キャラクターとしてのイナズマンについてはこちらで。
概要
超能力者の青年・渡五郎が、人々を苦しめる悪のミュータントたちから平和を守る物語。東映東京撮影所製作。
1973年10月から1974年9月までNET(・毎日放送)系列局ほかにて放送された。26話以降は第2期『イナズマンF』として放送されている。
イナズマンシリーズは、「バラバンバラはイナズマンの母」(石ノ森章太郎が監督した)や、『幻影都市デスパーシティ』(『F』)などのハードな作風から、1970年代には画期的な作品であった。
サナギマンからイナズマンに二段変身をするので、「二段変身」をする代表的なヒーローでもある。
漫画版は『人造人間キカイダー』の次回作(後に続編であることが明かされる)として『週刊少年サンデー』に掲載されたが、こちらでは帝王バンバは終盤まで登場しないなど設定に大きく違いがあり、そもそもヒーロー物より異能バトルに力を裂いている。
登場人物
少年同盟
善の超能力者たちが集まって出来た組織。「スパーッ!」という掛け声で制服に着替える。
電話ボックスが基地の入り口になっている。エレクトロボーイ号という自転車が移動手段で、通信機であるピットと呼ばれるバッジが非常時の投擲武器となる。
名前の由来は石ノ森章太郎の同名の漫画作品から。
演:伴大介(渡五郎役)
東南大学3年で、サッカー部に所属している。新人類帝国のイツツバンバラに襲われていた大木サトコとカツミを助けたことから自分が超能力者である事実を知り、少年同盟に加盟。人類の自由のために新人類帝国と戦うことを決意する。性格は明るく、正義感が強いが、感情的になり易い一面もある。
初期は近未来的なイメージを持つ少年同盟の制服を着用していたが、第11話以降は大学生らしい普通の恰好をするようになった(同時に他少年同盟員達の出番や、組織としての活動描写も激減している)。
「剛力招来」と叫ぶことで、最初はサナギマンといういまいちカッコ悪い外見のヒーローに変身するが、その後「超力将来」と叫ぶことで甲殻を引き裂き、イナズマンに変身する。
石ノ森章太郎本人が「アイツは最強だよ」と語るだけあって実力は石ノ森ヒーロー内でもかなりのレベルであり、テレポーテーション、分身、雷撃(イナズマンだけに)などと言った多種多彩な超能力を使用できる。また、ビルを軽々と支えたり、真空空間を疑似的に作り出して島ほどの巨大要塞を爆破し、なおかつその爆心地にいても傷一つ負わないといった単純な攻防も恐ろしくハイスペックである。
専用車はライジンゴー。
丸目豪作
演:北村晃一
五郎の協力者である禿頭で髭を生やした苦学生。
九州出身で、怪力の持ち主。超能力は持っていないが武術の心得がある為、新人類相手に立ち向かう事も。
大木サトコ/大木カツミ/富川カオル
演:桜井マリ(サトコ)/山田芳一(カツミ)/府川房代(カオル)
少年同盟のメンバー。
キャプテン・サラー
演:室田日出男
少年同盟のリーダーの指導者で、渡五郎を同盟に引き入れた。
…にもかかわらず、第1話のみの登場となっている。
漫画版では仙人のような身なりで登場し、こちらでは特撮版のボツ設定であるバンバの兄という設定が採用された。
新人類帝国ファントム軍団
帝王バンバが結成した悪の超能力者集団。超能力者(ミュータント)を新たな人類であると考え、超能力を持たない旧人類を滅ぼし、ミュータントのみの世界を作り上げようとしている。「選民思想」を持った悪の集団の元祖といったところだろうか(やってることはショッカーなんかとあんまり変わらないのだが)。
CV:飯塚昭三。ファントム軍団の頂点に立つ帝王。三本指の右腕を持ち、肌も青白いため、変身前から異形の姿をしている。
「ロボット」というが、実際には脳以外の部分を全て改造したサイボーグと思われる。風や霧等自然現象や化学物質、抽象的なものをモチーフにしたものが多い。少なからず動植物をモチーフにしたものも存在するが、「タケバンバラ」とかやっぱり変わっている。
漫画版のみの登場キャラクター
CVはOVAでのもの。
CV:山口勝平
主人公。特撮版における渡五郎に相当する人物。詳しくは該当項目にて。
ミヨッペ
CV:吉田小百合
サブロウの隣に住む幼馴染。超能力を持たない一般人である。
