概要
特撮ものが停滞していた時代に製作された東宝のニューヒーロー。原作は雁屋哲。
1979年5月から12月(または1980年1月)にかけて、フジテレビ系列の基幹局と岡山放送、サガテレビ、秋田テレビ、石川テレビ、福井テレビ、テレビ長崎に加えてTBS系列局約1局で放送された。なお、本作が放送された月曜19時台前半はローカルセールス枠だったため、放送自体なかった系列局も少なからず存在したほか、放送した系列局も(同じ月曜日に放送しはしたが)放送時間を差し替えた局も存在した。
当時の新聞紙上では、第14話から『炎の超人メガロマン』へと改題されるが、タイトルロゴは変更されていない。ただし、書籍によってはあたかも番組名自体が変更されたかのような記述をしているものもある。
※なお、この「製作」に関しては面白い裏話が有る(後述)。…て、言うか金田益実さん、これ「ソノラマ時代の『宇宙船』」で発表しないとダメなネタじゃん!?何で令和の今頃出してんのさ?!
物語
ロゼッタ星が黒星族(こくせいぞく)によって征服されてしまった。
脱出したロゼッタ星人たてがみ族のローズマリー、たかしの親子は地球に漂着。
しかし地球にも黒星族の魔の手が迫る!
登場人物
・獅子堂たかし (北詰優基)
地球人の父・剛とロゼッタ星人たてがみ族の母・ローズマリーとの間に生まれた。必殺技は旋風脚。
・メガロマン
宇宙拳法を使うヒーロー。必殺技は炎の鬣「メガロンファイヤー」、サイ状の武器「メガロンブレード」。
尚、たまにネタにされる身長150メートルに見えない事であるが、初期の黒星怪獣が設定ではメガロマンより小さい事から「メガロンファイヤー」の準備動作である「メガロンメイン」をする際の鬣の長さも含めた(と言うか「盛った」)数字と考えた方が良い部分が有る(見た目はゴンさんそっくりだ‼)。そして、「月刊OUT」1979年5月号の宣伝記事(内容自体は企画書ベースなので本編と一部食い違いが有る)によると怪獣に合わせて身長が変わるという設定も有ったらしい。
雑誌の特写で用いられた着ぐるみは、その出来の酷さから第1話のカマキドンや第2話のゴラン共々作り直しを余儀なくされている(顔が腹話術の人形じみた模様の他、全体的に作りが粗い)。
・高嶺ラン (杉まどか)
たかしが通う拳法道場の娘。きわどいレオタード姿で闘う。
企画段階では「たかしとダガーとの間で揺れ動く」という設定だった。
・由利兵介 (穂積ペペ)
たかしと共に拳法道場に通う仲間。
・黒川精次 (ジミー荒木)
たかしと共に拳法道場に通う仲間。
・猿一平 (横満耕司)
たかしと共に拳法道場に通う仲間。幼いながらも果敢に戦う。
・ローズマリー (高林由起子)
たかしの母。彼女もレオタードを着用。
夫と二男は生死不明と、状況はゾーンファミリーより圧倒的に不利。
・高嶺荘源 (井上孝雄)
剛の親友。ランの父で、拳法の道場をやっている。たかし親子をかくまっている。
・総統スメラー (声:沢りつお)
黄金の仮面を着用する黒星族の総統だが、あまり威厳はない。
第11話でダガーを更迭しようとするも、逆に反逆された上、怪獣にされてしまい、そのまま死亡。※この件についてダガーが『「総統は宇宙船の事故で亡くなった」と虚偽の発表をした』のだが(第12話Aパート:サブタイトル直後)、昨今の資料/動画公開問題で情報が錯綜し件のシーンの存在が疑われていた。
・獅子堂ひろし=キャプテンダガー (北詰優基)
銀の仮面を着用する黒星族指揮官。下剋上を行ってからはスメラーの仮面を奪い自らが総統となる。
実は行方不明になっていた、たかしの双子の弟で、スメラーに養子として育てられた。
声は池水通洋氏の吹替えだが(双子という設定故のスケジュールの遣り繰りの都合も有った模様)、第5話以降メガロマンの掛け声(五大怪獣軍団編でのメガロマンの姿のまま「たかしとして喋る」シーンも含む)も池水氏の担当となった為、ダガーとしての吹替えは音声が加工されており別人の様になっている。
