ダークロボット
だーくろぼっと
『人造人間キカイダー』に登場するアンドロイド。いわゆる「今週の怪人」。
そもそもダーク破壊部隊とはプロフェッサー・ギルを総帥とする軍需産業を中心とした巨大犯罪シンジゲート「ダーク」の集団の中で前線に出て戦う部隊のことを指し、破壊部隊=ダークそのもの、というわけではない。中でも下っ端のアンドロイドマンと共に戦闘行為の現場指揮、並びに拠点制圧を担当する高い戦闘力を持つ動物型アンドロイドをダークロボットと呼んでいる。
本来ダークロボットは光明寺博士が13体の自然保護のために作ったロボットをギルが自分に都合の良いように改造したものであり、ギンガメ以降の第二期ダークロボットはダイダイカタツムリを除きギルやその部下が作成している。基本的に名称はモチーフとなった動物+色で初期の13体は両方とも英語だが、ギンガメ以降は色か動物、どちらか和名あるいは両方とも和名。最終盤に登場したダークロボットは色+事象+動物と言うネーミングになっている。このネーミング法則はハカイダー部隊の正体にも引き継がれた。
なお同じ色のロボットがゴロゴロいるため、特に色の被りなどは意識していないと思われる。女ベニクラゲ→アカクマバチ、ブラックハリモグラ→クロガラス等、短期間に連続で同じ色のロボットが出ることも少なくない。
基本的に外見は元となった生物になった生物の要素を大いに引き継いでいる一方で、ミドリマンモスやモモイロアルマジロのような外見からモチーフを特定できないメンツも多い。
漫画版の方がモチーフの生物らしいなんて事も往々にしてある(グリーンマンティスがそれ)。
ダークロボットはいわゆる無人兵器であり、銃火器や火炎放射、高圧電流にも耐える頑健な体と十人十色の凶悪な武装を保有している。
攻撃力は非常に高く、搭載兵器も極めて強力無比で、ざっと例を挙げても
- 灯台ひとつを腐食させて倒壊させるオレンジアントのギ酸
- 接触した物体を分子分解させるブラックホースの蹄鉄
- 人間を洗脳するダイダイカタツムリやアンコウブラウンの催眠器
- 高層ビルでも即座に凍結させるミドリマンモスの冷凍液
- 内部反響であらゆるものを爆発四散させるキメンガニレッドの音波砲
- 5000度の炎を放ち周囲を焼き尽くすアカ地雷ガマの火炎放射
などなど、超高性能兵器が目白押しである。
人間に化けることも可能だが影が怪獣そのものであるため、一般人は騙せてもキカイダーには簡単にバレてしまうことが多い。番組ナレーションでは「怪獣ロボット」などと呼ばれていた。
余談であるが兄弟機がやけに多い(カブトガニエンジとキメンガニレッドの他、初期破壊部隊とダイダイカタツムリ、キイロアリジゴク3兄弟等)。また兵器産業がバックにある故かバージョンアップ(バトル漫画で言う所の戦闘力インフレ)はかなり早い。第二期の最初に製作されたギンガメは第一期の5倍の出力を持つとされ、その二期組出身のカブトガニエンジに対しその後継機であるキメンガニレッドが「俺は貴様の5倍の出力なのだ」と発言していた。
なお、パーツさえあれば、再生も可能なようで第14話では合同慰霊祭と称してこれまで製造された個体が(意識もそのままに)復活。第14話の再生部隊は弱点を補強されて3倍の強さを手に入れたとされるが、大半はギンガメの武装でまとめてやられるならいざ知らず、ちょっと投げられたり、小突かれただけで破壊されている個体もチラホラいた。なのでバージョンアップに関してはどこまで信用していいかは不明。
それぞれが自我を有しており、(声優さんの演技もあって)お前らそれでも悪の組織が作ったロボかと言わんばかりに饒舌で感情豊か。
グレイサイキングはどこぞのポケモンみたいに感情的で頭が悪く、イエロージャガーと共に復活した際にはギンガメに先輩風を吹かそうとして粉々に破壊されたり、そのギンガメはダブルチョップ(平手)に対して「チョキと行くかぁ?」と返したり、バイオレットサザエはキカイダーに恋をしたり(どこまで本心かはわからない)、アカオニオコゼは玩具の銃を向けられただけで手を上げたりするなどの描写が見られる。
