闇を氾濫させ この世界を消し去るのだ! 何もかも消えてしまえー!
概要
「ファイナルファンタジー3」に登場するボスモンスター。
名前の通り双頭の巨大なドラゴンで、ラストダンジョン「闇の世界」で重要な役割を持つ「火のダーククリスタル」の封印を守っている。名前や見た目に反してドラゴンらしいブレスや魔法は使わず打撃攻撃を繰り返すだけなのだが、その威力がデタラメに高く、プレイヤーの間では最も印象深いボスの1体として知られている。
圧倒的な攻撃力
具体的な攻撃力のステータスは、攻撃力255、攻撃回数32回(一度の攻撃のヒット数)。
これは本作の敵モンスターの中では最大の数値であり、特に攻撃回数は他のモンスターではせいぜい11回、プレイヤーキャラクターでも素のままでは24回が限度である。
その数値が生み出すダメージ量はゆうに5000を超え、7000〜8000はザラ。クリティカルヒットならば9000台も珍しくない。普通にストーリーを進めていた場合、こいつと遭遇する頃のパーティの平均HPは4000前後のため、一撃で確実に戦闘不能になってしまうのである。まさに鬼としか言いようがない強さ(竜だけど)。
こんな攻撃力にノーガードの力押しが通用するわけはなく、回復を怠れば4ターンで即全滅。本当に鬼である(竜だけど)。
みんなのトラウマ
とはいえ、1ターンにひとりずつしか攻撃しないため、その都度回復させればいいのだが、実はファミコン版FF3の蘇生魔法「レイズ」、「アレイズ」は戦闘中に使うと失敗することがあり、運が悪いと蘇生できないまま仲間が次々と倒れ、ジリ貧になってしまう。
また確実に回復できるアイテム「フェニックスの尾」にいたっては非売品かつモンスターが落とすこともなく、全部で32個しか手に入らない。そのため入手し損ねていたり使い込んでいると回復の手が足りずそのまま全滅、よしんば勝利しても他のボスモンスターで力尽きてしまう。
そうして泣く泣く、攻略に2時間はかかるというFF最長ラストダンジョン「クリスタルタワー~闇の世界」をやり直し、テレビを長時間独占したことで親からお叱りを受けたり、ネコリセットでさらに絶望する羽目になったり……
かくして、「ガスン!」「ドゴァッ!」という鈍い音と共に誰かが撲殺される姿はプレイヤーみんなのトラウマとなり、今でも心に刻まれているのである。
攻略法
セオリーは攻撃役、回復役を2人ずつ決め、地道に攻撃と蘇生を繰り返す持久戦。
とにかくバカげた威力の単体攻撃への対策が必要で、即座に確実に蘇生できるようにしなければいけない。レイズでは失敗しやすく、全滅しやすいため、フェニックスの尾が少ないのなら、蘇生魔法アレイズが使える導師か賢者を2人用意しよう。その際、事前に熟練度上げて少しでも成功確率を上げておくこと。最大99まで鍛えておけば確実に成功する。
また、隊列を後ろにすることで受けるヒット数を大幅に減らせる(こちらの攻撃のヒット数も下がる)ため、HPが満タンなら運が良ければ生き残れるかもしれない。防御力を上昇させる魔法「プロテス」やアイテム「かめのこうら」を重ねて使うとさらに安心…なのだが、通称「ウインドウイレースバグ(アイテムウインドウを開けたり戦闘中に装備を換えたりした時に、補助魔法の効果が全て消えるバグ)」が条件が条件だけにとかく頻発しやすいので、このバグの存在を知らないプレイヤーは補助魔法に頼れない(このバグのせいで、FC版FF3の補助魔法はおしなべて効果が薄いと勘違いされていた)ので、ひたすらに即死と蘇生を繰り返す消耗戦を強いられる事となった。
攻撃役は強力な武器を装備できる「忍者」「ナイト」が鉄板。ただし最強の騎士剣ラグナロクや暗黒剣マサムネは付与している属性攻撃を半減させられるため、エクスカリバーや円月輪など無属性の武器を持たせよう。
安全策を用いるなら、片手に盾を持たせるといい。FF3は二刀流が強力なイメージだが、実は盾による防御回数の増加の影響も大きいことはあまり知られていない。盾を持っているというだけでも格段にダメージを受けにくくなるのだ。