MEIMU版「イナズマンVSキカイダー」ではサブロウの姉「風田御世」として登場。『MOVIE大戦アルティメイタム』にリメイクキャラが登場している。
リュウ子
CV:かないみか
ミヨッペの妹で超能力者。通称「おリュウ」。
八五郎
ミヨッペの飼い犬で、リュウ子を乗せて移動する。
彼もまたテレパシーに目覚めている超能力者である。
揮大坊玲次郎
CV:高木渉
桜山高校に在籍。寺の住職の息子で、元・新人類帝国の刺客。
超能力で木刀を強化する剣術を得意としており、トンボを操って文字を起こす事もできる。
コング大王
CV:長嶝高士
桜山高校に在籍。元・新人類帝国の刺客で、サブロウの仲間となってからは怪力と超能力を武器に戦う。
『MOVIE大戦アルティメイタム』にリメイクキャラが登場している。
リオン
少年同盟のメンバー。リオンはフランソワーズ・アルヌール似の美人で変身能力を持つ。
巨猫に変身してサブロウを襲い、イナズマンへの覚醒を促した。
サブロウに送ったイメージの影響でイナズマンが蝶の特質を備えるようになった。
イライザ
全身を火炎で包む能力を持つ少年同盟のメンバー。
キム
動物を自在に操る能力と大蝙蝠への変身能力を持つ少年同盟のメンバー。
褐色肌にターバンの小柄な少年。
ルビィ
総統と呼ばれる悪の超能力者に率いられる超能力者の一人。
時限爆弾を抱いた犬をサブロウ宅にけしかけて両親を殺害した張本人。のちにサブロウの味方となり、女イナズマンともいうべき蝶人に変身できるようになるが、戦死してしまう。
『MOVIE大戦アルティメイタム』にリメイクキャラが登場している。
チカメネズミ
桜山高校に在籍。
新人類帝国の刺客の一人で、その名の通り、スパイ活動が得意。
『MOVIE大戦アルティメイタム』にリメイクキャラが登場している。
博士(ドクター)
桜山高校に在籍する毛髪の少ない青年。本名は御子神だが、フルネームは不明。
新人類帝国の刺客で、憑依能力でサブロウの母に似せた人形を操った他、目からは怪光線を放つ。
サブロウの説得に応じなかったため、チカメネズミ共々超能力を行使する部分を破壊されて凡人になってしまった。
小巻先生
サブロウの通う高校の教師で文字を使った催眠術が得意。
新人類帝国の刺客として現れ、サブロウの思念波放射で改心しかけるも殺害されてしまう。
その後、小巻先生に成り代わった偽物がミヨッペやサブロウの父に催眠術や憑依能力を行使して殺害を目論むが、イナズマンと八五郎の罠に掛かって倒された。
こちらは怪人態としてメドゥーサのような姿にもなれる。
玲次郎の父
新人類帝国に超能力増幅器を取り付けられて操られた住職。
墓石に乗って飛行し、分身能力や小巻先生のゾンビを操る能力でサブロウに襲いかかったが、オリュウの不意打ちで本体を倒されて元に戻った。
荒神牙男
満月の夜に人狼に変身する力を持つ少年。
自身の能力から首刈り殺人事件の犯人ではないかと思い込んでいたが、真犯人が鉄平であった事を知り、愛憎のままに鉄平を殺害した。
荒神鉄平
牙男の実父で獣化能力と悪夢を相手に見せる催眠術を持つ。
自身の能力を疎ましく思い、同じ能力者である牙男を一度は捨てたが、新人類帝国に嗾されて再び彼を引き取った。
ドリップ
異次元円盤人の少年トリップの父親で光線銃が武器。
新人類帝国に指令装置を埋め込まれ、イナズマンを四次元空間に引き込むも敗れた。
総統
J・D・P(ジャパン・デストロイ・プロジェクト)を掲げ、アニマル・グループと呼ばれる動物たちを操る超能力者集団を使役し、日本各地の火山を活性化させると日本政府を脅迫してきた。
超能力バリアマシンと呼ばれるパイロット以外の超能力を封じる円盤兵器や自身を含めた生物の巨大化、超能力クローンによる自己増殖能力を持つが、イナズマンの放電で焼き払われて敗れた。
特撮版のガイゼル総統に相当すると思われる。
オサム
総統の配下であるサングラスの青年で、その正体は新人類帝国の刺客。
総統が倒されたのちにルビィの訃報を知らせにきたサブロウを念力バリヤー・ナイフで刺突して誘拐幇助を行なった。
オクトパス
総統の配下で、額のいぼが特徴的なスキンヘッドの超能力者。
サブロウの両親
風田鮮魚店を営む。実はサブロウの実親ではなく、捨てられていたサブロウを引き取って育てた。
総統らの爆弾テロによって死亡した。
サブロウの実母
新人類帝国からの刺客。
