概要
現代の日本人の死因のうち、不動のナンバーワンとなっている病気。
日本人の実に「2人に1人が癌になり、3人に1人が癌で死亡」する(年間36万人が死亡)。
脳卒中や心筋梗塞と並ぶ日本における「三大疾病」のひとつである。
がん死亡者のうち、男性の死因1位は「肺がん」で、女性の死因1位は「気管支がん」である。タバコが原因による肺がんは男性の70%にのぼる。
早期発見が非常に重要となる病気であり、ごく初期段階のうちに発見することができれば、治療することで完治が可能な症例も多い。
ただし再発性も高く、一度完治したからといって油断は禁物で、以降も定期的な健診を要する。
また、癌細胞は血管やリンパに入り込み、その流れに乗ることで他の場所への転移も起こることが多い。リンパの流れが集まる場所であるリンパ節に転移したり、肺や肝臓、脳、骨など血液の流れが豊富な場所に転移することが多い。
進行が進み、転移も起こっている癌患者の中には、最初に癌が発生した場所が不明な場合もある。この場合、原発不明癌と呼ぶ。
歴史
死んだ者を解剖すると、一定確率で腫瘍が見つかるため、癌の存在そのものは知られていた。その腫瘍の広がり方が「足を広げるカニ」に似ていたことから、ヒポクラテスはカニを意味する「καρκίνος」と名付け、これが英語などの「Cancer」に繋がっている。
一方、日本では、腫瘍が岩のように硬いことから、「岩」や「巖」と書いて「ガン」と呼んでいた。現在、使われる「癌」の漢字は、「岩山」を表す「嵒(ガン)」に、やまいだれ(疒)を付けた字である。
現代では多くの者がかかる癌であるが、おそらく古代の人も、相当の数の人数が癌にはかかっていたと思われる。
しかし、内臓に発生する癌は、生前にその発生を診断することはかなり困難であった。ほとんどの人は、癌が発生すると、内臓の機能が急速に衰え、食事などができなくなり、痛みなどが出る前に死んでしまったと思われる。死因も癌ではなく、他の病や老衰と診断されていた可能性が高い。
ただ、例外はあり、乳癌や皮膚癌などは、「しこり」などで、生前のうちにその存在を診断できた。特に、乳癌は腫瘍が原因ということも経験的に分かっており、乳房を切開して、腫瘍を取り出すという手術も、古来から行われていた。ただ、強力な麻酔が開発されるまで、その手術は非常に過酷であり、手術を受ける患者は死の可能性を覚悟する必要があった。
概要
英語のCancer(キャンサー)は腫瘍の広がり方が蟹の足に見えたことからとされる。
体内外にできる、悪性腫瘍細胞(悪性新生物)を指す。腫瘍が「悪性」であるとは、際限なく増殖し、隣接する臓器に浸潤したり、異常な内分泌を行って生体機能を妨げたり、血流に乗って離れた場所に転移するなどの特徴を示すことを言う。これらの特徴を示さない腫瘍が「良性腫瘍」である。
治療方法は外科手術、化学療法(抗がん剤の投与)、放射線治療など。これらの治療方法を組み合わせて用いる。
かつては致死率の非常に高い病気であったが、現在は医療技術の進歩により、発見さえ早ければかなり高い確率(がんの種類により異なるが)で完治も可能となっている。
逆に、自覚症状が無いまま(あるいは自覚症状はあっても病院へは行かず)長期にわたり放置を続け、発見が大幅に遅れた場合、全身にがんが転移した末期状態に陥っており、いきなり死亡宣告を受けるようなパターンも非常に多い。
癌は、癌そのものが痛みなどを出すわけではなく、癌によって臓器が炎症を起こしたり、機能が弱まったりすることで痛みを生じる。そのため、進行が進んでも、自覚症状がないという事もままある。特に大腸癌や膵臓癌は、「沈黙の臓器」と呼ばれており、手遅れな状態になってすら、自覚症状がないことがある。
