概要
赤と青色で分割された左右非対称のデザインが特徴のヒーローである。
CV:伴大介(TV版特撮)、入江甚儀(REBOOT)、関智一(OVA及びレッツゴー仮面ライダー)
人物像
光明寺博士によって開発された戦闘用アンドロイドであり、人間に限りなく近しい考え方が出来る良心回路(ジェミニィ)を備えている。が、しかしその肝心な良心回路が不完全であるがために絶えず善と悪の狭間で苦しみ続ける宿命を背負ってしまっている。外見が左右非対称でグロテスクなのも良心回路が不完全であるがためである。漫画では鏡に映った姿を見て、「なんて気持ちの悪い姿なんだ」と嘆き悲しんでいた描写もある。
だが皮肉なことに良心回路が不安定で善と悪どっちつかずな状態であるからこそ、キカイダーは限りなく人間に近い存在になっているのであり、人間のように成長も出来るのである。ちなみにキカイダーのデザインは石ノ森章太郎氏のお気に入りで自身の傑作デザインとも公言している。
漫画版では動物を模して作られた自然警備用の13体のロボットのうちの一体という設定であり、光明寺博士の死んだ息子をモデルに制作された。つまり、13体の中で唯一の人間をモチーフに作られ、人間のような心を持たされた存在なのだから、最終的に「人間になってしまう」のは当然の帰結なのである。特撮版では変身さえすればギルの笛を無効化できたが、こちらでは変身後でもギルの笛の影響を受けてしまう。
ラストでギルによって服従回路(イエッサー)を取り付けられ、人間の悪の心を持ってしまった漫画版のキカイダーであるが、後日談に当たる『イナズマン』の一編「ギターを持った少年」では服従回路をイナズマンに焼き切られて苦しみから解放された(こちらではジローの顔がキカイダーのように変貌する程度でキカイダーにチェンジはしていない)。
しかし、同作のアニメ版である「イナズマンvsキカイダー」では自らの心に訴えかけてきたイナズマンを助けるべく、キカイダーにチェンジしてイツツバンバラを撃破するという流れに変更されており、服従回路は焼き切られていない。
変身
戦闘形態に変身する際には「チェインジ!」と叫んで行う。特撮版では
- 「チェインジ!」と叫んで右手の三本指を突きだす
- 「スイッチオン!」と言って両腕を大きく広げる
- 「ワン」で右腕を曲げ、左肩をタッチ
- 「ツー」で左腕を曲げ、右肩をタッチ
- 「スリー!」と叫び両腕を斜め上に突き上げ、Vの字を作る
という過程を踏むとペカペカ電流火花が散って赤と青のボディに変身していた。アニメ版では顔の皮膚が徐々に機械に変わっていく過程が描かれている。特撮版でも皮膚が裏返るような演出が取られている。
動作は省略も可能なのか、あるいは単に尺の都合か、スピンジャンプと共に一瞬で変身する事も多い…と言うか、三本指を突き出すタイミングを見計らったが如く悪魔の笛で毎回変身妨害されるので、ファンからは「常に瞬間変身すれば良いのに」と度々ツッコミの対象になる。
「REBOOT」版及び小説版では、人間体「ジロー」の時の姿は立体映像を周辺に展開していると設定されており、キカイダーの姿になるときは変身ではなく映像をオフにして本来の姿を現している。
能力
キカイダーは技は多いが、武器と呼べるような物は何一つ持っていない。純粋に己の五体を武器として戦っているのである。また、歌にも歌われたとおり、足に仕込まれたエアークラフトで飛行することも可能(漫画版では自在に飛び回りミサイルをキャッチして投げ返したりしていた)。市街戦では電磁力を利用して壁や天井に貼り付くなど、忍者のようなトリッキーな戦い方も得意。
なお漫画版キカイダーは最終兵器「破壊光線」を内蔵しているが、強力すぎるため良心回路が使うことを良しとせず使わずにしていた。彼がその「破壊光線」を使ったのは「悪の心を手に入れた」事の証明であり、皮肉にも「善性のみの人間は存在しない」事を理解した後であった。
ダブルチョップ
