『大空魔竜、それは無敵の機械竜!ガイキング、それは熱き炎の戦闘巨人!今、この二つの力が一つとなり、明日の世界を守り抜く!君も心に、その名を刻め!大空魔竜ガイキング!!』
概要
1976年に放送された『大空魔竜ガイキング』をリメイクした作品。
2005年11月12日から2006年9月24日までテレビ朝日において放送された。全39話。
リメイク作品であるが、主役メカであるガイキングと大空魔竜、そして一部のキャラクター名称以外、人物、世界観、ストーリーを一新した、完全オリジナル作品となっている。
キャラクターデザインは山崎健志、山崎展義、直井正博(パイロット版「大空魔竜ガイキングNEO」のデザインは中鶴勝祥)。
殊にメカニック関係の作画スタッフがやたらと豪華で、合体シーンは 大張正己、愛姫みかん、牟田口裕貴、大籠之仁、まさひろ山根が担当。
後期OPは金田伊功が担当し、これが金田の遺作となり、生涯最後となる金田パースは是非目に焼き付けておきたい。
当初は「金色のガッシュベル!!」の次番組としてオリジナル版と同じフジテレビ系「ドリーム9」枠か、テレビ東京系平日夕方か土日午前中の何れかに導入が検討されたが、双方とも不成立となり、テレビ朝日が関東ローカル枠の穴埋め番組として導入した。
その為キー局以外では愛媛朝日テレビと琉球朝日放送の2局しかネットされず、半年ほど遅れて放送されたBS朝日やCS放送を除き長らくは「知る人ぞ知る幻の作品」となっていた(ある意味今は亡きTBS系土曜日夕方5時台アニメ・特撮枠よりも酷い扱いで、テレ朝日曜朝6時半はデジモンクロスウォーズで完全全国ネットに改善された)。一応DVDが発売されレンタルもされてはいたのだが、テレビ放送の恩威は大きかったようだ。
そもそも本作はいわばタイアップ作品を主に制作する東映アニメーションにあって、ほとんどタイアップ商業展開が行われていない異例の作品であり、テレビシリーズでありながら記念碑的に生み出された作品となっている(2006年に東映アニメーションは創立50周年を迎えた)。
ただしこれに関しては前番組である「ボボボーボ・ボーボボ」のアニメ版がスポンサーゼロというところまで追い詰められた負債を一部抱えており、当初は先の件からお察しの通り朝のロボットアニメでありながら玩具関係のスポンサーは一切なかった。
また全体(特に初期)で見れば当時のアニメの風潮もあって作画が良い方とはいえない(ソフト化する際一部の作画を修正しなければならないほどの出来)。さらに言うならばこの時期のロボットアニメの風当たりは厳しく、制作された作品もわずかしかなかったことを見れば察するしかないといえる。
こういった背景もあって当初は2クール・半年の放送予定であったが、後述する様に放送時間変更後の第13話からバンダイや東映ビデオがスポンサーに付いてくれた事もあり、1クール放送延長となり、その為、本編も様々なテコ入れが行われた。
古臭いロボットアニメをある意味知り尽くした古豪の一社である東映アニメーションが主導していたこともあり、その王道展開は広く評価された。また、上記の通りロボットアニメ氷河期と言える中で製作されたこともあり、途中から合流したロボアニメに係るスタッフたちの恩威によって話が進むうちに内容も作画もグレードアップ、終盤はロボットアニメの歴史に名を刻むほどの超展開となった。
ストーリー
少年ツワブキ・ダイヤは父と小型船で海に出た際に、洋上に燃え上がる黒い炎を目撃した。その中から巨大な怪獣が出現し、父や船員たちは海中へと消え、彼にも危機が迫った時、巨大な機械の竜が出現しダイヤを守ってくれたのだ。
それから5年、再び地上に巨大な怪獣が現れた時、中学生になったダイヤは巨大な機械竜「大空魔竜」と再会する。怪獣を送り込むのは、地底の孔から繋がる異世界「ダリウス界」を支配するダリウス軍。ダイヤはダリウス軍の進撃を止め、父と再会するため、大空魔竜へと乗り込む!