映画やTVドラマで医師に「ステージ4…余命半年です」と告げられガーンな展開はよく見かけるが、誇張や演出などではなく実際日本中であるあるなのである。部位によっては確かに早期発見で治療可能だが、そこはやはり不動の死因1位である。十分に恐れるべきである。
このため、特に40歳を過ぎたら定期的に検査を受けることが重要となっている。
ただし、がんのタイプによって進行や悪性度は大きな差があり、早期発見を心がけても治療が難しい、あるいは不可能ながんもある。たとえば通常型の膵臓がんは非常に転移しやすく、早期に病巣を取り除いても既に転移していることが多く救命が困難である。一方で甲状腺がんの中で最も多い乳頭がんは進行が遅いため、発見が遅れても高い確率で治療可能である。
転じて組織内で悪影響をもたらす人物の事を「(組織の)癌」と呼ぶ事がある。
原因
主に生活習慣、病原体、遺伝の三つが挙げられる。例えば飲酒などは肝臓や喉、胃に負担をかけるためその部位が癌になる。長年の喫煙習慣や不摂生が原因で肺がんや、腎臓がんが起こる。
ピロリ菌なども胃がんを引き起こすトリガーであるし、肝炎ウイルス(特にB型肝炎、C型肝炎)による肝炎が癌化することもある。
がん家系という言葉もあるように、どれだけ健康な生活を送っていても癌になることもある。
メラニン色素の少ない白人種や、オゾンホールのあるオーストラリアでは紫外線による皮膚癌患者が多い。
糖尿病や腎不全、肝硬変や動脈硬化など、生活習慣病ががんを引き起こすのは間違いのない事である。
つまり、がんとはその部位のダメージ蓄積結果なのである。
ちなみに心臓がんというものは存在しない。理由は諸説ある。
- 高度に分化したため癌が発生しづらい。
- 40度以上を保つ心臓では癌細胞が死滅する。
- 心臓から癌抑制ホルモンが出ている
- 心臓の血流が速くて癌細胞が定着しない。
など様々ある。つまりまだよくわかっていないのだ。
(中には医療の発達で減少しているが『原発不明がん』という「十分な全身の検査を行っても、発生した臓器が分からない」ものも存在する。)
だが特殊なのは子宮頸がん、肛門がん、陰茎がんの3つである。これらのがんの原因はもっぱらHPV(ヒトパピローマウイルス)によるものであり、部位でお察しだが性交渉により感染する。
だがこのウイルスにはなんと、ワクチンが存在するのだ。
日本においては小学6年生から高校1年生の女性のみ無料接種ができる。
なぜ年代を限っているかと言うのはコストも理由の一つであるがこういうことである。
だが大人でも予防効果はあるし、男性でも効果はある。
オーストラリアなど先進諸国では男女共に定期接種化した結果、排除に近づいている。
日本ではいろいろあるが、リスクとベネフィットを天秤にかけ、判断すべきである。
子宮頸がんは毎年10000人以上が発症、3000人以上が死亡している。若年女性の死因のトップクラスである病気である。
死なずとも子宮切除など致命的なダメージを負う事もある、重大な病気なのだ。
治療
摘出可能な状態であれば手術、摘出不可能もしくは早期発見であれば抗がん剤投与を行うのが一般的。
ただし、抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞をも攻撃してしまうため副作用が酷いことで有名。実際に身体が抗がん剤に耐えられる状態でなければ、抗がん剤を投与する事すらもできないケースも決して少なくない。
この副作用に耐えられず、死を覚悟の上であえて抗がん剤を断る患者も多い。
しかし、現在ではがん細胞だけ集中的に破壊する手術が進んでおり、絶対じゃないとはいえ前述と比べると苦しみは和らいでいる。
対策
適度な運動、食事を心がけよう。
白血病…「血液のがん」ともいわれている。