性悪説
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せいあくせつ
性悪説は「人性論」における思想の一つ。
性悪説とは人間は本性では「弱い存在」、とする説のこと。
「人間は優れている」とする性善説の対義語でありながら両立も可能であり、例えば楽園追放を認めながら原罪を否定するイスラム法学は、基本理念において性善説でありながら、同時に徹底した性悪説に基づいて現実問題に対処する。
東洋哲学では、紀元前3世紀頃(中国戦国時代頃)中国の思想家、荀子が「荀子「性悪篇」」の中で「人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」と説いたことに由来する。
(ここで言う「性」は先天的な性質、「偽」は作為・人為や後天的に獲得される性質を意味する。「人間は生まれ付きは悪であり、善は後天的に獲得されるものである」の意味)
心理学者・経営学者のダグラス・マグレガーが提唱するXY理論の中のX理論に、性悪説の要素が強く含まれている。
- 「性善説」:孟子が提唱した思想。
- 「性無記説」:告子が提唱した思想。他文献や他の思想家による引用のみが後世に伝わっている為、詳細は不明だが「人間の生まれ付きの性質に善も悪もない」とする思想と思われる。
- 「性有善有悪説」:揚雄なる人物が唱えた思想。「人間の生まれ付きの性質は善悪を混在している」とする思想。唱えられた当時は有名だったらしいが、これも後世には他文献や他の思想家による引用のみが伝わっている。
- 「性三品説」:「生まれ付きの性質は人によって違うが、大まかに分けると『どんな育ちでも善人になる者』『どんな育ちでも悪人になる者』『善人になるか悪人になるかは育ちによる者』の3種類となる。ただし、最初の2種類は例外的で、大半の人間は『善人になるか悪人になるかは育ちによる者』」とする説。漢代〜唐代において広く信じられ、科挙以前の中国の官吏登用制度である「九品官人法」の根拠となったとされる。
悪とはなにか…弱さから生ずるすべてのものである。:思想では無いが似た意味合いをしたニーチェの格言。
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