また、同族への仲間意識もあるらしく、復活したグリーンマンティス/ブラックホース/オレンジアントは功を争うことなく協力してキカイダーを倒そうとしたり、タコヤマブキは倒された仲間の仇討ちを画策している。
一方、漫画版はゴールデンバットを除き、意思こそあれど、プロフェッサーギルの命令に忠実で自我が希薄な機械的なキャラクター付けをされており、言葉を話さない個体も多い。
名前 | モチーフ | カラー | 声優 | 備考 |
---|---|---|---|---|
グレイサイキング | 犀 | 灰色 | 田中康郎 | |
グリーンマンティス | 蟷螂 | 緑色 | 大宮悌二 | 漫画版にも登場 |
オレンジアント | 蟻 | 橙色 | 増岡弘/山野井仁(アニメ版) | 漫画版にも登場 |
ブルーバッファロー | バッファロー | 青 | 田中康郎 | 児童誌のイラストでは赤い『レッドバッファロー』として登場した事も。アニメ版でもこちらの姿で登場。 |
イエロージャガー | ジャガー | 黄色 | 依田英助/檜山修之(アニメ版) | アニメ版にも登場 |
ブラックホース | 馬(ユニコーン) | 黒 | 島田彰 | アニメ版にも登場。 |
ブルスコング | ゴリラ | 青 | 大宮悌二 | 児童誌のイラストではブルドッグ型の『ブルードッグ』として登場。アニメ版でもこちらの姿で登場。 |
カーマインスパイダー | 蜘蛛 | カーマイン | 勝田久/広瀬正志(アニメ版) | アニメ版にも登場。 |
レッドコンドル | コンドル | 赤 | 和久井節夫 | |
サソリブラウン | 蠍 | 茶色 | 大宮悌二 | 後述する通り、サソリホワイトの名称で児童誌やアニメ版に登場。 |
ゴールドウルフ | 狼 | 金色 | 増岡弘 | 原作でのゴールデンバットにあたる存在、ジローよりもっと不完全な良心回路を持つ |
シルバーキャット | 猫 | 銀色 | 今西正男 | タイトルに「残酷魔女~」とあるが人格は男 |
ピンクタイガー | 虎 | 桃色 | 大宮悌二 | |
ギンガメ | 亀 | 銀色 | 和久井節夫 | 光明寺製作ではないダークロボット第1号 |
キンイロコウモリ | 蝙蝠 | 金色 | 増岡弘 | デザインは原作でのゴールデンバットと同じもの |
女ベニクラゲ | 水母 | 赤 | 京田尚子 | |
アカクマバチ | 熊蜂 | 赤 | 青森伸 | |
クロカメレオン | カメレオン | 黒 | 増岡弘 | |
カブトガニエンジ | 兜蟹 | 臙脂色 | 依田英助 | |
アオタガメ | 田亀 | 青 | 和久井節夫 | |
ムラサキネズミ | 鼠 | 紫 | 神山卓三 | ネズミに見えにくいデザインだが、赤い発光体がネズミの耳、ネズミの目に当たる部分から牙が生えている |
シロノコギリザメ | 鋸鮫 | 白 | 上田耕一 | 一見、ノコギリザメに見えにくいデザインだが、両腕にそれと分かる意匠があり、側面から見るとサメのエラや鮫肌を意識したデザインだと分かる。が、ヒレ部分はサメと言うより他の魚類に近い |
キイロアリジゴク三兄弟 | 浅羽蜻蛉 | 黄色 | 和久井節夫 | 長男の最終形態は「キイロウスバカゲロウ」という。後のソフビでは3号と呼ばれる |
モモイロアルマジロ | アルマジロ | 桃色 | 坂井すみ江 | 甲羅以外アルマジロ要素が少ない。外見的にはヒメアルマジロが近い。 |
ダイダイカタツムリ | 蝸牛 | 橙色 | 青森伸 | キカイダー及び初期破壊部隊と同じ光明寺博士の製作 |
ミドリマンモス | マンモス | 緑色 | 増岡弘 | あまりマンモスに見えないが、注意深く見るとマンモスの左右を向いたマンモスの横顔になっている |
バイオレットサザエ | 栄螺 | 赤紫 | 京田尚子 | |
アカオニオコゼ | 鬼虎魚 | 赤 | 青森伸 | |
カイメングリーン | 海綿 | 緑 | 大宮悌二 | アニメ版にも登場 |
アカネイカ | 烏賊 | 茜色 | 増岡弘 | |
タコヤマブキ | 蛸 | 山吹色 | 清川元夢 | |
