイカ娘をやっていた関係で「カニちゃん」と言われることも。ちなみにスマホの待ち受け画像はカニである。
- 宮内れんげ…「うち、カニが好きなん」。