代々超能力を行使できる家系の生まれであり、地球を汚す現人類に絶望し、サブロウを新人類帝国に勧誘するが、博士が差し向けた人形の自爆からサブロウを守って死亡、遺灰はサブロウと融合した。
イナズマンのデザイン
特撮版では肩パッドやマフラーの勇ましい、いかにもヒーロー然とした外見である。
しかし、漫画版ではかなり細マッチョで全身に血管が浮き出ており、さらに黒いビキニパンツを履いている奇妙な姿であり、特撮版に存在した真ん中の触角もない。真ん中のは蝶や蛾の口吻をモチーフとしたものである。作中では「蝶のような姿」と呼ばれているが実際見てみると頭部は蛾のイメージが濃く出ている。仮面ライダーフォーゼに出演した新イナズマン=風田三郎(漫画版では風田サブロウ)も、こちらのデザインを踏襲している。
また、漫画版にはルビィと言う名の女イナズマンも登場する。これは蝶のイメージが全身に強く反映されておりイナズマンの初期デザインの流用と言われている。MEIMU作のリメイク版にも三郎の姉・風田御世として登場している。なお、漫画版の表紙には漫画版デザインをベースにテレビ版同様のマフラーを追加したデザインも存在している。
また、テレビ版のCMアイキャッチのイナズマンはテレビ本編とほぼ同一のデザインだが、腕にアゲハチョウの翅の意匠があるなど細部のデザインが一部異なる。これはどうやらNGスーツ版を描いた物のようである。
ちなみにイナズマンが超能力を使う理由は制作当時UFOなどのオカルトものが一大ブームを巻き起こしていた事に由来し、蝶をモチーフとしたデザインは蝶と超能力者を掛けた言葉遊びから来ている。(なんの因果か放送の翌年には超能力が一大ブームになっていたりする。)また、イナズマチョウという蝶は東南アジアに実際に生息している蝶だが、多分これは偶然被ったものだろう。(幼虫が稲光を思わせる形状をしているためこの名が付いたものと思われる。)
もとはアニメ企画だった
本作は東映動画の籏野義文によるアニメ企画『ミュータントZ』が原案で、この企画が平山亨の目に留まり、『イナズマン』として制作されるに至った。なお、当初は『電光イナヅマン』のタイトルでTBSのタケダアワーでの放送を予定していた。
主題歌/挿入歌
- 戦えイナズマン(OP)
作詞:石森章太郎、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:子門真人、コロムビアゆりかご会。
OPでは今週の怪人であるミュータンロボットがライジンゴーの雄叫びと共に映し出される演出を採用している。
また、一部歌詞が異なるNG版が存在する。
- チェスト!チェスト!イナズマン(ED/挿入歌)
作詞:八手三郎、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:水木一郎。
- 怒れライジンゴー(挿入歌)
作詞:田中守、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:水木一郎。
ライジンゴーのテーマ曲。
関連イラスト
- 旧イナズマン
- 漫画版&新イナズマン
関連タグ
人造人間キカイダー:漫画版は漫画「キカイダー」の正式な続編。実写版でもどちらも伴大介氏が主演を務める。
仮面ライダーカブト:カブトにおけるキャストオフシステムは、イナズマンの二段変身を基にしている。
仮面ライダーエグゼイド:上記のカブトと同じく二段変身するヒーロー(レベル1→レベル2)。
レッツゴー仮面ライダー:イナズマンが特別出演。
仮面ライダーフォーゼ(2012年12月公開映画『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』のフォーゼパートにサナギマンとイナズマンが登場、『スーパーヒーロー大戦Z』でも共演している。)
少年同盟・・・作中に登場する組織『少年同盟』の原案になった漫画作品。
キカイダーTheAnimation:第二部『キカイダー01 The Animation』のコレクターズDVD-BOXに収録されている作品「ギターを持った少年 -キカイダーVSイナズマン-」に登場。「イナズマン」の原作版に合わせて中学生の風田サブロウ(CV:山口勝平)がイナズマンの変身者である。