仮面を被ったままの回は原則「スタントイン」だった模様。
・ベーロック(黒部進)
黒星族の科学長官として第20話から登場。ケイブンシャの「全怪獣怪人(上)」では第1話から登場している様に書かれているが、これは間違い。「学習塾の講師に化けていた」のも精次が退場する第25話のみである。
初登場の「五大怪獣軍団編」とその後の話で言動のズレがあるが、これはそもそも「五大怪獣軍団編は精次役のジミー荒木氏の降板後、番組の打ち切りか継続かの試金石として急遽追加撮影されて編成に割り込ませた」為らしい。
・黒星兵士
いわゆる戦闘員。後述の黒星怪獣は原則的に彼らを「怪獣合成装置」で怪獣化した物。
とあるTwitterでマスクが「バトルホーク」の同名ヒーローのマスクの型を改造/流用した可能性が指摘されている。
人間の姿については「人間のマスクを被って〜」変装しているらしいセリフが確認されているが、ベーロックに限らず「そもそも人間顔」の黒星族が中〜後半にそれなりに出て来る為、製作サイドで設定の統一が出来ていなかった節「がある。
登場怪獣
詳細は黒星怪獣を参照
・黒星怪獣カマキドン
第1話に登場。二つの頭を持ち、両手が鎌になっている(と言うと、アルムンガと間違えられそうなので、「トリケラトプスの頭とステゴザウルスの体を持つ四脚怪獣の肩から一つ目巨人の上半身が生えた」見た目である)。オープニングで毎回殺される、哀れな怪獣。※実はこのシーン、第1話での実際の止めのシーンではない。
・黒星怪獣ヌンチャック
第11話に登場。総統スメラーが改造された怪獣なのだが、いたって普通に倒されてしまう。
・仮面怪獣ダガー
最終回でダガーが自ら怪獣合成装置に入って変身。実は企画段階ではダガー(この段階では別の名前だった)が変身して兄弟対決をしたり、素顔を晒してたかし達を翻弄する展開をかなり早い段階からドラマに入れる予定だったらしい(あれ?どっかで聞いた様な…?)。
用語解説
・メガロンファイヤー
メガロマンの必殺技。「メガロンオーラ」の掛け声で全身に炎の如きエネルギーを纏い、「メガロンメイン」で逆立てた鬣(たてがみ:「メイン」はここでは「たてがみ」の意味である)にそれをまとめて技名と共に(鬣を振り回す形で)火球として放つ物。
一度使用すると再使用可能になるまで「3分」かかるが、メガロマン自身に行動制限がかかる訳では無い為「五大怪獣軍団」編でのベーロックの作戦は結局無駄に終わった。
・バリヤーパイル
黒星族の侵略手段。要塞惑星から目標の惑星の特定地域に等間隔で六基のパイルを打ち込み、仕上げに「センターパイル」を中心部に打ち込む事でバリヤードームが形成される。
バリヤードーム内は超高温になる事で閉じ込められた存在は消滅する為、侵略される側はセンターパイルの設置完了を如何に阻止するかが重要となる(設置済のパイルはセンターパイルが破壊されると連鎖爆発する)。
第12話でローズマリーが「たてがみ族の首都がバリヤーパイル作戦に陥落」した際の事を思い出した事でたかし達はすんでの所で作戦を阻止出来た(この際、メガロマンがレザックスをメガロンブレイダーで倒しているのはセンターパイル破壊の為にメガロンファイヤーを温存していた事による)。
因みに、黒星族の地球に対するバリヤーパイル作戦は「太陽のエネルギーを根こそぎ奪い宇宙征服に利用する」為で、既に太陽系内の各惑星にバリヤードーム基地が設営済であった。
また、第12話での描写から「黒星族は別の星からの侵略者では?」との説が一部であったらしいが、実際には(要塞惑星で宇宙を荒らし回っていた)黒星族がたてがみ族との因縁に決着を着ける為に戻って来て、侵攻を行ったと言うのがロゼッタ星征服の実態だったようだ。
関連タグ
デジモンフロンティア-何となく似てる。
恐竜戦隊コセイドン イナズマン-中盤の話数から何故か、この2作品からの流用曲が使用される事となる作品。