その際、戦闘前に後列に下げ、戦闘中にプロテスを重ねて使い、防御力を十分に上げた後に前列に戻せば強烈な攻撃に耐えつつ反撃できる。
意外な弱点というか、HPが30000にも満たないため、あらかじめ手裏剣を大量に買い込んでおき、全員ジョブを忍者にして手裏剣を投げ続ければ時間をかけずに沈めることも可能。
また、ナイトの特性「瀕死の仲間をかばう」を生かして、両手に盾を持たせて後列に配置し、他の仲間をあらかじめ瀕死の状態にしておけば、2ヘッドドラゴンの攻撃を全てナイトが肩代わりしてくれるため安定して戦える。
(それでも乱数次第では3000以上のダメージを受けるため適宜回復するように)
DS版
HPがなんとFC版の3倍以上の99999となり、攻撃には沈黙の状態異常が追加。さらに1ターンに2回行動するようになった。
しかし攻撃力が180程度、攻撃回数は1/3の11回まで低下。受けるダメージ量は2000程に激減している。
プレイヤーキャラクターのHPも上がりにくくなり、攻撃がひとりに集中すれば十分危険だが、それでも凶悪な攻撃力はだいぶトーンダウンした。加えて、レイズ、アレイズが戦闘中でも必ず成功するようになったため難易度は大きく下がっている。
当時やられまくった溜飲が下がったと思うか、あの凶悪さが懐かしいと思うかは人それぞれである。
ピクセルリマスター版
ゲームバランスの大幅改変のためHPは65000とFC版とDS版の中間ほど。一回行動のみとなった。
Steam版では攻撃力255、力88とFC版を彷彿させるスペックはある…ように見せかけ、素早さが40と低いせいで攻撃回数が激減。とはいえピクリマ版はHPの伸びが悪いため、この段階でも2500ほどがせいぜい。クリーンヒット2撃で忍者が落ちる程度の火力はある。
だがピクリマ版はフェニックスの尾が店売りになったことで蘇生手段が増えたこと、所詮一回行動で単体のみしかないこと、各種ジョブで対策が容易なことからはっきり言ってかなり弱い部類のボスに成り下がった。
一方で家庭用版は素早さを改善したのか、魔導士系なら4000もダメージを受けるほど大幅に火力が上昇。前衛でもクリーンヒットしたら落ちる可能性大。
対策自体は変わらないので正直そこまで強さの印象は変わらないが…。
名前について
名前の『2』の読み方は安定しておらず、『ツーヘッド』『ツインヘッド』『デュアルヘッド』など、媒体によって異なっている。複数形を考慮したヘッズとしないのはカタカナ日本語表記を優先するものだろうか。
海外版でのゲーム中の表記は Two-Headed Dragon。
FF3以外の出演
友情出演という形で他の作品にも登場している。
FF1
同じく打撃一辺倒のスペックで登場。ただ、出現次期が早い為に大幅に弱体化しており、単体攻撃だけというのが災いし、FF3四天王組のなかでは一番対処が簡単である。
FF4TA
打撃2連を仕掛けてくるが、むしろ厄介になるのは新たに覚えた魔法攻撃である。とはいえ、単体攻撃に終始しているのは変わっておらず、全員が一気に全滅することはない。ただしFF4系の首が長いドラゴンによくある事として、巻き付きによるカウンター攻撃で主要メンバーがマヒする事故がよくある。
FF14
アライアンスレイドダンジョン「闇の世界」の道中モンスターとして登場。通常の敵より若干HPが高い程度で大した強さは持たないが、その後の中ボス戦で首がさらに増えた「ファイブヘッドドラゴン」という強化版が登場し、多彩な範囲攻撃でプレイヤーを苦しめる。
余談
このモンスターの強さを語られる際に「9999を連発された」というものがあるが、実際は攻撃力と倍率の関係でカンストしないことが判明している。
バカ高い攻撃力で次々と戦闘不能にされることから生まれた誤解と思われるが、明らかに未プレイで語るもしくはリメイクに対する叩き棒にする輩がいるのも事実である。
何分昔のゲームなので知識の間違い自体は仕方ないことなのだろうが…。