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糖尿病

とうにょうびょう

高血糖状態が続く病気。2型糖尿病は生活習慣病の一つでもある。どこぞのジャンプ漫画主人公もなりかけている病気だが、決して軽くみてはならない病気である。
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概要編集

「糖尿病」とはインスリンの働きが悪くなり、高血糖状態が続く病気である。

※高血糖状態…血液の中のブドウ糖グルコース)の濃度(血糖値)が高い状態が続くこと。


糖尿病には2つの型があり、ランゲルハンス島膵臓の内部に存在する細胞群)のインスリン生産能力が自己免疫疾患など生活習慣とは無関係な理由で破壊されて起こる「1型糖尿病」と、一般的には生活習慣病として有名な「2型糖尿病」がある。


昔は、インスリン製剤による治療が必要であるかどうかによってインスリン依存型/インスリン非依存型という分類がなされていたが、さまざまな治療法の進展により、現在ではこの分類は現状に合わなくなってきている。


ちなみに日本では「糖尿病」と呼ばれるこの病気は呼称と症状の実態が合っておらず偏見の目もあることから、2023年9月にJADEC(公益社団法人 日本糖尿病協会)と日本糖尿病学会によって英語名から基づく「ダイアベティス」という名称が提起されている。


診断基準編集

詳しいことはWikipediaや医学の専門サイトに譲るが、簡単に言ってしまうと、以下のような場合に糖尿病と診断される。

  • 血液検査で「空腹時または食後の血糖値が糖尿病型」かつ「ヘモグロビンA1CHbA1C)も糖尿病型」だった場合。
  • 初回の血液検査で「空腹時または食後の血糖値が糖尿病型」かつ、別の日に実施した再検査(できれば1ヶ月以内)でも「空腹時血糖値、食後(随時)血糖値、HbA1Cのいずれかが糖尿病型」だった場合。
  • 初回の血液検査で「HbA1Cが糖尿病型」かつ、再検査で「空腹時または食後の血糖値が糖尿病型」だった場合。
  • 血液検査で「血糖値が糖尿病型」かつ、「典型的な糖尿病の症状や合併症(網膜症)がみられる」場合。

ちなみに「糖尿病型」とは、具体的に言えば以下の数値のことである。

項目数値備考
空腹時血糖値126mg/dl以上主に健康診断などで測定する。
随時血糖値200mg/dl以上食事時間とは無関係に測定した血糖値のことだが、検査では主に食後2時間後の数値が使用される。
HbA1C6.5%以上赤血球色素ヘモグロビン)のうちグルコースと結合したものの割合のこと。

糖尿病=糖が尿から出る病気?編集

その名前から糖尿病とは、「尿に糖が出る病気」と思われているが、それだけが症状の中核ではない。

人間は高血糖状態になると、腎臓が水分と共にブドウ糖を排出しようとするため、尿の量と回数が増える。糖尿病の人の尿は果実のような独特の甘酸っぱい匂いを放つが、これはブドウ糖に由来するものである。

糖尿病で本当に問題なのは血糖値が高いことであり、尿に糖が出て体内の糖が失われてしまうのではなく、血糖値が高すぎて尿にまで糖がたくさん出てしまうことが問題ということである。

さらに、この匂いが出てくるのは症状が進行してからとなるため、「糖尿」という言葉だけを気にしていると匂いで気づく頃には悪化していることもあり得る。またその日の食事によっては糖尿病でない人も匂いが変化することがあるため、注意が必要である。


メカニズム編集

食事をして栄養素を体の中に取り入れている時、パンなどに多く含まれる糖質(炭水化物)は、小腸でブドウ糖に分解された後血液の中に吸収され、他にもタンパク質や脂肪等の栄養分も分解されて吸収され、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)を高める。


通常の場合は、体の中の「インスリン」というホルモンの作用で血糖値はほぼ一定の値に保たれているが、この血糖を調節する仕組みがうまく働かなると上記の高血糖状態になってしまうため、糖尿病になってしまう。

