鎧武者怪人
よろいむしゃかいじん
『仮面ライダーオーズ ノブナガの欲望』に登場する怪人。映画パンフレットや後の仮面ライダー図鑑などではこの名で呼ばれるほか、一部児童誌では武者グリードと表記された。
全身を銀の鎧に包んだ謎の怪人で、左腕は蟹の鋏になっている。また、脚の草履は伊勢海老に似ている。顔は眼も口もないのっぺらぼう。
和風の甲冑を着ているが、使用する武器は十字架型の大剣で、オーズを吹き飛ばすほどの威力を有する。
町に出没しては次々に戦国武将の子孫を斬殺(これらのシーンは『オーズ』TV放送前に脚本が執筆されたためか、平成初期のライダー並みの残酷描写になっている)して回り、死体の上にバツ印を付けた家紋の紙を置いて回っていた。
その正体は鴻上ファウンデーションが発掘した織田信長のミイラから採取された遺伝子を元に作り上げたホムンクルス「ノブナガ」であり、グリードとして生き返った姿であった。
自身を夢半ばにして死に追いやった部下たちへ復讐を果たそうとするも既に皆墓の下にいるということでその子孫たちにターゲットを絞り、片っ端から虐殺して回っていた。
鴻上光生が「日本史上最も欲深かった男」と称した通り、グリード五人衆の比ではない程に強欲かつ傲慢な性格であり、復讐を終えた後は世界征服に乗り出そうと目論んでいた。どうしてこうオーズに出てくる為政者はこんなやつばっかりなのか。
明智光秀の子孫のバレリーナ・明智よしのを殺そうとするもその美しさに惹かれてしまい、結局とどめを刺せないまま、自らの残り少ない命を削って病院で眠る彼女の脚を治療する。それにより死の淵に立たされてしまうものの、真木清人にサソリ・カニ・エビのコアメダルを埋め込まれ、完全体(メイン画像右端)として覚醒する。
真木によって節足動物系コアメダルを埋め込まれた鎧武者怪人の完全態。
顔もいかつい武者の相貌になり、頭は信長が生前愛用していたそれに酷似した兜を着用している。また、不完全体にはない黒いマントをたなびかせているのも特徴。
大剣からは稲妻が走るようになり、遠方のビルも真っ二つに出来る。
戦闘力は圧倒的で、オーズをあっという間に叩きのめすほどのパワーを有する。
兜にはサソリ状の鍬形、左腕にはカニのハサミ、爪先にはエビの顔があり、まさしく節足動物系のグリードとも言うべき姿をしている。
この姿になる前にノブナガが映司に対し「俺を殺せ!!」と懇願していることからもわかる通り欲望に心を食われており、不完全体に比べると知性は劣りほとんどしゃべらない。
オーズ・サゴーゾコンボとの戦いに敗れ、怪人としての身体を維持できなくなった鎧武者怪人はノブナガの姿に戻ってしまう。
最初の友の腕の中で、ノブナガはその第二の人生を終え、セルメダルへと還って行った。
最後に彼が見た愛しい人の幻影は、映司の目にも届いたのか。それは誰にもわからない。
随所に動物の要素が組み込まれている点や不完全体が存在すると言う点だけで言えば、所謂「節足動物系のグリード」と呼ぶべき存在なのだろうが、現在の公式媒体(特に「仮面ライダー図鑑」)ではグリードとして扱われておらず、グリードで検索を掛けてもヒットしない。確かにグリードと扱われるにしては、グリードにあるべきモノアイとベルトの衣装も無いので当然と言えば当然か。(後年に登場した新グリードは法則を踏襲してモノアイとベルトの意匠が組み込まれている。)
グリードに近い誕生方法でありながらグリードとは扱われないという点は仮面ライダーポセイドンを、別の生命体がメダルを入れられて怪人に変貌するという点は映司グリードに非常に似通っている。もし、本当の意味で節足動物系グリードに数えられる存在が今後現れるなら、生物の配置がビカソコンボと同じになるだろう。