登場人物
大空魔竜隊
- ツワブキ・ダイヤ(CV:田中真弓)
- ハヤミ・ナオト(CV:進藤尚美)
- ルル・アージェス(CV:川上とも子)
- キャプテン・ガリス(CV:大川透)
- ローサ・ベルニコフ(CV:半場友恵)
- ピュリア・リチャードソン(CV:木内レイコ)
- リー・ジェンシン(CV:草尾毅)
- ヤンマ(CV:竹本英史)
- ハッチョ(CV:草尾毅)
- ブビィ(CV:大川透)
- ディック・アルカイン(CV:鈴木達央)
- ダイモン(CV:大友龍三郎)
- フジヤマ・シズカ(CV:雪野五月)
- ロンゴ(CV:園部啓一)
- パイロン(CV:茶風林)
- アベヤ・キョーコ(CV:前田愛)
- フランクリン(CV:岸尾大輔)
- サコン(CV:田中秀幸)
地上
- ダイヤの父(CV:大川透)
- ダイヤの母(CV:半場友恵)
- エルトリカ・アージェス(CV:豊嶋真千子)
- ロバート・アルカイン(CV:柴田秀勝)
反ダリウス軍勢力
ダリウス軍
- ダリウス17世(CV:大友龍三郎)
- ノーザ(CV:岸尾大輔)
- ヴェスターヌ(CV:進藤尚美)
- サスページ(CV:田中秀幸)
- プロイスト(CV:竹本英史)
- 次大帝プロイスト(CV:池澤春菜)
- ニキータ(CV:雪野五月)
- テルミナ(CV:斎藤千和)
- バニシューム(CV:平田広明)
- ヒガント(CV:園部啓一)
- ケイン(CV:織田優成)
- ブリーザ(CV:丸山詠二)
- レベッカ・カトリーヌ(CV:長沢美樹)
- ドクターワン(CV:中江真司)
- ドクターツー(CV:大川透)
用語解説
ダリウス界
地球内部の孔から繋がっている異世界。地底人というわけではなく、別の次元に存在する空間らしい。しかしそれは移住先が見つかるまでの「疑似世界」なため、政治・空間どちらも不安定な問題を抱えていた。
ダリウス人たちはとがった耳を持ち、地球人よりも鮮やかな色の髪や肌をしている者が多いが、それ以外はあまり地球人と変わらない。ただし混血することは難しく、劇中では地球人とダリウス人との混血ということが中盤に明かされたルルしかいなかった。
大帝率いる軍部が政治を完全に支配しており、民の中には反感を抱いている者もいる。
ダリウス界を支配する軍事独裁勢力。大きく分けて
- 空と海を駆ける無限艦隊を率いる東方軍(将軍:プロイスト)
- ダリウス界の生物を巨大化・凶暴化させた魔獣を操る南方軍(将軍:サスページ)
- 無人駆動するロボット鉄獣を繰り出す西方軍(将軍:ヴェスターヌ)
- 自ら戦闘巨人を駆り暴れ回る北方軍(将軍:ノーザ)
の4部隊が存在する。
ダリウス界においては地上侵攻などの都合の悪い所は隠され、大空魔竜こそが侵略者であるとデタラメな報道が為されている。
炎
科学的な燃焼に伴う現象…ではなく、精神の持つエネルギーの事。生命エネルギーともいえるものであり、ガイキングなどの戦闘巨人は強い炎を持つ者にしか動かせない。地球人は赤い炎、ダリウス人は黒い炎を持つという。それを利用し、魔竜系のマシンは赤い炎を持つ者しか動かせないよう開発された。
ゼーレの門
移住先が発見された際に開く、宇宙空間に設置された異空間ゲート。
ダリウス人は滅亡した母星から脱出した際、移住可能な惑星が発見されるまで仮初の空間「ダリウス界」を成型し、移民はそこに暮らしていた。しかしプロイストがその空間維持に不可欠な「ダリウスコア」を持ち出し対ガイキング戦に使用したためダリウス界は崩壊を始めてしまう。しかしそれとほぼ同時期にゼーレの門が開くことになり、最終決戦後に移住計画が実施されることになる。
メカニック
大空魔竜
該当項目参照。本作における主人公側の拠点となる。
大空魔竜及び内部格納されたパート1・パート2が合体することで変身する炎の巨人。アックス、ランス、シールドなどの武装を換装して戦う。詳細は該当項目参照。