電脳警察サイバーコップ-アクションをジャパン・アクション・クラブ(J.A.C.)が手掛けた東宝作品繋がり。
富田祐弘:本作メイン脚本の一角。同じく本作メイン脚本であった田村多津夫の弟子。
UFO戦士ダイアポロンとの相違点
同一作者と言う事もあり、UFO戦士ダイアポロンとは何かと相違点がある。
共通点
・共に故郷の星を追われている
相違点
ダイアポロン
・アポロン星はすでに滅亡しており、ダザーン星もまた滅亡の危機に瀕している。
・孤児院が活動拠点
・タケシ(ダイアポロン)と従者ラビが亡命し、
メガロマン
・ロゼッタ星は健在だが、黒星族に支配されており、故郷の奪還を目指している
・拳法道場が活動拠点
・ローズマリーとたかしが亡命
製作話数と放送話数のズレ
ベーロックの所でも軽く触れたが、第20話以降は(第26話辺りまで)実際の製作話数と放送話数にズレが生じている。この辺りはかねてから(ソノラマのカード図鑑等を論拠に)有志達により指摘されていた。
第19話のアルムンガの話と直接繋がっているのは放送22話のソーンガーの回である為(ベーロックの本来の初登場回)、前倒しで挿入するのに無理が少ない(且つ撮影済のシーン流用が効く)形でイベント編の「五大怪獣軍団対メガロマン」(前後編)を作成する為と見られる。
実際には他にも事情が有ったのだろうが・・・。
令和に明かされた新事実
(少し真面目に)2019年4月30日、Twitter上に石井儀一氏(恐竜大戦争アイゼンボーグ」等の作画に参加されていた)がある投稿を行った。このツイートの内容と、これへの返信として上述の金田益実氏が明らかにしたのが『「メガロマン」はテレビ、代理店主導で企画され、ピープロか東宝どちらか製作に内定。マグマ大使を意識したデザインもそのためです。結果東宝になりましたが、もしピープロが製作したら全く違う作品になっていたでしょうね。その関係でピープロはショーだけ請負いました。』と言う、一般的な特撮ファンからすれば「寝耳に水」な情報だった。
また、このツイートに「昭和史研究家」黒木鉄也氏が絡む形で様々な事が明らかになった。
例:博報堂がフジテレビの番組枠を買って予算も出す、持ち込み製作
真野田陽一監督の会社「デル・トロイム」が下請けとして「栄スタジオ」を借りて特撮パートを手掛けていた
等々。
この辺りの情報が「特撮秘宝」Vol.3の「うしおそうじ&ピープロダクション年表」に記載されていない事情は不明だが、記事を担当した「但馬オサム」氏に金田氏から情報が伝わっていなかった為とも考えられる。
なお、Wikipediaにこの辺りの情報が反映されていない件についてはWikipediaの編集規約が関係している模様。
真の関連リンク
ピープロダクション※理由は上述の通り。
さらに、2020年5月1日、You Tubeに「メガロマン&ウルトラマン(1979年)~昭和特撮名場面集~」なる動画が上げられた。
これに関して上がっていたツイートを精査すると元画像は本作放送当時(1979年/昭和54年)の「小川宏ショー」における夏休み企画だったらしい。
簡素なミニチュアセットでの立ち回りとは言え、撮影用のメガロマンとバリゲーンとボンバロン、アトラクション用の初代ウルトラマン(目が黄色い)との共演は様々な意味で視聴者を驚かせた。
制作スケジュールから逆算すると、バリゲーンとボンバロンは撮影本番前の先行登場だった事になり、この企画にはフジテレビ側の視聴率面でのテコ入れの意味合いも有ったようだ。何しろフジテレビ(系列の基幹局と岡山放送、サガテレビ)での放送時間帯では、ルパン三世PART2(日本テレビほか)とクイズ100人に聞きました(TBS系列局ほか)による視聴率争いが展開されており、それに割って入ることが難しかった、と言う事情があった。
第15話でたてがみ族のマキ役に藤堂新二(当時の芸名は香山浩介)が出演するが、既に黒星族に寝返り、メガロマンを付け狙うも最後は絶命した。