概要
石ノ森章太郎の漫画『イナズマン』の一編で第14話に当たる。週刊少年サンデー1974年17号に掲載された。
今作と『人造人間キカイダー』のクロスオーバー作品であり、漫画版『人造人間キカイダー』の完結編であり、新人類帝国に洗脳されてしまったジローと風田サブロウとの戦いを描く。
なお、本作にジローこそ登場するが、顔がキカイダーのように変化するのみでチェンジはしていない。
アニメ版
『キカイダー01TheAnimation』のDVD-BOX収録の特別編『ギターを持った少年-キカイダーVSイナズマン-』としてアニメ化されており、漫画版『イナズマン』のアニメ化作品は現状、この一編のみである。
NHK衛星第2の特番『とことん!石ノ森章太郎』の「第二夜 孤高のヒーロー」(2008年03月24日放送)にてTV放映を果たした。
アニメーション制作はRADIX、スタジオOX。脚本は大西信介氏が担当しており、なんと『仮面ライダーSPIRITS』で知られる村枝賢一氏が脚本協力を勤めている。
制作はアニプレックス主導であるが、『キカイダー』と『イナズマン』の特撮版を手掛けた東映も協力している。
エンディングテーマはアニメ第1作のOPテーマであった「Teme of Gemini(Opening Theme)」(作曲:見岳章)。
原作版との相違点
- 原作エピソードに登場しなかったミヨッペ、ハンペン、キカイダー01の登場。
- 原作エピソードではジローの人類への復讐心を利用したのはバンバである事が示唆されているが、本作では特撮版の敵キャラであったイツツバンバラがジローの洗脳を行っている。
- 原作エピソードではイナズマンにジローの服従回路が破壊されるが、本作では服従回路は破壊されない。
- 本作最大の相違点としてジローがキカイダーにチェンジするのでタイトル詐欺にはなっていない。
登場人物
- 風田サブロウ/サナギマン/イナズマン(CV:山口勝平)
- ジロー/キカイダー(CV:関智一)
- ミヨッペ(CV:吉田小百合)
- 揮大坊玲次郎(CV:高木渉)
- コング大王(CV:長嶝高士)
- オリュウ(CV:かないみか)
- イチロー/キカイダー01(CV:森久保祥太郎)
- 服部半平(CV:キートン山田)
- イツツバンバラ
イナズマンVSキカイダー
角川書店刊特撮エース1号から11号で掲載された同作ひいては漫画版『イナズマン』そのもののリメイク作品。
MEIMU氏が手掛けるキカイダーのリメイク作品『キカイダー02』の完結編として制作されたが、『キカイダー02』の休載期間に連載された為、本作の終了後に『02』の本編が完結したという一風変わった制作過程を持つ。
原作から大きく変わった要素として少年同盟の設定そのものがバッサリカット、メインヴィランとなる新人類帝国も構成員が特撮版のミュータンロボット(本作では単に新人類(ミュータント)となっている)に置き換わっているなどのアレンジが加えられた。
登場人物
- 風田サブロウ/サナギマン/イナズマン
本作の主人公。
新人類帝国の洗脳を受けたジローの襲撃に際し、サナギマンへと覚醒する。
サナギマンのデザインは原作・特撮版・『MOVIE大戦アルティメイタム』版のどれとも異なる後頭部から房を垂らした大柄な姿をしており、イナズマンは『MOVIE大戦アルティメイタム』版に近いながらも、手足から昆虫の脚のようなパーツが伸びており、蝶の翅を生やして空を飛ぶ。
- 風田御世
本作のヒロインで原作のミヨッペに相当。
本作ではサブロウの姉という設定になっており、変身態は原作版のルビィのデザインを基にしている。
必殺技は翅から突風を起こす「念風(サイコウィンド)」、鱗粉を撒き散らして対象を消し去る「念鱗粉(サイコスケール)」。
- ジロー/キカイダー
『02』本編の主人公、市街地で暴れる新人類帝国のミュータントを相手に戦うが、カビバンバラに洗脳されてしまい、イナズマンによって洗脳から解放される。
人間のために戦える正義の心を持つ一方、自身の経験から旧人類を愚かだと見做すバンバの思想にも共感するところがあったようである。
- サブロウの母親/バラバンバラ
原作のサブロウの母親に相当し、役割も概ね同じ。
特撮版における渡五郎/イナズマンの母親である渡シノブの設定も統合されており、バラバンバラが怪人態となっている。
- 小牧先生/キリバンバラ
原作の小牧先生に相当。
サブロウの通う高校に教師として潜入、昏睡状態に追い込んでサブロウの抹殺を目論むも失敗して正体を表した。
イナズマンに敗れて命乞いをするが、隙を見てサブロウ殺そうとした所にキカイダーのデンジエンドを浴びて爆散した。
キリバンバラのデザインは特撮版から女性然とした姿に大幅にリ・デザインされている。
- 帝王バンバ
新人類帝国の首領。
原作同様にムーンウォーカーというパワードスーツを装着した姿で登場。超能力バリアマシンを操る事で御世の超能力を封じることが出来る。
サラーが本作では登場しないため、旧人類抹殺計画の動機が新人類が人類より優れた能力を持ちながら、生物としては欠陥だらけの存在であった事への嫉妬となっている。
- 新人類
バンバに率いられる新人類帝国の手先。
特撮版のミュータンロボットを元ネタとしており、原典の要素を残しつつもよりクリーチャー然とした容姿にリ・デザインされている。
作中で登場したのはイツツバンバラ、カゲバンバラ、ホネバンバラ、ヒャクメバンバラ、トゲバンバラ、イシバンバラ、ミズバンバラ、ユキバンバラ、カビバンバラ、コブバンバラ。
他にもスナバンバラ、タケバンバラ、ツチバンバラ、カガミバンバラ、ホシバンバラ、アクマバンバラ、ドクバンバラ、シャシンバンバラ、カゼバンバラがバンバが呼び出した大軍団として登場している。
- 量産型ハカイダー
戦争で不毛の土地となった「空白の地(ブランク・エリア)」を警備している量産型のハカイダー。
戦闘力はあまり高くなく、ジローの機銃連射で破壊された。