後述するスティンガー・サーペント・クラブバンカーと4機合体することで『トリプルガイキング』になる。この時クラブバンカーのパーツはスティンガーと干渉しないように腰に移動する。
フェイス・オープン時には炎のパワーが4倍になり機動力が上昇するが、コックピットが超高熱状態になるので数分間しか使用できない。
スティンガー
エイの形をした万能戦闘機。機動力に長け、ガイキングやキルジャガーの足場にもなる。糸の切れた凧ではない。
ガイキングの背部と合体することで空戦形態スカイガイキングとなる。
後半では大空魔竜との合体機能を追加した『スペリオルスティンガー』に改造される。
サーペント
狙撃機体。旧ガイキングの魚竜ネッサーに似ている首長竜型ロボット。
ガイキングの右腕と合体することで射撃形態バスターガイキングになる。ただし合体時には前腕を外さなければならなくなる。
サーペントバスターの威力はクローズド・フェイス形態においては最強レベルを誇る。
クラブバンカー
水陸両用戦車。空も飛べるカニ型のタンク。
ガイキングの腹部と合体することで水中形態ダイバーガイキングになる。この状態では口に加える関係上ハイドロブレーザーが使用不能となる。
ダイヤからはカニキングと呼ばれている(合体後の指もハサミを意識している)。
キルジャガー
化け物と呼ばれるジャガー型ロボット。手足や首を折り畳むことで戦闘機に変形できる。
特殊力場を発生させることによりどんな場所でも疾走することが可能。
ガイキングとの合体は出来ないが、口からガイキング(大空魔竜)の炎を吸収し、増幅して吐きだす機能『デスファイヤー』を持つ。
バンザ
名まえの通りコバンザメの形をしている小型戦闘機。大空魔竜に3機搭載されている。
通常の戦闘機として活躍する他、張り付くことで相手の機体のコントロールを奪う機能も持っている。これを利用してガイキングのパート1と2をそれぞれ操縦できるようにしたこともある。
大地魔竜
大空魔竜のベース機体である超巨大地底戦艦。スフィンクスのような姿をしている。巨大なミラクルドリルにより地盤を粉々にして大地そのものを破壊し突き進む。
大地魔竜頭部とパート1・パート2が合体して変形する炎の巨人。重装甲なパワーファイター。
大地魔竜のミラクルドリルを副武装として扱える。
天空魔竜
同じく大空魔竜のベースとなった超巨大飛行戦艦。ワイバーンのような姿をしている。
自立起動が可能なAIが内蔵されているが一度動き出したら止められない欠陥機であり、あまりに危険すぎるため製作者自身の肉声によるパスワードがないと動けないように封印されていた。後に捕獲されAIのフォーマットを実施、半自立戦艦として生まれ変わっている。
天空魔竜頭部…ではなく、天空魔竜ボディ部分のスカルエンブレムと以下略。スピードに長ける。
また、天空魔竜のボディ部分に備えてあるジャイアントカッターを振り回せるだけのパワーも兼ね備えている。
主題歌
オープニングテーマ
「GAIKING」(1 - 39話)
作詞:YOFFY / 作曲:IMAJO / 編曲:大石憲一郎 & サイキックラバー / 歌:サイキックラバー
エンディングテーマ
「ボクニデキルコト」(1 - 26話)
作詞:MIZUE / 作曲・歌:徳永英明 / 編曲:坂本昌之
「Oh!my god」(27 - 38話)
作詞:青木久美子 / 作曲:YOFFY / 編曲:大石憲一郎 / 歌:サイキックラバー
挿入歌
「ガイ!ガイ!ガイキング!」(5話、30話)
作詞・作曲:YOFFY / 編曲:大石憲一郎、サイキックラバー / 歌:サイキックラバー
「その名はガイキング・ザ・グレート」(31話、35話、38話)
作詞:青木久美子 / 作曲:小杉保夫 / 編曲:大石憲一郎 / 歌:串田アキラ
「白いリボン」(25話)
作詞:柚木美祐 / 作曲・編曲:池田森 / 歌:ルル・アージェス(川上とも子)
