──そのグルガン族の男は静かに語った
この大地震さえも単なる予兆に過ぎぬと
世界の光の源であるクリスタルを地中深く引きずり込み
魔物を生み出した大きな震えさえも
これから訪れるものに比べればちっぽけなものである
それは途轍もなく大きく 深く 暗く
そして哀しい
だが希望はまだ喪われてはいない
四つの魂が光に啓示を受けるであろう
そこから全てが始まり──
概要
初代ファイナルファンタジー・前作ファイナルファンタジー2と繋がりは持たないが、同様にクリスタルが中心となったストーリー展開を見せる。
後にファイナルファンタジーシリーズ恒例の要素となるジョブチェンジシステムや召喚魔法、複数のフィールド、ポップアップ表示されるダメージ数値、バックアタックなどを採用したことで有名。
本作のジョブには明確な上位下位が設定されており、強制こそされないが物語の節目で上位ジョブに変更していくバランスとなっている。
例を挙げると
- 戦士→ナイト
- モンク→空手家
- 白魔道士→導師
- 黒魔道士→魔人
- 幻術師→魔界幻士
といった具合。最終的に、戦士系ジョブは忍者、魔法系ジョブは賢者に収束する。
また、学者や竜騎士など、特定のボス戦専用のような扱いを受けているジョブも存在し、良くも悪くもゲーム進行に応じた編成が必要になる。
シナリオライター寺田憲史の旧スクウェアでの最後の作品。またメインプログラマーを務めた「NASIR」ことナーシャ・ジベリが手掛けたファミコン最後の作品でもある。
ナーシャによるプログラムにまつわるエピソードはファンの間では語り草となっており、ファミコンのバグをも利用した徒歩の8倍速で飛び回る飛空艇を始め、果ては彼の書いた複雑怪奇なコードが引き起こすアイテム生成バグやアイテム増殖バグといった有用(反則?)バグ技と多岐に渡る。
FFシリーズ初のミリオンセラー(スクウェア初のではない。それはこっち)となり、シリーズをDQに伍するRPGの代名詞まで押し上げた存在でもある。
移植の話が何度も持ち上がっては消えるという数奇な運命を辿った作品としても知られ、リメイクされるまで16年の歳月を要している。
主人公の4人にはFC版では初代同様にデフォルトネームが無い。ただし、VC版のプロモーションムービーやTFFで流れるゲーム画面ではDS(PSP)でのリメイク版の主人公達の名前が便宜上付けられている。
初めて戦闘中のウインドウカラーも青に統一された作品。また戦闘不能が「しぼう(死亡)」表記だったのはこの作品まで。以降は戦闘不能扱いとなる。
FF1以来「FFのテーマ」が復活し、シリーズで定番化した作品でもある。魔法がMPではなく回数制もFF1同様だが、リメイクしてもそのシステムだった。
ラストダンジョンの「クリスタルタワー」の難易度並びにラスボス前の複数のボスの異様な強さ、ラスボスの強烈さは語り草となっている。
ストーリー
風のクリスタルをまつる神殿が崩れて出来た「祭壇の洞窟」を探検していた悪ガキ四人組。
しかし、うっかり落とし穴に落ちてしまい、帰るに帰れない状況に。
出口を探しに探索していると風のクリスタルの間を見つける。
中に入って風のクリスタルを調べると、四人が『光の4戦士』に選ばれたことを告げる。
こうして光の4戦士は世界を覆う闇を払い、平和を取り戻すため、壮大な冒険の旅に出るのであった。
登場キャラクター
主人公
光の戦士 (DS版ではルーネス アルクゥ レフィア イングズ)
ちなみにこの4人は全員同じステータス成長をすると思われがちだが、実はそれぞれ若干異なる成長をしていく。
仲間キャラクター
敵
ジン
盗賊グツコー
サラマンダー
ガルーダ
オーディーン
リヴァイアサン
バハムート
ケルベロス
エキドナ
アーリマン
ジョブ
FC版 | DS版 | |
---|---|---|
基本ジョブ | たまねぎ剣士 | すっぴん |
風のクリスタル | 戦士、モンク、白魔道師、黒魔道師、赤魔道師 | 戦士、モンク、白魔導師、黒魔導師、赤魔導師、シーフ |
火のクリスタル | 狩人、ナイト、シーフ、学者 | 狩人、ナイト、学者、風水師 |
水のクリスタル | 風水師、竜騎士、バイキング、空手家、魔剣士、幻術師、吟遊詩人 | 竜騎士、バイキング、魔剣士、幻術師、吟遊詩人 |
土のクリスタル | 魔人、導師、魔界幻士 | 空手家、魔人、導師、魔界幻士、賢者、忍者 |
エウレカ | 賢者、忍者 | |
隠しジョブ | たまねぎ剣士 |
メディアミックス
本作のストーリーを題材にしたイメージアルバムと、本作の世界観及び一部登場人物を題材にしたコミックス作品が発表されている。
