概要
熱帯の海を中心に潮間帯から深海まで世界中のあらゆる海に生息する。中にはバイカル湖のような淡水に生息する種類もいる。
壺状、扇状、杯状など様々な形態をもつ種類が存在し、同種であっても生息環境によって形状が異なる場合もある。大きさは数mmから1mを越すものまで多様である。
単調な多細胞生物で、細胞間の結合はゆるく、はっきりとした器官等の分化は見られないが、れっきとした動物(海綿動物門)である。姿こそ原始的で、現生動物の中ではクシクラゲ(有櫛動物門)と並んでかなり系統が古いが、どれが最も古いについては未だに熱く議論されている。
多くの種類は細かい網目状でかなり柔軟性のある繊維「スポンジン」で骨格を構成する。
ただしすべての海綿が柔らかいわけではなく、カイロウドウケツのようにガラス繊維でできた固い種類や石灰質、または炭酸カルシウムによる繊維を持つ種類もいる。
「小穴を持つ者」を意味する学名「Porifera」の通り、外側と内側の表面の無数の小穴から内部の小さな空洞部に繋がる。空洞部には「襟細胞」(えりさいぼう)が配置され、その鞭毛を動かして水を外側から内側へと流す。
約15,000種が知られ、確実の記録によれば最古の化石は5億8,000万年前のエディアカラ紀まで遡る(オタヴィアという7億年位前の地層から発見されたかりんとう状の古生物は、2012年の研究により海綿動物とされていたが、その見解は2014年の再検討により否定された)。
英語名は「sponge」(スポンジ)といい、これは日本語では入浴用などの海綿加工品やそれを模した合成品を指す名として用いられる(英語では両方をも指している)。
生態
主な種類は前述のギミックで水中に浮遊するデトリタス(死骸の破片や糞)や微生物を餌にしており、食物を濾過摂食するため、水質汚濁の原因となる水中の微生物や有機物を除去する役割を果たしている。なお、深海には肉食性カイメンと呼ばれる種類がいて、体表の突起で小型の動物を捕まえて食べる。コンドロクラディア・リラやChondrochladia lampadiglobus(ピンポンツリースポンジ)などは、流れに乗ってやってくる獲物を棘などでひっかけたあと、全細胞が獲物に襲い掛かって食べる。獲物が甲殻類などの場合、殻は食べられないので捨てる。
内部を綺麗にするため時おり積んだゴミを小穴から排出し、粘液に絡ませて捨てられる。これは海綿のくしゃみと言われるが人間のような一瞬ではなく、一回に20~50分もかかるほどゆっくりである。
多くの種類は雌雄同体で、繁殖は新たなクローンを芽生える無性生殖と、受精後に幼生か卵を出産する有性生殖の両方を行っている。生まれたての幼生は数日ほど自由に泳ぐ細胞塊であるが、合適な基底に付着すると不動な海綿の姿に成長する。
寿命は種類により数年から数百年以上に及ぶ。中でも Monorhaphis chuni という種類には、「1万1,000年」ほど生きていると推測された個体が見つかっている。アイスランドガイやオンデンザメ(それぞれ500年くらい)よりはるかに長生きさんである。
利用
その弾力のある骨格は、古くから人間にスポンジとして化粧用や沐浴用に用いられている。ただし現代の多くのスポンジは海綿製(天然スポンジ)ではなく、ポリウレタン等の合成樹脂を発泡成形して作られる(合成スポンジ)。
原始的な動物だが、何気にエイズや癌、マラリアなどに対する薬にも使用されていたりする。
人間のほか、イルカの一部が「海底掘って獲物を探す」際に海綿で顎をガードする行動が観測されていたりまた、上述のカイロウドウケツエビの上の、海綿の一種の中へ「二世帯丸ごとお住まい」の真社会性を獲得した(ハチとかアリとかハダカデバネズミ)テッポウエビの一種がいたり、する。
フィクションでは
あつまれどうぶつの森
本作でこれの一種であるカイロウドウケツが初登場。2020年夏のアップデートで海の幸として登場した。
本来は全く動かないはずなのに、レア度が高い為か本作ではプレイヤーを見つけた途端に凄いスピードで逃げ出すというあり得ない場面が見られる。
売値は5000ベルとかなり高価。
海綿をモチーフとしたキャラクター
関連タグ
カイメン…表記揺れ