アオデンキウナギ | 電気鰻 | 青 | 丸山詠二 | |
キメンガニレッド | 鬼面蟹 | 赤 | 大宮悌二 | この個体から着ぐるみがツエニー製のものが増える |
ブラックハリモグラ | 針土竜 | 黒 | 増岡弘 | |
子ハリモグラ | 針土竜 | 黒 | 遠藤薫 | |
クロガラス | 烏 | 黒 | 渡部猛 | 漫画版にも登場 |
クワガタブルー | 鍬形虫 | 青 | 増岡弘 | |
ヒトデムラサキ | 海星 | 紫 | 和久井節夫 | |
アンコウブラウン | 鮟鱇 | 茶色 | 大宮悌二 | |
キリギリスグレイ | 螽斯 | 灰色 | 渡部猛 | |
アカ地雷ガマ | 蝦蟇蛙 | 赤 | 増岡弘 | |
白骨ムササビ | 鼯 | 白 | 和久井節夫 | |
マダラスナトカゲ | 襟巻蜥蜴 | 黄土色? | 増岡弘 |
漫画・アニメ版限定一覧
人造人間ハカイダーラストジャッジメント限定一覧
脚注
※1特撮版のゴールドウルフに該当。外見はキンイロコウモリに流用された。シルエットの段階ではこの名だった。ゴールデンバットはタバコの銘柄にあり、そのためTV版では登場できなかったと思われる。
※2実は元々02のオリジナルキャラクターではなく、昭和版の児童誌のイラストで確認できるキャラクターであった。なお、パープルスネークはどのダークロボットよりも人間に近い外見である。
※3アリと馬は原典に登場しているモチーフだが、カバは原作にも登場していないモチーフである。
※4少年型の「ア」、「ヌ」、ヒグマ型の「イ」、で構成されていて、合体する事でシルバーベアーとなる。この為、合体前でも息のあったコンビネーションを見せており、鮭を捕まえて見せた。合体前の姿で光明寺姉弟と接するが、キカイダーの電磁エンドで接続回路をショートされて倒された。なお、流石にこのネーミングは問題があった為、アニメ化に際して「クウヤ」と「カイト」、「リク」という名称に変更された。マサルは彼らに友情に感じていたが(クウヤとカイトも本当に楽しいと感じていた様子)、彼らはあくまでマサルを利用していただけである。それでも「友」を失ったマサルの心には傷ができてしまった。
※5名前は『人造人間キカイダートリビュート』(角川書店・2001年5月25日発行)P042〜P046より引用。
- 上記の特徴の項にあるようにモチーフの動物の印象を抽出した外見は非常に個性的ではあるが、これは石ノ森章太郎による漫画的なラフデザイン画を造形会社の開米プロが忠実過ぎるほどに再現した結果である。加えて開米プロは当時『ウルトラマンA』や『ミラーマン』も担当しなくてはならなかった上に、低予算である事、前述の多忙と重なり、ああならざるを得なかった模様。3クール目からはツエニーも造形を担当することになったからか、若干作りが凝ったものになっている。
- 実家が裁縫の仕事をしていた岡田斗司夫が、破壊された後に散らばっている部品には母が使っていたものと同じ足踏みミシンのはずみ車があると指摘していた。
- トニーたけざきによって描かれた石ノ森の画風を完コピした公式パロディ漫画では、ムラサキハクチョウ、ムラサキナスビ、ムラサキシキブなる特撮版の造形を再現した奇妙なダークロボットが登場した。
ハカイダー四人衆:プロフェッサー・ギル配下3名がそれぞれ銀エビ・青ワニ・朱ムカデ。
オルフェノク:ダークロボットが元ネタになっている者が多い。
ヒューマノイズ:人間型ダークロボットと言える存在
マギア:同じく動物をモチーフにしたロボット。ダークロボットと同じように各個体のカラーリングを一色に絞っており、同モチーフの動物が多いことから裏モチーフの可能性が高い。
レプリロイド:ポジション的に近い存在。
超獣戦隊ライブマン、鳥人戦隊ジェットマン、獣将、黒騎士ブルブラック、動物戦隊ゴーバスターズ、獣電戦隊キョウリュウジャー、宇宙戦隊キュウレンジャー、重甲ビーファイター:名前の法則が同じだがこちらの方々は東映特撮のヒーロー。
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