1型糖尿病ではインスリンの絶対的な量が少なくなる。これは自己免疫疾患やウイルス感染などを原因として、インスリンを作り出す膵臓β細胞が破壊されてしまってインスリンが作られなくなることによって生じる。

これに対して、2型糖尿病では、もともとのインスリンはきちんと作られている。場合によっては糖尿病ではない人よりもインスリンの分泌量が多い。これは、摂取した糖の量に応じてインスリンが分泌されるためであり、したがって、2型糖尿病は分泌されるインスリンの量に対して血液中に存在する糖の量が多すぎるために生じるということがわかる。

なお、高血糖の状態が長く続くと、膵臓が「分泌疲れ」をおこしてインスリンの分泌量を減らしてしまうので注意が必要である。


本当は怖い糖尿病編集

糖尿病そのものは身体の痛みなどが無く、初期症状もほとんど感じない。手足のしびれ、立ち眩み、便秘などの症状で気づかれることがあるが、この段階では治療しなくとも生活に深刻な支障は生じない。


しかし、血中の糖は、人体内のタンパク質と結びついて変性させる糖化反応を起こすことで毒性を発揮する(糖毒性)。その結果、長期間の高血糖状態により全身の血管神経が傷んでくると、動脈硬化白内障など全身のさまざまな臓器に影響が起こってくる。また、この段階になると(糖を排出するために大量の水分を使って尿をつくるため)のどの渇き、多尿・頻尿などの典型的症状が生じ、急に痩せてくることもある。

糖尿病の人の水分補給には水、または無糖のお茶などが好ましいとされる。甘いドリンクは口当たりが良く飲みやすいものの、血糖値を上げることになってしまうため、糖を排出するため大量に尿が出る→喉が乾く→甘いドリンクなどを大量に飲む→血糖値が上がってまた尿が…というループに陥ってしまうことも少なくない(いわゆるペットボトル症候群)。


最悪の場合は腎臓病心筋梗塞網膜剥離などの深刻な合併症を発病したり、失明や足が指先から壊死してくる可能性もある。

村田英雄サンダー杉山など手足を切断した例もある。)

しかも糖尿病は神経障害を起こす事もあり、痛みに気付きにくくなっているケースも多い。例として元横綱北尾光司ストーブの熱で足の皮膚が焦げても火傷に気付かないほどだったという。また糖尿病が酷いと怪我の治りが遅いため、感染のリスクから外科的手術ができなくなるというデメリットもある。冗談抜きで外科系医師が手術の時に一番恐れているのが糖尿病であり、血糖値が基準値を超えていると下がるまで手術ができない。

このように糖尿病が直接的な死因にはならなくとも、合併症が寿命を縮める要因になることが多い。1970年代の調査では、男性で約10年、女性では約15年寿命が縮まるとする研究がある。


また、他の病気にかかった時も悪化リスクが極めて高くなる。

特に近年ではCOVID-19の重症化リスクの大きな要因と指摘されており、特に男性は危険度が高くなる。生活習慣的に甘いものを好む国民性があるマレーシアや中東諸国、「低所得者が買いやすい価格の食べ物がハイカロリーになりがち」な傾向にある欧米諸国でも死者が多い原因と考えられている。

日本でも糖尿病患者のCOVID-19罹患時死亡例や治療薬の投与に制限が出て回復に時間がかかる事例が多く発生しており、著名人でも羽田雄一郎勝武士がCOVID-19罹患時に短期で亡くなっており、一旦は罹患して回復した山本夜羽音も症状が再び急激に悪化して逝去している。


糖尿病を予防しよう編集

不摂生が発病に大きく影響する「2型糖尿病」は、基本的には予防できると考えられている。


通常の生活習慣病の予防と同じように、適度な運動と減量を心がけ、禁煙するとともに、偏った食生活や過度の飲酒を控えたい。また、ストレスや睡眠不足も糖尿病になるリスクを引き上げるため、自分に合う適度なリラックス方法や6時間以上の睡眠は大事である。