飛び上がって両手で手刀を落とす。部位破壊にも用いる。
回転アタック
自ら前方に回転しながら相手にドロップキックを喰らわせる技。直後にマウントポジションに移行しタコ殴りにすることが多い。ちなみに技名のアクセントは「ア」に付ける。
大車輪投げ
相手を斜め上に放り投げ、落ちた所を待ち構えて再び投げるというイジメ技。中盤からは投げられた敵が空中で車輪のようにぐるぐる回るという描写になった・
デンジエンド(電磁エンド)
いわゆる必殺技で、プロレスでいう所のフライングクロスチョップ。
両手首を交差させてスパークさせ、相手の体を高熱と磁力で切断させて体内に高圧電流を流し込み完膚なきまでに吹き飛ばす。数多くの敵を撃破してきた技で、途中からはほぼ100%の割合で敵ロボットが不自然に崖から転げ落ちて爆発していった。
特撮版で炸裂した際にはヒットした瞬間、ガラス(敵ロボットのカメラアイ?)がぶち割れる演出が入っていた。
主に上記のダブルチョップor回転アタックで間合いを詰め、大車輪投げでフラフラになった所に電磁エンド……のコンボで使われる。
キカイダースパーク
特撮版で唯一使用した幻の光線技。手から高圧電流を放射し、遠方の相手を感電死させる。
デンジエンドを跳ね返したクロガラスを倒した。
小説版では最初から使っていた。
銀河ハリケーン
相手の周囲をグルグル飛び回って翻弄しながら、手刀を叩きこむ。
ブラスター(破壊光線)
漫画版におけるキカイダーの最終兵器。どんなマシーンも一発で破壊できる威力のビーム砲で、目から発射する。強力すぎるため良心回路の判断で封印していたが、ギルハカイダーに服従回路(イエッサー)を組み込まれた事で封印を解除。同じく服従回路を組み込まれ、良心回路が無い故にギルハカイダーの言いなりとなった01・ダブルオー・ビジンダーを三人まとめて瞬殺した。
小説版設定
『キカイダーREBOOT』公開に先駆け角川文庫から出された小説『人造人間キカイダーTheNovel』では、光明寺博士が青い介護用ロボ「ゼロダイバー」と赤い無人兵器「フュージティヴ・フロム・ヘル」を合体させたロボットという設定で登場。
ダークの製造した戦闘用ロボットに搭載される電子頭脳は通常、ハードウェアの段階からプレジデント・ギルを攻撃する事はおろか命令に逆らう事さえも不可能な設計となっている(イメージとしてはアイザック・アシモフ作品に登場するロボットのロボット三原則をギルに対してのみ「人間」として適用したような状態と書けば解りやすいだろうか)。
それに対しキカイダーは異なる二種類のロボットの電子頭脳を特殊な回路で接合させる事で、ギル及びダークの命令に自らの意志で反抗する事を可能としている。
フュージティブ・フロム・ヘルの頭部は「透明なプラスチック」で覆われており、これを完成させたものが何という名前で呼ばれたかは、キカイダーファンにとっては書く必要もあるまい。
なお、ゼロダイバー及びフュージティブ・フロム・ヘルの名はいずれもキカイダーの初期案であり、「視聴率が低くなりそうだから」という理由でボツにされたもの。
余談
キカイダーは流線型デザインが特徴的なサイドカー、サイドマシーンを愛機としている。このサイドマシーンはカワサキが70年の東京モーターショーに出品したコンプセトマシンを黄色に塗り直したもので、その未来的なフォルムから根強い人気を誇っている。
関連タグ
マッドマッスル:左右非対称のデザインが特徴のロボット繋がり。
ミカエル戦車:キカイダーのオマージュである戦闘メカ。ただしこちらはキカイダーとは逆に悪役である。
メタルダー、ヒートトリガー、ラビットタンクフォーム、パーフェクトノックアウトゲーマーレベル99:身体の左右が赤と青のヒーロー
仮面ライダーアマゾンニューオメガ:左右非対称のデザインが特徴の仮面ライダー。こちらはプロデューサーの要望もあってキカイダーを連想させる半身の内部メカが露出した左右非対称なデザインとなっている。