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
1 | 大空魔竜が来た! |
2 | オレが選ばれた戦士!? |
3 | 旅立ち…さらば母さん! |
4 | 行くぜ!ダリウス突入作戦 |
5 | おれたち悪者!? |
6 | どうする!?出撃不能!! |
7 | 激突!誇り高き決闘 |
8 | 史上最少の強敵 |
9 | 明日に向かって撃て! |
10 | ルルの危機!海底の恐怖!! |
11 | 激震!!将軍ノーザ襲来! |
12 | 命がけ!?禁断の逆転技 |
13 | 衝撃!キャプテンは父さん!? |
14 | 遊園地バトル!ローサの休日 |
15 | 危険な逃亡者!!父さんの手がかり! |
16 | 包囲網突破!リーと女豹! |
17 | 敵か味方か!?危険な新戦力! |
18 | 超兵器!ダリウスの切り札 |
19 | 新皇帝の罠!ガイキング処刑!! |
20 | ミニミニマシン!秘宝争奪猛レース |
21 | 占い的中100%!?ズバリ言うルル!! |
22 | 燃えろ3バカ!!奪われたガイキング!! |
23 | サコン脱走!?静(シズカ)に迫る暗殺部隊!! |
24 | 戦場を駆けるピンクのカバ!!アイドルは誰だ? |
25 | 地獄に堕ちたクルーども!アイドルは君だ!! |
26 | 悪夢の序曲!よみがえる大地魔竜!! |
27 | 暴かれた黒い過去!ガリス哀しみの仮面!! |
28 | 罪と罰と呪いの子!愛憎の天空魔竜!! |
29 | 食らえ必殺のフルコース!最後に笑うサスページ!! |
30 | 二代目は13歳!総力戦だぜキャプテン・ルル!! |
31 | 見よ!讃えよ!ひざまづけ!荒神グレート降臨!! |
32 | 武器ナシ弾ナシ親友アリ!二人ぼっちの地上戦!! |
33 | さよなら純情!ちょい不良(ワル)ハートに火をつけろ!! |
34 | NEXのはらわた!!狼の街に天使の接吻(くちづけ)を… |
35 | 大虐殺!大展開!!神よ、帝都が沈む… |
36 | 再会・裏切りの父!こんなに愛してるのにぃぃッ!! |
37 | 息子よ |
38 | みんな、燃えろ |
39 | 君の地球・君の未来 |
トリビア
プロイストのテーマ曲にドボルザークの「新世界」を使用したり、一流のスタッフが良い仕事をする余り予算オーバーとなり、局プロデューサーが頭を抱えた逸話もあった。
その影響が同じ制作会社で系列局担当だった「銀色のオリンシスTOKITO」のテレビ朝日ネット拒否の遠因と言う説もある。(関東ローカルはTOKYOMX等の県域独立局でネットされた)
…13話に於いて著名な作画スタッフが20人以上集まった理由として、放送当時はロボットアニメ冬の時代とも言うべき時期であり、「ロボットを描きたい!」と言うアニメーターは多かった。
そこでロボットアニメを描きたくて仕方なかった剛の者達は、その鬱憤を晴らすべく自発的に集まったそうである。
結果、劇場版デジモンを経験したスタッフを中心に参加。クライマックスの戦闘シーンはCGと見間違える程に動きまくる。
後に「お前ら何枚劇場版作る気だ!」とどやされたそうだから、よっぽど炎を入れたのだろう…。
以下に13話作画スタッフの名前を載せる。
工原しげき 中村豊 橋本敬史 松田宗一郎 今石洋之 雨宮哲 和田高明 橋本英樹 渡辺浩二
三橋和弘 大塚健 中鶴勝祥 濱洲英喜 山下高明 すしお 坂崎忠 馬場充子 甲斐泰之 井上香織
黒柳賢治 林祐己 村俊太郎 西田達三
この人数…笑うしかない。しかもスポンサーにバンダイが付くようになったのは13話の後である…。
なお同じような偉業(愚行?)はガイキング・ザ・グレートのバンク&戦闘シーンでも発揮された。
関連タグ
ガイキング ガイキング・ザ・グレート バルキング ライキング
スーパーロボット大戦:KとLに参戦。