イメージアルバム「ファイナルファンタジーIII 悠久の風伝説」
1990年、ポリスターより出版。本作のBGMのアレンジ曲及び世界観をイメージしたオリジナル曲をストーリーを追う形で全7編のメドレーに編集し、それぞれの楽章の冒頭に英語のモノローグを付けた形で収録している(第6楽章はモノローグがなく、最初から曲が入る)。
原作アレンジ曲はどれも原曲のイメージに沿った良質なアレンジが行われており、名盤と名高い。収録オリジナル曲の一つである「Roaming Sheep」は後にファイナルファンタジー6のCMでも採用されている。
コミックス「悠久の風伝説~ファイナルファンタジーIIIより」
原作・寺田憲史、作画・衣谷遊。「マル勝ファミコン」連載、コミックスはKADOKAWAドラゴンコミックスレーベルで全3巻完結。
原作そのままのストーリーではなく、原作のジン戦付近・ハイン戦付近・ドーガとウネとの邂逅・ザンデ戦付近のエピソードを中心に大幅なアレンジを加えて構成されている。
リメイク版
WSC版(開発中止につき未発売)
当時、ワンダースワンカラーではファイナルファンタジーシリーズのリメイクが行われ、FF1・FF2のリメイクは順調にリリースされてきたのだがFF3のみ難航していた。開発中の画面も公開されていたが様々な事情もあり結局は中止となった。
後にワンダースワン版をベースにGBAで再びFFシリーズのリメイク計画がされたのだが、GBAでようやく3もリメイク実現と誰もが思っていた…
DS版
ニンテンドーDSでフルリメイクが発表され、これが実質的な初のリメイク作品となった。
中々リメイク計画が進まなかったうち、FF3の場合はFC版の開発仕様書が散逸していたのも原因の一つだったらしい(開発仕様書はあるとないとではリメイク制作で左右されやすいとされている)。
なお、DSで初リメイクされる前に任天堂がゲームボーイアドバンスでファミコン版がそのまま動くものを持ち込んできたとされ(一説ではファミコンミニの技術とされている)、さすがにいきなりすぎて「それは待ってくれ」とスクエニ側は困惑したという。
ゲームバランスが大きく見直され、ジョブ間の使い勝手が概ね均等になるように調整された。これにより上位下位の概念も撤廃されており、戦士は攻撃寄り、ナイトは防御寄りといった差別化が図られている。
一方、ハードスペックの都合で敵の最大出現数が8体→3体(一部イベントで4体)に大幅減されたほか、ゲームが進むと攻撃魔法の威力が打撃に抜かれ、状態異常系魔法の命中率が異様に低く設定されているなど、様々な面で黒魔法や召喚魔法の価値が大暴落している。
ジョブ間のバランスはよくなったものの、ゲーム全体の戦闘バランスはFC版のほうがよかったとする見方もあり、人によって評価が割れる。
ピクセルリマスター版
2021年、ファイナルファンタジー初期6作品を同一のエンジンで開発し直す「ピクセルリマスター」が発表された。当然のことながら、FF3もこの中に含まれており、これが初の2Dリメイクとなる。
オリジナル版発売から、実に31年越しの実現となった。
FC版はジョブ間バランス、DS版は戦闘バランスにそれぞれかなり難があったため、本作はどのような調整がなされるのか注目を浴びていた。
実際に蓋を開けてみると、ジョブバランスは上位下位の概念は残しつつDS版寄りの性能、戦闘バランスはFC版寄りと、両機種をいいとこ取りした仕上がりになっており、人によっては「本作が歴代FF3の中で最もバランスがいい」との評価を受けている。
余談
先述の飛空挺の8倍速移動は実は前作である『2』で既に実装されていた。こちらは隠しコマンドを使用して初めて発動するものだった。さらに言うとバグを使わずとも画面処理を工夫する事で可能であった事が後に判明する。ただ、ファミコン時代のFFはナーシャの複雑怪奇なプログラミングが施されている為、FF3の場合はバグを本当に利用したのか画面処理プログラムの工夫かは定かではない。
ボスの中には特定のジョブでないと攻略が困難なもの、実は戦う必要はなくまともにやると全滅まっしぐらと初見殺しな要素がある。
クリスタルタワーから禁断の地エウレカに行き、すぐにクリスタルタワーに戻って「デジョン」の数値を01にすると謎のまっ黒な空間に着き、これまた謎のオブジェが存在しそこに行くと宿屋と同じ効果が出るのだが、どうやらここは演出用空間であるらしく、謎オブジェとその効果自体はバグではなく意図的に置かれていたとされる。
関連イラスト
関連タグ
表記ゆれ