また、自分が糖尿病になっているかどうかの検査が病院によっては出来るため、心配ならば検査が出来る病院を調べて行き、早期発見を心がけよう。万が一発病してしまった場合は、食事療法や運動療法、薬によって血糖をきちんとコントロールできれば、症状が出ない状態を持続でき、合併症を予防できるため、必ず病院へ行こう。


しかし、発症には遺伝や年齢の影響も大きく、2型の中にも同じような生活習慣(食生活や運動量など)であっても発症する人としない人がいる。

日頃から糖分の多いものを摂取することを避けていても、遺伝的に(つまり、生まれつき)インスリンの分泌能力が低かったり、加齢とともに能力が衰えてしまったりして発症することもあり、すべての人が生活習慣の乱れだけでなってしまうわけではない。

祖父母や親、兄弟が糖尿病であった人(いわゆる「家族歴」がある人)の多くはインスリンの分泌能力が低いという研究結果もあるため、そのような人は特に注意が必要である。


ダイエット法としても有名な糖質制限については、糖尿病の「予防」として十分な効果があるかは未だ不確定であるため、過信は禁物である。実際に、タレントの紅蘭は、ほとんど糖質を摂らずトレーニングをしていたが、逆に体重が増えてしまい病院を受診したところ2型糖尿病に近い状態と診断されたことを公表している。紅蘭は、過剰なまでの糖質制限と激しいトレーニングに加え、これによる精神的なストレスでインスリンの働きが弱まってしまったことが原因としている。


繰り返しになるが、糖尿病は適切な治療と生活習慣の改善によって発症や悪化を防ぐことが十分に可能である。


偏見の目も辛い編集

このように恐ろしい病気でありながらも、患者への偏見や誤解が少なくないのもまた事実である。

遺伝的要素や職業柄糖尿病になりやすい人もいるのに「ぜいたく病」「不摂生のせい」「自業自得」等というのは誤りである。

11月14日世界糖尿病デーでは、ダイアベティス(糖尿病)の理解を深めるために世界中で様々な取り組みが展開されている。

医療サイト 朝日新聞アピタル


フィクションでの扱い編集

はたらく細胞BLACK編集

はたらく細胞BLACK』(第二部)では4巻から最凶の病魔「糖尿病編」である。この細胞擬人化漫画では赤血球の糖化は人体発火現象として描かれている。糖尿病の進行は進み、ついには膵臓のβ細胞が自ら活動を停止してしまう。そして壊疽(糖尿病神経障害)、糖尿病網膜症と身体のあちこちの末端が崩壊していく…。


関連タグ編集

病気 生活習慣病 世界糖尿病デー


ダイアベティス:英語名の名称。


耐糖能異常:糖尿病と言えるレベルではないものの、血糖値ヘモグロビンA1CHbA1C)が高い状態のこと。


大相撲力士:痛風と並ぶ角界の職業病である。

パティシエ:某テレビ番組で有名パティシエが「ベテランになるとかなりの確率で、糖尿病になる」とぶっちゃけた。


糖尿病の人物編集

1型編集

岩田稔

寺瀬今日子

2型編集

※は壊死により四肢切断に至った人物。


藤原道長 徳川家康 明治天皇 グレート義太夫 安西正弘 富永一朗 秋山好古 中沢啓治 ばってん荒川 ※林家こん平 夏目漱石 金丸信 アントニオ猪木 ※村田英雄 ※サンダー杉山 コレステロールタクヤ 北尾光司 ウガンダ・トラ 羽田雄一郎 勝武士 山本夜羽音 ※佐野慈紀 佐野実 ※谷津嘉章


糖尿病のキャラクター編集

坂田銀時:実際にはギリギリ未発症。初期は「糖尿になりそうな食生活」とネタにされる程度であったが、のちに「糖尿病寸前」と医者に言われたという設定に変わった。内臓はまだ健康なので闇医者に臓器を売られそうになった話がある。

ドゲンジャーズナイスバディネタバレに直結するため避けるが、あるヒーローの中の人が糖尿病持ちである。


外部リンク編集

糖尿病ホームページへようこそ(厚生労働省)

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